2020/08/30(日) - 15:32
ニースの“スケートリンク”で相次いだ連続落車。ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)やパヴェル・シヴァコフ(ロシア、イネオス・グレナディアーズ)も負傷する中、ロット・スーダルのジョン・デゲンコルプ(ドイツ)やフィリップ・ジルベール(ベルギー)ら3名が初日リタイアを喫する事態となった。
「たった1日でこんなに多くの落車を見たのは初めて。本当にクレイジーだった。僕自身何度も落車に巻き込まれたけど、幸い自転車の上にとどまることができたよ」と、混沌とした1日を振り返ったのはNTTプロサイクリングのマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ)。油や汚れが浮き出てスケートリンクと化したコートダジュールのワインディングに、大勢の足元がすくわれた。
落車ゼロのチームがほぼ存在しないという荒れた展開。中でも大被害を被ったのがジョン・デゲンコルプ(ドイツ)とフィリップ・ジルベール(ベルギー)という看板選手2名を失ったロット・スーダルだった。落車で深い怪我を負ったデゲンコルプはフィニッシュまで65kmを一人で走り続けたものの、制限時間を2分オーバーしたためタイムアウト。フィニッシュ後ニースの病院で検査を受けたジルベールには膝蓋骨骨折が言い渡された。
「20番手前後を走っていたとき目の前で集団落車が起きた。2人、3人と地面に転がる選手を避けて切り抜けたけれど、またすぐに目の前で落車が起きた。その時は全く避けることができず、10〜15人の選手が地面に投げ出されたんだ。すぐに立ち上がろうとしたけど無理だった。ガードレールにもたれかかって2分くらい待っただろうか。それから自転車に乗り、力の入らない脚でフィニッシュを目指した。脱落した選手たちと一緒に、他の選手を助けることなんてできずに辛うじてフィニッシュ。とても痛かった。2018年に覚えのある痛みだった」。
2018年ツール第16ステージでも崖下に転落し、膝蓋骨を割っていたジルベール。フィニッシュ後すぐに医療トラックで受けたX線検査では異常が見つからなかったものの、病院のMRIで2年前と同じ膝蓋骨骨折が判明した。幸い手術の必要こそ無いものの、2〜3週間の要安静が言い渡されたジルベールは家路につくこととなる。
「何たる失望だ。僕たちはロードレースを愛し、常にレースやチーム、スポンサーを尊重している。私たちは常に戦い、同じ価値観を共有していんだ。僕はジョンが最後まで走りきったことを尊敬している。大落車をしたのにも関わらず、65kmをたった一人で走りきって2分遅れでフィニッシュしたんだ。それでもジョンの努力にコミッセールからの敬意は全く得られなかった。例え明日走れないような怪我であっても、ジョンは完走に値する。とても受け入れられない結果だ」と、ジルベールはデゲンコルプに対する厳しい判断に苦言を呈している。
ロット勢二人の他に、フィニッシュまでたどり着けなかったのがラファエル・バルス(スペイン、バーレーン・マクラーレン)だった。バルスはティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が巻き込まれた残り3kmの落車で地面に叩きつけられ、右大腿骨を骨折。その日のうちに手術を受けたバルスは今後数日で帰路につくという。
波乱含みの開幕を終え、ツールは今日もコートダジュールの山岳コースを走る。前日と打って変わって、現地には雲ひとつない青空が広がっている。
「たった1日でこんなに多くの落車を見たのは初めて。本当にクレイジーだった。僕自身何度も落車に巻き込まれたけど、幸い自転車の上にとどまることができたよ」と、混沌とした1日を振り返ったのはNTTプロサイクリングのマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ)。油や汚れが浮き出てスケートリンクと化したコートダジュールのワインディングに、大勢の足元がすくわれた。
落車ゼロのチームがほぼ存在しないという荒れた展開。中でも大被害を被ったのがジョン・デゲンコルプ(ドイツ)とフィリップ・ジルベール(ベルギー)という看板選手2名を失ったロット・スーダルだった。落車で深い怪我を負ったデゲンコルプはフィニッシュまで65kmを一人で走り続けたものの、制限時間を2分オーバーしたためタイムアウト。フィニッシュ後ニースの病院で検査を受けたジルベールには膝蓋骨骨折が言い渡された。
「20番手前後を走っていたとき目の前で集団落車が起きた。2人、3人と地面に転がる選手を避けて切り抜けたけれど、またすぐに目の前で落車が起きた。その時は全く避けることができず、10〜15人の選手が地面に投げ出されたんだ。すぐに立ち上がろうとしたけど無理だった。ガードレールにもたれかかって2分くらい待っただろうか。それから自転車に乗り、力の入らない脚でフィニッシュを目指した。脱落した選手たちと一緒に、他の選手を助けることなんてできずに辛うじてフィニッシュ。とても痛かった。2018年に覚えのある痛みだった」。
2018年ツール第16ステージでも崖下に転落し、膝蓋骨を割っていたジルベール。フィニッシュ後すぐに医療トラックで受けたX線検査では異常が見つからなかったものの、病院のMRIで2年前と同じ膝蓋骨骨折が判明した。幸い手術の必要こそ無いものの、2〜3週間の要安静が言い渡されたジルベールは家路につくこととなる。
「何たる失望だ。僕たちはロードレースを愛し、常にレースやチーム、スポンサーを尊重している。私たちは常に戦い、同じ価値観を共有していんだ。僕はジョンが最後まで走りきったことを尊敬している。大落車をしたのにも関わらず、65kmをたった一人で走りきって2分遅れでフィニッシュしたんだ。それでもジョンの努力にコミッセールからの敬意は全く得られなかった。例え明日走れないような怪我であっても、ジョンは完走に値する。とても受け入れられない結果だ」と、ジルベールはデゲンコルプに対する厳しい判断に苦言を呈している。
ロット勢二人の他に、フィニッシュまでたどり着けなかったのがラファエル・バルス(スペイン、バーレーン・マクラーレン)だった。バルスはティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が巻き込まれた残り3kmの落車で地面に叩きつけられ、右大腿骨を骨折。その日のうちに手術を受けたバルスは今後数日で帰路につくという。
波乱含みの開幕を終え、ツールは今日もコートダジュールの山岳コースを走る。前日と打って変わって、現地には雲ひとつない青空が広がっている。
各チーム負傷者リスト |
---|
イネオス・グレナディアーズ |
パヴェル・シヴァコフ(ロシア):複数回の落車 |
アンドレイ・アマドール(コスタリカ):擦過傷 |
ユンボ・ヴィスマ |
ジョージ・ベネット(ニュージーランド):2度落車 |
トニー・マルティン(ドイツ):残り3kmで落車 |
ロベルト・ヘーシンク(オランダ) |
ボーラ・ハンスグローエ |
レナード・ケムナ(ドイツ):擦過傷 |
ドゥクーニンク・クイックステップ |
ジュリアン・アラフィリップ(フランス):軽い擦過傷 |
グルパマFDJ |
ティボー・ピノ(フランス):右半身の擦過傷、膝と右肩に外傷 |
ダヴィ・ゴデュ(フランス):仙骨の外傷 |
ウィリアム・ボネ(フランス):左肩、左大腿外傷。 |
ルディ・モラール(フランス):膝の外傷と打撲、擦過傷 |
バーレーン・マクラーレン |
ラファエル・バルス(スペイン):右大腿骨骨折 |
ワウト・プールス(オランダ):肋骨の骨折 |
EFプロサイクリング |
リゴベルト・ウラン(コロンビア):擦過傷 |
モビスター |
マルク・ソレル(スペイン):膝の打撲、擦過傷 |
イマノル・エルビティ(スペイン):3度落車 |
ホセ・ロハス(スペイン):腕と背中の打撲 |
UAEチームエミレーツ |
ダビ・デラクルス(スペイン):仙骨に小さな骨折を負う翌日出走 |
マルコ・マルカート(イタリア):擦過傷 |
アスタナ |
ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア):2度落車、茂みと看板に激突するも無事 |
ルイスレオン・サンチェス(スペイン):擦過傷 |
ロット・スーダル |
ジョン・デゲンコルプ(ドイツ):膝の外傷、2分タイムアウトで翌日出走ならず |
フィリップ・ジルベール(ベルギー):膝蓋骨骨折 |
イスラエル・スタートアップネイション |
アンドレ・グライペル(ドイツ):脚を4針縫う怪我 |
ベン・ヘルマンス(ベルギー):背中の外傷 |
ニルス・ポリッツ(ドイツ):右手首靭帯損傷 |
NTTプロサイクリング |
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー):擦過傷 |
ライアン・ギボンズ(南アフリカ):骨折していた左肋骨の痛み |
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア):擦過傷、肘を数針縫う怪我 |
text:So.Isobe
Amazon.co.jp