2020/01/23(木) - 15:47
最大勾配が20%に達するKOMパラコームでリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)がアタック成功。実質的なクイーンステージとの呼び声も高いツアー・ダウンアンダーでポートがステージ優勝を飾るとともに総合首位に立った。
距離131km、獲得標高差2,200mのツアー・ダウンアンダー第3ステージを締めくくるのは、3年ぶりの登場となるKOMパラコーム(全長1.2km/平均9.3%/最大20%)山頂フィニッシュ。KOMとフィニッシュ地点が500m離れているため厳密には山頂フィニッシュではないが、過去2回登場した際には大きなタイム差がついている。
定番のKOMウィランガヒル(全長3.6km/平均7.1%/最大14%)が設定された最終ステージが"伝統的な"クイーンステージだが、KOMパラコームを"実質的な"クイーンステージだと言い切る選手は多い。中間スプリントでコツコツとボーナスタイムを稼ぐダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)に対し、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)やローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)といったクライマー系選手がどこまでリードを奪えるのかに注目が集まった。
前日の第2ステージ残り1.5km地点で発生した落車による被害は深刻で、この日はベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)とラファエル・バルス(スペイン、バーレーン・マクラーレン)がスタートせず。左膝を負傷したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と左半身に打撲や擦過傷を負ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)は包帯姿でスタートを切った。
晴れ時々曇り、強い西風に押されるように飛び出したのはUCIワールドチーム所属選手3名。カナダのナショナルチャンピオンに2度輝いているギヨーム・ボワヴァン(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)と2019年ブエルタ・ア・エスパーニャで山岳賞を獲得したジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール)、そこに2017年のオーストラリアチャンピオンであるマイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ)を加えた実力トリオが逃げる。
ブッシュファイヤー(森林火災)によって色彩を失った丘が点在し、気温11〜20度という涼しいアデレードヒルズでタイム差は4分まで拡大。小雨まで降る寒々しい丘陵地帯でミッチェルトン・スコットとトレック・セガフレードがメイン集団を率いて逃げトリオを追いかける。木々を大きく揺らす強風によって神経質になったメイン集団は常に逃げを射程圏内に置いた。
タイム差が30秒を切ったところで独走に持ち込んだスコットソンを捕らえ、ポールポジションを競り合いながら向かい風が吹く渓谷路を突き進んだメイン集団。落車によって脱落した2017年総合3位ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)を除くメイン集団が、最高スピード70km/hのポジション争いの末にKOMパラコームに突入した。
西風は午後になっても吹き止まなかった。KOMパラコームからフィニッシュにかけて強い向かい風が吹き付ける中、最大勾配20%の急勾配区間を終えたところでポートがアタック。一発の加速で飛び出すとともにダンシングで踏み抜いたポートが10秒程度のリードでKOM頂上を通過して見せる。
ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームイネオス)率いるメイン集団からはSイェーツやロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)らが飛び出して追走モードに入ったが、先頭ポートとの10秒差は縮まらなかった。KOM頂上後の緩斜面でポートはリードを失いながらも、明白に失速しながらも、追走グループを5秒突き放したままフィニッシュ。タイム差5秒とボーナスタイム10秒によって総合首位に躍り出た。
ステージ2位には2018年ジャパンカップ覇者のパワーが入り、落車の影響が心配されたSイェーツがステージ3位に。続いて2015年にKOMパラコームを制しているローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス)、クライマーたちに食らいついたディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)やダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)らが続いた。
「キング・オブ・ウィランガ」に続いて「キング・オブ・パラコーム」のタイトルを獲得しつつあるポートは「ファンタスティックな走りを見せてくれたチームメイトたちに脱帽だ」と世界チャンピオンを含むトレック・セガフレードのメンバーに感謝した。「彼らは自分を信頼して、レースを完全にコントロールしてくれた。最後はチームのお膳立てを受けて、特に新人のフアン・ロペスのアシストを受けて登りでアタック。向かい風が吹いていなければもっと大きなタイム差を奪えていたから残念ではあるけど」。
KOMパラコーム(全長1.2km/平均9.3%/最大20%)のポートの登坂タイムは3分6秒で、平均スピードは23.3km/h、VAMは2,195に達している。向かい風が吹く中にもかかわらず、STRAVAのKOMセグメントを更新した。
第3ステージを終えてポートはインピーから6秒、パワーから9秒の総合リードを得ている。「総合争いがこれで決まったわけではないし、ダリル(インピー)が最も警戒しなければならない存在であることに変わりはない」とポート。なお、2015年はKOMパラコームを制したデニスが総合優勝、2017年はKOMパラコームを制したポートが総合優勝を飾っている。
バルスのリタイアによってハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア)とサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)のアシストを担うことになった新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は「登り手前の平坦路で後ろに下がってしまっていた2人を50番手あたりから15番手あたりまで引き上げた」と語り、自身はステージ40位でフィニッシュ。第3ステージを終えて総合30位につけている。
距離131km、獲得標高差2,200mのツアー・ダウンアンダー第3ステージを締めくくるのは、3年ぶりの登場となるKOMパラコーム(全長1.2km/平均9.3%/最大20%)山頂フィニッシュ。KOMとフィニッシュ地点が500m離れているため厳密には山頂フィニッシュではないが、過去2回登場した際には大きなタイム差がついている。
定番のKOMウィランガヒル(全長3.6km/平均7.1%/最大14%)が設定された最終ステージが"伝統的な"クイーンステージだが、KOMパラコームを"実質的な"クイーンステージだと言い切る選手は多い。中間スプリントでコツコツとボーナスタイムを稼ぐダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)に対し、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)やローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)といったクライマー系選手がどこまでリードを奪えるのかに注目が集まった。
前日の第2ステージ残り1.5km地点で発生した落車による被害は深刻で、この日はベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)とラファエル・バルス(スペイン、バーレーン・マクラーレン)がスタートせず。左膝を負傷したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と左半身に打撲や擦過傷を負ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)は包帯姿でスタートを切った。
晴れ時々曇り、強い西風に押されるように飛び出したのはUCIワールドチーム所属選手3名。カナダのナショナルチャンピオンに2度輝いているギヨーム・ボワヴァン(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)と2019年ブエルタ・ア・エスパーニャで山岳賞を獲得したジョフリー・ブシャール(フランス、アージェードゥーゼール)、そこに2017年のオーストラリアチャンピオンであるマイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ)を加えた実力トリオが逃げる。
ブッシュファイヤー(森林火災)によって色彩を失った丘が点在し、気温11〜20度という涼しいアデレードヒルズでタイム差は4分まで拡大。小雨まで降る寒々しい丘陵地帯でミッチェルトン・スコットとトレック・セガフレードがメイン集団を率いて逃げトリオを追いかける。木々を大きく揺らす強風によって神経質になったメイン集団は常に逃げを射程圏内に置いた。
タイム差が30秒を切ったところで独走に持ち込んだスコットソンを捕らえ、ポールポジションを競り合いながら向かい風が吹く渓谷路を突き進んだメイン集団。落車によって脱落した2017年総合3位ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)を除くメイン集団が、最高スピード70km/hのポジション争いの末にKOMパラコームに突入した。
西風は午後になっても吹き止まなかった。KOMパラコームからフィニッシュにかけて強い向かい風が吹き付ける中、最大勾配20%の急勾配区間を終えたところでポートがアタック。一発の加速で飛び出すとともにダンシングで踏み抜いたポートが10秒程度のリードでKOM頂上を通過して見せる。
ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームイネオス)率いるメイン集団からはSイェーツやロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)らが飛び出して追走モードに入ったが、先頭ポートとの10秒差は縮まらなかった。KOM頂上後の緩斜面でポートはリードを失いながらも、明白に失速しながらも、追走グループを5秒突き放したままフィニッシュ。タイム差5秒とボーナスタイム10秒によって総合首位に躍り出た。
ステージ2位には2018年ジャパンカップ覇者のパワーが入り、落車の影響が心配されたSイェーツがステージ3位に。続いて2015年にKOMパラコームを制しているローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス)、クライマーたちに食らいついたディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)やダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)らが続いた。
「キング・オブ・ウィランガ」に続いて「キング・オブ・パラコーム」のタイトルを獲得しつつあるポートは「ファンタスティックな走りを見せてくれたチームメイトたちに脱帽だ」と世界チャンピオンを含むトレック・セガフレードのメンバーに感謝した。「彼らは自分を信頼して、レースを完全にコントロールしてくれた。最後はチームのお膳立てを受けて、特に新人のフアン・ロペスのアシストを受けて登りでアタック。向かい風が吹いていなければもっと大きなタイム差を奪えていたから残念ではあるけど」。
KOMパラコーム(全長1.2km/平均9.3%/最大20%)のポートの登坂タイムは3分6秒で、平均スピードは23.3km/h、VAMは2,195に達している。向かい風が吹く中にもかかわらず、STRAVAのKOMセグメントを更新した。
第3ステージを終えてポートはインピーから6秒、パワーから9秒の総合リードを得ている。「総合争いがこれで決まったわけではないし、ダリル(インピー)が最も警戒しなければならない存在であることに変わりはない」とポート。なお、2015年はKOMパラコームを制したデニスが総合優勝、2017年はKOMパラコームを制したポートが総合優勝を飾っている。
バルスのリタイアによってハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア)とサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)のアシストを担うことになった新城幸也(バーレーン・マクラーレン)は「登り手前の平坦路で後ろに下がってしまっていた2人を50番手あたりから15番手あたりまで引き上げた」と語り、自身はステージ40位でフィニッシュ。第3ステージを終えて総合30位につけている。
ツアー・ダウンアンダー2020第3ステージ結果
1位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 3:14:09 |
2位 | ロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:05 |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
4位 | ローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス) | |
5位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | |
7位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームイネオス) | |
8位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム) | |
9位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) | |
10位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:13 |
40位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:34 |
個人総合成績
1位 | リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) | 10:10:24 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:06 |
3位 | ロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:09 |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:11 |
5位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:14 |
6位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:15 |
7位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム) | |
8位 | ローハン・デニス(オーストラリア、チームイネオス) | |
9位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームイネオス) | |
10位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:23 |
30位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:44 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) |
山岳賞 | ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、CCCチーム) |
ヤングライダー賞 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) |
チーム総合成績 | ミッチェルトン・スコット |
ステージ敢闘賞 | マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ) |
text:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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