トレック・セガフレードがミッチェルトン・スコットを打破。登りフィニッシュが設定されたウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー第3ステージで、全豪王者スプラットを突き放してステージ優勝を飾った全米王者ルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)が総合首位に立った。


乾燥したアデレードヒルズを走る乾燥したアデレードヒルズを走る photo:Kei Tsuji

ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー2020第3ステージウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー2020第3ステージ photo:Kei Tsujiアデレードヒルズと呼ばれるアデレード東部に広がる丘陵地帯を走るウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー第3ステージ。獲得標高差は1,400mと決して大きくないが、その大部分が後半に詰め込まれているため難易度は高い。しかもフィニッシュは男子レースでもお馴染みのスターリングの登りスプリントで、残り7km地点から平均2.3%、部分的に5%ほどの勾配が続く。

前日に圧倒的なチーム力を披露したミッチェルトン・スコットの牙城を崩すべく、この日はトレック・セガフレードやキャニオン・スラムが序盤から攻撃を繰り返した。両チームの選手を含む総合に関係しない逃げグループが形成されたものの、ミッチェルトン・スコットの集団牽引によってタイム差は広がらない。

この日の注目はステージ中盤に設定された全長1kmのグラベルセクション(未舗装区間)。男子レースを含めて史上初めてダウンアンダーに採用されたグラベルではジョージ・ウィリアムズ(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)が落車するなどのトラブルが発生した。グラベルの位置取りでペースが上がったメイン集団はその後すぐに逃げグループを捉えている。

逃げグループ形成のために序盤から動くキャニオン・スラム逃げグループ形成のために序盤から動くキャニオン・スラム photo:Kei Tsuji
後半にかけて起伏を増していくコース後半にかけて起伏を増していくコース photo:Kei Tsuji
逃げグループを形成するロッタ・ヘンッタラ(フィンランド、トレック・セガフレード)ら逃げグループを形成するロッタ・ヘンッタラ(フィンランド、トレック・セガフレード)ら photo:Kei Tsuji
初登場の未舗装区間で先行するマチルダ・レイノルズ(オーストラリア、スペシャライズドウィメンズ)初登場の未舗装区間で先行するマチルダ・レイノルズ(オーストラリア、スペシャライズドウィメンズ) photo:Kei Tsuji
トレック・セガフレードを先頭にメイン集団が未舗装区間をこなすトレック・セガフレードを先頭にメイン集団が未舗装区間をこなす photo:Kei Tsuji
ボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が設定された中間スプリントを先頭通過したのは総合2位につけるルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)で、総合首位アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とのタイム差を3秒にまで縮めることに成功。その後、2019年ロードレース&2020年タイムトライアルでオーストラリアナショナルチャンピオンに輝いている19歳サラ・ジガンテ(オーストラリア、ティブコSVB)らが精鋭集団の中から飛び出したが決まらない。

残り10kmからアタックしたリーアン・ガンザー(アメリカ、ラリーサイクリング)が一時的に45秒のリードを得たものの結局は残り1km地点で吸収。連日メイン集団を牽引したミッチェルトン・スコットのアシスト勢の脱落に伴ってスプラットが孤立する中、トレック・セガフレードやサンウェブが隊列を組んでスターリングの登りスプリントが始まった。

2018年に「ズイフトアカデミー」で優勝してプロ契約を掴み取ったエラ・ハリス(ニュージーランド、キャニオン・スラム)の先行から始まったスプリントで、ウィンダーがタイミング良くジャンプした。後方に沈んだスプラットを完全に引き離し、最後は総合3位リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)を振り切ったウィンダーが勝利。ステージ優勝と総合逆転を果たした。

全米チャンピオンジャージを着るルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)全米チャンピオンジャージを着るルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
最終周回に入るリーダージャージのアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)最終周回に入るリーダージャージのアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
下ハンドルではなくブラケットを握ってスプリントするルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)下ハンドルではなくブラケットを握ってスプリントするルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
登りスプリントを制したルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)登りスプリントを制したルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
「今日はずっとレースがアクティブに動く展開で、特にミッチェルトン・スコットの登りでのペースアップは強力だった。でもチームメイトたちは危険な動きを封じ込めるとともに良いポジションを守ってくれた」と、満面の笑みで表彰台登ったウィンダーは語る。

リーダージャージはオーストラリアチャンピオンからアメリカチャンピオンの手に。ウィンダーはリペットとスプラットから7秒の総合リードを得た状態で最終日の市街地周回レースに挑む。「明日はスプリントで頑張らないといけない。チームメイトのロッタ(ヘンッタラ)はステージ優勝を狙えるスプリンターなので、彼女と一緒に表彰台に登りたい」。

チームメイトと喜ぶルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)チームメイトと喜ぶルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
ステージ優勝を飾ったルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)ステージ優勝を飾ったルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsujiリアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)がヤングライダー賞ジャージをキープリアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)がヤングライダー賞ジャージをキープ photo:Kei Tsuji
ポイント賞トップのリア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ)ポイント賞トップのリア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji山岳賞を確定させたリアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)山岳賞を確定させたリアン・リペット(ドイツ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji
最終日を前に総合首位に立ったルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)最終日を前に総合首位に立ったルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー2020第3ステージ結果
1位 ルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) 2:51:16
2位 リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)
3位 ローレン・スティーブンス(アメリカ、ティブコSVB)
4位 ペタ・ミュレンス(オーストラリア、ロックスソルト・アタッカー)
5位 クロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング)
6位 アナスタシア・チュルジナ(ロシア、アレBTCリュブリャナ)
7位 エラ・ハリス(ニュージーランド、キャニオン・スラム)
8位 シャラ・ギロー(オーストラリア、FDJ)
9位 レイチェル・ネイラン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
10位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
個人総合成績
1位 ルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) 9:12:26
2位 リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ) 0:00:07
3位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
4位 クロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング) 0:00:30
5位 リア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ) 0:00:33
6位 ペタ・ミュレンス(オーストラリア、ロックスソルト・アタッカー) 0:00:34
7位 ローレン・スティーブンス(アメリカ、ティブコSVB)
8位 ジュリエット・ラボー(フランス、サンウェブ) 0:00:36
9位 シャラ・ギロー(オーストラリア、FDJ) 0:00:37
10位 エラ・ハリス(ニュージーランド、キャニオン・スラム)
その他の特別賞
ポイント賞 リア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ)
山岳賞 リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)
ヤングライダー賞 リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)
チーム総合成績 サンウェブ
text:Kei Tsuji

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