2018/01/19(金) - 17:35
2日連続の最高気温40度超え。レース中止を求める声も上がる中、終盤にKOMノートンサミットを越えるサントス・ツアー・ダウンアンダーで小集団スプリントを制したペテル・サガンが総合首位に立った。
プロレースと同じコースを走る一般参加「ブーパチャレンジライド」がキャンセルされるほどの暑さ。最高気温が42.6度まで上がったアデレード市内のノーウッドから内陸部を巡り、定番ヒルクライムコースであるKOMノートンサミット(全長5.8km/平均5%)を越えてフィニッシュに向かう128kmでサントス・ツアー・ダウンアンダー第4ステージは行われた。登場するフィニッシュが固定化する中で、KOMノートンサミットの頂上から8kmのアップダウン区間を経てフィニッシュするレイアウトは初めての試み。単純な登坂力とスプリント力では展開が読めない刺激的なレースを予感させた。
ニュートラル走行終了とともに逃げたのは、毎年毎日ダウンアンダーでの逃げが宿命になっているUniSAオーストラリアの2人。2008年ツアー・オブ・ジャパン大阪ステージの優勝者でイスラエルサイクリングアカデミーに所属するザッカリ・デンプスターとアレックス・ポーターが「トロフェオバラッキ」のごとくローテーションしながらメイン集団に6分差をつけた。
メイン集団のコントロールを担ったのはミッチェルトン・スコットとボーラ・ハンスグローエ。北風が吹き付ける平坦区間では集団内に緊張感が走ったものの、集団が破壊されるような展開にはならず。2つのスプリントポイントでは、前日のステージ優勝者エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が集団先頭通過(3番手通過)して合計4ポイントを稼いでいる。
やがて先頭からはポーターが遅れ、単独で逃げ続けていたデンプスターも最後のKOMノートンサミットを前に吸収される。アシストとしてボトル運びを行っていた総合首位カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)は本格的な登りを前に集団から脱落。登りに向けてポジション争いが活発化する中、新城幸也(バーレーン・メリダ)もアシストとして集団先頭に姿を見せた。
KOMノートンサミットの登りが始まるとBMCレーシングのペースメイクが始まる。過去に4度ダウンアンダーで総合優勝しているサイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング)がアタックを許さないハイペースを刻むとメイン集団は約40名に縮小。結局KOMノートンサミットでアタックはかからず、ゲランスとリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)を先頭に頂上をクリアした。
なお、STRAVAのKOMノートンサミットによると、集団内で登りをこなしたダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)の登坂タイムは10分10秒。これはレース序盤に逃げるためのアタックがかかり続けた2016年大会の第4ステージで記録されたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)の10分04秒よりも遅いタイムだった。
比較的平穏にKOMの登りを終えた小集団は、その後のアップダウン区間でアタックを連発する。ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・スーダル)、そして大会連覇のかかったポートらがアタックを仕掛けたが決まらない。ハイスピードダウンヒルとその後の短い登りを利用して飛び出したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も引き戻され、最終的に勝負は35名の小集団によるスプリントに。
下り基調の最終ストレートでタイミングよく加速したインピーが先頭に立ったものの、その後ろから世界チャンピオンジャージが迫る。フィニッシュラインまで加速を続け、インピーを抜き去ったサガンが両手を挙げた。
「すでにクリテリウム(ピープルズチョイスクラシック)で勝っているけど、ダウンアンダー本戦での勝利はまた別物。毎日違う選手がステージ優勝することは主催者にとってもファンにとっても良いことだと思う」。サガンは今シーズンUCIレース初勝利を喜ぶ。サガンの勝利は2017年9月24日のUCIロード世界選手権ぶりだ。
「とても暑いのでタフだけど、キャリアの中で一番暑いかと言うとそうでもない。数年前のカリフォルニアでもっと暑いステージを経験している」とサガン。この点では別府史之(トレック・セガフレード)も「カリフォルニアのほうが暑かった」と同じ見解。
サガンはボーナスタイムによって総合首位に立ったが、ボーラ・ハンスグローエの総合エースは総合3位のジェイ・マッカーシー(オーストラリア)だと念を押している。「ウィランガヒルにフィニッシュする明日の第5ステージはまた別の話。今日リーダージャージを手にしたものの、チームはジェイ(マッカーシー)のために走っている。彼の地元レースであり、より厳しい登坂勝負になると彼の出番だ」。
ディフェンディングチャンピオンのポートは集団内でフィニッシュし、サガンと14秒差の総合20位につけている。「昨晩少し体調を崩した影響で絶好調とは言えず、厳しい戦いになった。連日の暑さが影響しているのかもしれない。明日までにしっかり回復して、ローハン・デニスとともにウィランガヒル決戦に挑みたい。ウィランガヒルは決して長い登りではないので、調子の良いサガンは十分に危険な存在になると思う」と、飄々と登りで立ち回る世界チャンピオンを警戒している。
翌日のクイーンステージは最高気温34度の予報。総合タイム差14秒以内に33名がひしめく総合争いはKOMオールドウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)で決する。
プロレースと同じコースを走る一般参加「ブーパチャレンジライド」がキャンセルされるほどの暑さ。最高気温が42.6度まで上がったアデレード市内のノーウッドから内陸部を巡り、定番ヒルクライムコースであるKOMノートンサミット(全長5.8km/平均5%)を越えてフィニッシュに向かう128kmでサントス・ツアー・ダウンアンダー第4ステージは行われた。登場するフィニッシュが固定化する中で、KOMノートンサミットの頂上から8kmのアップダウン区間を経てフィニッシュするレイアウトは初めての試み。単純な登坂力とスプリント力では展開が読めない刺激的なレースを予感させた。
ニュートラル走行終了とともに逃げたのは、毎年毎日ダウンアンダーでの逃げが宿命になっているUniSAオーストラリアの2人。2008年ツアー・オブ・ジャパン大阪ステージの優勝者でイスラエルサイクリングアカデミーに所属するザッカリ・デンプスターとアレックス・ポーターが「トロフェオバラッキ」のごとくローテーションしながらメイン集団に6分差をつけた。
メイン集団のコントロールを担ったのはミッチェルトン・スコットとボーラ・ハンスグローエ。北風が吹き付ける平坦区間では集団内に緊張感が走ったものの、集団が破壊されるような展開にはならず。2つのスプリントポイントでは、前日のステージ優勝者エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が集団先頭通過(3番手通過)して合計4ポイントを稼いでいる。
やがて先頭からはポーターが遅れ、単独で逃げ続けていたデンプスターも最後のKOMノートンサミットを前に吸収される。アシストとしてボトル運びを行っていた総合首位カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)は本格的な登りを前に集団から脱落。登りに向けてポジション争いが活発化する中、新城幸也(バーレーン・メリダ)もアシストとして集団先頭に姿を見せた。
KOMノートンサミットの登りが始まるとBMCレーシングのペースメイクが始まる。過去に4度ダウンアンダーで総合優勝しているサイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング)がアタックを許さないハイペースを刻むとメイン集団は約40名に縮小。結局KOMノートンサミットでアタックはかからず、ゲランスとリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)を先頭に頂上をクリアした。
なお、STRAVAのKOMノートンサミットによると、集団内で登りをこなしたダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)の登坂タイムは10分10秒。これはレース序盤に逃げるためのアタックがかかり続けた2016年大会の第4ステージで記録されたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)の10分04秒よりも遅いタイムだった。
比較的平穏にKOMの登りを終えた小集団は、その後のアップダウン区間でアタックを連発する。ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・スーダル)、そして大会連覇のかかったポートらがアタックを仕掛けたが決まらない。ハイスピードダウンヒルとその後の短い登りを利用して飛び出したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も引き戻され、最終的に勝負は35名の小集団によるスプリントに。
下り基調の最終ストレートでタイミングよく加速したインピーが先頭に立ったものの、その後ろから世界チャンピオンジャージが迫る。フィニッシュラインまで加速を続け、インピーを抜き去ったサガンが両手を挙げた。
「すでにクリテリウム(ピープルズチョイスクラシック)で勝っているけど、ダウンアンダー本戦での勝利はまた別物。毎日違う選手がステージ優勝することは主催者にとってもファンにとっても良いことだと思う」。サガンは今シーズンUCIレース初勝利を喜ぶ。サガンの勝利は2017年9月24日のUCIロード世界選手権ぶりだ。
「とても暑いのでタフだけど、キャリアの中で一番暑いかと言うとそうでもない。数年前のカリフォルニアでもっと暑いステージを経験している」とサガン。この点では別府史之(トレック・セガフレード)も「カリフォルニアのほうが暑かった」と同じ見解。
サガンはボーナスタイムによって総合首位に立ったが、ボーラ・ハンスグローエの総合エースは総合3位のジェイ・マッカーシー(オーストラリア)だと念を押している。「ウィランガヒルにフィニッシュする明日の第5ステージはまた別の話。今日リーダージャージを手にしたものの、チームはジェイ(マッカーシー)のために走っている。彼の地元レースであり、より厳しい登坂勝負になると彼の出番だ」。
ディフェンディングチャンピオンのポートは集団内でフィニッシュし、サガンと14秒差の総合20位につけている。「昨晩少し体調を崩した影響で絶好調とは言えず、厳しい戦いになった。連日の暑さが影響しているのかもしれない。明日までにしっかり回復して、ローハン・デニスとともにウィランガヒル決戦に挑みたい。ウィランガヒルは決して長い登りではないので、調子の良いサガンは十分に危険な存在になると思う」と、飄々と登りで立ち回る世界チャンピオンを警戒している。
翌日のクイーンステージは最高気温34度の予報。総合タイム差14秒以内に33名がひしめく総合争いはKOMオールドウィランガヒル(全長3.0km/平均7.5%)で決する。
ステージ成績
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 3:21:07 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | |
3位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | |
4位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
8位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
9位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | |
10位 | ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード) | |
44位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) | 0:03:56 |
46位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) |
個人総合成績
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 14:19:49 |
2位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:02 |
3位 | ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:09 |
4位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:10 |
5位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:14 |
6位 | ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) | |
7位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | |
9位 | ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 51pts |
2位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 42pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 41pts |
山岳賞
1位 | ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 36pts |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 20pts |
3位 | スコット・ボーデン(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 18pts |
ヤングライダー賞
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 14:20:03 |
2位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | |
3位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 43:00:09 |
2位 | クイックステップフロアーズ | |
3位 | サンウェブ |
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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