2017/03/10(金) - 10:53
229kmの長丁場の終盤に中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)がアタックしたが、精鋭集団は振り切れず。残り5kmでアタックを成功させたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が前日の借りを返す独走勝利を飾った。
カマイオーレの旧市街をスタート後、レースはティレニア海に別れを告げて内陸部へ。GPM(グラン・プレミオ・モンターニャ:カテゴリー山岳)セッラツァーノをこなして一旦フィニッシュ地点を通過する。そこからGPMヴォルテラ(9.3km/4.5%)とGPMモンテカティーニ(3.3km/6.2%)を経て標高364mのポマランツェに戻るアップダウンコースだ。
大会最長229kmのロングコースはパンチャー向き。ユーゴ・ウル(カナダ、アージェードゥーゼール)やアラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)を含む6名が逃げグループを形成したが、タイム差は4分以上に広がらない。
GPMで山岳ポイントを稼いだダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)は緑の山岳賞ジャージを獲得している。なお、1995年と1998年のパリ〜ルーベ覇者で、2010年にラリーカーで事故死した元イタリア代表監督のフランコ・バッレリーニとダヴィデ・バッレリーニは血縁関係ではない。
タイム差が縮まりつつある中、集団落車に巻き込まれたカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)とユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロットNLユンボ)はともにリタイア。リードアウト役のロジャー・クルーゲ(ドイツ)もその後バイクを降り、アブダビツアーでスピードを発揮したオリカトレインはレースを去ることに。
マランゴーニらの200kmに及ぶ逃げは残り27km地点で終了。NIPPOヴィーニファンティーニは攻撃の手を緩めず、ユーリ・フィロージ(イタリア)がカウンターアタックするも決まらない。
すると、最後のGPMモンテカティーニで中根が動いた。「自分の調子は良くて、脚が回せていたのでポジションを前へ前へと上げていくとアタックできそうな位置まで行けた。でもこんなチャンスは中々無い!と思い、思い切ってアタック!」という中根には、前日のチームTTで落車して腕に包帯を巻くジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)が反応する。
中根とモスコンは10秒のリードを築いたものの、GPMの頂上を前に吸収される。「このクラスでチャレンジ出来た事は良かった。でも冷静に考えたら、アタックよりもラスト10kmで1人にさせてしまったカノラの近くにいた方がより良い走りになったのでは無いかと反省中です。今回のチャレンジ&失敗をしっかり明日に生かしていきたい」と中根は語っている(本人ブログより抜粋)。
その後はチームスカイ(主にキリエンカ)がアタックを許さないハイスピード牽引を見せ、集団を縦に長く伸ばしてワインディングロードを突き進む。残り8kmから登り基調に転じると、クイックステップフロアーズが集団先頭に陣取ってペースアップを開始。そこから残り5km地点でボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)がアタックした。
ユンゲルスのアタックにはトーマス、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)、そしてリーダージャージを着るダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)が反応。メイン集団から抜け出した4名の中から、残り4km地点でトーマスが飛び立った。
連覇がかかったパリ〜ニースではなくティレーノ〜アドリアティコをセレクトしたトーマスが力走。牽制に陥ったユンゲルス、カストロビエホ、カルーゾの3名は約50名に絞られたメイン集団に吸収されたが、トーマスは戦闘で粘り続けた。
残り1kmアーチを前にアタックしたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)の追走は届かず、トーマスが9秒差をつけて独走勝利。ステージ2位のデュムランはメイン集団にタイム差をつけることができず、集団スプリントの先頭を取ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)と同タイムでフィニッシュした。
「予定していたアタックではなかった。ただ、集団前方をキープして急勾配の登りをクリアしたところでボブ(ユンゲルス)がアタック。調子も良かったし、無線から『行け!』という声が聞こえたから反応したんだ。逃げ切りを確信したのは残り150mを切ってから。まさか逃げ切れるとは思わなかった」。今シーズン初勝利を飾ったトーマスはそう喜ぶ。
前日のチームタイムトライアルではホイールトラブルの影響でステージ18位に沈んだチームスカイ。トーマスはメイン集団とのタイム差9秒とボーナスタイム10秒を獲得し、総合109位から総合37位までジャンプアップしたものの依然として1分22秒遅れだ。「ダウンアンダーの後は南アフリカで(フルームと)トレーニングキャンプを行っていたので、レース強度に耐えることができるか確信がなかった。でも今日走ってみて、とても調子が良いことに気づいたよ」とトーマスは語っている。
青いリーダージャージはステージ順位の関係でカルーゾからグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)の手に。BMCレーシングはヴァンアーヴェルマート、デニス、ヴァンガーデレン、カルーゾを総合上位に残している。
ティレーノ〜アドリアティコ2017第2ステージ結果
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 5h51’44”
2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +09”
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
5位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
6位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)
8位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
10位 サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)
個人総合成績
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 6h15’14”
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
4位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
5位 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ) +16”
6位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +21”
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
9位 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ)
10位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
ポイント賞
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 12pts
2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 10pts
3位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 10pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 8pts
2位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 8pts
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) 5pts
ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)6h15’30”
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +08”
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) +39”
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 17h59’00”
2位 モビスター +21”
3位 アスタナ +54”
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
カマイオーレの旧市街をスタート後、レースはティレニア海に別れを告げて内陸部へ。GPM(グラン・プレミオ・モンターニャ:カテゴリー山岳)セッラツァーノをこなして一旦フィニッシュ地点を通過する。そこからGPMヴォルテラ(9.3km/4.5%)とGPMモンテカティーニ(3.3km/6.2%)を経て標高364mのポマランツェに戻るアップダウンコースだ。
大会最長229kmのロングコースはパンチャー向き。ユーゴ・ウル(カナダ、アージェードゥーゼール)やアラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)を含む6名が逃げグループを形成したが、タイム差は4分以上に広がらない。
GPMで山岳ポイントを稼いだダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)は緑の山岳賞ジャージを獲得している。なお、1995年と1998年のパリ〜ルーベ覇者で、2010年にラリーカーで事故死した元イタリア代表監督のフランコ・バッレリーニとダヴィデ・バッレリーニは血縁関係ではない。
タイム差が縮まりつつある中、集団落車に巻き込まれたカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)とユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロットNLユンボ)はともにリタイア。リードアウト役のロジャー・クルーゲ(ドイツ)もその後バイクを降り、アブダビツアーでスピードを発揮したオリカトレインはレースを去ることに。
マランゴーニらの200kmに及ぶ逃げは残り27km地点で終了。NIPPOヴィーニファンティーニは攻撃の手を緩めず、ユーリ・フィロージ(イタリア)がカウンターアタックするも決まらない。
すると、最後のGPMモンテカティーニで中根が動いた。「自分の調子は良くて、脚が回せていたのでポジションを前へ前へと上げていくとアタックできそうな位置まで行けた。でもこんなチャンスは中々無い!と思い、思い切ってアタック!」という中根には、前日のチームTTで落車して腕に包帯を巻くジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)が反応する。
中根とモスコンは10秒のリードを築いたものの、GPMの頂上を前に吸収される。「このクラスでチャレンジ出来た事は良かった。でも冷静に考えたら、アタックよりもラスト10kmで1人にさせてしまったカノラの近くにいた方がより良い走りになったのでは無いかと反省中です。今回のチャレンジ&失敗をしっかり明日に生かしていきたい」と中根は語っている(本人ブログより抜粋)。
その後はチームスカイ(主にキリエンカ)がアタックを許さないハイスピード牽引を見せ、集団を縦に長く伸ばしてワインディングロードを突き進む。残り8kmから登り基調に転じると、クイックステップフロアーズが集団先頭に陣取ってペースアップを開始。そこから残り5km地点でボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)がアタックした。
ユンゲルスのアタックにはトーマス、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)、そしてリーダージャージを着るダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)が反応。メイン集団から抜け出した4名の中から、残り4km地点でトーマスが飛び立った。
連覇がかかったパリ〜ニースではなくティレーノ〜アドリアティコをセレクトしたトーマスが力走。牽制に陥ったユンゲルス、カストロビエホ、カルーゾの3名は約50名に絞られたメイン集団に吸収されたが、トーマスは戦闘で粘り続けた。
残り1kmアーチを前にアタックしたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)の追走は届かず、トーマスが9秒差をつけて独走勝利。ステージ2位のデュムランはメイン集団にタイム差をつけることができず、集団スプリントの先頭を取ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)と同タイムでフィニッシュした。
「予定していたアタックではなかった。ただ、集団前方をキープして急勾配の登りをクリアしたところでボブ(ユンゲルス)がアタック。調子も良かったし、無線から『行け!』という声が聞こえたから反応したんだ。逃げ切りを確信したのは残り150mを切ってから。まさか逃げ切れるとは思わなかった」。今シーズン初勝利を飾ったトーマスはそう喜ぶ。
前日のチームタイムトライアルではホイールトラブルの影響でステージ18位に沈んだチームスカイ。トーマスはメイン集団とのタイム差9秒とボーナスタイム10秒を獲得し、総合109位から総合37位までジャンプアップしたものの依然として1分22秒遅れだ。「ダウンアンダーの後は南アフリカで(フルームと)トレーニングキャンプを行っていたので、レース強度に耐えることができるか確信がなかった。でも今日走ってみて、とても調子が良いことに気づいたよ」とトーマスは語っている。
青いリーダージャージはステージ順位の関係でカルーゾからグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)の手に。BMCレーシングはヴァンアーヴェルマート、デニス、ヴァンガーデレン、カルーゾを総合上位に残している。
ティレーノ〜アドリアティコ2017第2ステージ結果
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 5h51’44”
2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +09”
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
5位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
6位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)
8位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
10位 サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)
個人総合成績
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 6h15’14”
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
4位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
5位 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ) +16”
6位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +21”
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
9位 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ)
10位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
ポイント賞
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 12pts
2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 10pts
3位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 10pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 8pts
2位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 8pts
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) 5pts
ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)6h15’30”
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +08”
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) +39”
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 17h59’00”
2位 モビスター +21”
3位 アスタナ +54”
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport