2017/03/09(木) - 07:36
白いヤングライダー賞ジャージを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が、ボジョレーワインを生み出す丘を最速で駆け上がった。コンタドールやガロパンらに20秒前後の差をつけたアラフィリップが白色ジャージから黄色ジャージに衣替えした。
第4ステージは大会唯一の個人タイムトライアル。ボジョレーのブドウ畑を走る14.5kmコースのおよそ2/3は平坦で、残りの1/3は上り勾配。頂上に教会がある標高467mのモン・ブルイィ頂上に向かって平均勾配7.7%の上り坂が約3kmにわたって続く。
当日はあいにくの雨模様で、本降りにはならなかったものの路面は常にウェットな状態。勝負に関係しない選手たちはレインジャケットを着込み、滑りやすいコーナーとタイムオーバーだけを気にしながらTTバイクで走った。
平坦独走力だけでなく登坂力を問うこのコースで前半から飛ばしたのは白いヤングライダー賞ジャージだった。総合2位につけるアラフィリップが上り口(11.3km地点)に設定された中間計測ポイントでトップタイムを叩き出す。そこからTTバイクを大きく左右に振りながらスイッチバックが続く上りを突き進んだ。
アラフィリップの前に暫定トップに立っていたのは、TTバイクではなくエアロロードバイクのマドンにTT用ハンドルバーとディスクホイールを装着して走ったアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)。ライバルたちよりも軽いバイクの恩恵により最も速い登坂タイムを叩き出したコンタドールだったが、アラフィリップはさらにその上を行った。
よだれを垂らしながらアラフィリップがフィニッシュに飛び込むと、タイム計測は21分39秒でストップ。唯一の平均スピード40km/h超えで、コンタドールのタイムを19秒も更新したアラフィリップがステージ優勝とマイヨジョーヌを同時に手に入れた。
アラフィリップは1992年生まれの24歳。スプリント力を兼ね備えたパンチャー系のオールラウンダーで、2016年のアムステルゴールドレースで6位、フレーシュワロンヌで2位、そしてツアー・オブ・カリフォルニアで総合優勝。ツール・ド・フランスでは第2ステージでペテル・サガン(スロバキア)に勝負を挑んで2位に入ったほか、4ステージでトップ10フィニッシュしている。直前のアブダビツアーでは山岳ステージでコンタドールやキンタナと肩を並べる走りを見せ、総合5位でレースを終えていた。
「今年のパリ〜ニースには今までとは違ったアプローチで、高いモチベーションをもって出場している。前半がハイスピードで、後半に上りがあるこのタイムトライアルは自分向けにデザインされたようなコースだった。自分に『行け!行け!行け!』と言い聞かせながら走った。フィニッシュラインを切った時には勝ったことに気づかなかったほど全力で追い込んだよ」と、フランスの期待を背負って走ったアラフィリップは語る。
ステージ3位に入って総合2位に浮上したトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)からアラフィリップは33秒のリード。「今日は脚がとてもよく回ったんだ。今日の結果はパリ〜ニースに向けての準備が完璧だったことを示しており、残りのレースでも存分に戦えると確信した」と語るガロパンがアラフィリップの最大のライバルとなるだろう。
19秒差でステージ優勝を逃したコンタドールは「自分の走りも悪くなかったけど、アラフィリップの走りはインプレッシブだった。特に彼は前半区間で自分よりも遥かに良いタイムを叩き出した」と語る。総合成績はアラフィリップから1分31秒遅れの総合8位。第1ステージで発生した集団分裂によるタイムロスが大きく響いているが、「総合争いにおいて2人(アラフィリップとガロパン)がリードを得たものの、自分もまだ狙えるポジションにつけている」と、コンタドールは山岳ステージでの逆転チャンスを狙う。
総合リードを守る立場のアラフィリップは「もちろんイエロージャージを守り抜きたい。後半の山岳ステージでは激しい戦いが予想される。自分の最大のライバルは自分だ。日曜日までジャージをキープできればチームにとってどれだけのモチベーションになることか。信頼してくれているチームに勝利で恩返しがしたい」とコメント。アラフィリップは個人総合成績とヤングライダー賞だけでなくポイント賞でもトップに立っている。
マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)は中間計測ポイントで好タイムを出し、そのままのスピードで上りに挑んだが、残り1km地点の上り鋭角コーナーで落車。それでも47秒遅れのステージ7位に食い込んでいる。
平坦区間をTTバイクで走り、上りを前に軽量なノーマルバイクに乗り換えた最終走者デマールは1分41秒遅れのステージ47位でフィニッシュ。マイヨジョーヌを失ったものの総合トップ10圏内に残った。
中間計測(11.34km)
1位 アラフィリップ 13’49”
2位 Gイサギレ +06”
3位 ランパート +07”
4位 マシューズ +11”
5位 ガロパン +15”
6位 バルギル +21”
7位 ルツェンコ +23”
8位 コンタドール +27”
9位 エナオ +33”
10位 イェーツ +34”
14位 デラクルス +38”
15位 ザカリン +38”
17位 デマール +43”
21位 Jイサギレ +44”
40位 ポート +1’02”
パリ〜ニース2017第4ステージ結果
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 21’39”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +19”
3位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +20”
4位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)
5位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +33”
6位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +45”
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) +47”
8位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) +48”
9位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +49”
10位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +50”
個人総合成績
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)12h36’27”
2位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +33”
3位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター) +47”
4位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) +1’05”
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +1’20”
6位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +1’24”
7位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1’28”
8位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +1’31”
9位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ) +1’32”
10位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) +1’35”
ポイント賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 29pts
2位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 29pts
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード) 24pts
山岳賞
1位 ロマン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト) 14pts
2位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 8pts
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 7pts
ヤングライダー賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)12h36’27”
2位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2’16”
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2’18”
チーム総合成績
1位 クイックステップフロアーズ 37h51’51”
2位 カチューシャ・アルペシン +3’26”
3位 ロット・ソウダル +3’59”
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
第4ステージは大会唯一の個人タイムトライアル。ボジョレーのブドウ畑を走る14.5kmコースのおよそ2/3は平坦で、残りの1/3は上り勾配。頂上に教会がある標高467mのモン・ブルイィ頂上に向かって平均勾配7.7%の上り坂が約3kmにわたって続く。
当日はあいにくの雨模様で、本降りにはならなかったものの路面は常にウェットな状態。勝負に関係しない選手たちはレインジャケットを着込み、滑りやすいコーナーとタイムオーバーだけを気にしながらTTバイクで走った。
平坦独走力だけでなく登坂力を問うこのコースで前半から飛ばしたのは白いヤングライダー賞ジャージだった。総合2位につけるアラフィリップが上り口(11.3km地点)に設定された中間計測ポイントでトップタイムを叩き出す。そこからTTバイクを大きく左右に振りながらスイッチバックが続く上りを突き進んだ。
アラフィリップの前に暫定トップに立っていたのは、TTバイクではなくエアロロードバイクのマドンにTT用ハンドルバーとディスクホイールを装着して走ったアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)。ライバルたちよりも軽いバイクの恩恵により最も速い登坂タイムを叩き出したコンタドールだったが、アラフィリップはさらにその上を行った。
よだれを垂らしながらアラフィリップがフィニッシュに飛び込むと、タイム計測は21分39秒でストップ。唯一の平均スピード40km/h超えで、コンタドールのタイムを19秒も更新したアラフィリップがステージ優勝とマイヨジョーヌを同時に手に入れた。
アラフィリップは1992年生まれの24歳。スプリント力を兼ね備えたパンチャー系のオールラウンダーで、2016年のアムステルゴールドレースで6位、フレーシュワロンヌで2位、そしてツアー・オブ・カリフォルニアで総合優勝。ツール・ド・フランスでは第2ステージでペテル・サガン(スロバキア)に勝負を挑んで2位に入ったほか、4ステージでトップ10フィニッシュしている。直前のアブダビツアーでは山岳ステージでコンタドールやキンタナと肩を並べる走りを見せ、総合5位でレースを終えていた。
「今年のパリ〜ニースには今までとは違ったアプローチで、高いモチベーションをもって出場している。前半がハイスピードで、後半に上りがあるこのタイムトライアルは自分向けにデザインされたようなコースだった。自分に『行け!行け!行け!』と言い聞かせながら走った。フィニッシュラインを切った時には勝ったことに気づかなかったほど全力で追い込んだよ」と、フランスの期待を背負って走ったアラフィリップは語る。
ステージ3位に入って総合2位に浮上したトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)からアラフィリップは33秒のリード。「今日は脚がとてもよく回ったんだ。今日の結果はパリ〜ニースに向けての準備が完璧だったことを示しており、残りのレースでも存分に戦えると確信した」と語るガロパンがアラフィリップの最大のライバルとなるだろう。
19秒差でステージ優勝を逃したコンタドールは「自分の走りも悪くなかったけど、アラフィリップの走りはインプレッシブだった。特に彼は前半区間で自分よりも遥かに良いタイムを叩き出した」と語る。総合成績はアラフィリップから1分31秒遅れの総合8位。第1ステージで発生した集団分裂によるタイムロスが大きく響いているが、「総合争いにおいて2人(アラフィリップとガロパン)がリードを得たものの、自分もまだ狙えるポジションにつけている」と、コンタドールは山岳ステージでの逆転チャンスを狙う。
総合リードを守る立場のアラフィリップは「もちろんイエロージャージを守り抜きたい。後半の山岳ステージでは激しい戦いが予想される。自分の最大のライバルは自分だ。日曜日までジャージをキープできればチームにとってどれだけのモチベーションになることか。信頼してくれているチームに勝利で恩返しがしたい」とコメント。アラフィリップは個人総合成績とヤングライダー賞だけでなくポイント賞でもトップに立っている。
マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)は中間計測ポイントで好タイムを出し、そのままのスピードで上りに挑んだが、残り1km地点の上り鋭角コーナーで落車。それでも47秒遅れのステージ7位に食い込んでいる。
平坦区間をTTバイクで走り、上りを前に軽量なノーマルバイクに乗り換えた最終走者デマールは1分41秒遅れのステージ47位でフィニッシュ。マイヨジョーヌを失ったものの総合トップ10圏内に残った。
中間計測(11.34km)
1位 アラフィリップ 13’49”
2位 Gイサギレ +06”
3位 ランパート +07”
4位 マシューズ +11”
5位 ガロパン +15”
6位 バルギル +21”
7位 ルツェンコ +23”
8位 コンタドール +27”
9位 エナオ +33”
10位 イェーツ +34”
14位 デラクルス +38”
15位 ザカリン +38”
17位 デマール +43”
21位 Jイサギレ +44”
40位 ポート +1’02”
フィニッシュ(14.5km地点)
1位 アラフィリップ 21’39”
2位 コンタドール +19”
3位 ガロパン +20”
4位 Gイサギレ
5位 ザカリン +33”
6位 デラクルス +45”
7位 マシューズ +47”
8位 エナオ +48”
9位 Jイサギレ +49”
10位 ポート +50”
11位 ルツェンコ +54”
14位 イェーツ +1’04”
15位 ランパート
47位 デマール +1’41”
51位 バルギル +1’47”
1位 アラフィリップ 21’39”
2位 コンタドール +19”
3位 ガロパン +20”
4位 Gイサギレ
5位 ザカリン +33”
6位 デラクルス +45”
7位 マシューズ +47”
8位 エナオ +48”
9位 Jイサギレ +49”
10位 ポート +50”
11位 ルツェンコ +54”
14位 イェーツ +1’04”
15位 ランパート
47位 デマール +1’41”
51位 バルギル +1’47”
パリ〜ニース2017第4ステージ結果
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 21’39”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +19”
3位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +20”
4位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)
5位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +33”
6位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +45”
7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) +47”
8位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) +48”
9位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +49”
10位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +50”
個人総合成績
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)12h36’27”
2位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +33”
3位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター) +47”
4位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ) +1’05”
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +1’20”
6位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +1’24”
7位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1’28”
8位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +1’31”
9位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ) +1’32”
10位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) +1’35”
ポイント賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 29pts
2位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 29pts
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード) 24pts
山岳賞
1位 ロマン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト) 14pts
2位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 8pts
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 7pts
ヤングライダー賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)12h36’27”
2位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2’16”
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2’18”
チーム総合成績
1位 クイックステップフロアーズ 37h51’51”
2位 カチューシャ・アルペシン +3’26”
3位 ロット・ソウダル +3’59”
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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