8月31日付けのガゼッタ紙が伝えたところによると、現世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア)がランプレを離れ、来季アメリカのBMCレーシングチームに移籍する。ダミアーノ・クネゴ(イタリア)はランプレと契約を更新した。

アルカンシェルを着るアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)がスタート地点に登場アルカンシェルを着るアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)がスタート地点に登場 photo:Cor Vos現世界チャンピオンのバッランが、新天地を求めてアメリカに渡る。イタリア・ガゼッタ紙が伝えたところによると、バッランは2004年のプロ入り以降ずっと所属していたランプレを離れ、プロコンチネンタル登録のアメリカンチーム・BMCレーシングチームに移籍する。

2007年にロンド・ファン・フラーンデレンとヴァッテンフォール・サイクラシックスで優勝を飾り、トップワンディレーサーの名声を得たバッランは、昨年ブエルタ・ア・エスパーニャの難関山岳ステージで優勝。更にロード世界選手権で優勝を果たし、28歳にして世界の頂点まで上り詰めた。

ツール・ド・ポローニュで総合優勝を飾ったアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ)ツール・ド・ポローニュで総合優勝を飾ったアレッサンドロ・バッラン(イタリア、ランプレ) photo:www.tourdepologne.pl今年はウイルス性感染症によりシーズン序盤を棒に振ったが、ツール・ド・ポローニュで総合優勝して復活をアピール。現在は世界選手権の調整レースとしてブエルタに参戦中だ。

ガゼッタ紙に対しバッランは「自分を磨くためにランプレを離れる決断を下したんだ。チームとの関係は最高だったけど、あと2年チームに留まるのは沢山だと思った。海外に出て英語を学び、新しい世界を見たいと思ったんだ」とコメントしている。バッランはツール・ド・ポローニュで総合優勝した際、コミュニケーションが上手く取れず、英語力の無さを痛感したという。

ツアー・オブ・カタールに出場したBMCレーシングチームツアー・オブ・カタールに出場したBMCレーシングチーム photo:CorVosしかしプロツアーチームのランプレから見て、BMCレーシングチームは格下のプロコンチネンタルチームにあたる。チームは今年ツアー・オブ・カリフォルニアやツール・ド・ロマンディ、ドーフィネ・リベレに出場したが、グランツールには招待されていない。このままではバッランが出場できるビッグレースは激減する。得意な春のワンディクラシックを欠場する可能性は高い。

このことについてバッランは「確かにBMCはプロツアーチームではないから、招待されなければビッグレースに出場できない。でも今年のサーヴェロのように有名選手を獲得すれば、グランツールに出場できるかもしれない。ヒンカピーやブルグハート、クローンが加入する話もある」と、比較的楽観的だ。

バッランの他にも、マルツィオ・ブルセギン(イタリア)のランプレ離脱が決定。昨年ジロ・デ・イタリアで総合3位に入ったブルセギンは、すでにケースデパーニュと2年契約を結んでいる。

バッランやブルセギンに代わる目玉選手として注目を集めているのが、グランツールで絶大な勝利数を誇るアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)だ。ペタッキの加入でチームの雰囲気はガラリと変わるだろう。ランプレは他にも、昨年のロード世界選手権U23タイムトライアルで優勝したアドリアーノ・マローリ(イタリア)らを獲得している。

現在ランプレでバッランと双璧を成す存在のダミアーノ・クネゴ(イタリア)は、チームと契約を更新した。昨年のロード世界選手権でワンツー勝利を飾った2人は、別々の道を歩むことに。ランプレはクネゴとペタッキの二枚看板で来シーズンを闘う。

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos