2014/09/14(日) - 11:04
2014年ブエルタ・ア・エスパーニャの最終山岳決戦。超級山岳アンカレス峠でクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)とアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)の頂上争いが勃発した。一騎打ちを制したのはマイヨロホを着る王者だった。
ブエルタの山岳決戦は超級山岳アンカレス峠でクライマックスを迎える。レース中盤から断続的なアップダウンが続き、最後から2つ目の1級山岳フォルゲイラス・デ・アイガス峠で本格的な闘いがスタート。最後は登坂距離12.7km/平均勾配8.7%の超級山岳アンカレス峠を駆け上がってフィニッシュを迎える。
2012年にも登場した超級山岳アンカレス峠は中盤にかけて最大勾配が18%に達する極めて難易度の高い登りだ。ガリシア州とアストゥリアス州の間に佇む稜線の標高1655m地点にフィニッシュラインが引かれている。
レース時間5時間以上、獲得標高差が4,300mに達する厳しい闘いは、集団が割れるほどのハイスピードな展開でスタートする。プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)、ジェローム・コッペル(フランス、コフィディス)、マキシム・メドレル(フランス、ユーロップカー)がエスケープを仕掛け、ここにワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が合流。先頭4名の逃避行が始まった。
最大10分まで広がったタイム差をチームスカイとティンコフ・サクソ、アスタナの牽引が食いつぶす。山岳賞ジャージを着るルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)は逃げに乗り損ねたが、唯一の脅威であるニエミエツが山岳ポイントを量産出来なかったためレース中盤の時点でLLサンチェスの山岳賞獲得が確定した。
フィニッシュ22km手前の1級山岳フォルゲイラス・デ・アイガス峠で先頭からポエルスが脱落。3名が引き続き逃げたものの頂上通過時点でタイム差は僅かに45秒。最後の超級山岳アンカレス峠に差し掛かる頃にはタイム差が30秒にまで縮まっていた。
超級山岳ラゴス・デ・コバドンガに続く山岳制覇を目論むニエミエツが独走に持ち込んだものの、後方からチームスカイ率いるメイン集団がハイペースで迫り来る。ケノー、シウトソウ、ダイグナン、フルーム、ニエベというお馴染みのチームスカイトレインが発進し、頂上まで10kmを残して先頭ニエミエツは吸収された。
こうして始まったアンカレスの闘い。チームスカイのコントロールによって最大勾配18%の急勾配区間でメイン集団は早くも10名に絞られる。すると残り9km地点で総合4位・2分29秒差のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が先手を打った。
ロドリゲスを追ったのは、マイヨロホを着るコンタドールではなく、総合表彰台を守りたい総合3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)だった。ここにフルームとコンタドール、そしてファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が加わり、総合トップ5が低速で激坂をよじ登る。
残り6kmを切るとついに総合2位フルームが本格的なペースアップを開始。ここでバルベルデとアルが脱落し、コンタドールだけがフルームに食らいついて先頭ロドリゲスまでジャンプする。ペースに強弱をつけて揺さぶるフルームの走りに対応出来たのは、やはり、コンタドールだけだった。
「決してイージーではなかったけど、フルームのアタックにも身体は小気味良く反応したよ。リズムや強度、ペースの変化に対応しながらライバルの動きに反応する。常に忍耐強くなければならない」。そう語るコンタドールがフルームを徹底的にマークする。徐々に苦痛の表情を浮かべ始めたフルームにポーカーフェイスのコンタドールがぴったり追随した。
残り1kmアーチを過ぎて勾配が増したところでマイヨロホが動く。それまで後ろで眼を光らせていたコンタドールが腰を上げるとフルームが脱落。一発でアタックを成功させたコンタドールがそのまま16秒差で山頂に達した。
総合1位コンタドールがステージ1位、総合2位フルームがステージ2位、以下総合トップ5の選手がそのままステージトップ5という結果に。総合トップ5の順位は変わらなかったがそのタイム差は確実に広がった。
最終日の短距離個人タイムトライアルを残してブエルタ総合優勝に王手をかけたコンタドール。レース後の記者会見で少し目を赤らめながら言葉を並べた。「不甲斐ない2013年シーズンを乗り越えてトップレースで優勝争いに返り咲いた。もうピークを過ぎてしまったように感じたシーズンを忘れ去るために、細かなところにまで目を凝らし、モチベーション高く練習に打ち込んだんだ」。
敗れたフルームは「残念ながらアルベルトを引き離すことは出来なかった。何度も何度もアタックしたけど常に後ろには彼の姿があった。出来ることを尽くしたけど、単純に彼のほうが強かった」と白旗を上げる。ツールを落車&骨折リタイアした2人のチャンピオンが最後まで見せ場を作った。
選手コメントはレース公式リリースより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2014第20ステージ結果
マイヨロホ(個人総合成績)
マイヨプントス(ポイント賞)
マイヨモンターニャ(山岳賞)
マイヨコンビナーダ(複合賞)
チーム総合成績
ステージ敢闘賞
ジェローム・コッペル(フランス、コフィディス)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ブエルタの山岳決戦は超級山岳アンカレス峠でクライマックスを迎える。レース中盤から断続的なアップダウンが続き、最後から2つ目の1級山岳フォルゲイラス・デ・アイガス峠で本格的な闘いがスタート。最後は登坂距離12.7km/平均勾配8.7%の超級山岳アンカレス峠を駆け上がってフィニッシュを迎える。
2012年にも登場した超級山岳アンカレス峠は中盤にかけて最大勾配が18%に達する極めて難易度の高い登りだ。ガリシア州とアストゥリアス州の間に佇む稜線の標高1655m地点にフィニッシュラインが引かれている。
レース時間5時間以上、獲得標高差が4,300mに達する厳しい闘いは、集団が割れるほどのハイスピードな展開でスタートする。プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)、ジェローム・コッペル(フランス、コフィディス)、マキシム・メドレル(フランス、ユーロップカー)がエスケープを仕掛け、ここにワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が合流。先頭4名の逃避行が始まった。
最大10分まで広がったタイム差をチームスカイとティンコフ・サクソ、アスタナの牽引が食いつぶす。山岳賞ジャージを着るルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)は逃げに乗り損ねたが、唯一の脅威であるニエミエツが山岳ポイントを量産出来なかったためレース中盤の時点でLLサンチェスの山岳賞獲得が確定した。
フィニッシュ22km手前の1級山岳フォルゲイラス・デ・アイガス峠で先頭からポエルスが脱落。3名が引き続き逃げたものの頂上通過時点でタイム差は僅かに45秒。最後の超級山岳アンカレス峠に差し掛かる頃にはタイム差が30秒にまで縮まっていた。
超級山岳ラゴス・デ・コバドンガに続く山岳制覇を目論むニエミエツが独走に持ち込んだものの、後方からチームスカイ率いるメイン集団がハイペースで迫り来る。ケノー、シウトソウ、ダイグナン、フルーム、ニエベというお馴染みのチームスカイトレインが発進し、頂上まで10kmを残して先頭ニエミエツは吸収された。
こうして始まったアンカレスの闘い。チームスカイのコントロールによって最大勾配18%の急勾配区間でメイン集団は早くも10名に絞られる。すると残り9km地点で総合4位・2分29秒差のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が先手を打った。
ロドリゲスを追ったのは、マイヨロホを着るコンタドールではなく、総合表彰台を守りたい総合3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)だった。ここにフルームとコンタドール、そしてファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が加わり、総合トップ5が低速で激坂をよじ登る。
残り6kmを切るとついに総合2位フルームが本格的なペースアップを開始。ここでバルベルデとアルが脱落し、コンタドールだけがフルームに食らいついて先頭ロドリゲスまでジャンプする。ペースに強弱をつけて揺さぶるフルームの走りに対応出来たのは、やはり、コンタドールだけだった。
「決してイージーではなかったけど、フルームのアタックにも身体は小気味良く反応したよ。リズムや強度、ペースの変化に対応しながらライバルの動きに反応する。常に忍耐強くなければならない」。そう語るコンタドールがフルームを徹底的にマークする。徐々に苦痛の表情を浮かべ始めたフルームにポーカーフェイスのコンタドールがぴったり追随した。
残り1kmアーチを過ぎて勾配が増したところでマイヨロホが動く。それまで後ろで眼を光らせていたコンタドールが腰を上げるとフルームが脱落。一発でアタックを成功させたコンタドールがそのまま16秒差で山頂に達した。
総合1位コンタドールがステージ1位、総合2位フルームがステージ2位、以下総合トップ5の選手がそのままステージトップ5という結果に。総合トップ5の順位は変わらなかったがそのタイム差は確実に広がった。
最終日の短距離個人タイムトライアルを残してブエルタ総合優勝に王手をかけたコンタドール。レース後の記者会見で少し目を赤らめながら言葉を並べた。「不甲斐ない2013年シーズンを乗り越えてトップレースで優勝争いに返り咲いた。もうピークを過ぎてしまったように感じたシーズンを忘れ去るために、細かなところにまで目を凝らし、モチベーション高く練習に打ち込んだんだ」。
敗れたフルームは「残念ながらアルベルトを引き離すことは出来なかった。何度も何度もアタックしたけど常に後ろには彼の姿があった。出来ることを尽くしたけど、単純に彼のほうが強かった」と白旗を上げる。ツールを落車&骨折リタイアした2人のチャンピオンが最後まで見せ場を作った。
選手コメントはレース公式リリースより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2014第20ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
6位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
7位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
8位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
6位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
7位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
8位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
5h11'43"
+16"
+57"
+1'18"
+1'21"
+2'51"
+2'55"
+2'58"
+3'15"
+3'20"
+16"
+57"
+1'18"
+1'21"
+2'51"
+2'55"
+2'58"
+3'15"
+3'20"
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
8位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
8位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
81h12'13"
+1'37"
+2'35"
+3'57"
+4'46"
+10'07"
+10'24"
+12'13"
+13'09"
+13'15"
+1'37"
+2'35"
+3'57"
+4'46"
+10'07"
+10'24"
+12'13"
+13'09"
+13'15"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
169pts
146pts
145pts
146pts
145pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
58pts
45pts
40pts
45pts
40pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
6pts
8pts
11pts
8pts
11pts
チーム総合成績
1位 カチューシャ
2位 モビスター
3位 ティンコフ・サクソ
2位 モビスター
3位 ティンコフ・サクソ
228h01'00"
+26'32"
+32'55"
+26'32"
+32'55"
ステージ敢闘賞
ジェローム・コッペル(フランス、コフィディス)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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