4月16日にベルギーで開催されたブラバンツペイル(UCI1.HC)に、新城幸也(ユーロップカー)と別府史之(トレックファクトリーレーシング)が出場。ゴール手前での新城のアタックは届かず、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)の勝利に終わった。



アタックを仕掛けるケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)らアタックを仕掛けるケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)ら photo:Tim de Waeleブラバンツペイルはベルギーのフランドル地方を舞台にしたセミクラシックレース。フランス語でラ・フレーシュ・ブラバンソンヌ(ブラバントの矢)とも呼ばれる。

メイン集団のペースを上げるサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)メイン集団のペースを上げるサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waeleこのブラバンツペイルを皮切りに、ベルギーのレース熱は徐々に東に(フランドルからワロンに)移行する。同一主催者のフランドルクラシックシリーズ(オンループ、ドワーズドア、ヘント、ロンド、シュヘルデ、ブラバンツ)の最終戦にあたるが、起伏に富んだコースはどちらかと言えばアルデンヌクラシック寄りだ。そのため、週末から始まるアルデンヌクラシック3連戦の前哨戦として軽量なクラシックレーサーが集まる。

マシューズとのスプリントを制したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)マシューズとのスプリントを制したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleレースの舞台となるのは、ベルギーの首都ブリュッセル南東に広がる丘陵地帯。ロンドに代表されるフランドルクラシックよりも東に位置し、地形的に丘陵は緩やかとなり、激坂と呼ぶような急勾配の登りは登場しない。コースはルーヴェンからオーベレルエイセに至る203.1km。合計26カ所の短い登りが設定されている。

2度目のブラバンツペイル勝利を果たしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)2度目のブラバンツペイル勝利を果たしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleゴール前には5つの坂「ハーガールト(平均10%)」「ヘルトストラート(平均4%)」「ホルストハイデ(平均5%)」「エイケルダーラーン(平均7%)」「シャヴェイ(最大11%・700m)」が詰め込まれた23.4kmの周回コースを3周。「シャヴェイ」を駆け上がった先にフィニッシュラインが敷かれている。

ブラバンツペイル表彰台、2位マシューズ、優勝ジルベール、3位ギャロパンブラバンツペイル表彰台、2位マシューズ、優勝ジルベール、3位ギャロパン photo:Tim de Waeleこの起伏に富んだコースで逃げたのはペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)ら6名。最大7分リードした6名の逃げを、ロット・ベリソルやガーミン・シャープが追走する展開で終盤の周回コースへと入って行く。

メイン集団ではサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)らがアタックを仕掛けて不安定な状態に。フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)が単独で先頭グループにジャンプするシーンも見られたが、残り10kmで逃げは全て吸収された。

その後もアタックと吸収を繰り返しながら、人数を減らしながらフィニッシュに向かうプロトン。およそ20名の集団の中から、最後の「シャヴェイ」で全日本チャンピオンの新城幸也(ユーロップカー)がアタックを仕掛けた。

残り500〜600mで飛び出した新城が、そのまま先頭で残り200mの最終コーナーへ。しかし後続を引き離すことは出来ず、最終ストレートで集団に飲み込まれてしまう。平坦なストレートでマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とジルベールがスプリントを繰り広げ、僅差でジルベールが先着した。

終盤の単独追走が失敗に終わりながらも、スプリントに向けて力を貯め、2011年に続く2度目のブラバンツペイル制覇を果たしたジルベールは「(集団の中では)間違いなくマシューズが最速だった。でも下りで先行したルークマンスとポエルスの追走に力を使わせることに成功したんだ。登りで飛び出して失敗した過去があるのでスプリント開始のタイミングを待った。パーフェクトなスプリントだったよ」と語る。アルデンヌ・クラシックを前にしたタイミングで、ジルベールが今シーズン初勝利を飾った。

「正直疲れが残っていて、フレッシュな状態でゴールスプリントに臨める感覚ではなかった。でも、上りも良く上れていたし、調子が悪いわけではなかったので、あの位置にいて、今しかないっ。と思った瞬間にかけてみた。アタックしたくてうずうずしていたし(笑)」と、新城は最後の登りでのアタックを振り返る。「もし、普通にスプリントしていたら、もっと上位の可能性はあったかもしれないけど、今の脚では、あれが最善だったと思う」。トップ10を逃したものの、パイスバスコから続く好調ぶりをキープしていることを示した。

新城と同じくアルデンヌ・クラシック出場を予定している別府史之(トレックファクトリーレーシング)は、ファビオ・フェリーネ(イタリア)らのアシストをこなして37位・22秒遅れでフィニッシュしている。

選手コメントはチーム公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。


ブラバンツペイル2014結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
4位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
5位 ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
6位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
7位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)
8位 ジュリアン・ヴェルモト(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、IAMサイクリング)
10位 アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)
12位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
37位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
4h54'26"












+22"



text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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