2017/07/26(水) - 09:57
7月17日(月・祝)に静岡県伊豆市にある日本サイクルスポーツセンターで開催された「CSC5時間耐久チームサイクルロードレース」。毎年海の日に開催されるお馴染みの大会は今年で20回目を迎えた。ギラギラと輝く太陽、時折吹き付ける癒やしの風、夏を感じるエンデューロレースのレポートをお届けしよう。
今年もやってきた海の日。学生たちにとっては期末テストが終わり待ちに待った長期休暇が到来する時期であり、社会人にとっても後ろに控えるお盆休みと合わせてある夏休みの前半戦となる。日本人の大多数が幸せな気持ちで迎える祝日なのではないだろうか。
例年、海の日が過ぎるとジメジメとした梅雨が去り、高温多湿ながらも晴れが多い夏本番がいよいよ到来する。ここ数年の関東では、海の日に雨天になることはなく、晴れの特異日として行楽計画を立てやすい連休となっているのだ。今年は梅雨明け前に三連休を迎えてしまったが、太陽に恵まれたのは例年通りだった。
この海の日に合わせて毎年、静岡県伊豆市にある日本サイクルスポーツセンターで開催されるエンデューロレースが「CSC5時間耐久チームサイクルロードレース(以下、CSC5時間耐久)」だ。今年で20回目の開催を迎える老舗大会であり、首都圏と中部地域のサイクリストにとって馴染み深く、年中行事のように毎年参加するグループも少なくない大会である。
日本サイクルスポーツセンターは、山中という立地を活かしたマウンテンバイクコースや、国内で唯一板張り250mバンクのベロドロームを有し、2020年の東京オリンピックでそれぞれの競技が開催される予定がある場所だ。
もちろんロードサーキットも用意されており、約5000mと距離は長くない割に平坦がほぼ無いハードコースとなっている。プロ選手たちも走るこのコースは、サバイバルな展開になるが多く、数々の名勝負が繰り広げられた場所でもある。また、最近では弱虫ペダルにも合宿所として登場し、聖地としても認められた感のあるサーキットだ。
自転車にまつわるアトラクションなども用意されており、キッズたちも遊ぶことができる遊園地が併設されていることも特徴。また、日本が誇るトラック競技「競輪」選手を育成する日本競輪学校なども併設されており、日々訓練を繰り返しているという。
さて、そんなサイクルスポーツセンターに集まるサイクリストの朝は早い。筆者が雲に包まれた伊豆スカイラインを抜け、会場に到着した6時40分には既に数多くの参加者が入場済み。エンデューロレースの宿命かのように、パドックのスペースをそれぞれ確保しているのだ。
ちなみにCSC5時間耐久に参加するならばテントやタープを用意したほうがいい。ホームストレートは太陽に強く照らされているため、日除けがなければ待機時間も消耗し続けることになってしまうのだ。それゆえ常連チームは試走が開始される90分も前に入場し、万全の状態を作り上げる。
昨年までは1列横隊で並んでいたテント群だったが、今年はテントの準備を整えたチームが多く、場所によっては2列になる箇所も発生。テントがズラッと立ち並ぶパドックエリアは、多くのチームで賑わいを見せている。
朝の時間が過ぎるのは非常に早いのは平日と同じのようだ。いつの間にか試走開始時間となり、参加する全124チーム、約330名の選手がスタートラインに並ぶ。CSC5時間耐久では全選手の試走が義務付けられているためその様子は圧巻の一言。
330名のサイクリストが一斉に走り出すわけではなく、4グループに分け、さらに競輪学校の教官たちがユックリと先導してくれるため、安全に走ることができる。チーム全員で走ることができるのも貴重な機会となっているため、人数が多いチームは和気藹々と談笑しながら走り、コースの確認を行っていたようだ。
試走が終了しレース開始の午前9時が近づくに連れて、太陽からの日差しは強くなりいよいよ30℃に達しようかという気温。前年と比べると雲が多く風がひんやりとしていて、例年に比べると幾分過ごしやすい。それでも歩くだけでも汗が滲み、太陽光が肌を焼いていく感覚があり夏を感じさせる。
今年のスタートはコース中盤、最もハードな秀峰亭からのダウンヒルが終わるまではニュートラル区間となり、リアルスタートはアップヒルから。競輪学校の教官たちによる先導スピードもゆっくりとしており、スタートラップのタイムが、総合優勝を果たしたチームの平均よりも約4分遅い13分台。より安全なスタートとなった。
CSCの5kmサーキットは、トップ選手は1周10分ほどのペースを刻むが、ビギナーは1周20分~30分ほどかかるほどのコース。1周するだけでも十分に満足できるほど走りごたえがあり、初めてこのサーキットを走った選手はそのボリュームに驚いていたようだ。
中には1周で交代したそうな顔をした選手もいたが、最初の30分はピットクローズのためできず。辛い顔を恨めしそうな顔をチームメートの方に向け、「もう1周!」と煽られながらホームストレートの端に消えていくのであった。それでも第1走の選手たちは大体15分位のペースでホームに帰ってきていたので、実は健脚派が揃っていたようだ。辛そうな顔は演技?
ピットに入れるかどうかの攻防は2周めに繰り広げられた。ピットオープンより1分早く戻ってきた選手の顔が一番きつそう。2周回で交代したいけど、あわや30秒前に滑り込んでしまいそうなチームもあったが、フィニッシュラインの手前で一時停止。なんとか3周回目突入を避けることに成功していたようだ。
いよいよピットオープン。後続の選手たちは吸い込まれるようにピットレーンに入っていき、続々と選手交代を行っている。今年は自転車2台が並走するのが精一杯の走行レーンと、ゆとりある交代スペースに設計されていた。もちろん走行レーンでは徐行と追い越し禁止だ。
ついつい早く交代したいあまりマナーやルールを忘れてしまいがちの選手交代だが、違反チームには厳しくペナルティが課されることで、気が引き締まるのは間違いない。安全に帰宅できることは日常生活に戻れるということ。サイクリングはあくまでも趣味なのである。
安全に走行する、無事に帰宅するという点でみると熱中症対策も万全に行われている。内容は毎年恒例のコース途中とパドックにあるシャワースペース、スポーツドリンクの提供だ。
パドックのシャワーにはビニールプールが追加されており、全身を思い切り冷水につけることが可能になっていた。筆者はレースに参加していないが、取材しているだけでも体はほてりきっていたため、プールに飛び込む参加者の方が羨ましくて仕方がなかった。
パドックを眺めていると主催者が用意したBBQ用ピットから煙が立ち始める。写真を撮るために、雰囲気満点の大きなビーフを焼いているピットに突撃。声をかけてみると毎年BBQピットで楽しんでいる甲府青年会議所のみなさん。今年も自転車と食とバランスよく楽しんでいるようでした。
参加者の皆さんがワイワイと楽しんでいる様子を眺めていると、伊豆のご当地アイドル「あいぜっちゅー(IZU)」のライブが始まる。うだるような暑さの中、あいぜっちゅーがパフォーマンスを披露しているとどこか涼し気な雰囲気を感じるのであった。このようにCSC5時間耐久のパドックはいつも何かがあり賑わっている。
ブース出展も毎年気になるトピックであり、何か面白いものはないかと探すのが恒例だ。今年は超高精度ハブで知られるGOKISOが出展しており、ホイールを貸し出していたようだ。
GOKISOホイールは非常に人気が高く、常に誰かが貸出ホイールを借りていたようだ。登り返しが多いCSCのロードサーキットでは転がりの良さを思う存分に堪能できただろう。GOKISOからは山の神こと森本誠さんがオープンで5時間ソロに参加しており、その強さを真横で感じ取れることもできたはずだ。
キナンサイクリングチームの活躍により、注目度も高まっているヨネックスも出展。2種類のフレームの試乗車を用意し、乗り比べが行えるような体制を敷いていた。森本さんもヨネックスのカーボネックスに乗っており、その性能の高さはお墨付きと言っても過言ではない。
充実したパドック取材を終えたところで筆者自らもコースイン。ホームストレートからの登りは十分に厳しいものであるし、下りは右左へと素早く切り返すテクニカルさが際立っていた。特に秀峰亭からのダウンヒルは斜度が厳しく、コーナーも多いため非常にトリッキー。
さらに登り返しはコーナーを抜けたところにあるため、いかにスピードを殺さずにコーナーから脱出できるかが登りの厳しさを左右すると感じる。純粋な脚力も求められるコースではあるが、コーナーを攻略する楽しさがCSCの醍醐味なのだろう。
登っては下りを繰り返し、ホームストレートに至る最終ヒルクライムを終える頃にはヘロヘロ。途中、森本さんらを含む剛脚グループに抜かされたけど、スピードが段違い。強い選手とも比較できたからこそ、CSCの厳しさをリアルに感じ取れたと思う。
筆者もパドックとコースを楽しみ尽くしたところで、ピットがクローズとなりエンデューロの幕は降り始める。ピットクローズのタイミングは、かろうじて交代できるチーム、できずにガックリと肩を落とすライダーが生まれ、それぞれの想いが交錯するドラマチカルなシーンが生まれる。「ラスト15分は自分の力で走りきるぞ」と覚悟した選手がペダルにぐっと力を込めるシチュエーションは至高だ。
そして迎えるフィニッシュ。疲労を顔に見せるソロライダー、仲間でタスキを繋いだ達成感で笑顔のライダー、仲間のフィニッシュを待つ応援団。全員が5時間分のドラマを刻んだ表情でフィニッシュラインに集まっており、見ているだけでもこちらも楽しくなってしまう。
表彰式もカテゴリーがソロ、2人、3人、4人、5人組、その中でも男子オンリー、女子オンリー、男女混合とわけられており、登壇するチームは非常に数が多い。ソロ5時間の選手には、1人で5時間も走る強さに対して尊敬の眼差しが向けられ、複数人のグループにはチーム員達から黄色い声が飛んだ。5人組の表彰式は1位から3位までそれぞれ全選手が登壇するためワチャワチャしており一番賑やか。終始笑顔が絶えない表彰式もあっという間に終わりイベントは終了。三連休最終日の地獄のような渋滞に巻き込まれないよう、手短に撤収作業を済ませ参加者たちはサイクルスポーツセンターを後にした。
一方、筆者はベロドロームに顔を出し、ジャパントラックカップよりそのまま日本に滞在していたスプリントの世界王者デニス・ドミトリエフのスタート練習を見ていたせいで、伊豆縦貫道から東名厚木インターまでのほぼ全行程で渋滞に引っかかってしまった。非日常的な空間から立ち去るのは名残惜しいが、このイベントではサッと会場を後にしたほうが良いと痛感するのであった。
毎年海の日恒例のCSC5時間耐久チームサイクルロードレース。今年は大事になる落車も無く終えることができたとサイクルスポーツセンターの木庭さんは言う。灼熱の中走るこの大会は、己の体力を試すために5時間をソロで挑むも良し、夏休みの一環として仲間と一緒にアウトドア・レジャーとして楽しむも良しのイベントだ。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
今年もやってきた海の日。学生たちにとっては期末テストが終わり待ちに待った長期休暇が到来する時期であり、社会人にとっても後ろに控えるお盆休みと合わせてある夏休みの前半戦となる。日本人の大多数が幸せな気持ちで迎える祝日なのではないだろうか。
例年、海の日が過ぎるとジメジメとした梅雨が去り、高温多湿ながらも晴れが多い夏本番がいよいよ到来する。ここ数年の関東では、海の日に雨天になることはなく、晴れの特異日として行楽計画を立てやすい連休となっているのだ。今年は梅雨明け前に三連休を迎えてしまったが、太陽に恵まれたのは例年通りだった。
この海の日に合わせて毎年、静岡県伊豆市にある日本サイクルスポーツセンターで開催されるエンデューロレースが「CSC5時間耐久チームサイクルロードレース(以下、CSC5時間耐久)」だ。今年で20回目の開催を迎える老舗大会であり、首都圏と中部地域のサイクリストにとって馴染み深く、年中行事のように毎年参加するグループも少なくない大会である。
日本サイクルスポーツセンターは、山中という立地を活かしたマウンテンバイクコースや、国内で唯一板張り250mバンクのベロドロームを有し、2020年の東京オリンピックでそれぞれの競技が開催される予定がある場所だ。
もちろんロードサーキットも用意されており、約5000mと距離は長くない割に平坦がほぼ無いハードコースとなっている。プロ選手たちも走るこのコースは、サバイバルな展開になるが多く、数々の名勝負が繰り広げられた場所でもある。また、最近では弱虫ペダルにも合宿所として登場し、聖地としても認められた感のあるサーキットだ。
自転車にまつわるアトラクションなども用意されており、キッズたちも遊ぶことができる遊園地が併設されていることも特徴。また、日本が誇るトラック競技「競輪」選手を育成する日本競輪学校なども併設されており、日々訓練を繰り返しているという。
さて、そんなサイクルスポーツセンターに集まるサイクリストの朝は早い。筆者が雲に包まれた伊豆スカイラインを抜け、会場に到着した6時40分には既に数多くの参加者が入場済み。エンデューロレースの宿命かのように、パドックのスペースをそれぞれ確保しているのだ。
ちなみにCSC5時間耐久に参加するならばテントやタープを用意したほうがいい。ホームストレートは太陽に強く照らされているため、日除けがなければ待機時間も消耗し続けることになってしまうのだ。それゆえ常連チームは試走が開始される90分も前に入場し、万全の状態を作り上げる。
昨年までは1列横隊で並んでいたテント群だったが、今年はテントの準備を整えたチームが多く、場所によっては2列になる箇所も発生。テントがズラッと立ち並ぶパドックエリアは、多くのチームで賑わいを見せている。
朝の時間が過ぎるのは非常に早いのは平日と同じのようだ。いつの間にか試走開始時間となり、参加する全124チーム、約330名の選手がスタートラインに並ぶ。CSC5時間耐久では全選手の試走が義務付けられているためその様子は圧巻の一言。
330名のサイクリストが一斉に走り出すわけではなく、4グループに分け、さらに競輪学校の教官たちがユックリと先導してくれるため、安全に走ることができる。チーム全員で走ることができるのも貴重な機会となっているため、人数が多いチームは和気藹々と談笑しながら走り、コースの確認を行っていたようだ。
試走が終了しレース開始の午前9時が近づくに連れて、太陽からの日差しは強くなりいよいよ30℃に達しようかという気温。前年と比べると雲が多く風がひんやりとしていて、例年に比べると幾分過ごしやすい。それでも歩くだけでも汗が滲み、太陽光が肌を焼いていく感覚があり夏を感じさせる。
今年のスタートはコース中盤、最もハードな秀峰亭からのダウンヒルが終わるまではニュートラル区間となり、リアルスタートはアップヒルから。競輪学校の教官たちによる先導スピードもゆっくりとしており、スタートラップのタイムが、総合優勝を果たしたチームの平均よりも約4分遅い13分台。より安全なスタートとなった。
CSCの5kmサーキットは、トップ選手は1周10分ほどのペースを刻むが、ビギナーは1周20分~30分ほどかかるほどのコース。1周するだけでも十分に満足できるほど走りごたえがあり、初めてこのサーキットを走った選手はそのボリュームに驚いていたようだ。
中には1周で交代したそうな顔をした選手もいたが、最初の30分はピットクローズのためできず。辛い顔を恨めしそうな顔をチームメートの方に向け、「もう1周!」と煽られながらホームストレートの端に消えていくのであった。それでも第1走の選手たちは大体15分位のペースでホームに帰ってきていたので、実は健脚派が揃っていたようだ。辛そうな顔は演技?
ピットに入れるかどうかの攻防は2周めに繰り広げられた。ピットオープンより1分早く戻ってきた選手の顔が一番きつそう。2周回で交代したいけど、あわや30秒前に滑り込んでしまいそうなチームもあったが、フィニッシュラインの手前で一時停止。なんとか3周回目突入を避けることに成功していたようだ。
いよいよピットオープン。後続の選手たちは吸い込まれるようにピットレーンに入っていき、続々と選手交代を行っている。今年は自転車2台が並走するのが精一杯の走行レーンと、ゆとりある交代スペースに設計されていた。もちろん走行レーンでは徐行と追い越し禁止だ。
ついつい早く交代したいあまりマナーやルールを忘れてしまいがちの選手交代だが、違反チームには厳しくペナルティが課されることで、気が引き締まるのは間違いない。安全に帰宅できることは日常生活に戻れるということ。サイクリングはあくまでも趣味なのである。
安全に走行する、無事に帰宅するという点でみると熱中症対策も万全に行われている。内容は毎年恒例のコース途中とパドックにあるシャワースペース、スポーツドリンクの提供だ。
パドックのシャワーにはビニールプールが追加されており、全身を思い切り冷水につけることが可能になっていた。筆者はレースに参加していないが、取材しているだけでも体はほてりきっていたため、プールに飛び込む参加者の方が羨ましくて仕方がなかった。
パドックを眺めていると主催者が用意したBBQ用ピットから煙が立ち始める。写真を撮るために、雰囲気満点の大きなビーフを焼いているピットに突撃。声をかけてみると毎年BBQピットで楽しんでいる甲府青年会議所のみなさん。今年も自転車と食とバランスよく楽しんでいるようでした。
参加者の皆さんがワイワイと楽しんでいる様子を眺めていると、伊豆のご当地アイドル「あいぜっちゅー(IZU)」のライブが始まる。うだるような暑さの中、あいぜっちゅーがパフォーマンスを披露しているとどこか涼し気な雰囲気を感じるのであった。このようにCSC5時間耐久のパドックはいつも何かがあり賑わっている。
ブース出展も毎年気になるトピックであり、何か面白いものはないかと探すのが恒例だ。今年は超高精度ハブで知られるGOKISOが出展しており、ホイールを貸し出していたようだ。
GOKISOホイールは非常に人気が高く、常に誰かが貸出ホイールを借りていたようだ。登り返しが多いCSCのロードサーキットでは転がりの良さを思う存分に堪能できただろう。GOKISOからは山の神こと森本誠さんがオープンで5時間ソロに参加しており、その強さを真横で感じ取れることもできたはずだ。
キナンサイクリングチームの活躍により、注目度も高まっているヨネックスも出展。2種類のフレームの試乗車を用意し、乗り比べが行えるような体制を敷いていた。森本さんもヨネックスのカーボネックスに乗っており、その性能の高さはお墨付きと言っても過言ではない。
充実したパドック取材を終えたところで筆者自らもコースイン。ホームストレートからの登りは十分に厳しいものであるし、下りは右左へと素早く切り返すテクニカルさが際立っていた。特に秀峰亭からのダウンヒルは斜度が厳しく、コーナーも多いため非常にトリッキー。
さらに登り返しはコーナーを抜けたところにあるため、いかにスピードを殺さずにコーナーから脱出できるかが登りの厳しさを左右すると感じる。純粋な脚力も求められるコースではあるが、コーナーを攻略する楽しさがCSCの醍醐味なのだろう。
登っては下りを繰り返し、ホームストレートに至る最終ヒルクライムを終える頃にはヘロヘロ。途中、森本さんらを含む剛脚グループに抜かされたけど、スピードが段違い。強い選手とも比較できたからこそ、CSCの厳しさをリアルに感じ取れたと思う。
筆者もパドックとコースを楽しみ尽くしたところで、ピットがクローズとなりエンデューロの幕は降り始める。ピットクローズのタイミングは、かろうじて交代できるチーム、できずにガックリと肩を落とすライダーが生まれ、それぞれの想いが交錯するドラマチカルなシーンが生まれる。「ラスト15分は自分の力で走りきるぞ」と覚悟した選手がペダルにぐっと力を込めるシチュエーションは至高だ。
そして迎えるフィニッシュ。疲労を顔に見せるソロライダー、仲間でタスキを繋いだ達成感で笑顔のライダー、仲間のフィニッシュを待つ応援団。全員が5時間分のドラマを刻んだ表情でフィニッシュラインに集まっており、見ているだけでもこちらも楽しくなってしまう。
表彰式もカテゴリーがソロ、2人、3人、4人、5人組、その中でも男子オンリー、女子オンリー、男女混合とわけられており、登壇するチームは非常に数が多い。ソロ5時間の選手には、1人で5時間も走る強さに対して尊敬の眼差しが向けられ、複数人のグループにはチーム員達から黄色い声が飛んだ。5人組の表彰式は1位から3位までそれぞれ全選手が登壇するためワチャワチャしており一番賑やか。終始笑顔が絶えない表彰式もあっという間に終わりイベントは終了。三連休最終日の地獄のような渋滞に巻き込まれないよう、手短に撤収作業を済ませ参加者たちはサイクルスポーツセンターを後にした。
一方、筆者はベロドロームに顔を出し、ジャパントラックカップよりそのまま日本に滞在していたスプリントの世界王者デニス・ドミトリエフのスタート練習を見ていたせいで、伊豆縦貫道から東名厚木インターまでのほぼ全行程で渋滞に引っかかってしまった。非日常的な空間から立ち去るのは名残惜しいが、このイベントではサッと会場を後にしたほうが良いと痛感するのであった。
毎年海の日恒例のCSC5時間耐久チームサイクルロードレース。今年は大事になる落車も無く終えることができたとサイクルスポーツセンターの木庭さんは言う。灼熱の中走るこの大会は、己の体力を試すために5時間をソロで挑むも良し、夏休みの一環として仲間と一緒にアウトドア・レジャーとして楽しむも良しのイベントだ。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
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