2016/05/22(日) - 09:38
ジャイアントのキング・リュー会長ら経営陣が来日し、自転車利用促進政策をすすめる滋賀県守山市を訪問。宮本市長、三日月知事らとともに琵琶湖サイクリングを体験した。ビワイチによって世界に誇れるサイクリングパラダイスにするべく、官民一体の試みが歩み始めた。
キング・リュー(劉 金標)氏は世界最大のスポーツバイクメーカーであるジャイアント・マニュファクチャリング社の創業者。38名の町工場から自転車製造業をはじめ、年間生産台数650万台以上という現在のジャイアント社を一代で築き上げた。欧米メーカーのOEMによる下請けから、自社ブランドのスポーツバイク生産へと方向転換した経営方針や、トヨタに学んだ生産方式を取り入れた手腕が評価されている。
9年前、多くの老人病を患い、引退を考えた73歳で台湾一周に挑戦し、完走。その模様がメディアで大きく伝えられ、台湾全土に国民的な自転車ブームを巻き起こした。2014年には80歳での2度めの台湾一周を成し遂げた。現代の自転車産業界のリーダーとして、またサイクリングの普及を呼びかける「伝道師」として尊敬を集める存在となっている。
今回はリュー会長をはじめ、CEOのトニー・ロー氏、COOのヤング・リュー氏らジャイアント社のトップ経営陣が揃って来日。国内の自転車環境の視察とともに、守山市を拠点とした琵琶湖サイクリングを体験した。
現在82歳になるリュー会長のサイクリングを目的とした来日は、しまなみ海道を走った2012年5月に続き2回めとなる。3月にオープンしたジャイアントストア琵琶湖守山(記事)を拠点にサイクリングを体験するのが来日の大きな目的だった。
迎えるのは守山市長の宮本和宏氏と、滋賀県知事の三日月大造氏、そして地元滋賀県で自転車推進政策を進める行政と企業や民間団体の関係者らだ。4月20日、総勢43人の一行が琵琶湖畔サイクリングへと出発した。
宮本市長が先導し、リュー会長らが続くかたちで湖畔のサイクリングロードを走る一行。この日は絶好のサイクリング日和だった。マイアミ浜を抜け、近江八幡市へ。長命寺港では周辺ポタリングガイド記事でも紹介した「団喜」のまんじゅうやわらび餅、いちご大福などが供された。
港では近江鉄道グループの中型の観光船「オーミマリン」に自転車を積む工夫などが披露された。船内デッキ部に取り付けたサイクルキャリアを利用した自転車固定具などが紹介され、今後サイクリストが船を利用しやすくなる工夫が紹介された。前輪を外してキャリアに固定する方法で、デッキ部には6台ほどが積載できる。客室内や2Fデッキにも同様のキャリアを取り付けるという説明が行われた。
リュー会長とロー氏はこれをみて「丁寧な方法ではあるけれど、果たして船がそんなに揺れるのか?ということ、そのスペースなら重ねれば40台ぐらいの自転車が積めるし、前輪を外すということがサイクリストにとって良いことなのかも考えないと。大勢のグループが来ることも想定しなければ」と、具体的にアドバイスした。
その後、一行は守山市が社会実験として行ってきた「漁船タクシー」を体験した。漁船に自転車を載せて湖上を走るというこの試みは昨年来、期日限定で開催されてきた。まだ正式サービス開始前の段階ではあるが、湖上のルートで対岸をつなぎ、水の風景を楽しめること、またルートのスキップが可能なことでサイクリングのバリエーションを大きく広げてくれることになるユニークなサービスだ。
漁船に自転車を積み込み、傷つかないように固定。8人ほどのグループごとに分乗し、湖上へと走りだした一行は沖島へと向かった。人口350人が住み、クルマはゼロという島の様子を船上から眺めた。淡水湖の有人島は世界でも珍しい存在だ。
白波を立てて湖上を走る漁船タクシーは涼しく、快適だ。沖に出れば透明度の高い湖水と、岸の景色が楽しめる。水しぶきを時々浴びるが淡水なので気にはならない。
漁船タクシーはラフォーレ琵琶湖守山ホテルを湖上から眺め、琵琶湖大橋の下をくぐり、小津漁港へ。そこからは北上してホテルへと戻った。約18kmほどのミニサイクリング+湖上遊覧だったが、ビワイチ(琵琶湖一周)の一部をじゅうぶんに体験することができた。
台湾としまなみ海道にならうビワイチのこれから
台湾は今や世界の自転車先進国になっている。リュウ会長が「環台」により台湾に自転車ブームを巻き起こし、ジャイアントと関係企業による民間が政府を動かすカタチで急速に自転車道路やサイクリングターミナルの整備が進んだ。台湾全土にバイクレーンを備えた道路が広がり、2015年末には台湾一周をカバーするサイクリングロードも開通するなど台湾での自転車環境向上を後押しした。
琵琶湖周辺ではもともと「ビワイチ」サイクリングが盛んだったが、守山市と滋賀県がジャイアント・ジャパンと協業するかたちで政策によって自転車活用促進と環境向上を狙う。ジャイアントと愛媛県・広島県の協業によるしまなみ海道の成功例があり、それに次ぐ動きとして琵琶湖の今後の展開に注目したい。
キング・リュー会長「ビワイチが世界一になれる条件は揃っている」
初めての琵琶湖サイクリングを終えたリュー会長は満足気だ。サイクリングによる振興を視察し、十分な可能性を感じたようだ。しまなみ海道との違いなども訊かれ、その印象を流暢な日本語で話した。
「琵琶湖を初めて走って、その良さに満足することができました。船の体験は、観光しながら、遊びながら『こういう楽しみ方があるのか』と、とても面白かった。自転車を乗る環境については、今からつくり始めないといけないと思いました。これからやることはたくさんある。
まだ一歩遅れているけれど、ビワイチが世界一になれる条件は十分に揃っています。「サイクリング伝道師」の市長や知事が先導して素晴らしい環境をつくってくれることを期待しています。今日は皆さんと一緒に歴史を書きながら自転車に乗っている感じがしました。
日本のサイクリングはまだまだこれからです。自転車が生活文化となるには、民間企業だけでなく、政府と一緒に努力してつくっていくことが大切です。政府のポリシーをしっかり決めて、民間も一緒になって努力してください。琵琶湖はしまなみ海道とはまったく違う。景色も観光資産もまったく違っている。それぞれの環境で、時間を掛けて魅力をつくりあげていってください」。
宮本市長「自転車の魅力を再発見した台湾サイクリング しまなみに次ぐ場所と認められて嬉しい」
市民がスポーツ自転車を購入する際に補助金を支給するなど、自転車による市の活性化を推し進めてきた宮本・守山市長。先のGWには数人のグループで台湾半周約500kmを5日間で走り切った。この日は走行前の準備運動を自ら指導し、グループを先導して走った。見たところ身体が引き締まり、精悍なサイクリストという印象にもなった。
宮本市長は言う。「環台(ファンダオ=台湾一周)を2度完走されたリュー会長の、自転車でライフスタイルを変えた姿勢に感銘を受けました。私も台湾半周を走って自分の体力と精神力に自信が持てたし、初めて会った人とも一緒にペダルを漕げばすぐに友だちになれるという自転車の魅力を再確認することができました。
リュー会長に琵琶湖が『しまなみ海道に次ぐ場所』として注目されるのは嬉しいこと。自転車が安全に走れるビワイチの環境を、知事やジャイアントの皆さんらとともに整備して、これから世界中から多くの人を招くことができるサイクリングの聖地にしていきたい」。
三日月知事「滋賀県全体で自転車の利用促進とビワイチ環境を整備したい」
宮本市長の政策に共鳴し、県としても自転車振興をすすめることを決めた三日月・滋賀県知事。この日は前日に守山ストアで購入したジャイアント・アルペシンのサイクルウェアに身を包み、初めてのカーボンバイクに乗ってサイクリングを体験した。
「滋賀では5年前からサイクル推進協議会を立ち上げ、いろいろな分野と協力してサイクリングを盛り上げていくことを決めました。環境のため、健康のため、自転車を活用して人に優しい街づくりを進めています。この2月に県議会で、自転車の安全走行や自転車を通じた活性化に関する条例を作りました。
滋賀県では、モノだけではない、新しい豊かさを追求しようとする動きを進めています。サイクリングで豊かな人生、ビワイチで新しい文化を創造していくために、自転車を一人でも多くの人に楽しんでいただける環境づくりをすすめます。
ご一緒したリュー会長は健脚でした。会長が健康で居るのも、サイクリングで環台をしたから。リュウ会長に『日本一、世界一になれる』とおっしゃってくださったビワイチを、もっともっとPRして広めていきたい」。
ジャイアント中村社長「リュー会長の走ったところは必ずサイクリング聖地になる」
ジャイアントジャパンの中村晃社長は言う。「滋賀での展開は、自転車の販売や利益などを考えておらず、この地にサイクリングが普及すればいいと思っています。商売よりもまず自転車文化を作ること。それがジャイアントの経営理念です。劉会長が走られたところは、必ずサイクリングの聖地として人気が出てくるんです。地元の方々と協力してより良い環境をつくっていくことに尽力したいと思っています」。
サイクリングパラダイスを目指す守山市と滋賀県の事業展開
滋賀県(守山市・大津市・高島市・米原市)は、民間団体と連携し、サイクルステーション等の施設や自転車道・ビワイチコース環境の整備をより一層進め、サイクリングを通じて滋賀県の魅力発信や地域の活性化を進めていくことを発表している。守山市および滋賀県が発表している事業案は主に以下の項目だ。
守山市の取り組み(資料より抜粋)
琵琶湖や守山市で活動する自転車愛好家が自転車による楽しみを広げ、行政や企業と連携して自転車による健康増進、観光振興、経済活性化、環境にやさしいまちづくり等を実現することを目的とする「びわ湖守山・自転車新文化推進協議会」を設立。6月1日に設立総会を行う。
守山市の加速化交付金事業として、サイクルステーションや周辺の公園路の整備などの「ビワイチ守山」周辺環境調査・整備事業を行う。
「ビワイチ」サイクリスト移動支援事業として、漁船タクシー等の湖上交通を活用した独自の魅力創出。サイクルステーションまでの交通アクセスの充実により、北部地域への積極的な誘客を推進する。
「ビワイチ守山」を積極的にPRして守山市の知名度を高める。サイクリングマップ作成や多言語の案内も充実させ、集客とインバウンド拡大を目指す。
滋賀県の取り組み(資料より抜粋)
1.自転車の利用環境を整備
・東の玄関口である米原駅にサイクルステーションを整備する。
・広域レンタサイクルの拠点づくりを進める。
・自転車利用者のサポート拠点を整備する。
2.サイクルツーリズム(自転車観光)環境を整備
・誰もがわかりやすい表示を検討する。
・おすすめルートを開発し、ツアーガイドを養成する。
・多言語サイクリングマップを作成する。
3.安心・安全な走行環境を整備
・ブルーライン、青矢羽などの設置を進める。
・走行に快適な路面の整備を進める。
4.NPO法人や民間企業とのコラボによる盛り上げ
・自転車搭載船の運航など、湖上交通を活用する。
・広域レンタサイクルの仕組づくりをともに進める。
・各団体からの情報発信で盛り上げる。
photo&text:綾野 真/Makoto.AYANO
photo:井上六郎/Rokuro.Inoue
キング・リュー(劉 金標)氏は世界最大のスポーツバイクメーカーであるジャイアント・マニュファクチャリング社の創業者。38名の町工場から自転車製造業をはじめ、年間生産台数650万台以上という現在のジャイアント社を一代で築き上げた。欧米メーカーのOEMによる下請けから、自社ブランドのスポーツバイク生産へと方向転換した経営方針や、トヨタに学んだ生産方式を取り入れた手腕が評価されている。
9年前、多くの老人病を患い、引退を考えた73歳で台湾一周に挑戦し、完走。その模様がメディアで大きく伝えられ、台湾全土に国民的な自転車ブームを巻き起こした。2014年には80歳での2度めの台湾一周を成し遂げた。現代の自転車産業界のリーダーとして、またサイクリングの普及を呼びかける「伝道師」として尊敬を集める存在となっている。
今回はリュー会長をはじめ、CEOのトニー・ロー氏、COOのヤング・リュー氏らジャイアント社のトップ経営陣が揃って来日。国内の自転車環境の視察とともに、守山市を拠点とした琵琶湖サイクリングを体験した。
現在82歳になるリュー会長のサイクリングを目的とした来日は、しまなみ海道を走った2012年5月に続き2回めとなる。3月にオープンしたジャイアントストア琵琶湖守山(記事)を拠点にサイクリングを体験するのが来日の大きな目的だった。
迎えるのは守山市長の宮本和宏氏と、滋賀県知事の三日月大造氏、そして地元滋賀県で自転車推進政策を進める行政と企業や民間団体の関係者らだ。4月20日、総勢43人の一行が琵琶湖畔サイクリングへと出発した。
宮本市長が先導し、リュー会長らが続くかたちで湖畔のサイクリングロードを走る一行。この日は絶好のサイクリング日和だった。マイアミ浜を抜け、近江八幡市へ。長命寺港では周辺ポタリングガイド記事でも紹介した「団喜」のまんじゅうやわらび餅、いちご大福などが供された。
港では近江鉄道グループの中型の観光船「オーミマリン」に自転車を積む工夫などが披露された。船内デッキ部に取り付けたサイクルキャリアを利用した自転車固定具などが紹介され、今後サイクリストが船を利用しやすくなる工夫が紹介された。前輪を外してキャリアに固定する方法で、デッキ部には6台ほどが積載できる。客室内や2Fデッキにも同様のキャリアを取り付けるという説明が行われた。
リュー会長とロー氏はこれをみて「丁寧な方法ではあるけれど、果たして船がそんなに揺れるのか?ということ、そのスペースなら重ねれば40台ぐらいの自転車が積めるし、前輪を外すということがサイクリストにとって良いことなのかも考えないと。大勢のグループが来ることも想定しなければ」と、具体的にアドバイスした。
その後、一行は守山市が社会実験として行ってきた「漁船タクシー」を体験した。漁船に自転車を載せて湖上を走るというこの試みは昨年来、期日限定で開催されてきた。まだ正式サービス開始前の段階ではあるが、湖上のルートで対岸をつなぎ、水の風景を楽しめること、またルートのスキップが可能なことでサイクリングのバリエーションを大きく広げてくれることになるユニークなサービスだ。
漁船に自転車を積み込み、傷つかないように固定。8人ほどのグループごとに分乗し、湖上へと走りだした一行は沖島へと向かった。人口350人が住み、クルマはゼロという島の様子を船上から眺めた。淡水湖の有人島は世界でも珍しい存在だ。
白波を立てて湖上を走る漁船タクシーは涼しく、快適だ。沖に出れば透明度の高い湖水と、岸の景色が楽しめる。水しぶきを時々浴びるが淡水なので気にはならない。
漁船タクシーはラフォーレ琵琶湖守山ホテルを湖上から眺め、琵琶湖大橋の下をくぐり、小津漁港へ。そこからは北上してホテルへと戻った。約18kmほどのミニサイクリング+湖上遊覧だったが、ビワイチ(琵琶湖一周)の一部をじゅうぶんに体験することができた。
台湾としまなみ海道にならうビワイチのこれから
台湾は今や世界の自転車先進国になっている。リュウ会長が「環台」により台湾に自転車ブームを巻き起こし、ジャイアントと関係企業による民間が政府を動かすカタチで急速に自転車道路やサイクリングターミナルの整備が進んだ。台湾全土にバイクレーンを備えた道路が広がり、2015年末には台湾一周をカバーするサイクリングロードも開通するなど台湾での自転車環境向上を後押しした。
琵琶湖周辺ではもともと「ビワイチ」サイクリングが盛んだったが、守山市と滋賀県がジャイアント・ジャパンと協業するかたちで政策によって自転車活用促進と環境向上を狙う。ジャイアントと愛媛県・広島県の協業によるしまなみ海道の成功例があり、それに次ぐ動きとして琵琶湖の今後の展開に注目したい。
キング・リュー会長「ビワイチが世界一になれる条件は揃っている」
初めての琵琶湖サイクリングを終えたリュー会長は満足気だ。サイクリングによる振興を視察し、十分な可能性を感じたようだ。しまなみ海道との違いなども訊かれ、その印象を流暢な日本語で話した。
「琵琶湖を初めて走って、その良さに満足することができました。船の体験は、観光しながら、遊びながら『こういう楽しみ方があるのか』と、とても面白かった。自転車を乗る環境については、今からつくり始めないといけないと思いました。これからやることはたくさんある。
まだ一歩遅れているけれど、ビワイチが世界一になれる条件は十分に揃っています。「サイクリング伝道師」の市長や知事が先導して素晴らしい環境をつくってくれることを期待しています。今日は皆さんと一緒に歴史を書きながら自転車に乗っている感じがしました。
日本のサイクリングはまだまだこれからです。自転車が生活文化となるには、民間企業だけでなく、政府と一緒に努力してつくっていくことが大切です。政府のポリシーをしっかり決めて、民間も一緒になって努力してください。琵琶湖はしまなみ海道とはまったく違う。景色も観光資産もまったく違っている。それぞれの環境で、時間を掛けて魅力をつくりあげていってください」。
宮本市長「自転車の魅力を再発見した台湾サイクリング しまなみに次ぐ場所と認められて嬉しい」
市民がスポーツ自転車を購入する際に補助金を支給するなど、自転車による市の活性化を推し進めてきた宮本・守山市長。先のGWには数人のグループで台湾半周約500kmを5日間で走り切った。この日は走行前の準備運動を自ら指導し、グループを先導して走った。見たところ身体が引き締まり、精悍なサイクリストという印象にもなった。
宮本市長は言う。「環台(ファンダオ=台湾一周)を2度完走されたリュー会長の、自転車でライフスタイルを変えた姿勢に感銘を受けました。私も台湾半周を走って自分の体力と精神力に自信が持てたし、初めて会った人とも一緒にペダルを漕げばすぐに友だちになれるという自転車の魅力を再確認することができました。
リュー会長に琵琶湖が『しまなみ海道に次ぐ場所』として注目されるのは嬉しいこと。自転車が安全に走れるビワイチの環境を、知事やジャイアントの皆さんらとともに整備して、これから世界中から多くの人を招くことができるサイクリングの聖地にしていきたい」。
三日月知事「滋賀県全体で自転車の利用促進とビワイチ環境を整備したい」
宮本市長の政策に共鳴し、県としても自転車振興をすすめることを決めた三日月・滋賀県知事。この日は前日に守山ストアで購入したジャイアント・アルペシンのサイクルウェアに身を包み、初めてのカーボンバイクに乗ってサイクリングを体験した。
「滋賀では5年前からサイクル推進協議会を立ち上げ、いろいろな分野と協力してサイクリングを盛り上げていくことを決めました。環境のため、健康のため、自転車を活用して人に優しい街づくりを進めています。この2月に県議会で、自転車の安全走行や自転車を通じた活性化に関する条例を作りました。
滋賀県では、モノだけではない、新しい豊かさを追求しようとする動きを進めています。サイクリングで豊かな人生、ビワイチで新しい文化を創造していくために、自転車を一人でも多くの人に楽しんでいただける環境づくりをすすめます。
ご一緒したリュー会長は健脚でした。会長が健康で居るのも、サイクリングで環台をしたから。リュウ会長に『日本一、世界一になれる』とおっしゃってくださったビワイチを、もっともっとPRして広めていきたい」。
ジャイアント中村社長「リュー会長の走ったところは必ずサイクリング聖地になる」
ジャイアントジャパンの中村晃社長は言う。「滋賀での展開は、自転車の販売や利益などを考えておらず、この地にサイクリングが普及すればいいと思っています。商売よりもまず自転車文化を作ること。それがジャイアントの経営理念です。劉会長が走られたところは、必ずサイクリングの聖地として人気が出てくるんです。地元の方々と協力してより良い環境をつくっていくことに尽力したいと思っています」。
サイクリングパラダイスを目指す守山市と滋賀県の事業展開
滋賀県(守山市・大津市・高島市・米原市)は、民間団体と連携し、サイクルステーション等の施設や自転車道・ビワイチコース環境の整備をより一層進め、サイクリングを通じて滋賀県の魅力発信や地域の活性化を進めていくことを発表している。守山市および滋賀県が発表している事業案は主に以下の項目だ。
守山市の取り組み(資料より抜粋)
琵琶湖や守山市で活動する自転車愛好家が自転車による楽しみを広げ、行政や企業と連携して自転車による健康増進、観光振興、経済活性化、環境にやさしいまちづくり等を実現することを目的とする「びわ湖守山・自転車新文化推進協議会」を設立。6月1日に設立総会を行う。
守山市の加速化交付金事業として、サイクルステーションや周辺の公園路の整備などの「ビワイチ守山」周辺環境調査・整備事業を行う。
「ビワイチ」サイクリスト移動支援事業として、漁船タクシー等の湖上交通を活用した独自の魅力創出。サイクルステーションまでの交通アクセスの充実により、北部地域への積極的な誘客を推進する。
「ビワイチ守山」を積極的にPRして守山市の知名度を高める。サイクリングマップ作成や多言語の案内も充実させ、集客とインバウンド拡大を目指す。
滋賀県の取り組み(資料より抜粋)
1.自転車の利用環境を整備
・東の玄関口である米原駅にサイクルステーションを整備する。
・広域レンタサイクルの拠点づくりを進める。
・自転車利用者のサポート拠点を整備する。
2.サイクルツーリズム(自転車観光)環境を整備
・誰もがわかりやすい表示を検討する。
・おすすめルートを開発し、ツアーガイドを養成する。
・多言語サイクリングマップを作成する。
3.安心・安全な走行環境を整備
・ブルーライン、青矢羽などの設置を進める。
・走行に快適な路面の整備を進める。
4.NPO法人や民間企業とのコラボによる盛り上げ
・自転車搭載船の運航など、湖上交通を活用する。
・広域レンタサイクルの仕組づくりをともに進める。
・各団体からの情報発信で盛り上げる。
photo&text:綾野 真/Makoto.AYANO
photo:井上六郎/Rokuro.Inoue
Amazon.co.jp