2012/12/28(金) - 09:28
2012年12月26日、ベルギーのヒュースデン・ゾルダーでUCIシクロクロスワールドカップ第6戦が開催。世界チャンピオンとのマッチレースをスヴェン・ネイス(ベルギー、ランドバウクレジット)が制した。女子レースでは豊岡英子(パナソニックレディース)が自身最高の24位に入っている。
アルベルトを力とテクニックで下したネイス
ベルギー東部に位置するゾルダーサーキットを舞台にしたワールドカップ第6戦。過去にF1グランプリも開催されたサーキットの舗装路と、隣接する立体的な林が組み合わされたコースが特徴だ。
高速化する舗装路とテクニカルな林区間。その2つを繋ぐ崖のようなキャンバー。レースは序盤から高速化した。
スタートとともに小柄なラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンク・ジャイアント)が矢のように飛び出し、これにゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)やトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)、ラドミール・シムネク(チェコ、BKCPパワープラス)、そしてネイスとアルベルトが追従する。
一方、前年度のゾルダー覇者で、第5戦を制してUCIワールドカップリーダーまで11ポイント差に迫っていたケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・レヴォル)はスタートから出遅れる。パウエルスは20番手ほどに沈んだ状態で1周目を消化。そこからじわりじわりと順位を上げた。
2周目に入ると先頭はアルベルト、メーウセン、ネイスの3人に絞られ、3周目にはアルベルトとネイスのランデブー走行がスタート。その後方の3番手パックは、昨シーズンからロードレースに本腰を入れているスティバルが積極的に牽引。パウエルスはこの3番手パックに合流したが、前を行くアルベルトとネイスの背中は最後まで見えなかった。
先頭2人は付かず離れず周回を消化。林のテクニカル区間でネイスが先行するシーンが多く見られたが、決定的なギャップは生まれない。2人のまま最終周回に入った。
キャンバーを横切る区間で仕掛けたのはネイス。傾き、滑りやすいキャンバーを乗車でクリアしたネイスに対し、アルベルトは降車してバイクを押す。そこから踏み倒したネイスが、アルベルトを振り切ってゴールした。
「今日のコースは自分向きだった。最終周回は一か八かで、転倒しないことを祈りながら目を閉じてキャンバーの下りに突っ込んだよ」と、勝利したネイスは語る。UCIワールドカップ3勝目を飾り、アルベルトと同ポイントでUCIワールドカップリーダーの座に就いた。
アメリカ・ルイヴィルで開催される世界選手権についてネイスは「病気や怪我が無い限り、良い走りが出来ると思う。でもまだまだ1ヶ月先の話。今はレースで勝ち続けたい」とコメントしている。
「クリスマスの日に勝てないというジレンマがあるんだ。最後は脚が残っていなかった。自分はある区間でペースが遅く、そこで勝負がついた」と話すのは、敗れたアルベルト。3位に入ったスティバルは「今日のコースは自分には速くてテクニカルすぎた。年明けからまたロードに打ち込むので、世界選手権には出場しない。でも父親がオーガナイザーを務めるチェコ選手権には出場するよ」とコメントを残している。(選手コメントはベルギーのSporzaより)
フォスが圧勝 豊岡英子が4分55秒遅れの24位
エリート女子レースは、マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)が圧倒的な力を披露。下位を1分以上引き離す独走で今シーズンのUCIワールドカップ初勝利を飾った。連勝が4でストップしたケイティ・コンプトン(アメリカ、トレックシクロクロスコレクティブ)が2位。
そしてUCIワールドカップ2戦目の豊岡英子が4分55秒遅れの24位に。自身最高位をマークした豊岡は以下のようにコメントしている。
「とりあえずケガなく無事に走りきることを考えて、ワクワクした気持ちでスタートしました。走っている最中は、順位がまったくわからなかったので、まさか24位とは思わなかった。とにかく1つ1つのセクションをていねいに走っていました。ゾルダーもやはりテクニックがいるコースなので、集中して走っていただけです。
下りで前の子が遅くて、接触というのはあったけど、そこまでヘンなミスはしていません。ラスト2周は本当にお腹が痛くなるくらいキツかったけど、スタートからうまくいったので、この成績には自分でもビックリしています。
去年までは、V字やキャンバーの登りとか全然登れなかったけど、今年は登れる。とくにテクニックの練習をしているわけではなく、なんで走れるようになったのか自分でもわからないくらい。
今までは難しい下りだと下りきることで精一杯だったけど、今は下り始めたときに、その先を見れるようになった。いかに1番いいところで、スピードを乗せたまま次のセクションにつなげられるか考えながら下っている自分がいる。目線が変わって、視界が広くなっている感覚がある。コースもよく見れているし、周りの選手もよく見れている。
今までは成績を出さなきゃっていうことでいっぱいだった。今も成績は大事だけど、自分の実力を試したいという気持ちが強い。だから、テクニックの必要なコースが楽しんです。
1月1日まで3レース続くけど、ワールドカップではないので、より気楽に楽しんで走れる気がします。
ナミュールのあとは本当に疲れていたけど、こっちのレースにも慣れて、今回はいまのところレースの疲れも大丈夫。ただ、これから体調には本当に気をつけて、レース活動をしていきたい。レースを無事に続けられることを第一に考えていきたいと思います。」
UCIシクロクロスワールドカップ2012-2013第6戦結果
エリート男子
1位 スヴェン・ネイス(ベルギー、ランドバウクレジット) 1h05'15"
2位 ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス) +16"
3位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) +33"
4位 ラドミール・シムネク(チェコ、BKCPパワープラス) +41"
5位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・レヴォル) +46"
6位 ロブ・ピータース(ベルギー、テレネット・フィデア) +50"
7位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンク・ジャイアント)
8位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +58"
9位 バルト・アールノウト(ベルギー、AAドリンクシクロクロス) +1'05"
10位 マルセル・マイセン(ドイツ、BKCPパワープラス) +1'13"
エリート女子
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク) 39'36"
2位 ケイティ・コンプトン(アメリカ、トレックシクロクロスコレクティブ) +1'10"
3位 サンヌ・カント(ベルギー、フェルトリトアカデミーエネルテムBKCP) +1'15"
24位 豊岡英子(日本、パナソニックレディース) +4'55"
text:Kei Tsuji
interview:Sonoko Tanaka
photo:Riccardo Scanferla, Sonoko Tanaka
アルベルトを力とテクニックで下したネイス
ベルギー東部に位置するゾルダーサーキットを舞台にしたワールドカップ第6戦。過去にF1グランプリも開催されたサーキットの舗装路と、隣接する立体的な林が組み合わされたコースが特徴だ。
高速化する舗装路とテクニカルな林区間。その2つを繋ぐ崖のようなキャンバー。レースは序盤から高速化した。
スタートとともに小柄なラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンク・ジャイアント)が矢のように飛び出し、これにゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)やトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)、ラドミール・シムネク(チェコ、BKCPパワープラス)、そしてネイスとアルベルトが追従する。
一方、前年度のゾルダー覇者で、第5戦を制してUCIワールドカップリーダーまで11ポイント差に迫っていたケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・レヴォル)はスタートから出遅れる。パウエルスは20番手ほどに沈んだ状態で1周目を消化。そこからじわりじわりと順位を上げた。
2周目に入ると先頭はアルベルト、メーウセン、ネイスの3人に絞られ、3周目にはアルベルトとネイスのランデブー走行がスタート。その後方の3番手パックは、昨シーズンからロードレースに本腰を入れているスティバルが積極的に牽引。パウエルスはこの3番手パックに合流したが、前を行くアルベルトとネイスの背中は最後まで見えなかった。
先頭2人は付かず離れず周回を消化。林のテクニカル区間でネイスが先行するシーンが多く見られたが、決定的なギャップは生まれない。2人のまま最終周回に入った。
キャンバーを横切る区間で仕掛けたのはネイス。傾き、滑りやすいキャンバーを乗車でクリアしたネイスに対し、アルベルトは降車してバイクを押す。そこから踏み倒したネイスが、アルベルトを振り切ってゴールした。
「今日のコースは自分向きだった。最終周回は一か八かで、転倒しないことを祈りながら目を閉じてキャンバーの下りに突っ込んだよ」と、勝利したネイスは語る。UCIワールドカップ3勝目を飾り、アルベルトと同ポイントでUCIワールドカップリーダーの座に就いた。
アメリカ・ルイヴィルで開催される世界選手権についてネイスは「病気や怪我が無い限り、良い走りが出来ると思う。でもまだまだ1ヶ月先の話。今はレースで勝ち続けたい」とコメントしている。
「クリスマスの日に勝てないというジレンマがあるんだ。最後は脚が残っていなかった。自分はある区間でペースが遅く、そこで勝負がついた」と話すのは、敗れたアルベルト。3位に入ったスティバルは「今日のコースは自分には速くてテクニカルすぎた。年明けからまたロードに打ち込むので、世界選手権には出場しない。でも父親がオーガナイザーを務めるチェコ選手権には出場するよ」とコメントを残している。(選手コメントはベルギーのSporzaより)
フォスが圧勝 豊岡英子が4分55秒遅れの24位
エリート女子レースは、マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)が圧倒的な力を披露。下位を1分以上引き離す独走で今シーズンのUCIワールドカップ初勝利を飾った。連勝が4でストップしたケイティ・コンプトン(アメリカ、トレックシクロクロスコレクティブ)が2位。
そしてUCIワールドカップ2戦目の豊岡英子が4分55秒遅れの24位に。自身最高位をマークした豊岡は以下のようにコメントしている。
「とりあえずケガなく無事に走りきることを考えて、ワクワクした気持ちでスタートしました。走っている最中は、順位がまったくわからなかったので、まさか24位とは思わなかった。とにかく1つ1つのセクションをていねいに走っていました。ゾルダーもやはりテクニックがいるコースなので、集中して走っていただけです。
下りで前の子が遅くて、接触というのはあったけど、そこまでヘンなミスはしていません。ラスト2周は本当にお腹が痛くなるくらいキツかったけど、スタートからうまくいったので、この成績には自分でもビックリしています。
去年までは、V字やキャンバーの登りとか全然登れなかったけど、今年は登れる。とくにテクニックの練習をしているわけではなく、なんで走れるようになったのか自分でもわからないくらい。
今までは難しい下りだと下りきることで精一杯だったけど、今は下り始めたときに、その先を見れるようになった。いかに1番いいところで、スピードを乗せたまま次のセクションにつなげられるか考えながら下っている自分がいる。目線が変わって、視界が広くなっている感覚がある。コースもよく見れているし、周りの選手もよく見れている。
今までは成績を出さなきゃっていうことでいっぱいだった。今も成績は大事だけど、自分の実力を試したいという気持ちが強い。だから、テクニックの必要なコースが楽しんです。
1月1日まで3レース続くけど、ワールドカップではないので、より気楽に楽しんで走れる気がします。
ナミュールのあとは本当に疲れていたけど、こっちのレースにも慣れて、今回はいまのところレースの疲れも大丈夫。ただ、これから体調には本当に気をつけて、レース活動をしていきたい。レースを無事に続けられることを第一に考えていきたいと思います。」
UCIシクロクロスワールドカップ2012-2013第6戦結果
エリート男子
1位 スヴェン・ネイス(ベルギー、ランドバウクレジット) 1h05'15"
2位 ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス) +16"
3位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) +33"
4位 ラドミール・シムネク(チェコ、BKCPパワープラス) +41"
5位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・レヴォル) +46"
6位 ロブ・ピータース(ベルギー、テレネット・フィデア) +50"
7位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ラボバンク・ジャイアント)
8位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +58"
9位 バルト・アールノウト(ベルギー、AAドリンクシクロクロス) +1'05"
10位 マルセル・マイセン(ドイツ、BKCPパワープラス) +1'13"
エリート女子
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク) 39'36"
2位 ケイティ・コンプトン(アメリカ、トレックシクロクロスコレクティブ) +1'10"
3位 サンヌ・カント(ベルギー、フェルトリトアカデミーエネルテムBKCP) +1'15"
24位 豊岡英子(日本、パナソニックレディース) +4'55"
text:Kei Tsuji
interview:Sonoko Tanaka
photo:Riccardo Scanferla, Sonoko Tanaka
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