2012/12/26(水) - 23:57
高性能レーシングタイヤとして高い評価を得るパナレーサーのフラッグシップモデル、RACEシリーズ。2013年モデルからはラインナップはそのままに、コンパウンドを改良して進化を果たした。今回はそのチューブラータイヤ、「RACE A EVO2 チューブラー」のテストを行なった。
今回のモデルチェンジでは、天候を問わずに高いグリップ性能を発揮する「ZSGデュアルコンパウンド」に改良が加えられ、耐カット性能、耐磨耗性能が約20%向上させたことでパンクのリスク軽減と信頼性を高めることに成功した事が特徴に挙げられる。パナレーサーがサポートするソール・ソジャサンチームや、国内強豪チームらと共同開発が行われ、プロトタイプが2012年のツール・ド・フランスを走ったこともトピックスだ。
内蔵されるチューブには、ラテックスよりもエア保持性が良く、衝撃吸収性能や路面追従性に優れたパナレーサーの高機能軽量チューブ「R-AIR」を採用。ケーシングもチューブラーの設計に合わせて専用コードを使用するなど、メイド・イン・ジャパンの技術を結集した仕様となっている。
タイヤサイズは、現在のスタンダードレーシングスペックとも言える700×23c。重量は280gと十分に軽量で、ゴールドのロゴもインパクトの強い仕上がりとなっている。
早速テストライダー両氏によるインプレッションをお届けしよう。
―インプレッション
「グリップ感が抜群。タイヤの差で勝負が分かれるようなレースにこそ向く」西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
とにかくグリップ感が抜群ですね。どんなに倒しこんでいっても、まだ余裕があると感じさせてくれる、安心感をもたらしてくれるタイヤです。チューブラーはそこまでハイグリップの製品が少ない中で、高性能クリンチャータイヤに匹敵するほどのグリップを保持していることがとにかく印象的です。
サイドのしなやかさでグリップさせる往年のタイヤとは一線を画していて、コンパウンド表面で路面に食いついています。レーシング機材として待望のタイヤ、こういったタイヤができてくるのを待っていました。
反面、従来からの「チューブラーらしさ」というのは希薄かもしれません。全体的にカッチリと剛性が高く、チューブラーですがクリンチャーのようなゴツゴツとした硬い乗り心地です。「チューブラーらしさ」を求める方が乗った場合、イメージとかなり異なるフィーリングですので、驚いてしまうかもしれません。ただ、それが良さを生み出している点であるし、レーシング機材としてなら「これしかない」と言えるほどですね。
成形も前作に比べると良い方向に進化していて、仕上がりもかなりスムーズに完成されていますね。
グリップ重視のコンパウンドとしている分、路面抵抗はやや大きめです。直線を走っている際はそんなに感じませんが、ダンシングでタイヤをこじると路面に常に引っかかるイメージですね。しかしそれはグリップの高さを証明するものでもあります。
レース機材としてみた場合、コースの難易度が高ければ高いほどこのタイヤの真価が発揮されてくるでしょう。転がり抵抗の軽さが有利になる直線しか無いようなコースでは良さが見えて来ませんが、コーナーが多かったり、路面が濡れている場合、このタイヤでしか出せない良さが見えてくるでしょう。
実業団のコースで言えば、輪島や、過去の松川、そしてジャパンカップの下りなどにはベストなチョイスだと思います。トリッキーで高速コーナーがあればあるほど他の追従を許さない性能があって、安心感にも繋げてくれます。衝撃吸収性こそ良くありませんが、荒れた路面でもカバーしてくれるグリップ力があり、特に問題になるほどではありません。タイヤの差で勝負が分かれるようなレースにこそ向く、ピュアレーシングタイヤです。
「常に路面に食いつく安定感がある、新世代のチューブラータイヤ」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)
ヨーロッパブランドのタイヤはウェット路面に弱かったり、カットに対して弱かったりする場合がありますが、パナレーサーのタイヤはクリンチャーも含め、あまりそういったことがありません。濡れた群馬CSCのコーナーなどには最適の選択と感じているのですが、今回テストしたRace A EVO2もそれと同じような雰囲気を感じました。
ハードブレーキングをしたり、荒れた路面に突っ込んでみたりしたのですが、路面に弾かれることも無く、適度に路面に対して食い付きながらグリップを生み出しているという印象を受けました。グリップ力は必要にして十二分な印象です。とても安心感がありますね。
低速・高速域を問わず、コーナーで倒しこんでいっても、どこまでもしっかりとエッジが掛かっているような感覚がありますね。全体的に剛性感に富んでいて、かなりグイッと曲がっても横潰れしてしまう印象が皆無です。
直線を走っているのと同じトレッド面が、コーナリング中も常に路面と接していて、その点も伝統的なチューブラータイヤとは大きく異なります。ダンシングで前荷重になっても潰れて抵抗になってしまう雰囲気も希薄で、挙動としてシビアながら安定感を感じたポイントです。
チューブもオリジナルのR-Airということで空気の抜けも少ないですね。前作のチューブラーを使っていましたが、一般的なブチルチューブより当然しなやかな乗り味がありますし、一日中走っても午後に空気を足す必要もありませんね。転がり抵抗はとても少なく感じました。新世代のチューブラータイヤですね。
パナレーサー RACE A(all around)EVO2 チューブラー
サイズ&重量: 700x23mm(280g)
サイドカラー:ブラック
価 格:9,890円(税込)
西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。主なリザルトはツール・ド・おきなわ市民200km優勝、ジャパンカップアマチュアレース優勝など。2007年の実業団小川大会では、シマノの野寺秀徳、狩野智也を抑えて優勝している。まさに「日本最速の店長」だ。
サイクルポイント オーベスト
戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)
1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
OVER-DOバイカーズサポート
ウェア協力:BIEMME(ビエンメ)
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano
今回のモデルチェンジでは、天候を問わずに高いグリップ性能を発揮する「ZSGデュアルコンパウンド」に改良が加えられ、耐カット性能、耐磨耗性能が約20%向上させたことでパンクのリスク軽減と信頼性を高めることに成功した事が特徴に挙げられる。パナレーサーがサポートするソール・ソジャサンチームや、国内強豪チームらと共同開発が行われ、プロトタイプが2012年のツール・ド・フランスを走ったこともトピックスだ。
内蔵されるチューブには、ラテックスよりもエア保持性が良く、衝撃吸収性能や路面追従性に優れたパナレーサーの高機能軽量チューブ「R-AIR」を採用。ケーシングもチューブラーの設計に合わせて専用コードを使用するなど、メイド・イン・ジャパンの技術を結集した仕様となっている。
タイヤサイズは、現在のスタンダードレーシングスペックとも言える700×23c。重量は280gと十分に軽量で、ゴールドのロゴもインパクトの強い仕上がりとなっている。
早速テストライダー両氏によるインプレッションをお届けしよう。
―インプレッション
「グリップ感が抜群。タイヤの差で勝負が分かれるようなレースにこそ向く」西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
とにかくグリップ感が抜群ですね。どんなに倒しこんでいっても、まだ余裕があると感じさせてくれる、安心感をもたらしてくれるタイヤです。チューブラーはそこまでハイグリップの製品が少ない中で、高性能クリンチャータイヤに匹敵するほどのグリップを保持していることがとにかく印象的です。
サイドのしなやかさでグリップさせる往年のタイヤとは一線を画していて、コンパウンド表面で路面に食いついています。レーシング機材として待望のタイヤ、こういったタイヤができてくるのを待っていました。
反面、従来からの「チューブラーらしさ」というのは希薄かもしれません。全体的にカッチリと剛性が高く、チューブラーですがクリンチャーのようなゴツゴツとした硬い乗り心地です。「チューブラーらしさ」を求める方が乗った場合、イメージとかなり異なるフィーリングですので、驚いてしまうかもしれません。ただ、それが良さを生み出している点であるし、レーシング機材としてなら「これしかない」と言えるほどですね。
成形も前作に比べると良い方向に進化していて、仕上がりもかなりスムーズに完成されていますね。
グリップ重視のコンパウンドとしている分、路面抵抗はやや大きめです。直線を走っている際はそんなに感じませんが、ダンシングでタイヤをこじると路面に常に引っかかるイメージですね。しかしそれはグリップの高さを証明するものでもあります。
レース機材としてみた場合、コースの難易度が高ければ高いほどこのタイヤの真価が発揮されてくるでしょう。転がり抵抗の軽さが有利になる直線しか無いようなコースでは良さが見えて来ませんが、コーナーが多かったり、路面が濡れている場合、このタイヤでしか出せない良さが見えてくるでしょう。
実業団のコースで言えば、輪島や、過去の松川、そしてジャパンカップの下りなどにはベストなチョイスだと思います。トリッキーで高速コーナーがあればあるほど他の追従を許さない性能があって、安心感にも繋げてくれます。衝撃吸収性こそ良くありませんが、荒れた路面でもカバーしてくれるグリップ力があり、特に問題になるほどではありません。タイヤの差で勝負が分かれるようなレースにこそ向く、ピュアレーシングタイヤです。
「常に路面に食いつく安定感がある、新世代のチューブラータイヤ」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)
ヨーロッパブランドのタイヤはウェット路面に弱かったり、カットに対して弱かったりする場合がありますが、パナレーサーのタイヤはクリンチャーも含め、あまりそういったことがありません。濡れた群馬CSCのコーナーなどには最適の選択と感じているのですが、今回テストしたRace A EVO2もそれと同じような雰囲気を感じました。
ハードブレーキングをしたり、荒れた路面に突っ込んでみたりしたのですが、路面に弾かれることも無く、適度に路面に対して食い付きながらグリップを生み出しているという印象を受けました。グリップ力は必要にして十二分な印象です。とても安心感がありますね。
低速・高速域を問わず、コーナーで倒しこんでいっても、どこまでもしっかりとエッジが掛かっているような感覚がありますね。全体的に剛性感に富んでいて、かなりグイッと曲がっても横潰れしてしまう印象が皆無です。
直線を走っているのと同じトレッド面が、コーナリング中も常に路面と接していて、その点も伝統的なチューブラータイヤとは大きく異なります。ダンシングで前荷重になっても潰れて抵抗になってしまう雰囲気も希薄で、挙動としてシビアながら安定感を感じたポイントです。
チューブもオリジナルのR-Airということで空気の抜けも少ないですね。前作のチューブラーを使っていましたが、一般的なブチルチューブより当然しなやかな乗り味がありますし、一日中走っても午後に空気を足す必要もありませんね。転がり抵抗はとても少なく感じました。新世代のチューブラータイヤですね。
パナレーサー RACE A(all around)EVO2 チューブラー
サイズ&重量: 700x23mm(280g)
サイドカラー:ブラック
価 格:9,890円(税込)
西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。主なリザルトはツール・ド・おきなわ市民200km優勝、ジャパンカップアマチュアレース優勝など。2007年の実業団小川大会では、シマノの野寺秀徳、狩野智也を抑えて優勝している。まさに「日本最速の店長」だ。
サイクルポイント オーベスト
戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)
1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
OVER-DOバイカーズサポート
ウェア協力:BIEMME(ビエンメ)
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano
リンク
Amazon.co.jp
パナレーサー(Panaracer) 日本製 チューブ R'AIR [W/O 700x18~23C] 仏式ロングバルブ(48mm) TW720-LF-RA
パナレーサー(Panaracer)
¥1,547
パナレーサー 空気入れ 楽々ポンプゲージ付 ブラック D-8/BFP-GBG
パナレーサー(Panaracer)
Panaracer(パナレーサー) TL-3 タイヤレバー TL-3
パナレーサー(Panaracer)