ゴール2km手前のカウベルグが勝負を決した。ロード世界選手権初日のエリート男子チームタイムトライアル。秒差の拮抗した闘いは、オメガファーマ・クイックステップに軍配が上がった。

スタートするオメガファーマ・クイックステップスタートするオメガファーマ・クイックステップ photo:Kei Tsuji1994年以来、実に18年ぶりの開催となる世界選手権チームタイムトライアル。国対抗戦ではなく、トレードチーム(UCIチーム)による闘い。UCIプロチーム、UCIプロコンチネンタルチーム、UCIコンチネンタルチームを合わせた計32チームが、久々に復活したタイトルを懸けて闘った。

スタート地点はエリート女子と同じシッタルトの中心地で、市街地を発ち、幹線道路を走り、丘陵地帯を駆け抜け、最後は「カウベルグ」を駆け上がる。ロードレースと同様に、「カウベルグ」頂上の1.7km先にゴールが置かれている。

トップタイムで優勝したオメガファーマ・クイックステップトップタイムで優勝したオメガファーマ・クイックステップ photo:Riccardo Scanferla53.2kmコースに登場する大きな登りは3つ。「ラング・ラールベルグ(1300m・4.5%)」「ベルグスウェグ(2700m・3.3%)」「カウベルグ(1200m・5.8%)」。アップダウンとコーナーが連続するテクニカルコースだ。

グランツールのチームタイムトライアルは9人での出走で、5番目にフィニッシュした選手のタイムが反映される。しかし、世界選手権のチームタイムトライアルは6人出走で、4番目にフィニッシュした選手のタイムが反映。つまり、実質的に2人しか脱落することが許されない。

どのチームもアップダウンコースで選手を失っていき、限度ギリギリの4人でゴールする。しかし、オメガファーマ・クイックステップのみ、6人を揃えた状態でゴールに飛び込んだ。

現タイムトライアル世界チャンピオンのトニ・マルティン(ドイツ)、トム・ボーネン(ベルギー)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス)、ニキ・テルプストラ(オランダ)、ユルゲン・ファンデワール(ベルギー)、ペーター・ベリトス(スロバキア)を揃えたオメガファーマ・クイックステップは、リクイガス・キャノンデールの暫定トップタイムを1分以上も更新してみせる。先頭でゴールしたマルティンからはガッツポーズが飛び出た。

6人でゴールに飛び込むオメガファーマ・クイックステップ6人でゴールに飛び込むオメガファーマ・クイックステップ photo:Kei Tsuji

オメガファーマ・クイックステップに続く好タイムをマークするBMCレーシングチームオメガファーマ・クイックステップに続く好タイムをマークするBMCレーシングチーム photo:Kei Tsuji中間計測ポイントでオメガファーマ・クイックステップに肉薄するタイムを連発したのはBMCレーシングチーム。僅か数秒遅れの好タイムで最後の「カウベルグ」に突入したが、ここで早くも4人に絞られてしまう。

遅れ始めた最後の砦テイラー・フィニー(アメリカ)を待つために、アレッサンドロ・バッラン(イタリア)とフィリップ・ジルベール(ベルギー)が振り返りながらペースを落とす。「4番手で走りながら振り返ると後ろに誰もいなかった。タイムロスを最小限に抑えるために、より深くまで追い込むしかなかった」とフィニー。

47秒差の3位に入ったオリカ・グリーンエッジ47秒差の3位に入ったオリカ・グリーンエッジ photo:Riccardo Scanferla一人先行したティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)に、「カウベルグ」頂上でフィニー、バッラン、ジルベールの3人が合流。ゴールまでの平坦路で最後の追い込みを見せたが、オメガファーマ・クイックステップのタイムには3秒届かなかった。

後続のオリカ・グリーンエッジは47秒遅れ、そして最終走者のチームスカイは1分32秒遅れ。オメガファーマ・クイックステップが1時間03分17秒のトップタイムで優勝した。平均スピードは50.5km/h。

1分05秒差の4位 リクイガス・キャノンデール1分05秒差の4位 リクイガス・キャノンデール photo:Kei Tsuji人一倍大きな笑顔でチームメイトと喜びあったマルティンは「チーム一丸となって結果を掴んだ。常に好ペースを刻めたし、楽しんで走ることが出来たんだ。チームタイムトライアルの復活を歓迎している。チームワークが成功の鍵だったと思う。自分のレースに向けて大きなモチベーションになったよ」とコメントする。マルティンは水曜日の個人タイムトライアルで連覇を狙う。

チームを代表して表彰台で優勝トロフィーを受け取ったオメガファーマ・クイックステップのトム・ステールス監督は「4月にコースを試走し、その際にコースの映像を撮ったんだ。それ以来ずっと研究してきた。どのパートが難しいかを心得ていたし、選手たちは全てのコーナーをためらうことなく上手くこなした」と、勝利の秘訣を明かした。

オメガファーマ・クイックステップの優勝メンバー6名は、アルカンシェルのロゴの入ったチームジャージで2013年シーズンを走る。

1分08秒差の5位 ラボバンク1分08秒差の5位 ラボバンク photo:Riccardo Scanferla1分18秒差の6位 モビスター1分18秒差の6位 モビスター photo:Kei Tsuji

金メダルを獲得したオメガファーマ・クイックステップ金メダルを獲得したオメガファーマ・クイックステップ photo:Kei Tsuji


ロード世界選手権2012エリート男子チームタイムトライアル結果
1位 オメガファーマ・クイックステップ         1h03'17"
2位 BMCレーシングチーム                 +03"
3位 オリカ・グリーンエッジ                +47"
4位 リクイガス・キャノンデール             +1'05"
5位 ラボバンク                     +1'08"
6位 モビスター                     +1'18"
7位 カチューシャ                    +1'19"
8位 レディオシャック・ニッサン             +1'21"
9位 チームスカイ                    +1'32"
10位 ガーミン・シャープ                +1'35"

text&photo:Kei Tsuji in Limburg, Netherlands

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