2012/08/16(木) - 08:39
ベルギーが生んだブランド、リドレーがリリースするEXCALIBUR(エクスカリバー)が今回インプレッションを行うテストバイク。レーシングマシンとして名高いヘリウムの弟分という位置づけながら、それに見劣りしない魅力溢れる一台だ。
自転車大国・ベルギーにおいて、国を代表するトップバイクブランドがリドレーだ。ロードバイクの塗装業に端を発する比較的歴史の浅いブランドだが、自転車熱に燃えるフランドルの風土に磨かれるそのラインナップは、ハイエンドバイクはもちろんのこと、ミドルグレードやエントリーモデルまで妥協を許さない。
今回のテストマシンであるエクスカリバーは、オールラウンドレーシングモデルである「ヘリウム」の弟分に当たるバイクだ。そのデビューは2005年にまで遡る。2009年に大幅なモデルチェンジを果たし第2世代となりながらも、その基本性能の高さから高い人気を堅持している。
ルックス上はストレート形状のチューブで組まれたある意味非常に「自転車らしさのある」オーソドックスなスタイルだ。エアロダイナミクスの追求や高剛性はノアシリーズに譲るものの、エクスカリバー、そしてヘリウムはオールラウンドな性能を煮詰めた上で構築されたデザインを纏う。
フレームを形作るのは、24t、30tという2種類の弾性率の異なるカーボン素材。これをミックスし、さらに積層やレイアップスケジュールを細く管理することで、高いコストパフォーマンスを実現しながら最大限の性能を活かすことが追求されている。フロントフォークはリドレーと関係の深いフォルツァ製とし、緩いアールを描くベンド形状とされた。
フロントセクションの高い剛性や安定したコーナリング性能を生み出すため、ダウンチューブは丸断面の大口径に、そしてヘッドチューブは上側1-1/8・下側1.5インチの上下異径テーパードヘッドとされた。現代のロードバイクのスタンダードだが、熟成されたテクノロジーは安定感を求める上では欠かせないもの。
BBユニットからリアエンドにかけてモノコック製法とされ、剛性アップと軽量化を実現。その中でチェーンステーは大きなボリュームが持たされ、パワー伝達性能をキープしながら乗り心地を犠牲にせずキレのいいレスポンスを生み出すことに貢献しているという。
軽量化を求めた結果リアエンドに至るまでフルカーボン製とされ、更にクイックやハブと接触する面にはアルミプレートを仕込み、耐久性を向上させる丁寧な加工が施される。
大きなボリュームを持つ各チューブにあって、扁平加工が施された「フレキシブルシートステー」はその薄さが目立つ部分。このヘリウムより受け継ぐシステムは、乗り心地の良さと横方向への剛性強化を狙ったテクノロジーだ。プライスはフレームセットで231,000円という非常に買い求めやすい価格帯を実現した。
見た目の派手な機構こそ無いものの、オールラウンドな性能を煮詰めたエクスカリバーの性能は如何に。2人のテストライダーがその真価を検証する。
―インプレッション
「バランスが良く、ビギナーや本格的にレースに取り組みたい方にオススメ」 金子友也(YOU CAN)
第一印象として、非常にバランスの取れた自転車という印象を持ちました。全ての性能がかなりバランス良くまとめられているので、組み合わせるホイールやパーツによって印象が変わってくるようなイメージを持ちました。非常に落ち着いた性格ですので、初めての方や本格的にレースに取り組んでいきたい方に向けてオススメしたいと感じます。
剛性に関しては、同時にインプレッションを行なったノア・ファストと比較するとかなりマイルドだと感じました。突き上げも大きく感じませんでしたし、グッと踏んだ際にスピードの伸びもしっかりとあります。
下りのコーナーに関して言うと、ほんのわずかにクイックなハンドリングと感じました。ですが怖さを感じるようなピーキーさはありませんので、初心者の方でもすぐに乗り慣れることが出来るレベルです。経験から言うと、ジャパンカップのコースにある古賀志林道の下りにピッタリだと感じました。
例えばホイールをカッチリしたものに替えればヒルクライムレースにも充分に使うことができますし、踏んだ分跳ね返ってくるような硬さが無いため、ディープリムのホイールをセットして高速からの伸びを意識するようなレースにも対応してくれるでしょう。リズムを取りやすいマシンですね。
「クセの無さ」、「乗りやすさ」が良い意味でとてもあるフレームですので、これ基準に次のバイクを選んでいけば面白いのかな、と感じました。エクスカリバーに乗っていろいろなイベントやレースに出てみると良いのではないでしょう。素性が良いので、その中で走り方を覚えるのにうってつけなバイクだと思います。
「柔らかい乗り味ながらも、しっかりとパワーを伝えてくれるマシン」村上純平(YOU CAN)
私の第一印象は、柔らかいなりにしっかりとペダルに入力した力が伝わる、非常に乗りやすいバイクというものでした。自転車のグレード的にはミドルクラスですので、そういった味付けがされているのかなと思います。
ロードバイクに初めて乗る方の中で乗り心地の悪さを気にするお客様はかなり多いのですが、この自転車に関しては乗り心地が非常に良いため、そういった方に向けて強くオススメできますね。軽い力で進むことなど、ロードバイクの醍醐味を味わって頂けるかと思います。
基本的には柔らかい踏みごたえなのですが、かと言って力が逃げるロスがあるかと言うと、そのようなことは感じませんでした。柔らかい中で一番力を出すようなフレーム設計とされているのかなと感じます。非常に扱いやすいと言えます。
ウィークポイントを強いて言うのならば、ダウンヒルの高速コーナーでハンドルが踊ってしまうような間隔を覚えました。ほんのわずかな事ですが、例えばシビアなコーナリングが求められるレースシーンで、バイクの扱いに慣れない方がいきなり乗ってしまうと慌ててしまうかなと。ですが慣れの範囲ですので、大きな問題ではまったくありませんね。
シンプルなフレームワークですが、ここからその素直な乗り味が生み出されていると感じます。この価格帯の中においてはかなり光る存在と言ってしまって良いでしょう。
上りに関して言うと、マイルドな特性のために、ダンシングでグイグイと走らせるよりも、シッティングかつ高ケイデンスでクリアした方が良いと感じました。振動吸収はさすがリドレーの得意とする分野で、かなりレベルは高いですね。
初心者から中級者まで、ロングライドから楽しんで走るレースまで、比較的幅広い方々にマッチするバイクだと思います。
リドレー EXCALIBUR
フレーム素材:30ton.24tonハイモジュラスカーボン
ヘッドセット:上側1-1/8・下側1.5インチ
重 量:998g(フレーム単体)
カラー:1204A-Red,1204A
サイズ:XS、S、M
価 格:231,000円(税込)
インプレライダーのプロフィール
金子友也(YOU CAN)
1987年11月27日生まれ。高校から競技を始め、チームユーキャン、ブリヂストンエスポワール、チームブリヂストンアンカーに所属し、国内、アジアツアー、ヨーロッパレースに参戦。全日本選手権U23で6位、フランス第2カテゴリー優勝。西日本実業団選手権BR-1優勝、実業団in石川JPT 9位などの実績を持ち、ヒルクライムレースや暑い天候のサバイバルレースが得意。2012年4月からバイシクルショップユーキャンに勤務。
村上純平(YOU CAN)
鹿屋体育大学時代に全日本選手権U23で優勝。翌年からシマノレーシングに4シーズン在籍し、うち2シーズンはオランダを拠点に活動。主な戦歴はツールド北海道2010総合5位、ツールドフィリピン第2ステージ2位、ツールド台湾2011第1ステージ4位、ツールドおきなわ2011山岳賞など多数。引退後自転車に携る仕事・選手時代に得たものを生かせる環境を求めユーキャンに入社。自転車の「楽しみ」を提供するとともに、ジュニア育成にも取り組む。
YOU CAN(ユーキャン)
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
自転車大国・ベルギーにおいて、国を代表するトップバイクブランドがリドレーだ。ロードバイクの塗装業に端を発する比較的歴史の浅いブランドだが、自転車熱に燃えるフランドルの風土に磨かれるそのラインナップは、ハイエンドバイクはもちろんのこと、ミドルグレードやエントリーモデルまで妥協を許さない。
今回のテストマシンであるエクスカリバーは、オールラウンドレーシングモデルである「ヘリウム」の弟分に当たるバイクだ。そのデビューは2005年にまで遡る。2009年に大幅なモデルチェンジを果たし第2世代となりながらも、その基本性能の高さから高い人気を堅持している。
ルックス上はストレート形状のチューブで組まれたある意味非常に「自転車らしさのある」オーソドックスなスタイルだ。エアロダイナミクスの追求や高剛性はノアシリーズに譲るものの、エクスカリバー、そしてヘリウムはオールラウンドな性能を煮詰めた上で構築されたデザインを纏う。
フレームを形作るのは、24t、30tという2種類の弾性率の異なるカーボン素材。これをミックスし、さらに積層やレイアップスケジュールを細く管理することで、高いコストパフォーマンスを実現しながら最大限の性能を活かすことが追求されている。フロントフォークはリドレーと関係の深いフォルツァ製とし、緩いアールを描くベンド形状とされた。
フロントセクションの高い剛性や安定したコーナリング性能を生み出すため、ダウンチューブは丸断面の大口径に、そしてヘッドチューブは上側1-1/8・下側1.5インチの上下異径テーパードヘッドとされた。現代のロードバイクのスタンダードだが、熟成されたテクノロジーは安定感を求める上では欠かせないもの。
BBユニットからリアエンドにかけてモノコック製法とされ、剛性アップと軽量化を実現。その中でチェーンステーは大きなボリュームが持たされ、パワー伝達性能をキープしながら乗り心地を犠牲にせずキレのいいレスポンスを生み出すことに貢献しているという。
軽量化を求めた結果リアエンドに至るまでフルカーボン製とされ、更にクイックやハブと接触する面にはアルミプレートを仕込み、耐久性を向上させる丁寧な加工が施される。
大きなボリュームを持つ各チューブにあって、扁平加工が施された「フレキシブルシートステー」はその薄さが目立つ部分。このヘリウムより受け継ぐシステムは、乗り心地の良さと横方向への剛性強化を狙ったテクノロジーだ。プライスはフレームセットで231,000円という非常に買い求めやすい価格帯を実現した。
見た目の派手な機構こそ無いものの、オールラウンドな性能を煮詰めたエクスカリバーの性能は如何に。2人のテストライダーがその真価を検証する。
―インプレッション
「バランスが良く、ビギナーや本格的にレースに取り組みたい方にオススメ」 金子友也(YOU CAN)
第一印象として、非常にバランスの取れた自転車という印象を持ちました。全ての性能がかなりバランス良くまとめられているので、組み合わせるホイールやパーツによって印象が変わってくるようなイメージを持ちました。非常に落ち着いた性格ですので、初めての方や本格的にレースに取り組んでいきたい方に向けてオススメしたいと感じます。
剛性に関しては、同時にインプレッションを行なったノア・ファストと比較するとかなりマイルドだと感じました。突き上げも大きく感じませんでしたし、グッと踏んだ際にスピードの伸びもしっかりとあります。
下りのコーナーに関して言うと、ほんのわずかにクイックなハンドリングと感じました。ですが怖さを感じるようなピーキーさはありませんので、初心者の方でもすぐに乗り慣れることが出来るレベルです。経験から言うと、ジャパンカップのコースにある古賀志林道の下りにピッタリだと感じました。
例えばホイールをカッチリしたものに替えればヒルクライムレースにも充分に使うことができますし、踏んだ分跳ね返ってくるような硬さが無いため、ディープリムのホイールをセットして高速からの伸びを意識するようなレースにも対応してくれるでしょう。リズムを取りやすいマシンですね。
「クセの無さ」、「乗りやすさ」が良い意味でとてもあるフレームですので、これ基準に次のバイクを選んでいけば面白いのかな、と感じました。エクスカリバーに乗っていろいろなイベントやレースに出てみると良いのではないでしょう。素性が良いので、その中で走り方を覚えるのにうってつけなバイクだと思います。
「柔らかい乗り味ながらも、しっかりとパワーを伝えてくれるマシン」村上純平(YOU CAN)
私の第一印象は、柔らかいなりにしっかりとペダルに入力した力が伝わる、非常に乗りやすいバイクというものでした。自転車のグレード的にはミドルクラスですので、そういった味付けがされているのかなと思います。
ロードバイクに初めて乗る方の中で乗り心地の悪さを気にするお客様はかなり多いのですが、この自転車に関しては乗り心地が非常に良いため、そういった方に向けて強くオススメできますね。軽い力で進むことなど、ロードバイクの醍醐味を味わって頂けるかと思います。
基本的には柔らかい踏みごたえなのですが、かと言って力が逃げるロスがあるかと言うと、そのようなことは感じませんでした。柔らかい中で一番力を出すようなフレーム設計とされているのかなと感じます。非常に扱いやすいと言えます。
ウィークポイントを強いて言うのならば、ダウンヒルの高速コーナーでハンドルが踊ってしまうような間隔を覚えました。ほんのわずかな事ですが、例えばシビアなコーナリングが求められるレースシーンで、バイクの扱いに慣れない方がいきなり乗ってしまうと慌ててしまうかなと。ですが慣れの範囲ですので、大きな問題ではまったくありませんね。
シンプルなフレームワークですが、ここからその素直な乗り味が生み出されていると感じます。この価格帯の中においてはかなり光る存在と言ってしまって良いでしょう。
上りに関して言うと、マイルドな特性のために、ダンシングでグイグイと走らせるよりも、シッティングかつ高ケイデンスでクリアした方が良いと感じました。振動吸収はさすがリドレーの得意とする分野で、かなりレベルは高いですね。
初心者から中級者まで、ロングライドから楽しんで走るレースまで、比較的幅広い方々にマッチするバイクだと思います。
リドレー EXCALIBUR
フレーム素材:30ton.24tonハイモジュラスカーボン
ヘッドセット:上側1-1/8・下側1.5インチ
重 量:998g(フレーム単体)
カラー:1204A-Red,1204A
サイズ:XS、S、M
価 格:231,000円(税込)
インプレライダーのプロフィール
金子友也(YOU CAN)
1987年11月27日生まれ。高校から競技を始め、チームユーキャン、ブリヂストンエスポワール、チームブリヂストンアンカーに所属し、国内、アジアツアー、ヨーロッパレースに参戦。全日本選手権U23で6位、フランス第2カテゴリー優勝。西日本実業団選手権BR-1優勝、実業団in石川JPT 9位などの実績を持ち、ヒルクライムレースや暑い天候のサバイバルレースが得意。2012年4月からバイシクルショップユーキャンに勤務。
村上純平(YOU CAN)
鹿屋体育大学時代に全日本選手権U23で優勝。翌年からシマノレーシングに4シーズン在籍し、うち2シーズンはオランダを拠点に活動。主な戦歴はツールド北海道2010総合5位、ツールドフィリピン第2ステージ2位、ツールド台湾2011第1ステージ4位、ツールドおきなわ2011山岳賞など多数。引退後自転車に携る仕事・選手時代に得たものを生かせる環境を求めユーキャンに入社。自転車の「楽しみ」を提供するとともに、ジュニア育成にも取り組む。
YOU CAN(ユーキャン)
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
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