2011年4月13日、ベルギーで第51回ブラバンツ・ペイル(UCI1.HC)が開催。終盤に抜け出した2人によるスプリント勝負で、フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が勝利した。派手にクラッシュした土井雪広(スキル・シマノ)はリタイア。今後のレースへの影響が心配される。

ブラバンツ・ペイル2011コースプロフィールブラバンツ・ペイル2011コースプロフィール photo:www.debrabantsepijl.be「ブラバントの矢」を意味するブラバンツ・ペイルは、フランドル地方を舞台にしたセミクラシックレース。このブラバンツ・ペイルを期に、ベルギー/オランダのレース熱は、起伏に富んだクラシックへと移行する。週末のアムステル・ゴールドレースを皮切りにした「アルデンヌ・クラシック」の前哨戦だ。

フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)を含む先頭グループが形成されるフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)を含む先頭グループが形成される photo:Cor Vosレースの舞台となるのは、ベルギーの首都ブリュッセル南部の丘陵地帯。200kmのコースには、合計31カ所の短い登りが設定されている。特にゴール前の12.7km周回コースはアップダウンの連続で、4つの坂が詰め込まれたこの周回を6周。最後は「シャヴェイ」を駆け上がってゴールを迎える。

今年は新城幸也(ユーロップカー)と土井雪広(スキル・シマノ)が出場。レースは前半からアタックが繰り返されたが、決定的な逃げが生まれないまま進行する。

2人で先行するフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)とビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)2人で先行するフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)とビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor Vosゴールまで65kmを残したジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)のアタックに、2009年大会覇者のアントニー・ジェラン(フランス、FDJ)やブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)、ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が合流。更にフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)も加わり、7名の先行が決まった。

先頭7名とメイン集団のタイム差は広がるばかり。ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)らが追走アタックを仕掛けたが届かず、先頭7名による勝負に持ち込まれた。

スプリントでルークマンスを破ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)スプリントでルークマンスを破ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vos最終周回が迫ると、先頭グループからルークマンスがアタックし、これにジルベールが合流。この2人はグングンと後続を引き離し、1分のリードでゴールへ。ラスト1kmから始まる「シャヴェイ」の登りで、互いを牽制し合うルークマンスとジルベール。ラスト200mから始まったスプリント勝負で、ジルベールが余裕の勝利を飾った。

ジルベールはこのブラバンツ・ペイル初優勝。昨年ジルベールはアムステル・ゴールドレースで優勝を飾っており、3連続アルデンヌ・クラシックに向けて弾みのつく勝利となった。

表彰台、左から2位ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、優勝フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、3位アントニー・ジェラン(フランス、FDJ)表彰台、左から2位ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、優勝フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)、3位アントニー・ジェラン(フランス、FDJ) photo:Cor Vos新城幸也は最終周回に入ることができずにリタイア。土井雪広はレース中盤に落車し、リタイアに終わった。全身に擦過傷を負った土井は「派手に転んでしまった。久々に痛い。前を走る選手が大きな穴にはまってバランスを崩し、それを避けることができずに自分も穴にはまって転んだ。スピードが出ていたから訳が分からなかった」と落車を振り返る。

「とりあえず骨は大丈夫なはず。明日起きて自転車に跨がって、どれだけ痛むかチェック。もし痛ければレントゲン検査を受ける。膝の皿の部分を強くヒットしてるからそこだけが心配。唇が貫通してるけど、これはすぐ治りそう。でも痛い!」

土井はアルデンヌ・クラシック2戦目のフレーシュ・ワロンヌに出場予定。その後には昨年総合6位に入ったツアー・オブ・ターキーが控えている。今年は例年にも増して走れているだけに、落車の影響による欠場は避けたいところ。「できればワロンヌは欠場したくない。早く治ることを祈っている」と語った。

レース展開はストリーミング映像より。

ブラバンツ・ペイル2011
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)     4h40'38"
2位 ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
3位 アントニー・ジェラン(フランス、FDJ)                +1'03"
4位 ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
5位 ブラム・タンキンク(オランダ、ラボバンク)              +1'04"
6位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)         +1'18"
7位 ロメン・ジングル(ベルギー、コフィディス)              +1'23"
8位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、FDJ)               +1'39"
9位 ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)           +1'41"
10位 サイモン・ゲスク(ドイツ、スキル・シマノ)              +2'19"
DNF 新城幸也(日本、ユーロップカー)
DNF 土井雪広(日本、スキル・シマノ)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos