2010/08/26(木) - 12:25
2010年8月28日から9月19日までの3週間に渡って開催される第65回ブエルタ・ア・エスパーニャ。ここでは第11ステージから3連続山岳ステージを経てマドリードに至る後半戦のコースを紹介。
9月8日(水)第11ステージ
ビラノバ・イ・ラ・ヘルトル〜アンドラ(バルノル・セクトル・パル)208.4km(頂上ゴール) →コースマップ
第65回ブエルタには6つの頂上ゴールが設定されているが、第8ステージは頂上通過後に一旦下ってゴールするため、実質的には合計5つ。この第11ステージが最初の本格的な頂上ゴールであると言える。バルセロナ近くの地中海沿いの街ビラノバ・イ・ラ・ヘルトルをスタートした一行は、一路北上してピレネー山脈へ。隣国のアンドラ公国入国後、バルノル・セクトル・パルにゴールする。標高1900mのゴール地点に至る上りは登坂距離9.9kmで平均勾配6.5%。飛び抜けて厳しい山岳とは言えないが、確実に力無き選手を総合争いの外に放り出すだろう。マイヨ・ロホが持ち主を変える可能性は高い。
9月9日(木)第12ステージ
アンドラ・ラ・ベーリャ〜リェイダ 172.5km →コースマップ
近年グランツールは国外に脚を伸ばすことが多いが、今年のブエルタはアンドラ公国が唯一の国外通過国。大会1回目の山岳決戦を終えた集団は、アンドラを離れてスペイン・カタルーニャ州に戻る。第12ステージは山岳地帯を抜けて南を目指す172.5km。前半に2級山岳が設定され、少人数の逃げグループの形成が予想される。しかし後半にかけて比較的平坦なコースが続くため、ほぼ間違いなく最後はスプリンターたちの闘いに持ち込まれるだろう。総合狙いの選手たちにとっては箸休め的なステージ。レース後半の山岳ステージに向けてこの第12、13ステージをリカバリーに充てる。
9月10日(金)第13ステージ
リンコン・デ・ソト〜ブルゴス 196km →コースマップ
ブエルタはラ・リオハ州のリンコン・デ・ソトから西を目指して196kmの旅に出る。ゴール地点はカスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス。後半にかけて2つの3級山岳が設定されているが、スプリンターの脅威になるような上りではない。2日連続で大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性が高い。翌日から本格的な山岳3連戦が始まるため、スプリンターたちのモチヴェーションは高いはず。スプリンターたちがこの第13ステージを落とすと、次のチャンスは第18ステージまで回って来ない。この頃には激化していると思われる「プントス(ポイント賞)」を懸けた闘いにも注目したい。
9月11日(土)第14ステージ
ブルゴス〜ペーニャ・カバルガ 178km(頂上ゴール) →コースマップ
ブエルタ第65回大会のマイヨ・ロホ(リーダージャージ)争いは、この第14ステージから始まる山岳3連戦で大凡の行方が決まると見られている。第14ステージはブルゴスから大西洋に向かって北上。途中2級山岳2つと3級山岳1つを越える。総合狙いの選手たちは脚を残しながらこれらの上りをクリアし、最後を締めくくるペーニャ・カバルガに挑みたいところだ。頂上ゴールが設定されたペーニャ・カバルガは登坂距離5.9kmで平均勾配9.2%。下り区間を含むため実質的な平均勾配は10%を超える。特にラスト3km区間は勾配がキツく、最大勾配は19%。距離は短いが、決して侮れない上りだ。
9月12日(日)第15ステージ
ソラレス〜ラゴス・デ・コバドンガ 187.3km(頂上ゴール) →コースマップ
第15ステージのゴール地点、アストゥリアス州のコバドンガは、かつて8世紀にキリスト教徒軍とイスラム軍が闘いを繰り広げた「コバドンガの戦い」の舞台。現在コバドンガはブエルタを代表する名峰として世界的に知られている。この日のコースレイアウトは極端で、175kmに渡る平坦路をこなした後、ラスト12kmで標高1120mまで駆け上がる。ラゴス・デ・コバドンガは登坂距離12.5km・平均勾配7.2%。刻々と勾配が変化するのがコバドンガの特徴で、特にラスト3kmを切ってからは下り区間や最大勾配15%の上り区間が登場する。日曜日だけに沿道には大勢の観客が詰めかけるはずだ。
9月13日(月)第16ステージ
ヒホン〜アルト・デ・コトベジョ 181.4km(頂上ゴール) →コースマップ
今大会最難関の山岳ステージと目されているのが、ブエルタ初登場のコトベジョ峠にゴールする第16ステージ。後半にかけて1級山岳が3つ連続して登場するのだ。サンロレンソ峠、コベルトリア峠、コトベジョ峠はいずれもカテゴリー1級で、標高は1200m前後。ジロやツールで登場するような2000mオーバーの峠ではないが、登坂距離は10km前後で、平均勾配はどれも8%を超える。上りを進むにつれて集団は人数を減らして行くだろう。最後に待ち構えるコトベジョ峠は登坂距離10km・平均勾配8.1%。コンスタントに8%オーバーの上りが続く厳しい峠。ここでマイヨ・ロホ争いは激化する。
9月14日(火)休息日
9月15日(水)第17ステージ
ペニャフィエル 46km(個人TT) →コースマップ
山岳3連戦と2回目の休息日を終え、ブエルタは終着地マドリードに向かって南下を始める。第17ステージは2010年大会唯一の個人タイムトライアル。ペニャフィエルを発着する46kmコースが用意された。コースは驚くほど平坦で、道幅があり、しかも直線基調。コーナリングテクニックや登坂力は必要なく、ただひたすら平地を踏み抜く脚力が要求される。重量級のTTスペシャリストたちがステージ優勝を争うことになりそうだ。その一方で、山岳ステージで活躍したクライマーたちにとってこの日は辛抱どころ。山岳で遅れていた選手がこの個人TTでタイムを挽回し、上位に返り咲くことも考えられる。平坦な46kmは総合成績を大きく変動させる可能性を秘めている。
9月16日(木)第18ステージ
バリャドリッド〜サラマンカ 148.9km →コースマップ
148.9kmで行なわれる第18ステージは今大会最短コース(最終ステージとタイムトライアルを除く)。しかもカテゴリー山岳が一つも設定されておらず、コースの難易度的には最低ランクだ。カスティーリャ・イ・レオン州の州都バリャドリッドをスタート後、緩やかなアップダウンを繰り返しながらユネスコ世界遺産に登録された街サラマンカを目指す。十中八九、サラマンカでは大集団でのゴールスプリント勝負に持ち込まれるはずだ。第20ステージに備えてリカバリーに励む総合上位陣は、付近一帯に吹き付ける強風に細心の注意を必要がある。風が思わぬドラマを生む可能性も。
9月17日(金)第19ステージ
ピエドライタ〜トレド 231.2km →コースマップ
重要な山岳決戦を翌日に控えた第19ステージは、今大会最長の231.2kmで行なわれる。スタート後すぐに始まる2級山岳チア峠で逃げグループが形成されるだろう。この上りで飛び出した選手は、延々5〜6時間に渡って逃げ続けることになりそうだ。しかしコースの大部分は平坦基調であり、スプリンターたちがこのチャンスを逃すはずはない。イスラム教やキリスト教の文化が交錯する世界遺産の街トレドに向かってスプリンターチームが大集団を率いるだろう。しかしトレドの街に至るルートは複雑で、細かいアップダウンもある。総合で大きく遅れた選手が逃げた場合は、スプリンターチームを振り切る劇的な逃げが決まることも考えられる。
9月18日(土)第20ステージ
サンマルティン・デ・バルデイグレシアス〜ボラ・デル・ムンド 172.1km(頂上ゴール) →コースマップ
マイヨ・ロホ争いは、ブエルタ初登場のボラ・デル・ムンドで決す。レースは中盤にかけて1級山岳レオン峠(登坂距離7.8km・平均勾配6.9%)と1級山岳ナバセラーダ峠(登坂距離7km・平均勾配7.5%)が連続して登場。最後にナバセラーダ峠を反対側から上り返し、峠の頂上から更に3km上ってボラ・デル・ムンドにゴールする。今大会最高地点であるボラ・デル・ムンドは登坂距離22kmで平均勾配6.1%。特にラスト2kmを切ってからの勾配がキツく、平均勾配は10%を超え、場所によっては20%に達する区間も。アスファルトではなくセメント路面の急坂が、ブエルタの第65代チャンピオンを選び出す。
9月19日(日)第21ステージ
サンセバスティアン・デ・ロス・レジェス〜マドリード 85km →コースマップ
グランツールの最終日は決まってスローペースで終着地に向かう凱旋ステージ。3週間の闘いを終えんとする選手たちが、互いの健闘を讃え、そして勝者を祝いながら首都マドリードに向かう。例年シベレス広場を中心にした1周6kmの直線的な周回コースが使用されていたが、今年から周回コースがT字形の5.7kmに変更。3つの180度コーナーと2つの90度コーナーを含むこの周回を12周して、3週間・3400kmに及ぶ闘いに終止符が打たれる。どのグランツールも最終日の勝利は特別な存在。マドリードでの栄光目がけ、スプリンターたちが最後のバトルを繰り広げる。
text:Kei Tsuji
image:lavuelta.com
9月8日(水)第11ステージ
ビラノバ・イ・ラ・ヘルトル〜アンドラ(バルノル・セクトル・パル)208.4km(頂上ゴール) →コースマップ
第65回ブエルタには6つの頂上ゴールが設定されているが、第8ステージは頂上通過後に一旦下ってゴールするため、実質的には合計5つ。この第11ステージが最初の本格的な頂上ゴールであると言える。バルセロナ近くの地中海沿いの街ビラノバ・イ・ラ・ヘルトルをスタートした一行は、一路北上してピレネー山脈へ。隣国のアンドラ公国入国後、バルノル・セクトル・パルにゴールする。標高1900mのゴール地点に至る上りは登坂距離9.9kmで平均勾配6.5%。飛び抜けて厳しい山岳とは言えないが、確実に力無き選手を総合争いの外に放り出すだろう。マイヨ・ロホが持ち主を変える可能性は高い。
9月9日(木)第12ステージ
アンドラ・ラ・ベーリャ〜リェイダ 172.5km →コースマップ
近年グランツールは国外に脚を伸ばすことが多いが、今年のブエルタはアンドラ公国が唯一の国外通過国。大会1回目の山岳決戦を終えた集団は、アンドラを離れてスペイン・カタルーニャ州に戻る。第12ステージは山岳地帯を抜けて南を目指す172.5km。前半に2級山岳が設定され、少人数の逃げグループの形成が予想される。しかし後半にかけて比較的平坦なコースが続くため、ほぼ間違いなく最後はスプリンターたちの闘いに持ち込まれるだろう。総合狙いの選手たちにとっては箸休め的なステージ。レース後半の山岳ステージに向けてこの第12、13ステージをリカバリーに充てる。
9月10日(金)第13ステージ
リンコン・デ・ソト〜ブルゴス 196km →コースマップ
ブエルタはラ・リオハ州のリンコン・デ・ソトから西を目指して196kmの旅に出る。ゴール地点はカスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス。後半にかけて2つの3級山岳が設定されているが、スプリンターの脅威になるような上りではない。2日連続で大集団によるスプリント勝負に持ち込まれる可能性が高い。翌日から本格的な山岳3連戦が始まるため、スプリンターたちのモチヴェーションは高いはず。スプリンターたちがこの第13ステージを落とすと、次のチャンスは第18ステージまで回って来ない。この頃には激化していると思われる「プントス(ポイント賞)」を懸けた闘いにも注目したい。
9月11日(土)第14ステージ
ブルゴス〜ペーニャ・カバルガ 178km(頂上ゴール) →コースマップ
ブエルタ第65回大会のマイヨ・ロホ(リーダージャージ)争いは、この第14ステージから始まる山岳3連戦で大凡の行方が決まると見られている。第14ステージはブルゴスから大西洋に向かって北上。途中2級山岳2つと3級山岳1つを越える。総合狙いの選手たちは脚を残しながらこれらの上りをクリアし、最後を締めくくるペーニャ・カバルガに挑みたいところだ。頂上ゴールが設定されたペーニャ・カバルガは登坂距離5.9kmで平均勾配9.2%。下り区間を含むため実質的な平均勾配は10%を超える。特にラスト3km区間は勾配がキツく、最大勾配は19%。距離は短いが、決して侮れない上りだ。
9月12日(日)第15ステージ
ソラレス〜ラゴス・デ・コバドンガ 187.3km(頂上ゴール) →コースマップ
第15ステージのゴール地点、アストゥリアス州のコバドンガは、かつて8世紀にキリスト教徒軍とイスラム軍が闘いを繰り広げた「コバドンガの戦い」の舞台。現在コバドンガはブエルタを代表する名峰として世界的に知られている。この日のコースレイアウトは極端で、175kmに渡る平坦路をこなした後、ラスト12kmで標高1120mまで駆け上がる。ラゴス・デ・コバドンガは登坂距離12.5km・平均勾配7.2%。刻々と勾配が変化するのがコバドンガの特徴で、特にラスト3kmを切ってからは下り区間や最大勾配15%の上り区間が登場する。日曜日だけに沿道には大勢の観客が詰めかけるはずだ。
9月13日(月)第16ステージ
ヒホン〜アルト・デ・コトベジョ 181.4km(頂上ゴール) →コースマップ
今大会最難関の山岳ステージと目されているのが、ブエルタ初登場のコトベジョ峠にゴールする第16ステージ。後半にかけて1級山岳が3つ連続して登場するのだ。サンロレンソ峠、コベルトリア峠、コトベジョ峠はいずれもカテゴリー1級で、標高は1200m前後。ジロやツールで登場するような2000mオーバーの峠ではないが、登坂距離は10km前後で、平均勾配はどれも8%を超える。上りを進むにつれて集団は人数を減らして行くだろう。最後に待ち構えるコトベジョ峠は登坂距離10km・平均勾配8.1%。コンスタントに8%オーバーの上りが続く厳しい峠。ここでマイヨ・ロホ争いは激化する。
9月14日(火)休息日
9月15日(水)第17ステージ
ペニャフィエル 46km(個人TT) →コースマップ
山岳3連戦と2回目の休息日を終え、ブエルタは終着地マドリードに向かって南下を始める。第17ステージは2010年大会唯一の個人タイムトライアル。ペニャフィエルを発着する46kmコースが用意された。コースは驚くほど平坦で、道幅があり、しかも直線基調。コーナリングテクニックや登坂力は必要なく、ただひたすら平地を踏み抜く脚力が要求される。重量級のTTスペシャリストたちがステージ優勝を争うことになりそうだ。その一方で、山岳ステージで活躍したクライマーたちにとってこの日は辛抱どころ。山岳で遅れていた選手がこの個人TTでタイムを挽回し、上位に返り咲くことも考えられる。平坦な46kmは総合成績を大きく変動させる可能性を秘めている。
9月16日(木)第18ステージ
バリャドリッド〜サラマンカ 148.9km →コースマップ
148.9kmで行なわれる第18ステージは今大会最短コース(最終ステージとタイムトライアルを除く)。しかもカテゴリー山岳が一つも設定されておらず、コースの難易度的には最低ランクだ。カスティーリャ・イ・レオン州の州都バリャドリッドをスタート後、緩やかなアップダウンを繰り返しながらユネスコ世界遺産に登録された街サラマンカを目指す。十中八九、サラマンカでは大集団でのゴールスプリント勝負に持ち込まれるはずだ。第20ステージに備えてリカバリーに励む総合上位陣は、付近一帯に吹き付ける強風に細心の注意を必要がある。風が思わぬドラマを生む可能性も。
9月17日(金)第19ステージ
ピエドライタ〜トレド 231.2km →コースマップ
重要な山岳決戦を翌日に控えた第19ステージは、今大会最長の231.2kmで行なわれる。スタート後すぐに始まる2級山岳チア峠で逃げグループが形成されるだろう。この上りで飛び出した選手は、延々5〜6時間に渡って逃げ続けることになりそうだ。しかしコースの大部分は平坦基調であり、スプリンターたちがこのチャンスを逃すはずはない。イスラム教やキリスト教の文化が交錯する世界遺産の街トレドに向かってスプリンターチームが大集団を率いるだろう。しかしトレドの街に至るルートは複雑で、細かいアップダウンもある。総合で大きく遅れた選手が逃げた場合は、スプリンターチームを振り切る劇的な逃げが決まることも考えられる。
9月18日(土)第20ステージ
サンマルティン・デ・バルデイグレシアス〜ボラ・デル・ムンド 172.1km(頂上ゴール) →コースマップ
マイヨ・ロホ争いは、ブエルタ初登場のボラ・デル・ムンドで決す。レースは中盤にかけて1級山岳レオン峠(登坂距離7.8km・平均勾配6.9%)と1級山岳ナバセラーダ峠(登坂距離7km・平均勾配7.5%)が連続して登場。最後にナバセラーダ峠を反対側から上り返し、峠の頂上から更に3km上ってボラ・デル・ムンドにゴールする。今大会最高地点であるボラ・デル・ムンドは登坂距離22kmで平均勾配6.1%。特にラスト2kmを切ってからの勾配がキツく、平均勾配は10%を超え、場所によっては20%に達する区間も。アスファルトではなくセメント路面の急坂が、ブエルタの第65代チャンピオンを選び出す。
9月19日(日)第21ステージ
サンセバスティアン・デ・ロス・レジェス〜マドリード 85km →コースマップ
グランツールの最終日は決まってスローペースで終着地に向かう凱旋ステージ。3週間の闘いを終えんとする選手たちが、互いの健闘を讃え、そして勝者を祝いながら首都マドリードに向かう。例年シベレス広場を中心にした1周6kmの直線的な周回コースが使用されていたが、今年から周回コースがT字形の5.7kmに変更。3つの180度コーナーと2つの90度コーナーを含むこの周回を12周して、3週間・3400kmに及ぶ闘いに終止符が打たれる。どのグランツールも最終日の勝利は特別な存在。マドリードでの栄光目がけ、スプリンターたちが最後のバトルを繰り広げる。
text:Kei Tsuji
image:lavuelta.com
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