「元チームメイトを失った2018年からずっと優勝を目指していた」と、8年越しの勝利を手に入れたワウト・ファンアールトは語る。モニュメント全制覇を逃したポガチャルや、アランベールで2度のパンクに泣いたファンデルプールら、パリ〜ルーベを選手たちのコメントで振り返る。



優勝 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

アランベールで集団先頭に立ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

これは価値の大きな勝利だ。初出場した2018年大会以来、ずっと優勝を目指してきた。あのレースで僕は、かつてのチームメイトであるマイケル・ホーラールツを失った。それ以来、勝利して指を天に突き上げることを目標にしてきた。この勝利はマイケル、そして彼の家族やチームスタッフに捧ぐ。

パリ〜ルーベではこれまで何度も不運に見舞われたが、同時にその経験が力にもなった。今日ですらツイていない瞬間があったが、自分の勝利を信じ続け、それがついに優勝という結果として実を結んだ。

ここでの優勝が不可能ではないかと思う瞬間は何度もあった。だが次の日の朝には、再び戦おうという気持ちになった。世界王者とフィニッシュラインまで争い、勝つこと以上に美しい勝利なんてない。彼は王者にふさわしい強さで、僕を何度も苦しめた。そんな相手にマッチスプリントで勝てて、特別な気持ちがするよ。

スプリントでポガチャルを退けたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ヴェロドロームに入ってからは、頭の中で何度も描いてきたプラン通りに進めた。ここでのスプリントは、夢の中でも準備の中でも何度も繰り返してきた。だからどこで何をすればいいのか、正確に分かっていた。それ以上に厳しかったのは、ヴェロドロームまでたどり着くことだった。タデイ(ポガチャル)は何度もアタックを仕掛け、食らいつく度に僕の脚は限界に達した。それでも、すべてが報われた。

本当にパリ〜ルーベは混沌としたレースで、フィニッシュにたどり着く選手それぞれが自分だけの物語を持っている。だからこそこのレースは美しい。厳しいレースだが、今日の僕にとっては最高のレースだ。

2位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

飛び出したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)に、唯一追従したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

今日は運がなかった。だけど不運なのは僕だけじゃない。今日、3度もパンクに見舞われ、3度バイクを交換しなければならなかった。もちろん理想的な展開ではなかったが、とても強いチームのおかげでアランベールの直前に集団復帰することができた。その時点ですでに脚を使っていて、ワウト(ファンアールト)と共に先頭に立った時には、脚はフレッシュからほど遠い状態だった。

そうでなければ石畳区間で彼を引き離せたのかもしれない。だが実際にはそれはできず、スプリントで全力を尽くしたが、相手はシャンゼリゼ(ツール・ド・フランス最終ステージ)で勝つような選手だ。勝つことは難しい。

ヴェロドロームに突入し、ファンアールトの様子を伺うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

ワウトのアタックに食らいつき、僕もカウンターアタックを仕掛けた。だが彼のスマートな走りが僕の独走を許さなかった。その後は協力して進み、カルフール・ド・ラルブルでは向かい風も吹いていた。あの時点で独走に持ち込むのは、ほぼ不可能だと感じていた。スプリントでは自分の脚もスパゲッティのようで、まるで力が入らなかった。

3位 ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

追走集団のスプリントを制し、3位に入ったヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

表彰台に上がることができ、誇りに思う。パリ〜ルーベでは何度も表彰台に迫りながらも、これまで上がることができずにいた。こうしたビッグレースで結果を残すには、大きな才能が必要だ。僕自身は表彰台に上がれると信じ続け、今日は不運なくレースを進めることができた。

4位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)

追走集団を牽引し、先頭2名を追いかけるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

2度のパンクに見舞われ、先頭集団から2分を失った。それでレースはおしまいだった。ヤスペル(フィリプセン)とバイク交換するのは作戦にはなかったことだ。だけど彼自身の調子がよくなかったので、僕にバイクを差し出したのだろう。ペダルが違うことは知っていたので、アランベールを抜けるところまで走れればと思い、バイクを受け取った。だが無理だったので、ティボール(デルフロッソ)が前輪を交換してくれ、自分のバイクで走り出した。しかし2度目のパンクに見舞われ、僕のレースはそこで終わったと悟った。追走集団に戻るために力を使い、表彰台を争うスプリントができたこと自体、信じられないことだった。

ファンアールトの勝利を、永遠のライバルであるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が祝福 photo:CorVos

これまで多くの逆境を経験してきた彼(ファンアールト)の勝利は本当に素晴らしい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos