アンカーがリリースした一体型ハンドルバー「CARBON LAB AERO HANDLEBAR」は、「ただアンカーが一体型ハンドルを開発しましたよ」というだけじゃない。上尾開発、上尾生産。レーシングバイクRP9専用設計、月産僅か数本。日本のカーボン職人が開発し、送り出されるブリヂストンサイクル入魂のハイパフォーマンスハンドルバーだ。

アンカーがリリースしたRP9専用ハンドル「CARBON LAB AERO HANDLEBAR」。トラックバイク開発のノウハウを投入した逸品だ photo:Naoki Yasuoka
ブリヂストンサイクルのスポーツブランド、アンカーが2025年9月に発表した一体型ハンドルバー「CARBON LAB AERO HANDLEBAR(カーボンラボ・エアロハンドルバー)」。しかしこれは、単に「アンカーがトレンドの一体型ハンドルをリリースした」というニュースの枠には収まらない。世界を獲るためのトラックバイク開発で培ったノウハウを用い、フラッグシップモデル「RP9」を真の完成形へと導くために生み出した究極の一本だ。
CARBON LAB AERO HANDLEBARは、埼玉県上尾市にあるブリヂストンサイクル本社のCARBON LAB(カーボンラボ)を舞台に、プロトタイプの製作と全く同じ工程を経て、日本の熟練職人が一本一本手作業でレイアップし、カーボンラボで仕上げられる入魂の逸品。RP9の設計と完璧に調和し、そのトータル能力を底上げするためだけに設計されている。

空気を切り裂くかのようなアグレッシブな形状。ショルダー部分の独特な形状はスプリント時に腕が当たらないようにするための工夫だ photo:Naoki Yasuoka

ドロップ部分はやや深曲がりのデザイン。低いエアロポジションを取ることが可能だ photo:Naoki Yasuoka 
510/530サイズのRP9にセットした際ハンドル上部が水平になる。ガーミン使用を前提に、画面とツライチになるように配慮された photo:Naoki Yasuoka

いかにも空力に優れた正面からのルックス photo:Naoki Yasuoka
まず目を引くのは、その研ぎ澄まされた造形だ。他社のエアロハンドルと比べても圧倒的に薄く細いスウィープ形状は、「腕が接触しやすいハンドルのショルダー部分を削ぎ落とし、スプリント時に支障なくバイクを振ることができるように」と、世界で戦うアンカーのトラックバイク開発からフィードバックされたもの。
最大の特徴は、RP9のヘッドアングル(72.8°)と完全にリンクするように設計されたシステム全体としての統合性だ。RP9に装着した際にステムからハンドル上面が完璧な水平を描くよう最適化され(510、530サイズは水平、490サイズで0.5°、440サイズで0.8°前上がりになるという)、純正のハンドルバー&ステムの組み合わせよりも時速40kmでの走行時に2.4Wの抵抗減を叶え、250Wで1時間巡航した際に650m、1100Wで踏むスプリントの場面なら10秒間で2.9mの差がつくという。
さらにレース現場で使用率の高いガーミン製のコンピュータをセットした際、コンピュータ画面とハンドル上面が完全に水平となるように設定することで前面投影面積を極限まで削ぎ落とすほか、ハンドル幅のバリエーションはトップ380mm/ドロップ400mm幅一択、ステム長も100〜120mmの3種類のみと、ありとあらゆる部分が極めて実戦的だ。

製造は全て上尾市のブリヂストンサイクル本社工場で行われる。カーボンシートの貼り付けは合計8時間も費やすという photo:ブリヂストンサイクル

カーボンラボに設置されているオートクレーブで熱を加える photo:ブリヂストンサイクル 
接着や仕上げも全て手作業だ。綿密な工程によって純正品よりも約100gの軽量化を果たしている photo:ブリヂストンサイクル
そして、このハンドルの価値はスペック表の数字はもちろんのこと、その製造工程にこそ宿っている。通常、量産品は効率を重視したラインで作られるが、このCARBON LAB AERO HANDLEBARは完全にそれらとは異なる手工芸品だ。カーボンラボ内で、わずか数名の熟練職人が一つひとつ手作業で200ピース以上のカーボンシートを積層し(積層だけで8時間も要するという)、オートクレーブで加熱、そして塗装まで全てハンドメイドで行うという、量産品の常識を覆す生産体制がとられているのだ。緻密なレイアップと厳格な品質管理を貫くため、1か月に生産できるのはわずか数本。採算よりも「アンカーとして最高最良のものを世に出す」という意地が、この一本には宿っている。

「まず何と言っても剛性が高い。トラック開発がベースになっていることが良く分かります」とCW編集スタッフの高木は評価する photo:Naoki Yasuoka
「剛性がかなり高いハンドルです。実際に乗ってみると、トラックバイクが設計ベースにあることがよく分かりますね」と、CARBON LAB AERO HANDLEBARをセットした往年のアンカーを彷彿させる新色「レーシングアンドロメダ」のRP9に乗ったCW編集スタッフの高木は言う。
「一般的な一体型ハンドル、例えばロヴァールなどよりもハンドル全体の剛性が高いんです。堅牢だから、ハンドルに体重を預けるトラックバイクっぽい乗り方をしても安心感があるんですね」と、学生時代にトラック競技に打ち込んでいた高木は評価する。「車体との組み合わせも良い影響を及ぼしていて、ブラケットや下ハンドルを握って、エアロポジションで走った時の収まり具合がとても良いと感じました」とも。
数多のコンポーネントブランドから一体型ハンドルがリリースされている昨今だが、CARBON LAB AERO HANDLEBARで注目したいのは、ドロップ部分が現在主流のショートリーチ(アナトミックシャロー)をベースにしつつ、やや深曲がりな形状となっている点だ。この、突き出しが長くよりアグレッシブなポジションを取りたいレーサーに向いた形状もまた、トラック競技からのフィードバックをもとに考案されたものだ。

アナトミックシャローのハンドルが多い中、深曲がりの一体型ハンドルは希少と言える photo:Naoki Yasuoka

ブラケット周辺部分は非常に細く薄い。手が小さいユーザーにも合いそうだ photo:Naoki Yasuoka 
塗装も上尾工場で行われる。仕上げの美しさは日本製造ならでは photo:Naoki Yasuoka

ハンドル幅は上380mm/下400m一択。「レーサーとして一番スタンダードでベストな幅」と高木は言う photo:Naoki Yasuoka
「このドロップ形状は特に気に入りました。今はコンパクトデザインの一体型ハンドルが主流で、昔ながらのドロップ形状の一体型ハンドル、特にエアロ系ハンドルって数がないんです。一方でショルダー部分はかなり細身なので手の小さい人でも握りやすいでしょう。上ハンドル部分はかなり薄くてエッジが効いているので、ここを持ってのんびりツーリングするイメージは全く湧きません。あくまでもRP9を速く走らせたい人に向けたハンドルだなと分かります」。
こうした言葉を裏付けるのが、ブリヂストンサイクルが近年歩んできた足跡だ。チームブリヂストンサイクリングは、ここ近年とりわけトラック競技において世界と渡り合うべくリソースを集中させ、国際大会でも華々しい実績を積み上げてきた。その極限の世界で磨かれたノウハウは、高い出力域を維持しながらシッティングで踏み込んだ時に目覚ましい走りを見せるRP9というバイクそのものに活きている。そして、そのRP9の走りにシンクロするのがこのCARBON LAB AERO HANDLEBARだ。同じ設計意図を持って生まれたフレームと専用ハンドルのフィーリングが合わないわけはないのだ。

ブリヂストンの、アンカーの職人魂が宿るCARBON LAB AERO HANDLEBAR。RP9の性能を引き上げる逸品だ photo:Naoki Yasuoka
2021年夏のデビューから4年以上。CARBON LAB AERO HANDLEBARによって、国内レースで高評価を受けてきたRP9は完成の域に達したと言っていいだろう。自国の開発拠点で、世界の頂点を知るライダーの機材を研ぎ澄ましてきた職人が、情熱を込めて一本一本手作業で打ち出す市販ハンドルはおそらく他にない。横並びで見れば1本20万円と非常に高価に思えるハンドルだが、そこにはブリヂストンの、カーボン職人の熱が凝縮されている。
また、今週末3月7・8日に開催されるサイクルモード大阪では、CARBON LAB AERO HANDLEBARを装着したRP9の試乗車が用意されるとのこと。興味をもった方は現地でその感触を確かめてみるのが良いだろう。
アンカー CARBON LAB AERO HANDLEBAR
ハンドル幅:380mm
ステム長:100、110、120mm
重量:355g(110mm)
対応モデル:RP9
付属品:サイクルコンピューターマウント(GARMIN・wahoo対応)
税込価格:200,000円

ブリヂストンサイクルのスポーツブランド、アンカーが2025年9月に発表した一体型ハンドルバー「CARBON LAB AERO HANDLEBAR(カーボンラボ・エアロハンドルバー)」。しかしこれは、単に「アンカーがトレンドの一体型ハンドルをリリースした」というニュースの枠には収まらない。世界を獲るためのトラックバイク開発で培ったノウハウを用い、フラッグシップモデル「RP9」を真の完成形へと導くために生み出した究極の一本だ。
CARBON LAB AERO HANDLEBARは、埼玉県上尾市にあるブリヂストンサイクル本社のCARBON LAB(カーボンラボ)を舞台に、プロトタイプの製作と全く同じ工程を経て、日本の熟練職人が一本一本手作業でレイアップし、カーボンラボで仕上げられる入魂の逸品。RP9の設計と完璧に調和し、そのトータル能力を底上げするためだけに設計されている。




まず目を引くのは、その研ぎ澄まされた造形だ。他社のエアロハンドルと比べても圧倒的に薄く細いスウィープ形状は、「腕が接触しやすいハンドルのショルダー部分を削ぎ落とし、スプリント時に支障なくバイクを振ることができるように」と、世界で戦うアンカーのトラックバイク開発からフィードバックされたもの。
最大の特徴は、RP9のヘッドアングル(72.8°)と完全にリンクするように設計されたシステム全体としての統合性だ。RP9に装着した際にステムからハンドル上面が完璧な水平を描くよう最適化され(510、530サイズは水平、490サイズで0.5°、440サイズで0.8°前上がりになるという)、純正のハンドルバー&ステムの組み合わせよりも時速40kmでの走行時に2.4Wの抵抗減を叶え、250Wで1時間巡航した際に650m、1100Wで踏むスプリントの場面なら10秒間で2.9mの差がつくという。
さらにレース現場で使用率の高いガーミン製のコンピュータをセットした際、コンピュータ画面とハンドル上面が完全に水平となるように設定することで前面投影面積を極限まで削ぎ落とすほか、ハンドル幅のバリエーションはトップ380mm/ドロップ400mm幅一択、ステム長も100〜120mmの3種類のみと、ありとあらゆる部分が極めて実戦的だ。



そして、このハンドルの価値はスペック表の数字はもちろんのこと、その製造工程にこそ宿っている。通常、量産品は効率を重視したラインで作られるが、このCARBON LAB AERO HANDLEBARは完全にそれらとは異なる手工芸品だ。カーボンラボ内で、わずか数名の熟練職人が一つひとつ手作業で200ピース以上のカーボンシートを積層し(積層だけで8時間も要するという)、オートクレーブで加熱、そして塗装まで全てハンドメイドで行うという、量産品の常識を覆す生産体制がとられているのだ。緻密なレイアップと厳格な品質管理を貫くため、1か月に生産できるのはわずか数本。採算よりも「アンカーとして最高最良のものを世に出す」という意地が、この一本には宿っている。

「剛性がかなり高いハンドルです。実際に乗ってみると、トラックバイクが設計ベースにあることがよく分かりますね」と、CARBON LAB AERO HANDLEBARをセットした往年のアンカーを彷彿させる新色「レーシングアンドロメダ」のRP9に乗ったCW編集スタッフの高木は言う。
「一般的な一体型ハンドル、例えばロヴァールなどよりもハンドル全体の剛性が高いんです。堅牢だから、ハンドルに体重を預けるトラックバイクっぽい乗り方をしても安心感があるんですね」と、学生時代にトラック競技に打ち込んでいた高木は評価する。「車体との組み合わせも良い影響を及ぼしていて、ブラケットや下ハンドルを握って、エアロポジションで走った時の収まり具合がとても良いと感じました」とも。
数多のコンポーネントブランドから一体型ハンドルがリリースされている昨今だが、CARBON LAB AERO HANDLEBARで注目したいのは、ドロップ部分が現在主流のショートリーチ(アナトミックシャロー)をベースにしつつ、やや深曲がりな形状となっている点だ。この、突き出しが長くよりアグレッシブなポジションを取りたいレーサーに向いた形状もまた、トラック競技からのフィードバックをもとに考案されたものだ。




「このドロップ形状は特に気に入りました。今はコンパクトデザインの一体型ハンドルが主流で、昔ながらのドロップ形状の一体型ハンドル、特にエアロ系ハンドルって数がないんです。一方でショルダー部分はかなり細身なので手の小さい人でも握りやすいでしょう。上ハンドル部分はかなり薄くてエッジが効いているので、ここを持ってのんびりツーリングするイメージは全く湧きません。あくまでもRP9を速く走らせたい人に向けたハンドルだなと分かります」。
こうした言葉を裏付けるのが、ブリヂストンサイクルが近年歩んできた足跡だ。チームブリヂストンサイクリングは、ここ近年とりわけトラック競技において世界と渡り合うべくリソースを集中させ、国際大会でも華々しい実績を積み上げてきた。その極限の世界で磨かれたノウハウは、高い出力域を維持しながらシッティングで踏み込んだ時に目覚ましい走りを見せるRP9というバイクそのものに活きている。そして、そのRP9の走りにシンクロするのがこのCARBON LAB AERO HANDLEBARだ。同じ設計意図を持って生まれたフレームと専用ハンドルのフィーリングが合わないわけはないのだ。

2021年夏のデビューから4年以上。CARBON LAB AERO HANDLEBARによって、国内レースで高評価を受けてきたRP9は完成の域に達したと言っていいだろう。自国の開発拠点で、世界の頂点を知るライダーの機材を研ぎ澄ましてきた職人が、情熱を込めて一本一本手作業で打ち出す市販ハンドルはおそらく他にない。横並びで見れば1本20万円と非常に高価に思えるハンドルだが、そこにはブリヂストンの、カーボン職人の熱が凝縮されている。
また、今週末3月7・8日に開催されるサイクルモード大阪では、CARBON LAB AERO HANDLEBARを装着したRP9の試乗車が用意されるとのこと。興味をもった方は現地でその感触を確かめてみるのが良いだろう。
アンカー CARBON LAB AERO HANDLEBAR
ハンドル幅:380mm
ステム長:100、110、120mm
重量:355g(110mm)
対応モデル:RP9
付属品:サイクルコンピューターマウント(GARMIN・wahoo対応)
税込価格:200,000円