ヴィスマ・リースアバイクがフェム・ファンエンペル(オランダ)の無期限での活動休止を発表した。2023年からシクロクロス世界選手権女子エリートを3連覇中だったが、2025年はロードレース活動を休止していた。



復帰したものの、無期限の休養を発表したフェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

「これは十分に考え抜いた決断。競技への長年続いていたモチベーションや楽しむ気持ちが、今は失われている。これが最善の選択であり、新しい章を始めるにはちょうど良いタイミングだと感じている」と、ファンエンペルは活動休止の理由を語った。2026年1月1日より、ファンエンペルはヴィスマ・リースアバイクに対する契約上の義務がなくなる。

ファンエンペルはオランダ出身の23歳で、2021年のシクロクロス世界選手権U23で王者に輝くと、2023年の世界選手権では21歳ながら女子エリートに初挑戦。すでにヨーロッパ選手権王者だったファンエンペルは独走で優勝した。翌2024年、そして2025年も連覇を達成し、3年連続でアルカンシエルに袖を通した。

またマウンテンバイクやグラベルなどさまざまな競技に挑戦してきたファンエンペルは、2023年にヴィスマ・リースアバイクに加入し、ロードレースに本格参戦。その年に初開催された女子のツール・ド・ラヴニールで区間優勝し、初出場となった2024年のツール・ド・フランス・ファムでは連日逃げに乗り、ロードへの可能性も示していた。

2025年2月に女子エリート3連覇を達成したファンエンペル photo:CorVos

しかし、今年3月のストラーデ・ビアンケでシーズンインしたファンエンペルは、同月のミロン・ロンド・ファン・ドレンテ以降、精神面の健康を優先して競技から距離を置くことを選んだ。9月にロードに復帰し、オランダのグラベル選手権では3位に入る。10月からシクロクロスに参戦して国内レースで2勝を挙げた一方、最終レースとなった11月1日のX2Oトロフェー第1戦は途中棄権していた。

チームの代表であるリチャード・プルッヘは、「フェムがチームを離れることはもちろん残念だが、我々は彼女の決断を全面的に尊重する。彼女はチームにとって、そしてシクロクロス界全体にとっても非常に大きな存在だった。彼女の成長を間近で見守り、共に仕事ができたことは特別な経験だった。今後の成功を心から願っている」と感謝を伝えた。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos