ユニベット・ティテマ・ロケッツが、2019年に引退したマルセル・キッテル(ドイツ)をスプリントコーチとして迎えると発表した。フランス籍のプロチームは2026年に向け、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)ら大型補強を実施している。



引退後、4度にわたりさいたまクリテのアンバサダーを務めたマルセル・キッテル photo:Makoto AYANO

キッテルは2019年に現役を引退したドイツ出身の37歳。2011年にスキル・シマノでプロデビュー後、ツール・ド・フランスで2013年から17年の間に通算14勝を飾り、プロ通算は89勝に及ぶ世界のトップスプリンターだった。

引退後は解説者として活動し、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムでは2019年から大会アンバサダーを4度務めるなど、日本のファンにはお馴染みの存在だ。これまでチームで監督などの役職を務めたことのないキッテルにとって、現場に戻るのは引退後初となる。

発表と同時に公開されたオランダメディア、NOSのインタビューでキッテルは「メインはスプリントの指導だが、チーム全体のコーチングやパフォーマンス環境の構築にも関わる。目標は『レベルをあと2段階引き上げて』ワールドツアーに近づくことだ」と語った。

スプリントコーチとして現場復帰を果たしたキッテル photo:Unibet Rose Rockets

ツール・ド・フランス出場を目標に掲げるYouTube発のチームは、2026年シーズンに向けてディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)を獲得。そのリードアウトとしてはスロバキア選手権で連覇しているルカシュ・クビシュや新加入のマティアシュ・コペツキー(チェコ)を揃えた。またキッテル加入と同時に、同じドイツ出身で21歳のスプリンター、トビアス・ミュラーの獲得も発表されている。

プロ通算77勝、ツールでは6勝を挙げているフルーネウェーヘンだが、2025年シーズンは3勝にとどまり、ツールではトップ10にすら入れなかった。それでもキッテルは「ディランはまだ勝てる。それもツールのスプリントで勝利を狙えるレベルだ。すぐに全てが機能するとは思っておらず、多くを試し、多くの失敗があるだろう。でもそれがトップスポーツであり、勝てる瞬間は多くはない。だがその分、勝利の価値は大きいんだ」と前向きな言葉で締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Unibet Rose Rockets