ユニベット・ティテマ・ロケッツは8月5日、世界トップスプリンターの1人であるディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)との契約を発表した。ワールドツアーから創設わずか3年目のプロチームへの移籍は極めて異例のことだ。



ユニベット・ティテマ・ロケッツへの移籍が発表されたフルーネウェーヘン photo:CorVos

ツール・ド・フランスで区間通算6勝を誇るフルーネウェーヘンは、プレスリリースで移籍理由を次のように語った。「チームの愛称であるロケッツの『あえて異なるやり方を選ぶ』という姿勢に惹かれ、彼らが築こうとしているチームのビジョンに共感したからだ」。

「キャリア初期に所属したユンボ・ヴィスマも当時は発展途上であり、チームの一員としてトップを目指す経験をした。全てが完璧に整っていない状況であったが、振り返るとあの頃がキャリアで最も楽しかった時期かもしれない。成長途中のプロジェクトに身を置き、毎日自分たちの価値を証明しようと戦うことには、何か特別な魅力がある。その時と同じエネルギーと野心を、このチームに感じた」。

ユニベット・ティテマ・ロケッツは、元プロ選手兼ユーチューバーのバス・ティテマ(オランダ)が2023年に創設したチーム。翌2024年にプロチームへ昇格し、2年目となる今年は戦略的に拠点をオランダからフランスへ移転。最大の目標とするツール出場に向け、初のモニュメント、パリ〜ルーベ出場も果たした。

2025年のパリ〜ルーベでモニュメントデビューを果たしたユニベット・ティテマ・ロケッツ photo:CorVos

2024年に4勝を挙げ、今年はルカシュ・クビシュによるスロバキア選手権ロードレース制覇など合計4勝を記録しており、成績は上向き。YouTube動画を中心とした独自のメディア戦略で、「自転車競技をより開かれた、刺激的で楽しいものにする」という理念を掲げている。

チーム創設以来、最大のビッグネームとなる選手の加入について、ティテマはこうコメントした。「我々にとって重要だったのは、ただ有名選手を獲得することではない。本当に大切なのは、このチームが目指しているものを心から信じ、さらに高みに引き上げてくれる人物であることだ。ディランは最初の会話から我々のビジョンを理解し、チームに加わりたいと思ってくれた。勝利への飢えと、我々の理念に対する高い共感を兼ね備える彼は、チームの目標に向けて最適な選手だ」。

ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)のコスプレをするジョス・ウェスター photo:CorVos

なお、ティテマらは昨年のツール・ド・フランスでフルーネウェーヘンに仮装し、ファンを欺くという内容の動画を公開して話題となっていた。

またユニベットは、同じジェイコ・アルウラーからフルーネウェーヘンのリードアウト役を担うエルマール・ラインダルス(オランダ)も獲得している。


text:Sotaro.Arakawa
photo:Unibet Tietema Rockets