10月末のモビリティリゾートもてぎ レーシングコース。秋らしい澄んだ空気……。になるはずだったが、今年は昨年と打って変わって朝からの雨がコース全体を濡らしていた。ピットロードに立つと、霧のような雨粒が頬を打ち、アスファルトが鈍く光っている。それでも2025年秋のもてぎエンデューロは、昨年比25%増という2,162名もの事前エントリー数を記録。雨の冷たさを吹き飛ばすほどの熱気に包まれた。

日本で一台だけのNSXパトカーが来場!先導役を担ってくれました photo:So Isobe 
朝イチはキッズレース。未来のプロ選手は現れるかな? photo:So Isobe

小学生クラスともなれば勝負は真剣そのもの photo:So Isobe

がんばれ!ゴールまであと少し! photo:So Isobe 
ブリッツェンの廣瀬さんによるビギナー講習会。イベント参加に本当に必要な要点を教えてくれます photo:So Isobe
冷たい雨だけが心残りだったけれど、10月25日(土)にモビリティリゾートもてぎのレーシングコースで開催された「もてぎエンデューロ」は大成功だったと思う。なにせ、同じ日には強豪ロードレーサーが集う「JBCF群馬CSCロードレース」が開催されていたにも関わらず、2,162名(!)もの事前エントリー数を記録したというのだから。
昨年は120%、今年はさらに125%増し。エンデューロイベントの数が少なくなっている中で、もてぎがエントリー数をどんどん増やしているのには、ただ走って順位を競うだけじゃない、魅力あふれるイベントが用意されているからだ。
例えば、朝イチのひよこレース(西コースを1周する1.5km)や、小学校の低学年のレースと高学年のレースに分けたキッズレースはもちろんのこと、お馴染みの「まさくん(今はお休み中)」が仕掛け人となったインフルエンサー選手権、その妹として人気を得るImoty(イモティー)発案の「サーキットスプリントクイーン」、ほんとのほんとのビギナーだけが出場できる「超ビギナー」クラスといった、概要を見るだけでも、イベント参加が初めてでも楽しめる種目がたっぷりと揃っている。

チャリダーでおなじみの戸丸大地さん。「結婚ネタいつまで引っ張るんですか!」といじられてました photo:So Isobe 
どこからどう見ても現役競輪選手、な守谷陽介さん。インフルエンサー選手権で見事優勝 photo:So Isobe

「サーキットスプリントクイーン」で宣言通りの圧勝を飾ったイモティー photo:So Isobe

冷たい雨にもマケズ、もてぎエンデューロがスタート!1000名以上が一斉にスタートを切った photo:So Isobe
ちなみに本コース1周(4.8km)で争われるインフルエンサー選手権(参加メンバー合計で何万フォロワーだったのだろう……????)では、「モリモリ」こと現役競輪選手の守谷陽介さんが「あなたどこからどう見ても本職でしょ!」というフォームから繰り出すスプリントで爆裂優勝。サーキットスプリントクイーンはスタート前から人一倍気合いに燃えていたイモティーが予告ホームランの独走勝利を収めたのでした。
超ビギナーレースを終えて、ちょっとのインターバルを挟んでからは、もっとも参加者数の多い4時間エンデューロと「フルマラソンライド」、それに「6時間エンデューロ」が時間差でスタートしていく。今回は先導車として、栃木県警の白バイ2台と、ホンダ・NSXのスーパーパトカーも特別参加!特に2000年にホンダから寄贈されたという全国に1台しかないNSXパトカーは注目の的で、「(レース中に)スピード違反で捕まらないか心配です」という声もちらほら(笑)大丈夫ですよ、サーキットは速度無制限ですから!

今年も新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)が登場。イベント参加やトークショーに引っ張りだこ photo:So Isobe

増田成幸(TEAM UKYO)と秋元碧(Astemo 宇都宮ブリッツェン) photo:So Isobe 
長いキャリアに(遂に)ピリオドを打ったフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックス・パワータグ) photo:So Isobe

レース開始後1時間あたりでちょっとだけ晴れ!でも路面が乾くには至らず... photo:So Isobe
先導役を務める選手たちもとても豪華だ。毎年特別ゲストとして参加している新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)ももちろん参加してくれたし、TEAM UKYOの増田成幸、ホームチームのAstemo 宇都宮ブリッツェン勢やマトリックス・パワータグ……。新城&増田は東京オリンピックの出場コンビだし、引退が迫る「オノデライダー」ことブリッツェンの小野寺玲と、マトリックスのフランシスコ・マンセボ(スペイン)は、ジャージ姿を見られる数少ない機会になった。
サポート選手たちは無線機を付けて、情報を聞きながら走っているから「サポートライダーが速すぎて気づいたらプロチームの練習会になっていた……」なんていうこともなく、落車が起こらないように集団を振り分けたり、落車があればすぐに駆けつけたり。ちなみに「力量のバラバラのライダーがごちゃ混ぜだと危ないですから、2周目の登りでちょっとふるいに掛けました」というユキヤさんは、そこからほとんどずっと先頭固定で鬼引きという大活躍っぷり。無線では「ユキヤさんが速すぎるからペースを落とすように言ってくれ!」という指令が他選手に伝わったとか、伝わらなかったとか……。
誰だってウィナー。42.195kmのセルフチャレンジ「フルマラソンライド」

フルマラソンライドに参加した高木絵理さん(左)と亀田実紀さん(右)。お二人とも、まさくんの動画で自転車にのめり込んだという photo:So Isobe

全員、フルマラソンライドの目標達成!おめでとうございます〜! photo:So Isobe 
フルマラソンライドの完走メダル。各レースも目標達成でメダルがもらえる photo:So Isobe
フルマラソンライドと聞くと、200km級の過酷なロングライドを思い浮かべるかもしれない。しでも、もてぎエンデューロでのこのカテゴリーは、42.195km=フルマラソンの距離を自分のペースで走り切るセルフチャレンジ形式。達成すればオリジナル完走メダルをもらえるし、フルマラソンの世界記録である2時間0分35秒を超えることができれば認定証も発行されるというもの。一応表彰もあるけれど、速さが全てじゃない。必要なのは、ただ「走ってみよう」という気持ちだけだ。
取材班は、フルマラソンライドに参加していた仲良しの女性ライダーお二人、高木絵理さんと亀田実紀さんに話を聞いてみた。お二人とも「まさくん」のチャンネルをきっかけに、無事スポーツバイクの魅力にハマったビギナー。高木さんはスプリントクイーン(2位!)とフルマラソンの、亀田さんもフルマラソンと「サーキットサイクルパス(イベント時間中は16時までずっとコース走行がOKなチケット)」のダブルヘッダーと、とってもやる気。お二人の言葉には、誰だってウィナーになれるという、フルマラソンライドの精神が詰まっていた。
「去年の自分を超えたい、超えられた!」—高木絵理さんの挑戦
「ちっちゃい頃から自転車が好きで、父と一緒にサイクリングを楽しんでいたんです」と話すのは、埼玉から参加した高木絵理さん。ロードバイクとの出会いはわずか1年半前。まさくんの動画を見てその世界に惹かれたという。「こんなに楽しくて、こんなに速く走れる乗り物があるなんて! って思って(笑)」その“まさくん”は今回は不参加だったが、「妹さんに会いに来ました」と笑う。
昨年の初挑戦では1時間23分で完走。「今年は絶対それを超えたい」と1時間10分を目標に臨んだ。結果は惜しくも届かなかったものの、昨年のタイムはしっかり更新。「去年の自分を超えたいという目標だけは達成できました。とっても楽しかったです!」

高木さんはM.A.S.ジャージでスプリントクイーンにも参戦。見事2位でした photo:So Isobe
「思うように走れなかったけど、来年はもっと強くなって再チャレンジ」—亀田実紀さん場合
一方、亀田実紀さんがロードバイクを知ったのは大学時代。でも、その時は「両親がロードを始めたんです。最初はなんで車あるのにわざわざ自転車で走るの?って思ってました(笑)」と、今とは逆の印象だったという。
しかし、いとこがロードを買い「一緒に走れたら楽しいのに」と誘われたこと、そしてアニメ『弱虫ペダル』やまさくんの動画がきっかけで、彼女も自転車の世界へ。まさくんがイモティーに自転車を勧める動画を見たことが「悩むくらいなら、いっぺんやってみよう!」という気持ちに火をつけた。
そうして挑んだのが、昨年春の初回フルマラソンライド。「あの時は正直ちょっと怖かったけど、めちゃくちゃ楽しかった。それでまた出たいって思ったんです」。そして今回は途中で足を攣ってしまい、思うように走れなかったが「来年はもっと強くなって、またチャレンジしたいです」とますます気持ちは前に向かっているご様子でした。
和気あいあいのビギナー参加者の一方、各カテゴリーの先頭集団では激しい戦いが繰り広げられた。

こちらは6時間の先頭集団(左が優勝した横山昂平)。実に240kmを平均40km/hで走りました photo:So Isobe

もてぎ名物、バックストレートの直登。結構足が削られるポイント photo:So Isobe 
S字の下り区間。滑りやすいので慎重に! photo:So Isobe
最長カテゴリーである6時間ソロでは、途中富士ヒルクライムとツール・ド・ふくしまを制した石井雄悟(MASXSAURUS)が途中逃げ、最後は混戦スプリントで横山昂平が優勝を果たした。石井は2位、次いで昨年ウィナーのエンデューロ職人、高橋誠(Roppongi Express)が3位表彰台に。たった5人が生き残った先頭グループは50周回をこなし、走行距離は実に240km!平均スピードは40km/hという、まさにエンデューロ(耐える)を地でいく過酷なレースが繰り広げられた。6時間チームの部は、同じく50周を走ったTS TECH自転車部。男女混合で優勝したCYCLING MOONも48周と、実にハイレベルな戦いだ。
4時間総合は工藤政幸が、2時間総合は半田信頼が、4時間のウーマンソロは廣瀬博子がそれぞれ勝利。ちなみに6時間の企業対抗で優勝(47周)した多摩永山病院自転車部は、都内のサイクリストには知られる「尾根幹」からすぐ近くの総合病院。もしこちらで診察を受ける時は、ガチなサイクリスト先生に出会える...かも??(入賞した方々の「あなたの自転車見せてください」記事は別に紹介します!)

あれ??ユキ...ヤ...??と何度もカメラを向けてしまった方。なんとなく走り方まで似ているんですもん photo:So Isobe 
こちらがホンモノの新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) photo:So Isobe

細部まですごく...ポガチャルです! photo:So Isobe 
明らかに下り区間で遅かった(笑)ガチャピンとムック photo:So Isobe

「オノデライダー」こと小野寺玲(Astemo 宇都宮ブリッツェン)。難病に苦しめられたが、現役最終シーズンとなった今年はホームの地元ブリッツェンで走った photo:So Isobe

16時、6時間と2時間エンデューロが同時にフィニッシュ photo:So Isobe 
親子で一緒に走れるカテゴリーもある。安心して楽しめますね photo:So Isobe
さて、今年のもてぎはコーナーではスリップによる転倒がやや多めで、ベテランでもヒヤッとする場面が多かったという。路面が濡れ、どうやら1週間前のレースで残ったオイルが完全に流れきっていなかったという厄介なコンディションだったようだ。コースサイドで見ていると、ちょっとバイクを寝かせすぎたライダーがそのままスリップ……という場面もちらほら。
けれど、このイベントにはサポートライダーとして多くのプロ選手が走っている。彼らの走りを少し観察してみるだけでも勉強になるし、滑りやすい路面の走り方やコーナーの入り方などを、気軽に「どんな感じで曲がってます?」と聞いてみると、ちょっとしたコツを惜しげもなく教えてくれたりもする。プロに話しかけるのは少し勇気がいるけれど、その一言が次のレースでの安全や速さにつながるはず。転んでしまった人も、ヒヤッとした人も、そこから学んで次に繋げることが大切だと思う。

表彰式とじゃんけん大会で秋のもてぎエンデューロは〆。お疲れ様でした!また来年! photo:So Isobe
最終走者のフィニッシュを待って、2025年のもてぎエンデューロは表彰式と、豪華賞品が当たるじゃんけん大会で閉幕。「勝った人だけが偉いわけじゃない」とコンセプトに、ビギナーからベテランまで、あらゆるレベルのサイクリストが楽しめるように考え抜かれたもてぎエンデューロ。来年はきっと、さらに参加者が増えそうな予感だ。





冷たい雨だけが心残りだったけれど、10月25日(土)にモビリティリゾートもてぎのレーシングコースで開催された「もてぎエンデューロ」は大成功だったと思う。なにせ、同じ日には強豪ロードレーサーが集う「JBCF群馬CSCロードレース」が開催されていたにも関わらず、2,162名(!)もの事前エントリー数を記録したというのだから。
昨年は120%、今年はさらに125%増し。エンデューロイベントの数が少なくなっている中で、もてぎがエントリー数をどんどん増やしているのには、ただ走って順位を競うだけじゃない、魅力あふれるイベントが用意されているからだ。
例えば、朝イチのひよこレース(西コースを1周する1.5km)や、小学校の低学年のレースと高学年のレースに分けたキッズレースはもちろんのこと、お馴染みの「まさくん(今はお休み中)」が仕掛け人となったインフルエンサー選手権、その妹として人気を得るImoty(イモティー)発案の「サーキットスプリントクイーン」、ほんとのほんとのビギナーだけが出場できる「超ビギナー」クラスといった、概要を見るだけでも、イベント参加が初めてでも楽しめる種目がたっぷりと揃っている。




ちなみに本コース1周(4.8km)で争われるインフルエンサー選手権(参加メンバー合計で何万フォロワーだったのだろう……????)では、「モリモリ」こと現役競輪選手の守谷陽介さんが「あなたどこからどう見ても本職でしょ!」というフォームから繰り出すスプリントで爆裂優勝。サーキットスプリントクイーンはスタート前から人一倍気合いに燃えていたイモティーが予告ホームランの独走勝利を収めたのでした。
超ビギナーレースを終えて、ちょっとのインターバルを挟んでからは、もっとも参加者数の多い4時間エンデューロと「フルマラソンライド」、それに「6時間エンデューロ」が時間差でスタートしていく。今回は先導車として、栃木県警の白バイ2台と、ホンダ・NSXのスーパーパトカーも特別参加!特に2000年にホンダから寄贈されたという全国に1台しかないNSXパトカーは注目の的で、「(レース中に)スピード違反で捕まらないか心配です」という声もちらほら(笑)大丈夫ですよ、サーキットは速度無制限ですから!




先導役を務める選手たちもとても豪華だ。毎年特別ゲストとして参加している新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)ももちろん参加してくれたし、TEAM UKYOの増田成幸、ホームチームのAstemo 宇都宮ブリッツェン勢やマトリックス・パワータグ……。新城&増田は東京オリンピックの出場コンビだし、引退が迫る「オノデライダー」ことブリッツェンの小野寺玲と、マトリックスのフランシスコ・マンセボ(スペイン)は、ジャージ姿を見られる数少ない機会になった。
サポート選手たちは無線機を付けて、情報を聞きながら走っているから「サポートライダーが速すぎて気づいたらプロチームの練習会になっていた……」なんていうこともなく、落車が起こらないように集団を振り分けたり、落車があればすぐに駆けつけたり。ちなみに「力量のバラバラのライダーがごちゃ混ぜだと危ないですから、2周目の登りでちょっとふるいに掛けました」というユキヤさんは、そこからほとんどずっと先頭固定で鬼引きという大活躍っぷり。無線では「ユキヤさんが速すぎるからペースを落とすように言ってくれ!」という指令が他選手に伝わったとか、伝わらなかったとか……。
誰だってウィナー。42.195kmのセルフチャレンジ「フルマラソンライド」



フルマラソンライドと聞くと、200km級の過酷なロングライドを思い浮かべるかもしれない。しでも、もてぎエンデューロでのこのカテゴリーは、42.195km=フルマラソンの距離を自分のペースで走り切るセルフチャレンジ形式。達成すればオリジナル完走メダルをもらえるし、フルマラソンの世界記録である2時間0分35秒を超えることができれば認定証も発行されるというもの。一応表彰もあるけれど、速さが全てじゃない。必要なのは、ただ「走ってみよう」という気持ちだけだ。
取材班は、フルマラソンライドに参加していた仲良しの女性ライダーお二人、高木絵理さんと亀田実紀さんに話を聞いてみた。お二人とも「まさくん」のチャンネルをきっかけに、無事スポーツバイクの魅力にハマったビギナー。高木さんはスプリントクイーン(2位!)とフルマラソンの、亀田さんもフルマラソンと「サーキットサイクルパス(イベント時間中は16時までずっとコース走行がOKなチケット)」のダブルヘッダーと、とってもやる気。お二人の言葉には、誰だってウィナーになれるという、フルマラソンライドの精神が詰まっていた。
「去年の自分を超えたい、超えられた!」—高木絵理さんの挑戦
「ちっちゃい頃から自転車が好きで、父と一緒にサイクリングを楽しんでいたんです」と話すのは、埼玉から参加した高木絵理さん。ロードバイクとの出会いはわずか1年半前。まさくんの動画を見てその世界に惹かれたという。「こんなに楽しくて、こんなに速く走れる乗り物があるなんて! って思って(笑)」その“まさくん”は今回は不参加だったが、「妹さんに会いに来ました」と笑う。
昨年の初挑戦では1時間23分で完走。「今年は絶対それを超えたい」と1時間10分を目標に臨んだ。結果は惜しくも届かなかったものの、昨年のタイムはしっかり更新。「去年の自分を超えたいという目標だけは達成できました。とっても楽しかったです!」

「思うように走れなかったけど、来年はもっと強くなって再チャレンジ」—亀田実紀さん場合
一方、亀田実紀さんがロードバイクを知ったのは大学時代。でも、その時は「両親がロードを始めたんです。最初はなんで車あるのにわざわざ自転車で走るの?って思ってました(笑)」と、今とは逆の印象だったという。
しかし、いとこがロードを買い「一緒に走れたら楽しいのに」と誘われたこと、そしてアニメ『弱虫ペダル』やまさくんの動画がきっかけで、彼女も自転車の世界へ。まさくんがイモティーに自転車を勧める動画を見たことが「悩むくらいなら、いっぺんやってみよう!」という気持ちに火をつけた。
そうして挑んだのが、昨年春の初回フルマラソンライド。「あの時は正直ちょっと怖かったけど、めちゃくちゃ楽しかった。それでまた出たいって思ったんです」。そして今回は途中で足を攣ってしまい、思うように走れなかったが「来年はもっと強くなって、またチャレンジしたいです」とますます気持ちは前に向かっているご様子でした。
和気あいあいのビギナー参加者の一方、各カテゴリーの先頭集団では激しい戦いが繰り広げられた。



最長カテゴリーである6時間ソロでは、途中富士ヒルクライムとツール・ド・ふくしまを制した石井雄悟(MASXSAURUS)が途中逃げ、最後は混戦スプリントで横山昂平が優勝を果たした。石井は2位、次いで昨年ウィナーのエンデューロ職人、高橋誠(Roppongi Express)が3位表彰台に。たった5人が生き残った先頭グループは50周回をこなし、走行距離は実に240km!平均スピードは40km/hという、まさにエンデューロ(耐える)を地でいく過酷なレースが繰り広げられた。6時間チームの部は、同じく50周を走ったTS TECH自転車部。男女混合で優勝したCYCLING MOONも48周と、実にハイレベルな戦いだ。
4時間総合は工藤政幸が、2時間総合は半田信頼が、4時間のウーマンソロは廣瀬博子がそれぞれ勝利。ちなみに6時間の企業対抗で優勝(47周)した多摩永山病院自転車部は、都内のサイクリストには知られる「尾根幹」からすぐ近くの総合病院。もしこちらで診察を受ける時は、ガチなサイクリスト先生に出会える...かも??(入賞した方々の「あなたの自転車見せてください」記事は別に紹介します!)







さて、今年のもてぎはコーナーではスリップによる転倒がやや多めで、ベテランでもヒヤッとする場面が多かったという。路面が濡れ、どうやら1週間前のレースで残ったオイルが完全に流れきっていなかったという厄介なコンディションだったようだ。コースサイドで見ていると、ちょっとバイクを寝かせすぎたライダーがそのままスリップ……という場面もちらほら。
けれど、このイベントにはサポートライダーとして多くのプロ選手が走っている。彼らの走りを少し観察してみるだけでも勉強になるし、滑りやすい路面の走り方やコーナーの入り方などを、気軽に「どんな感じで曲がってます?」と聞いてみると、ちょっとしたコツを惜しげもなく教えてくれたりもする。プロに話しかけるのは少し勇気がいるけれど、その一言が次のレースでの安全や速さにつながるはず。転んでしまった人も、ヒヤッとした人も、そこから学んで次に繋げることが大切だと思う。

最終走者のフィニッシュを待って、2025年のもてぎエンデューロは表彰式と、豪華賞品が当たるじゃんけん大会で閉幕。「勝った人だけが偉いわけじゃない」とコンセプトに、ビギナーからベテランまで、あらゆるレベルのサイクリストが楽しめるように考え抜かれたもてぎエンデューロ。来年はきっと、さらに参加者が増えそうな予感だ。
リンク
Amazon.co.jp