5日間のツール・ド・ルクセンブルクを締めくくる最終日は、ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)がヒーリーとの一騎打ちを制して今大会2勝目。ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)が総合優勝を果たし、これが今季チーム86勝目となり、シーズン最多勝利記録を更新した。



総合リーダーとして最終日に臨むブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

人口67万人の小国ルクセンブルクで、5日間にわたり開催されたツール・ド・ルクセンブルク(UCI2.Pro)。最終日である第5ステージの舞台は、低い丘を連続して越える丘陵コース。スプリンターには厳しいものの、総合順位が大きく入れ替わるほどの難易度ではない。

今シーズンはグランツールに出場できなかったテイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック)やシュテファン・ビッセガー(スイス、デカトロンAG2Rラモンディアール)ら12名が逃げた。これをリーダーチームのUAEチームエミレーツXRGがコントロールして追走する中、雨が降り始めて選手たちを濡らした。逃げの人数は徐々に減り、プロトンからも次々とアタックが繰り返される展開となった。

プロトンを先導するニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツXRG) (c)ŠKODA Tour Luxembourg

先頭に立ったベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)とロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) (c)ŠKODA Tour Luxembourg

ルクセンブルク出身のマッツ・ヴェンツェル(エキポ・ケルンファルマ)が唯一逃げから粘るが、そこへベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)とロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)が飛び出して合流。3名は先頭を形成したが、後方からマルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング)がアタックを仕掛け、メイン集団は吸収と再アタックを繰り返す混戦に持ち込まれた。

先頭の3名は協調してローテーションを回したものの、コーナーでオーバーランしたヴェンツェルが遅れ、先頭は2名に絞られる。後続ではリドル・トレックが中心となって追走したが、勝負はヒーリーとグレゴワールの一騎打ちに。残り1km手前の登りでグレゴワールが鋭く仕掛け、ヒーリーを振り切って独走でフィニッシュした。

今大会2勝目を飾ったロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) (c)ŠKODA Tour Luxembourg

懸命に先頭2名を追いかけるブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) (c)ŠKODA Tour Luxembourg

大会初日も制した22歳のグレゴワールは、今大会2勝目を飾ると同時にポイント賞も獲得。「先週の火曜に試走し、自分に適したレイアウトだと思っていた。不利にならないようフィニッシュから距離を取ってアタックした。それ以外に選択肢はなかった」とレースを振り返った。直前のツアー・オブ・ブリテンで区間優勝と総合優勝を果たしており、その勢いを維持した形での勝利となった。

追走集団は55秒遅れでフィニッシュ。ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)は区間4位でレースを終え、総合優勝を確定させた。これによりUAEチームエミレーツXRGは今シーズン86勝目となり、2009年にコロンビア・HTCが打ち立てた85勝の記録を上回った。

総合優勝したブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

「記録を更新したチームの一員になれたことはとても特別で、それを成し遂げたのが自分であることはさらに特別。最終日は雨が降り、緊張感のある中でもチームメイトは僕のジャージをしっかり守ってくれた。今シーズンは僕らにとって素晴らしいものになっている」とマクナルティは喜びを語った。
ツール・ド・ルクセンブルク2025第5ステージ結果
1位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) 4:10:56
2位 ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:01
3位 セナ・レメイン(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:55
4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)
5位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)
個人総合成績
1位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) 16:17:34
2位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:47
3位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) +1:04
4位 マティス・ロンデル(フランス、チューダー・プロサイクリング) +1:14
5位 マルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング) +1:19
その他の特別賞
山岳賞 ミル・モラン(ルクセンブルク・ナショナルチーム)
ポイント賞 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)
ヤングライダー賞 チューダー・プロサイクリング
チーム総合成績 UAEチームエミレーツXRG
text:Sotaro.Arakawa
photo:ŠKODA Tour Luxembourg

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