ロード世界選手権個人タイムトライアルの女子エリートはマーレン・ロイサー(スイス)が圧巻の走りで初優勝。これまで3度の表彰台に立ちながら、届かないでいたアルカンシエルを手に入れた。2位にはファンデルブレッヘン、3位はフォレリングだった。

第1出走のグザヴェリーヌ・ニレレが母国ルワンダを駆ける photo:CorVos

ロード世界選手権2025 女子エリート個人タイムトライアルコースプロフィール image:UCI
レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が3連覇を達成した男子エリートに先立ち、ルワンダの首都キガリで行われたロード世界選手権個人タイムトライアルの女子エリート。アルカンシエルを懸けた44名による戦いは31.2kmコースで争われ、序盤のニャンザ峠(距離2.5km/平均5.8%)までは男子と同じだが、手前で折り返すため2度めのニャンザ峠(距離4.1km/平均3.1%)の距離が短く、ペアージュ峠も登場しない。
しかし最後の山場となる石畳のミュール・ド・キガリ(距離1.3km/平均6.3%)は健在で、ここまで脚をどう残していられるかが勝負を分けるレイアウトだ。
前年覇者でこの日第1子の妊娠を報告したグレース・ブラウン(オーストラリア)は昨年限りで現役を退いており、誰が優勝しても新王者誕生のレースは、地元ルワンダのTT王者であるグザヴェリーヌ・ニレレから2分半の間隔で走り出す。前半組ではシグリッドイーターフス・ハウセット(ノルウェー)が46分24秒のトップタイムをマーク。しかし後半組に入ると、24番目出走のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)がそれを2分23秒上回る圧巻の走りを見せた。

2位:アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) photo:UCI
2020年にTT世界王者に輝き、今年現役復帰したファンデルブレッヘンのタイムには、直後に走り出したカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)やセドリーヌ・ケルバオル(フランス)は及ばない。またこれが今年のUCIレース3戦目となった東京五輪のロード覇者アンナ・キーセンホーファー(オーストリア)も約3分遅れでフィニッシュ。そして、優勝候補がたっぷり含まれたラスト10名に出番が回ってきた。
最後から10番目出走のカトリーヌ・アーレルッド(ノルウェー)がトップタイムに33秒まで迫る好タイムを出す。続いて優勝候補の1人であるマーレン・ロイサー(スイス)が走り出すと、3つある全ての中間計測地点をトップタイムで通過。フィニッシュ手前の石畳のミュール・ド・キガリも力強いペダリングで駆け上がり、ファンデルブレッヘンを51秒上回る43分9秒という驚異的なタイムを叩き出した。

優勝:マーレン・ロイサー(スイス) photo:CorVos

フィニッシュ直後に倒れ込むも、笑顔を見せたマーレン・ロイサー(スイス) photo:UCI
好走したブローディー・チャップマン(オーストラリア)もこのトップタイムには1分20秒及ばず、ジュリエット・ラブース(フランス)も1分37秒遅れ。そして昨年3位だったクロエ・ダイガート(アメリカ)が自身3度目のアルカンシエルを目指してスタート。しかし2分25秒遅れと振るわず、最終出走者としてデミ・フォレリング(オランダ)が走り出した。
直近のツール・ド・フランス・ファムでは2年連続総合2位となり、その悔しさを晴らしたいフォレリングは、第1計測(10.6km)をロイサーと同タイムで通過。しかし第2(19km)、第3(26.6km)とトップタイムから遅れていき、ロイサーよりも1分4秒遅い44分14秒でフィニッシュ。3位でレースを終えた。

9位:クロエ・ダイガート(アメリカ) photo:CorVos

3位:デミ・フォレリング(オランダ) photo:UCI
この結果、ロイサーが自身初となるTT世界王者に輝く。「何度も挑戦し、ようやくこうして達成できたことが本当に嬉しい。自分のためだけでなく、周りにいる仲間全員のためにも。私は本当に、この人たちへの愛でいっぱいだ」と喜びを語ったロイサー。
TTヨーロッパ選手権で2連覇(2020〜21年)を達成したものの、世界選手権では2度の2位、1度の3位と優勝を逃し続けてきた。SDワークス・プロタイムからモビスターに移籍した今年は総合エースとして、ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスとツール・ド・スイス・ウィメンを連続で総合優勝。ツール・ド・フランス・ファムでは落車で初日リタイアとなったが、今季続く好調を大舞台で発揮した。
2位には2020年に15秒差で敗れたファンデルブレッヘン、そして3位には同じオランダのフォレリングが入っている。

ロード世界選手権2025 女子エリートタイムトライアル表彰台:2位ファンデルブレッヘン、1位ロイサー、3位フォレリング photo:UCI


レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が3連覇を達成した男子エリートに先立ち、ルワンダの首都キガリで行われたロード世界選手権個人タイムトライアルの女子エリート。アルカンシエルを懸けた44名による戦いは31.2kmコースで争われ、序盤のニャンザ峠(距離2.5km/平均5.8%)までは男子と同じだが、手前で折り返すため2度めのニャンザ峠(距離4.1km/平均3.1%)の距離が短く、ペアージュ峠も登場しない。
しかし最後の山場となる石畳のミュール・ド・キガリ(距離1.3km/平均6.3%)は健在で、ここまで脚をどう残していられるかが勝負を分けるレイアウトだ。
前年覇者でこの日第1子の妊娠を報告したグレース・ブラウン(オーストラリア)は昨年限りで現役を退いており、誰が優勝しても新王者誕生のレースは、地元ルワンダのTT王者であるグザヴェリーヌ・ニレレから2分半の間隔で走り出す。前半組ではシグリッドイーターフス・ハウセット(ノルウェー)が46分24秒のトップタイムをマーク。しかし後半組に入ると、24番目出走のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)がそれを2分23秒上回る圧巻の走りを見せた。

2020年にTT世界王者に輝き、今年現役復帰したファンデルブレッヘンのタイムには、直後に走り出したカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)やセドリーヌ・ケルバオル(フランス)は及ばない。またこれが今年のUCIレース3戦目となった東京五輪のロード覇者アンナ・キーセンホーファー(オーストリア)も約3分遅れでフィニッシュ。そして、優勝候補がたっぷり含まれたラスト10名に出番が回ってきた。
最後から10番目出走のカトリーヌ・アーレルッド(ノルウェー)がトップタイムに33秒まで迫る好タイムを出す。続いて優勝候補の1人であるマーレン・ロイサー(スイス)が走り出すと、3つある全ての中間計測地点をトップタイムで通過。フィニッシュ手前の石畳のミュール・ド・キガリも力強いペダリングで駆け上がり、ファンデルブレッヘンを51秒上回る43分9秒という驚異的なタイムを叩き出した。


好走したブローディー・チャップマン(オーストラリア)もこのトップタイムには1分20秒及ばず、ジュリエット・ラブース(フランス)も1分37秒遅れ。そして昨年3位だったクロエ・ダイガート(アメリカ)が自身3度目のアルカンシエルを目指してスタート。しかし2分25秒遅れと振るわず、最終出走者としてデミ・フォレリング(オランダ)が走り出した。
直近のツール・ド・フランス・ファムでは2年連続総合2位となり、その悔しさを晴らしたいフォレリングは、第1計測(10.6km)をロイサーと同タイムで通過。しかし第2(19km)、第3(26.6km)とトップタイムから遅れていき、ロイサーよりも1分4秒遅い44分14秒でフィニッシュ。3位でレースを終えた。


この結果、ロイサーが自身初となるTT世界王者に輝く。「何度も挑戦し、ようやくこうして達成できたことが本当に嬉しい。自分のためだけでなく、周りにいる仲間全員のためにも。私は本当に、この人たちへの愛でいっぱいだ」と喜びを語ったロイサー。
TTヨーロッパ選手権で2連覇(2020〜21年)を達成したものの、世界選手権では2度の2位、1度の3位と優勝を逃し続けてきた。SDワークス・プロタイムからモビスターに移籍した今年は総合エースとして、ブエルタ・ア・ブルゴス・フェミナスとツール・ド・スイス・ウィメンを連続で総合優勝。ツール・ド・フランス・ファムでは落車で初日リタイアとなったが、今季続く好調を大舞台で発揮した。
2位には2020年に15秒差で敗れたファンデルブレッヘン、そして3位には同じオランダのフォレリングが入っている。

ロード世界選手権2025 女子エリートタイムトライアル結果
1位 | マーレン・ロイサー(スイス) | 43:09 |
2位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) | +0:51 |
3位 | デミ・フォレリング(オランダ) | +1:04 |
4位 | ブローディー・チャップマン(オーストラリア) | +1:20 |
5位 | カトリーヌ・アーレルッド(ノルウェー) | +1:24 |
6位 | アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ) | +1:29 |
7位 | ジュリエット・ラブース(フランス) | +1:32 |
8位 | アンナ・ヘンダーソン(イギリス) | +1:37 |
9位 | クロエ・ダイガート(アメリカ) | +2:25 |
10位 | ミレイア・ベニト(スペイン) | +2:32 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, UCI
photo:CorVos, UCI
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