激坂を含む周回コースで争われたツール・ド・ルクセンブルク第3ステージ。マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)が先行するマルク・ヒルシを捉え、力強く激坂を駆け上がって勝利。総合首位に立った。



ツール・ド・フランスやさいたまクリテでお馴染みの悪魔おじさんが駆けつけた (c)ŠKODA Tour Luxembourg

ツール・ド・ルクセンブルク2025第3ステージ (c)ŠKODA Tour Luxembourg
大会3日目を迎えたツール・ド・ルクセンブルク(UCI2.Pro)は総合争いを左右するクイーンステージ。序盤は比較的穏やかだが、後半には最勾配14%に達する急坂モンテ・ド・ニクロスビエルク(距離2.9km/平均9.2%)を3周するレイアウト。クライマーやパンチャーに有利な設定となった。

初日勝者でリーダージャージを着るロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)を先頭にスタートし、シルヴァン・ディリエ(スイス、アルペシン・ドゥクーニンク)を含む6名が逃げる。メイン集団はリチャル・カラパス(エクアドル)とベン・ヒーリー(アイルランド)を擁するEFエデュケーション・イージーポストがタイトにコントロール。残り58kmから周回コースに入ると差は急速に縮まった。

プロトンはEFエデュケーション・イージーポストが先導した (c)ŠKODA Tour Luxembourg

逃げは4名まで減り、1分40秒差で追うプロトンではセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、リドル・トレック)が加速。これをきっかけに15名の追走集団が形成され、ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)の牽引によって残り17kmで逃げを吸収。グレゴワールが遅れるなか、最後のモンテ・ド・ニクロスビエルクを越える頃には先頭は9名に絞られた。

ジャパンカップ出場予定のマルコ・ブレンナー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)がアタックを試みるも決まらず、牽制状態に入った先頭にマルク・ヒルシ(スイス)ら3名が合流した。そして直後にヒルシが仕掛け、単独先頭に立つ。

終盤にアタックした マルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング) photo:CorVos

ヒルシはフィニッシュ直前の最大勾配22.1%を誇るシャトー・ド・ヴィアンデン(距離0.9km/平均9.5%)を9秒差で駆け上がる。しかし後続が迫り、観客の「悪魔おじさん」が見守る残り150mで吸収された。

そこからスケルモースが先頭に立ち、背後にピッタリとマークするジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー)を振り切り、苦悶の表情でフィニッシュラインを通過した。

勝利したマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos

総合でも首位に立ったマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) (c)ŠKODA Tour Luxembourg

過酷なサバイバルを制し、総合首位に立ったスケルモース。「本当に厳しい終盤となり、調子の良いマルク(ヒルシ)を捕まえるのは大変だった。でも幸運にもブランドン(マクナルティ)が早めに踏み込んでくれ、ラストに追い抜くことができた」と振り返った。
ツール・ド・ルクセンブルク2025第3ステージ結果
1位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) 4:05:07
2位 ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー)
3位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +0:02
4位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)
5位 マルコ・ブレンナー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
個人総合成績
1位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) 11:34:29
2位 ジョルダン・ジェガット(フランス、トタルエネルジー) +0:04
3位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +0:08
4位 マルク・ヒルシ(スイス、チューダー・プロサイクリング) +0:12
5位 マルコ・ブレンナー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
その他の特別賞
山岳賞 ミル・モラン(ルクセンブルク・ナショナルチーム)
ポイント賞 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアール)
ヤングライダー賞 チューダー・プロサイクリング
チーム総合成績 EFエデュケーション・イージーポスト
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, ŠKODA Tour Luxembourg