日本初のグラベルレースに選手たちはどんなバイクで挑んだのか? 8月30日に宮城県加美町で開催された「グラベルクラシックやくらい」。日本初開催のフルタイム計測のグラベルレースを走ったエリート男子の上位入賞者たちのバイクとセッティングに迫った。
男子エリート優勝 沢田時(宇都宮ブリッツェン)メリダSILEX

沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)とメリダ SILEX photo:Makoto AYANO
男子エリートで圧倒的な独走優勝を決めた沢田時 (宇都宮ブリッツェン)が駆ったウィニングバイクは、メリダのグラベルモデル SILEX(サイレックス)だ。ショートヘッドチューブにロングフォーク設計を採用したフルカーボンのハイエンドモデルで、バイクパッキング等にも対応するダボも多く備えたグラベルアドベンチャー&レーシング兼用モデル。

シマノGRX Di2コンポにデュラエースクランクの組み合わせ photo:Makoto AYANO
パーツはシマノGRX Di2に、ホイールにはリム高32mmのワイドリム採用オールロードホイールであるシマノ WH-RX880をチョイス。ハンドルにはエアロ形状のグラベルレース設計のPRO DISCOVER AEROカーボンハンドルをセットしている。

エアロ形状のPRO DISCOVER AEROカーボンハンドルにシマノGRX Di2レバーを使用 photo:Makoto AYANO 
サドルはプロロゴSCRATCH M5を使用 photo:Makoto AYANO

シマノのオールロードホイールであるWH-RX880をチョイス photo:Makoto AYANO

パナレーサーのGRAVELKING X1、ノーマルケーシングの45Cを前後にチョイス photo:Makoto AYANO 
アタックしてからは熊よけベルを消音モードにしたという photo:Makoto AYANO
前月の試走時にはデュラエースクランクにフロントギアは50✕34Tのコンパクト仕様だったが、変速操作が頻繁なためインナーを34Tから36Tにアップして歯数差を少なくし、高速レースへの対応とチェーン落ちのリスクを減らしたという。また、Fダブルを選択した理由ついては「登りが厳しいのはもちろん、最後の舗装路の下りが非常にスピードが出ることで幅広くも細かく選べるギアレンジが必要です」と言う。
タイヤはパナレーサーのGRAVELKING X1、ノーマルケーシングの45Cを前後にチョイスした。「コース試走で確かめたところ、砂利グラベルに深い区間が有り、かつ全域でかなりのハイスピードで走るので40Cではやや心許なく、45Cのほうが速いと判断しました。実際、楽に速く走れる感触があったので、この選択が間違っていないことは確信できました」と沢田。

シマノの新型グラベルシューズ S-PHYRE RX910を日本で始めて投入した photo:Makoto AYANO

ポンツーンにSPDクリートをセットした状態 photo:Makoto AYANO 
ポンツーンに新型CL-MT001クリートをセットした状態(展示品) photo:Makoto AYANO
また、大会直前に発表となったシマノの新型グラベルシューズ S-PHYRE RX910を日本で始めて投入したこともトピック。なおこの日にはまだ新型CL-MT001クリートの供給が間に合わず、従来クリートを使用していた。

トップを争った沢田時(宇都宮ブリッツェン)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO
「クリート+ポンツーンを使うことでシューズとペダルの接触面が増え、余分な隙間やガタがなくなります。MTBシューズよりクリップインはやや硬めなんですが、嵌めた後は非常にダイレクトなペダリングが可能。クリート周りのアソビが無くなって、まるでロードペダルのようなペダリングが可能になります。レースで使うには非常にいいシステムだと思います」。
男子エリート2位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)ビアンキ IMPULSO

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)ビアンキ IMPULSO photo:Makoto AYANO
エリート2位の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が駆るのはビアンキのエアロ形状フレームを採用したグラベルレーシングバイク、IMPULSOだ。同社はアドベンチャーモデルとして開発されたARCADEXもラインナップするぶん、IMPULSOは純レーシングモデルとしてスピードに振り切った設計で、エアロをフルに取り入れた複雑で曲線的なフレームデザインを採用している。

FORMOSA製のワイドリムカーボンホイール photo:Makoto AYANO
「小回りが効くことが必要なシクロクロスバイクと比べると、グラベルバイクは高速域で走りが安定していて速く、エアロダイナミクスが効くことが重要ですね。パーツ構成はほぼ完成車のままです。ハンドルは広めでフレア形状。シクロクロスと違って下ハンドルを握って下ることが多いので、このほうが安定しますね」と言う。

末広がりのフレアハンドルを使う。STIはメカニカルタイプだ photo:Makoto AYANO 
ヴィットリアTERRENO T50 タイヤを使用。太さは40C photo:Makoto AYANO

ジャージの内側にハイドレーションバッグを仕込んでいる photo:Makoto AYANO 
ロングボトルには蓋付きのものを選ぶ photo:Makoto AYANO
織田も沢田と共に前月のオフィシャル試走会を走っている。「セッティングは試走のときから変わりなく、サドルポジションを少し変えて臨みました。初レースだけにタイヤ選択はとても難しく、今回は40Cを選択しました。まずはこれでレースを走って今後の基準にするつもりです。 空気圧は1.8ぐらいで行くことにしました。普通よりはやや高めだと思いますが、パンクに対するリスクヘッジになること、スピードの出る舗装路で軽く走れるメリットが活かせると思ってのことです」。
「補給はボトル2本に加えて背中のウェア下に1.5Lのハイドレーションバッグを仕込んでいます(外から分かりにくいのは飲んで減ったため)。酷暑日は氷を入れて走ると涼しくていいですね」。
男子エリート3位 阿部嵩之(ヴェロリアン松山)キャニオン GRAIL CF7

阿部嵩之(ヴェロリアン松山)キャニオン GRAIL CF7 photo:Makoto AYANO
エリート3位だった阿部嵩之(ヴェロリアン松山)が駆るのはキャニオンのグラベルレーシングモデル、GRAIL。5月にアメリカのアンバウンド・グラベルで日本人過去最高記録で完走を果たした際にも乗ったバイクだ。
SRM社のパワーメーター内蔵クランクにコンポは前11S世代のシマノGRX Di2仕様。ホイールはポリマー社のカーボンスポーク採用モデルにGRAVELKING X1タイヤをセット。

ポリマー社のホイールはカーボンスポーク仕様だ photo:Makoto AYANO

SRMパワーメーター内臓のカーボンクランクを使う photo:Makoto AYANO
「チェーンホイール歯数はもともと52✕36Tだったんですが、登りの厳しさに備えて50✕34Tにギア比ダウンしました。結果的にロー34✕34Tの1対1ギアがあって助かりましたね」と言う。

パナレーサーGRAVELKING X1タイヤはノーマルケーシングで、太さは45C photo:Makoto AYANO 
CO2ボンベをすぐに使用できるようにフレームに仮付け photo:Makoto AYANO
GRAVELKING X1タイヤはノーマルケーシングで、太さは45Cだ。「空気圧はF1.7のR:1.9で、アンバウンドのときにパナレーサーの方に推奨してもらった数値そのままで走りました。ただ、今回はガレた路面に弾かれる感じがあったのでもう少し低めでも良かったかもしれません。コースにパンクのリスクになる尖った石などは少ないと思いました」。
補給はジェルをフラスクに入れて1本、エネルギードリンクを入れたボトルを2本。それを2周目に入るフィードゾーンで同じものに交換し、すべて飲みきったと言う。ハイドレーションは使わなかったが、「晴れると水分は足りなかったでしょうね」。
男子エリート4位 鈴木来人 コルナゴ G4-X

鈴木来人 コルナゴG4-X photo:Makoto AYANO
エリート4位の鈴木来人が乗るのはコルナゴ G4-Xだ。タディ・ポガチャルとUAEチームエミレーツの選手たちが乗るV4Rsから設計思想を引き継いだグラベルレーシングモデルで、似たシルエットになっているのが特徴。鈴木選手はロードレースでもコルナゴを駆っていることで、コルナゴ・ジャパンのサポートを受ける。

男子エリート4位 鈴木来人 photo:Makoto AYANO

北海道のサイクルガレージPAZオリジナルホイールにチャレンジGATEWAY 45Cタイヤ photo:Makoto AYANO
「ロードレースではコルナゴV4に乗っているんですが、G4-XはV4にかなりフィーリングが似たバイクで、求められる踏み方も近い感じのレースバイクです」と言う。
タイヤはチャレンジのGATEWAY。前月の試走時には40Cを使ったが、レース本番には45Cを選んだ。「下りの安定性と登りのトラクション増を狙って45Cにサイズアップしました」。

ディズナのLA CRANKに49✕35Tをセット クランク長は167.5mm photo:Makoto AYANO

サイコンはマウントの揺れを嫌ってステム上に取り付ける photo:Makoto AYANO 
東京サンエスのVIVA気づきベルをサドルレールに下げる photo:Makoto AYANO
他にフロントのクランクを2.5mm短くして167.5mmに、ギアを49✕35に変更した(変更前はGRXの170mmクランク+48✕32Tだった)。
「レース的な走りにはフロントギアの歯数差を小さくしたいのと、ディズナのLA CRANKに入れ替えることでショート化に対応。このクランクによってQファクターも少し狭くできています。身体が小さいのでクランクを速く回しやすくなりました」。
男子エリート6位:高岡亮寛(Roppongi Express)キャノンデール SuperX

高岡亮寛(Roppongi Express)キャノンデール SuperX photo:Makoto AYANO
最終的にはエリート6位でレースを終えた高岡亮寛選手(Roppongi Express)のバイクはキャノンデールのエアロ系グラベルレースバイク、SuperXだ。
「想像以上に下りがキツく、スタートから20分ぐらいで沢田時らのトップグループから遅れて独りで走ってしまった」という高岡。しかし登りセクションの速さは目を見張る物があった。

エリート6位の高岡亮寛(Roppongi Express) photo:Makoto AYANO

MOMO Designのモノコックハンドルを使用する photo:Makoto AYANO

重量の軽さを重視してリザーブの40/44ホイールを選択 photo:Makoto AYANO
「SuperXはスタイリッシュでエアロで速い最高のバイクです。ハイスピード走行時にはエアロ効果を確かに感じます」と高岡は言う。コンポはスラム RED XPLRをフルセットで採用。普段はおもにZIPP 303 XPLRホイールを使っているが、今回のコースでは重量の軽さを重視してリザーブの40/44ホイールを選択。タイヤには見慣れないプロトタイプがセットされていた。

コンポはスラム RED XPLRをフルセットで採用 photo:Makoto AYANO

某メーカーのプロトタイプのレーシングタイヤを使った photo:Makoto AYANO
「テスト中のタイヤはちょっとスリック系すぎてガレたこのコース向きでは無かったかもしれません。太さ45Cで空気圧はF:1.6、R:1.7 で設定は良かったんですが、オフロードが上手い人でないと先頭集団では走れない難しさがありました。僕にはあまりテクニカルでないアメリカのグラベルのほうが向いているなぁ」。
ハイドレーションバッグを仕込んだキャメルバックを使用した。「スタートから1.5Lを背負って走ったのも速いプロ選手と走るには重量的に少しロスだったかもしれません。2周目にはハイドレーションバッグを捨ててボトル2本を交換、軽くして走りました。このあたりの戦略もシビアですね」と話す。来年はオーストラリアでのUCIグラベル世界選手権に出場予定だ。
エリート女子優勝 渡部春雅 Liv Brava

渡部春雅 Liv Brava Advanced photo:Makoto AYANO
男子エリートと同じ2周・100kmで争われた女子エリートはたった2名の参加だったが、2名ともが厳しいコースを完走。優勝はロードやシクロクロス、MTBでも活躍する女子トップレーサーの渡部春雅さん。バイクはLiv Brava Advancedで、タイヤを前後40Cに交換した以外はほぼシクロクロスバイクでの参戦だった。

カデックスのフルカーボンホイールを使用 photo:Makoto AYANO 
カデックスのグラベルタイヤ GX の40Cを履く photo:Makoto AYANO
コースは泥にならないことを見越してロードペダル&ロードシューズで走った。フロントシングルの38✕10-36Tのギアはシクロクロスバイクとしてはローが軽めだが、ガレて登りの厳しいグラベルでは軽いギアが足りなかったとのことで、かなり辛かった模様だ。

シクロクロス用38✕10-36Tのギアでは登りが厳しかったと言う photo:Makoto AYANO
vol.2ではエイジグループで活躍した選手たちのグラベルレースバイクを紹介します。
text&photo:Makoto AYANO
男子エリート優勝 沢田時(宇都宮ブリッツェン)メリダSILEX

男子エリートで圧倒的な独走優勝を決めた沢田時 (宇都宮ブリッツェン)が駆ったウィニングバイクは、メリダのグラベルモデル SILEX(サイレックス)だ。ショートヘッドチューブにロングフォーク設計を採用したフルカーボンのハイエンドモデルで、バイクパッキング等にも対応するダボも多く備えたグラベルアドベンチャー&レーシング兼用モデル。

パーツはシマノGRX Di2に、ホイールにはリム高32mmのワイドリム採用オールロードホイールであるシマノ WH-RX880をチョイス。ハンドルにはエアロ形状のグラベルレース設計のPRO DISCOVER AEROカーボンハンドルをセットしている。





前月の試走時にはデュラエースクランクにフロントギアは50✕34Tのコンパクト仕様だったが、変速操作が頻繁なためインナーを34Tから36Tにアップして歯数差を少なくし、高速レースへの対応とチェーン落ちのリスクを減らしたという。また、Fダブルを選択した理由ついては「登りが厳しいのはもちろん、最後の舗装路の下りが非常にスピードが出ることで幅広くも細かく選べるギアレンジが必要です」と言う。
タイヤはパナレーサーのGRAVELKING X1、ノーマルケーシングの45Cを前後にチョイスした。「コース試走で確かめたところ、砂利グラベルに深い区間が有り、かつ全域でかなりのハイスピードで走るので40Cではやや心許なく、45Cのほうが速いと判断しました。実際、楽に速く走れる感触があったので、この選択が間違っていないことは確信できました」と沢田。



また、大会直前に発表となったシマノの新型グラベルシューズ S-PHYRE RX910を日本で始めて投入したこともトピック。なおこの日にはまだ新型CL-MT001クリートの供給が間に合わず、従来クリートを使用していた。

「クリート+ポンツーンを使うことでシューズとペダルの接触面が増え、余分な隙間やガタがなくなります。MTBシューズよりクリップインはやや硬めなんですが、嵌めた後は非常にダイレクトなペダリングが可能。クリート周りのアソビが無くなって、まるでロードペダルのようなペダリングが可能になります。レースで使うには非常にいいシステムだと思います」。
男子エリート2位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)ビアンキ IMPULSO

エリート2位の織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が駆るのはビアンキのエアロ形状フレームを採用したグラベルレーシングバイク、IMPULSOだ。同社はアドベンチャーモデルとして開発されたARCADEXもラインナップするぶん、IMPULSOは純レーシングモデルとしてスピードに振り切った設計で、エアロをフルに取り入れた複雑で曲線的なフレームデザインを採用している。

「小回りが効くことが必要なシクロクロスバイクと比べると、グラベルバイクは高速域で走りが安定していて速く、エアロダイナミクスが効くことが重要ですね。パーツ構成はほぼ完成車のままです。ハンドルは広めでフレア形状。シクロクロスと違って下ハンドルを握って下ることが多いので、このほうが安定しますね」と言う。




織田も沢田と共に前月のオフィシャル試走会を走っている。「セッティングは試走のときから変わりなく、サドルポジションを少し変えて臨みました。初レースだけにタイヤ選択はとても難しく、今回は40Cを選択しました。まずはこれでレースを走って今後の基準にするつもりです。 空気圧は1.8ぐらいで行くことにしました。普通よりはやや高めだと思いますが、パンクに対するリスクヘッジになること、スピードの出る舗装路で軽く走れるメリットが活かせると思ってのことです」。
「補給はボトル2本に加えて背中のウェア下に1.5Lのハイドレーションバッグを仕込んでいます(外から分かりにくいのは飲んで減ったため)。酷暑日は氷を入れて走ると涼しくていいですね」。
男子エリート3位 阿部嵩之(ヴェロリアン松山)キャニオン GRAIL CF7

エリート3位だった阿部嵩之(ヴェロリアン松山)が駆るのはキャニオンのグラベルレーシングモデル、GRAIL。5月にアメリカのアンバウンド・グラベルで日本人過去最高記録で完走を果たした際にも乗ったバイクだ。
SRM社のパワーメーター内蔵クランクにコンポは前11S世代のシマノGRX Di2仕様。ホイールはポリマー社のカーボンスポーク採用モデルにGRAVELKING X1タイヤをセット。


「チェーンホイール歯数はもともと52✕36Tだったんですが、登りの厳しさに備えて50✕34Tにギア比ダウンしました。結果的にロー34✕34Tの1対1ギアがあって助かりましたね」と言う。


GRAVELKING X1タイヤはノーマルケーシングで、太さは45Cだ。「空気圧はF1.7のR:1.9で、アンバウンドのときにパナレーサーの方に推奨してもらった数値そのままで走りました。ただ、今回はガレた路面に弾かれる感じがあったのでもう少し低めでも良かったかもしれません。コースにパンクのリスクになる尖った石などは少ないと思いました」。
補給はジェルをフラスクに入れて1本、エネルギードリンクを入れたボトルを2本。それを2周目に入るフィードゾーンで同じものに交換し、すべて飲みきったと言う。ハイドレーションは使わなかったが、「晴れると水分は足りなかったでしょうね」。
男子エリート4位 鈴木来人 コルナゴ G4-X

エリート4位の鈴木来人が乗るのはコルナゴ G4-Xだ。タディ・ポガチャルとUAEチームエミレーツの選手たちが乗るV4Rsから設計思想を引き継いだグラベルレーシングモデルで、似たシルエットになっているのが特徴。鈴木選手はロードレースでもコルナゴを駆っていることで、コルナゴ・ジャパンのサポートを受ける。


「ロードレースではコルナゴV4に乗っているんですが、G4-XはV4にかなりフィーリングが似たバイクで、求められる踏み方も近い感じのレースバイクです」と言う。
タイヤはチャレンジのGATEWAY。前月の試走時には40Cを使ったが、レース本番には45Cを選んだ。「下りの安定性と登りのトラクション増を狙って45Cにサイズアップしました」。



他にフロントのクランクを2.5mm短くして167.5mmに、ギアを49✕35に変更した(変更前はGRXの170mmクランク+48✕32Tだった)。
「レース的な走りにはフロントギアの歯数差を小さくしたいのと、ディズナのLA CRANKに入れ替えることでショート化に対応。このクランクによってQファクターも少し狭くできています。身体が小さいのでクランクを速く回しやすくなりました」。
男子エリート6位:高岡亮寛(Roppongi Express)キャノンデール SuperX

最終的にはエリート6位でレースを終えた高岡亮寛選手(Roppongi Express)のバイクはキャノンデールのエアロ系グラベルレースバイク、SuperXだ。
「想像以上に下りがキツく、スタートから20分ぐらいで沢田時らのトップグループから遅れて独りで走ってしまった」という高岡。しかし登りセクションの速さは目を見張る物があった。



「SuperXはスタイリッシュでエアロで速い最高のバイクです。ハイスピード走行時にはエアロ効果を確かに感じます」と高岡は言う。コンポはスラム RED XPLRをフルセットで採用。普段はおもにZIPP 303 XPLRホイールを使っているが、今回のコースでは重量の軽さを重視してリザーブの40/44ホイールを選択。タイヤには見慣れないプロトタイプがセットされていた。


「テスト中のタイヤはちょっとスリック系すぎてガレたこのコース向きでは無かったかもしれません。太さ45Cで空気圧はF:1.6、R:1.7 で設定は良かったんですが、オフロードが上手い人でないと先頭集団では走れない難しさがありました。僕にはあまりテクニカルでないアメリカのグラベルのほうが向いているなぁ」。
ハイドレーションバッグを仕込んだキャメルバックを使用した。「スタートから1.5Lを背負って走ったのも速いプロ選手と走るには重量的に少しロスだったかもしれません。2周目にはハイドレーションバッグを捨ててボトル2本を交換、軽くして走りました。このあたりの戦略もシビアですね」と話す。来年はオーストラリアでのUCIグラベル世界選手権に出場予定だ。
エリート女子優勝 渡部春雅 Liv Brava

男子エリートと同じ2周・100kmで争われた女子エリートはたった2名の参加だったが、2名ともが厳しいコースを完走。優勝はロードやシクロクロス、MTBでも活躍する女子トップレーサーの渡部春雅さん。バイクはLiv Brava Advancedで、タイヤを前後40Cに交換した以外はほぼシクロクロスバイクでの参戦だった。


コースは泥にならないことを見越してロードペダル&ロードシューズで走った。フロントシングルの38✕10-36Tのギアはシクロクロスバイクとしてはローが軽めだが、ガレて登りの厳しいグラベルでは軽いギアが足りなかったとのことで、かなり辛かった模様だ。

vol.2ではエイジグループで活躍した選手たちのグラベルレースバイクを紹介します。
text&photo:Makoto AYANO
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