マドリッドにフィニッシュする予定だった第80回ブエルタ・ア・エスパーニャの第21ステージ。連日加熱する抗議デモがフィニッシュ地点を占拠したため、レースは中止され、その夜自主的に行われた表彰式でヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)の総合優勝などが祝われた。

前日勝者で総合優勝を決めたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

マイヨロホの赤に染められたサーヴェロ S5 photo:A.S.O. 
前日の敢闘賞を受賞したランダを祝うコンタドール photo:A.S.O.
9月14日(日)第21ステージ
アラルパルド〜マドリッド 111.6km(平坦)
獲得標高差 917m
超級山岳ボラ・デル・ムンドでヴィンゲゴーがアタックを決めた第20ステージから一夜明け、ブエルタ・ア・エスパーニャは3週間の戦いを締めくくる最終日を迎えた。コースはアラルパルドから南のマドリッドにフィニッシュする111.6kmの平坦路。パレード走行から始まり、市街地周回からレースが本格化して集団スプリントで決着する、お馴染みのグランツール最終日だ。
しかし前日、レース主催者はマドリッドに向かう途中に通過するアルアバカをルートから削除し、距離を103.6kmへと短縮した。その理由を主催者はスポンサー喪失のためと説明したが、一部メディアではアルアバカでイスラエルによるガザ侵攻に反対するデモが計画されているためとの報道もあった。

自身初のマイヨロホを獲得したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)とヴィスマ・リースアバイクの選手たち photo:A.S.O.

マイヨプントス(ポイント賞)を得たマッズ・ピーダスン(デンマーク)とリドル・トレックのメンバー photo:A.S.O. 
総合3位のトーマス・ピドコック(イギリス)を擁するQ36.5プロサイクリング photo:A.S.O.
混沌とした状況のなか、晴天のアラルパルドを153名の選手たちがスタート。区間3勝と共に総合優勝を決めたヴィンゲゴーがこの日もマイヨロホを纏い、チームメイトのセップ・クスやマッテオ・ジョーゲンソン(共にアメリカ)、ディラン・ファンバーレ(オランダ)らは黒ベースに赤の差し色が入ったスペシャルジャージで肩を組みポーズを取る場面もあった。
2023年ジロ・デ・イタリアでの総合3位を上回る総合2位に入ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)は、区間2勝とマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を得たジェイ・ヴァイン(オーストラリア)ら、今大会区間7勝と驚異的な勝率を誇ったチームメイトたちと健闘を称え合う。連日逃げに乗り、自身2度目のマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を獲得したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)もチームで笑顔を見せた。

今大会の中心となった共にデンマーク人のピーダスンとヴィンゲゴー photo:A.S.O. 
熾烈なマイヨロホ争いを繰り広げたアルメイダとヴィンゲゴー、ピドコック photo:CorVos

レースが本格的に始まり、ロットが中心でペースを作った photo:CorVos
グランツールの総合争いに本格参戦し、総合3位で表彰台を射止めたトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)も、今年加入した新チームの仲間たちとフォトセッション。そして残り82kmでスペインの首都・マドリッドに突入し、初開催以来80回目のフィニッシュを目指す。出場選手で唯一最終日スプリントを制した経験のあるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)のためにロット、そしてヤスペル・フィリプセン(ベルギー)を擁するアルペシン・ドゥクーニンクが集団先頭に選手を送り、主導権争いが始まった。
しかし1周5.8km×9周のレイアウトに向かう残り58km地点で、パレスチナの旗を持った抗議者たちがコースを塞ぎ、一部の選手たちが足止めを食らう。直後に主催者が選手たちにステージの中止を伝えた。フィニッシュ地点の安全が確保できなかったことが理由だ。2,200名以上の警官が警備にあたったものの、それを上回る数千の抗議者が沿道とコースを隔てるフェンスを越え、コースに侵入して表彰台に向かって移動したのだ。

警察に止められるヴィンゲゴーら選手たち photo:CorVos

フィニッシュ地点では多くのデモ隊がコースに侵入した photo:CorVos 
チームメイトたちと総合優勝を喜ぶ photo:CorVos
その後、選手たちは即座にチームカーに移動し、コースを後にした。この結果、ヴィンゲゴーの総合優勝やそれ以外の総合順位、そしてマイヨロホ以外の特別賞ジャージの持ち主が確定。表彰式は行われず、異例の形で第80回大会が幕を閉じた。
別記事にて詳細を伝えたが、今大会はスペインに入国初日の第5ステージから、デモ隊がレースに影響を与える事態が発生。第11ステージもフィニッシュ地点が使えず「勝者なし」に終わり、第14ステージでイスラエル・プレミアテックが胸元から「イスラエル」の文字を削除したジャージで出走したものの、抗議の波は収まらなかった。
また第15ステージでは抗議者によりハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が落車し、リタイアを余儀なくされる事態にもつながった。日本時間9月15日午前7時の時点で、主催者からはレース中止以外の新たな声明は出ていない。
しかしその日の夜、駐車場で自主的な表彰式が行われ、総合トップ3と特別賞ジャージを獲得した選手たちがそれぞれの栄誉を称え合った。



9月14日(日)第21ステージ
アラルパルド〜マドリッド 111.6km(平坦)
獲得標高差 917m
超級山岳ボラ・デル・ムンドでヴィンゲゴーがアタックを決めた第20ステージから一夜明け、ブエルタ・ア・エスパーニャは3週間の戦いを締めくくる最終日を迎えた。コースはアラルパルドから南のマドリッドにフィニッシュする111.6kmの平坦路。パレード走行から始まり、市街地周回からレースが本格化して集団スプリントで決着する、お馴染みのグランツール最終日だ。
しかし前日、レース主催者はマドリッドに向かう途中に通過するアルアバカをルートから削除し、距離を103.6kmへと短縮した。その理由を主催者はスポンサー喪失のためと説明したが、一部メディアではアルアバカでイスラエルによるガザ侵攻に反対するデモが計画されているためとの報道もあった。



混沌とした状況のなか、晴天のアラルパルドを153名の選手たちがスタート。区間3勝と共に総合優勝を決めたヴィンゲゴーがこの日もマイヨロホを纏い、チームメイトのセップ・クスやマッテオ・ジョーゲンソン(共にアメリカ)、ディラン・ファンバーレ(オランダ)らは黒ベースに赤の差し色が入ったスペシャルジャージで肩を組みポーズを取る場面もあった。
2023年ジロ・デ・イタリアでの総合3位を上回る総合2位に入ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)は、区間2勝とマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を得たジェイ・ヴァイン(オーストラリア)ら、今大会区間7勝と驚異的な勝率を誇ったチームメイトたちと健闘を称え合う。連日逃げに乗り、自身2度目のマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を獲得したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)もチームで笑顔を見せた。



グランツールの総合争いに本格参戦し、総合3位で表彰台を射止めたトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)も、今年加入した新チームの仲間たちとフォトセッション。そして残り82kmでスペインの首都・マドリッドに突入し、初開催以来80回目のフィニッシュを目指す。出場選手で唯一最終日スプリントを制した経験のあるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)のためにロット、そしてヤスペル・フィリプセン(ベルギー)を擁するアルペシン・ドゥクーニンクが集団先頭に選手を送り、主導権争いが始まった。
しかし1周5.8km×9周のレイアウトに向かう残り58km地点で、パレスチナの旗を持った抗議者たちがコースを塞ぎ、一部の選手たちが足止めを食らう。直後に主催者が選手たちにステージの中止を伝えた。フィニッシュ地点の安全が確保できなかったことが理由だ。2,200名以上の警官が警備にあたったものの、それを上回る数千の抗議者が沿道とコースを隔てるフェンスを越え、コースに侵入して表彰台に向かって移動したのだ。



その後、選手たちは即座にチームカーに移動し、コースを後にした。この結果、ヴィンゲゴーの総合優勝やそれ以外の総合順位、そしてマイヨロホ以外の特別賞ジャージの持ち主が確定。表彰式は行われず、異例の形で第80回大会が幕を閉じた。
別記事にて詳細を伝えたが、今大会はスペインに入国初日の第5ステージから、デモ隊がレースに影響を与える事態が発生。第11ステージもフィニッシュ地点が使えず「勝者なし」に終わり、第14ステージでイスラエル・プレミアテックが胸元から「イスラエル」の文字を削除したジャージで出走したものの、抗議の波は収まらなかった。
また第15ステージでは抗議者によりハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が落車し、リタイアを余儀なくされる事態にもつながった。日本時間9月15日午前7時の時点で、主催者からはレース中止以外の新たな声明は出ていない。
しかしその日の夜、駐車場で自主的な表彰式が行われ、総合トップ3と特別賞ジャージを獲得した選手たちがそれぞれの栄誉を称え合った。
🇪🇸 #LaVuelta25
— Team Visma | Lease a Bike (@vismaleaseabike) September 14, 2025
This is footage we simply can’t keep away from you. 🎥🍿
This is why we love cycling.
An intimate, well-deserved ceremony for all the winners of this Vuelta a España! ❤️🚴 pic.twitter.com/4Q6kVsyEZO
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 74:20:28 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +1:16 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング) | +3:11 |
4位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:41 |
6位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | +5:55 |
5位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +7:23 |
8位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +7:45 |
7位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +7:50 |
9位 | トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス) | +9:48 |
10位 | マッテオ・ジョーゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +12:16 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 277pts |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 197pts |
3位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 135pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツXRG) | 61pts |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 56pts |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | 32pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | 74:26:23 |
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:28 |
3位 | ウィリアムジュニア・ルセルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +8:05 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツXRG | 217:41:26 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +23:01 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアール | +1:20:52 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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