第80回ブエルタ・ア・エスパーニャは、総合優勝の行方を左右する勝負の第2週に突入する。平坦基調の山頂フィニッシュに始まり、バスクの急坂群、カンタブリアの丘陵、そして超級アングリルからラ・ファラポナの山頂決着まで、逃げと総合がせめぎ合う舞台が連続する。マイヨロホを巡る力関係が、ここから本格的に浮き彫りになっていく。



9月2日(火)第10ステージ
センダヴィーヴァ自然公園〜エル・フェリアル・ラーラ・ベラグア 175.3km(平坦/山頂フィニッシュ)
獲得標高差 3,082m


第10ステージ センダヴィーヴァ自然公園〜エル・フェリアル・ラーラ・ベラグア image:A.S.O.

第80回ブエルタ・ア・エスパーニャの2週目は、最終日(第15ステージ)までスプリンターに出番は回ってこない。その初日である第10ステージは、1級山岳エル・フェリアル・ラーラ・ベラグア(距離9.4km/平均6.3%)にフィニッシュする、ブエルタならではの平坦・山頂フィニッシュだ。

平坦と言いながらも、細かなアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げ、3級山岳をクリア。中間スプリントを挟み、登坂距離9.4kmの1級山岳ラーラ・ベラグアを駆け上がる。前回の登場時は、その前日に総合で遅れたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が復活の逃げ切り勝利を挙げた。逃げ集団とプロトンとの駆け引きが、ステージの見どころとなりそうだ。



9月3日(水)第11ステージ
ビルバオ〜ビルバオ 157.4km(丘陵)
獲得標高差 3,185m


第11ステージ ビルバオ〜ビルバオ image:A.S.O.

第11ステージの舞台はスペインでも特に自転車競技熱の高いバスク。コースはバスクらしい短い急坂が続く、典型的な丘陵ステージだ。5つの3級、2つの2級山岳が等間隔に配置されており、コース後半になるにつれ厳しくなっていくレイアウトだ。

特に終盤は2023年ツール・ド・フランスの第1ステージでも登場した2級山岳ビベロ(距離4.2km/平均8.3%)を2度登り、同じく3級山岳ピケ峠(距離2.3km/平均8.9%)へと続く。フィニッシュ地点は頂上からの下りと平坦路を経た7.8km先にある。



9月4日(木)第12ステージ
ラレド〜ロス・コラレス・デ・ブエルナ 144.9km(丘陵)
獲得標高差 2,393m


第12ステージ ラレド〜ロス・コラレス・デ・ブエルナ image:A.S.O.

ブエルタ12日目の舞台は、鏡写しのような丘が2つ用意された丘陵ステージ。スペイン北部カンタブリア州の144.9kmコースでは、2級山岳アリサス(距離8.6km/平均5.8%)に至る頃に逃げグループは形成されているであろう。しかし残り30kmから始まる1級山岳コラレス・デ・ブエルナは最大勾配16%。登坂距離7kmで平均勾配7.9%と、総合争いすら巻き起こるであろう難易度だ。

1級山岳で遅れた選手が、その遅れを取り戻せる猶予は、頂上から22.9kmのダウンヒル&平坦路。名物坂アングリルでの激坂バトルが翌日に控えているため、総合争いが動いてくるかどうかが注目。そうでなければ逃げ切り勝利を狙うクライマーにとって最大のチャンスとなる。



9月5日(金)第13ステージ
カベソン・デ・ラ・サル〜アングリル 202.7km(山岳/山頂フィニッシュ)
獲得標高差 3,964m


第13ステージ カベソン・デ・ラ・サル〜アングリル image:A.S.O.

今大会のハイライトとなるであろう激坂アングリルにフィニッシュする第13ステージは、同時に今大会最長ステージでもある。この日1つ目の1級山岳までは、海岸線に沿う約147kmの平坦路。マイヨロホの最終的な持ち主を占う山岳バトルは、最大勾配12%の1級山岳モスケタ(距離6.3km/平均8.4%)から始まる。

その後、急勾配の下りと僅かな平坦区間を経て、続いて臨むのは1級山岳コルダル(距離5.5km/平均8.8%)。頂上手前は勾配10%オーバーが続くため、ここで仕掛ける選手も現れるだろう。そして選手たちの前に立ちはだかるのが、超級山岳アングリル(距離12.4km/平均9.7%)。登坂距離12.4kmの平均勾配が9.7%という数字からでもその難易度がわかるが、特に急勾配なのはラスト6.5kmから。たびたび20%オーバーの区間が登場し、平均約14%、最大23%というプロ選手でも蛇行して登るほどの激坂区間が待ち受ける。

2023年大会ではヴィスマ・リースアバイク(当時ユンボ・ヴィスマ)がトップ3を独占し、総合表彰台独占に繋げた。その時の総合優勝者セップ・クス(アメリカ)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)が揃うヴィスマに、ライバルチームはどう挑むか。



9月6日(土)第14ステージ
アビレス〜アルト・デ・ラ・ファラポナ 135.9km(山岳/山頂フィニッシュ)
獲得標高差 3,805m


第14ステージ アビレス〜アルト・デ・ラ・ファラポナ image:A.S.O.

アングリルでの険しい戦いの翌日も、レース主催者は山頂フィニッシュを用意した。それも135.9kmの短い距離に2つの1級山岳を含む、獲得標高差3,805mの登りが詰め込まれたタフなレイアウトだ。

カンタブリア海に面したアビレスから始まる平坦路(といっても多少の起伏)は63.7kmで終わり、まずは手始めに3級山岳を登坂。登りよりも勾配のきつい短い下りを経て、続く1級山岳サン・リャウリエンス(距離10.1km/平均8.5%)までも緩斜面の登りが続く。

そして再び鋭角なダウンヒルをクリアし、挑むは1級山岳ラ・ファラポナ(距離16.9km/平均5.9%)。2014年のクイーンステージの最終山岳となったラ・ファラポナでは、マイヨロホを着るアルベルト・コンタドール(スペイン)がクリストファー・フルーム(イギリス)を引き離し、現在までスペイン人最後となる総合優勝に繋げた場所だ。



9月7日(日)第15ステージ
ベガデオ〜モンフォルテ・デ・レモス 167.8km(丘陵)
獲得標高差 3,287m


第15ステージ ベガデオ〜モンフォルテ・デ・レモス image:A.S.O.

第80回ブエルタの2週目を締めくくるのは、アストゥリアス州ベガデオからガリシア州モンフォルテ・デ・レモスに向かう167.8kmの丘陵ステージ。スタート直後からいきなり1級山岳ガルガンタ(距離16.5km/平均5.1%)の登坂が始まるため、入念なウォーミングアップが必要。頂上手前には急勾配区間も訪れるため、ここがスプリンターにとっての正念場となる。

その後はアップダウンの続く道を進み、2級山岳バルベイトス(距離11.9km/平均3.9%)を登坂。そこからは平坦基調だが、細かい凹凸を越えながらフィニッシュを目指す。逃げや総合タイムを取り戻したいクライマーたちが動いてくる可能性もある。はたまた序盤の遅れを取り戻したスプリンターたちが躍動するかもしれない、予測不能でエキサイティングなレイアウトだ。



9月8日(月)休息日 ポンテベドラ



text:Sotaro.Arakawa
image:A.S.O.
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