先着したダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は進路妨害によって降格。総合首位ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)が繰り上げ勝利し、ボーナスタイムで総合リードを伸ばした。



無数の丘を越えるクイーンステージ photo:LIDL DEUTSCHLAND TOUR 2025

ドイツ・ツアー(UCI2.Pro)の第3ステージ(4日目)に、総合成績を争う上では落とせない、獲得標高2,700mの丘陵ステージがやってきた。最後の頂上をラスト15kmで越え、ラスト3kmには僅差の総合争いを加熱させるボーナススプリントが用意され、そのままフィニッシュラインになだれ込む。総合争いとスプリンターチームの思惑が複雑に絡むエキサイティングなレースが展開された。

総合首位ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)と、1秒差で追うジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)らを先頭にスタートし、連日スプリントでトップ10に絡んでいるマルコ・ハラー(オーストリア、チューダープロサイクリング)を含む3名がエスケープ。メイン集団では総合逆転を狙うUAE勢がコントロールを行い、タイトなタイム差でレースを構築していった。

マルコ・ハラー(オーストリア、チューダープロサイクリング)を含む3名がエスケープ photo:LIDL DEUTSCHLAND TOUR 2025

ヴィスマ・リースアバイクのペースメイクによって集団が分裂。一時的に30名だけが生き残る状況に photo:LIDL DEUTSCHLAND TOUR 2025

ペースアップに対応するヴァーレンショルトとブレナン photo:LIDL DEUTSCHLAND TOUR 2025

UAEのブランドン・マクナルティ(アメリカ)とラファル・マイカ(ポーランド)のハイペース牽引が始まり、この日最も厳しい登りとなった「ブッテンベルク」でスプリントを目論んでいたジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)はドロップ。フルサポートを得て必死に追走したミランだったが、マシュー・ブレナン(イギリス)のライバルを振り落としたいヴィスマ勢も牽引に合流したメイン集団に戻ることは叶わなかった。

アタックと追走、合流、UAEとヴィスマのコントロールという展開を繰り返しながら進むメイン集団は、逃げを許さないまま終盤戦へ。ラスト3kmの登坂頂上にあるボーナススプリントではナルバエスがヴァーレンショルトをパスして-3秒獲得。この時点で2人の総合タイム差はゼロとなり、勝負は数分後のフィニッシュ地点へと持ち越される。

最終ストレートではワウト・ファンアールト(ベルギー)が牽引したもののブレナンとの連携は取れず、早駆けしたヴァーレンショルトの背後からオランダ王者ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が加速する。並びかけるブレナンの進路を遮ったファンポッペルがフィニッシュライン通過後に両手を振り上げた。

マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)がファンポッペルの走りに抗議する photo:LIDL DEUTSCHLAND TOUR 2025

先着するダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:LIDL DEUTSCHLAND TOUR 2025

しかし判定の結果、ファンポッペルはイレギュラースプリントによって降格処分(→集団最後尾の33位)に。2番手フィニッシュしたヴァーレンショルトが繰り上げステージ優勝となった。

「フィニッシュリプレイを見る限り(ファンポッペルの)降格は正しい判断だと思うけど、望んだ勝ち方では無かったよ。彼はこのレースでの最強スプリンターの一人だし、もし真っ直ぐスプリントしていたら勝っていたと思う」と、結果的にステージ2勝目を獲得したヴァーレンショルトは言う。ナルバエスがゴール勝負に絡めなかったため、レース中ゼロになった総合タイム差は10秒差へと拡大することとなった。

総合リードを伸ばす形になったソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:LIDL DEUTSCHLAND TOUR 2025

翌最終日は真っ平らなスプリンターステージであり、ピュアスプリンターではないナルバエスが10秒差をひっくり返すのは難しい状況。危なげなくヴァーレンショルトが総合を守り切るか、それとも他チームが撹乱を仕掛けるのかに注目だ。
ドイツ・ツアー2025 第3ステージ結果
1位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 3:53:10
2位 エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエネルジー)
3位 サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
4位 ライリー・シーハン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)
5位 ヨン・バレネチェア(スペイン、モビスター)
6位 アンドレア・ラッカーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ)
7位 マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)
8位 エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 マルコ・ハラー(オーストリア、チューダープロサイクリング)
10位 マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チューダープロサイクリング)
個人総合成績
1位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 13:00:43
2位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) +0:10
3位 ライリー・シーハン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) +0:15
4位 サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:25
5位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) +0:27
6位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:29
7位 マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)
8位 マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チューダープロサイクリング) +0:30
9位 マルコ・ハラー(オーストリア、チューダープロサイクリング) +0:32
10位 パスカル・エインコールン(オランダ、スーダル・クイックステップ) +0:35
その他の特別賞
ポイント賞 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
山岳賞 ミゲル・ハイドマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット)
ヤングライダー賞 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツXRG
text:So Isobe