ドイツ・ツアー2日目は集団スプリントで決着。20歳のマシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)が直接対決でジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)を打ち破った。
前日に世界遺産「ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群」でプロローグを終えたドイツ・ツアー(UCI2.Pro)。翌21日にはエッセンからヘルフォルトまでの202.6kmを舞台に、初のマスドステージが展開された。

19歳のアンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)ら4名が逃げる photo:CorVos
コースは獲得標高1,000mほどの「ザ・スプリンターステージ」。短い丘頂上に置かれた山岳ポイントが2箇所あるものの、この日の争点はフィニッシュ前6km地点に置かれたボーナススプリントと、フィニッシュ地点でのボーナスタイム争い。難関山岳が無く僅差の総合争いとなる当レースだけに、総合優勝を狙うパンチャー勢にとってはできる限りタイムを取っておきたいところだ。
この日はスタートすぐに19歳のアンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)とドイツ勢3名、合計4名による逃げグループが出来上がる。中間ポイントは3位通過の選手まで与えられるため、4名逃げを見送ったメイン集団はスプリンターチームがコントロールを担い、3分程度のリードを与えて平穏な時間を過ごした。
逃げグループ内ではミゲル・ハイドマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット)が山岳ポイントを積み重ねてジャージ着用権利を獲得し、レース終盤に入ってメイン集団が逃げメンバーをキャッチ。今季限りの引退を発表しているゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が総合2位サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のために牽引したものの、ワトソンは登りスプリントでワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)に敗れ2位通過(-2秒獲得)に甘んじている。
ボーナススプリント通過後のアタック合戦は全て不発に終わり、集団スプリントに向けてラスト1km。アタック合戦の影響でどのチームもリードアウトトレインを組めない混沌とした状況下でゴール前に到達し、真っ先にジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がスプリントを開始した。

ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)を破ったマシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:Lidl Deutschland Tour
しかし、トップスピード到達前にスプリントを始めたミランは伸びず、その背後でタイミングを待ち続けていたマシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)がラスト100mで加速。ひときわ低い姿勢で踏み続けるブレナンとミランがほぼ同時にフィニッシュラインを通過したが、先着したのは完璧なタイミングでハンドルを投げたブレナンだった。
「凄いことが起きたよ。本当にギリギリだった。勝てると思ったけど、少し不安もあった。まさにハイスピードのスプリントだったね」と喜ぶプロ1年目、20歳になったばかりのブレナンがミランを相手に今季10勝目を達成。スプリント力と登坂能力、勝負勘を兼ね備えることから同じイギリスのマーク・カヴェンディッシュやマイケル・マシューズとも比較評価される新星が、また一つ勝ち星を積み重ねることとなった。

今季10勝目を挙げたマシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:Lidl Deutschland Tour
「数週間前はソファに座ってツール・ド・フランスを観戦していたんだ。ジョナサン・ミランのようなワールドクラスのスプリンターたちが戦っているのを見ていたよ。僕にとって彼と対戦することは大きな目標になっていた。彼ほどの実力を持つスプリンターに勝てたことで大きな自信につながったよ。今後数日間にはまだチャンスが残っているけれど、すでに勝利を手にできたのは嬉しいよ」とブレナンは加えている。
アシストに徹したファンアールトも「マシューはまだ20歳なのに、走り方もコメントも、まるでキャリアを重ねた選手のようだ。あんなに激しい走りをした後でもほとんど苦しんでいる様子もないんだ」とブレナンに対して舌を巻いている。ヴィスマにとってはレネウィ・ツアー第2ステージでのオラフ・コーイ(オランダ)と併せて1日2勝。総合首位は前日勝者のソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)から、ステージ3位でボーナスタイム-4秒を稼いだダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に移っている。
前日に世界遺産「ツォルフェアアイン炭鉱業遺産群」でプロローグを終えたドイツ・ツアー(UCI2.Pro)。翌21日にはエッセンからヘルフォルトまでの202.6kmを舞台に、初のマスドステージが展開された。

コースは獲得標高1,000mほどの「ザ・スプリンターステージ」。短い丘頂上に置かれた山岳ポイントが2箇所あるものの、この日の争点はフィニッシュ前6km地点に置かれたボーナススプリントと、フィニッシュ地点でのボーナスタイム争い。難関山岳が無く僅差の総合争いとなる当レースだけに、総合優勝を狙うパンチャー勢にとってはできる限りタイムを取っておきたいところだ。
この日はスタートすぐに19歳のアンドリュー・オーガスト(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)とドイツ勢3名、合計4名による逃げグループが出来上がる。中間ポイントは3位通過の選手まで与えられるため、4名逃げを見送ったメイン集団はスプリンターチームがコントロールを担い、3分程度のリードを与えて平穏な時間を過ごした。
逃げグループ内ではミゲル・ハイドマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット)が山岳ポイントを積み重ねてジャージ着用権利を獲得し、レース終盤に入ってメイン集団が逃げメンバーをキャッチ。今季限りの引退を発表しているゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が総合2位サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)のために牽引したものの、ワトソンは登りスプリントでワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)に敗れ2位通過(-2秒獲得)に甘んじている。
ボーナススプリント通過後のアタック合戦は全て不発に終わり、集団スプリントに向けてラスト1km。アタック合戦の影響でどのチームもリードアウトトレインを組めない混沌とした状況下でゴール前に到達し、真っ先にジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がスプリントを開始した。

しかし、トップスピード到達前にスプリントを始めたミランは伸びず、その背後でタイミングを待ち続けていたマシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)がラスト100mで加速。ひときわ低い姿勢で踏み続けるブレナンとミランがほぼ同時にフィニッシュラインを通過したが、先着したのは完璧なタイミングでハンドルを投げたブレナンだった。
「凄いことが起きたよ。本当にギリギリだった。勝てると思ったけど、少し不安もあった。まさにハイスピードのスプリントだったね」と喜ぶプロ1年目、20歳になったばかりのブレナンがミランを相手に今季10勝目を達成。スプリント力と登坂能力、勝負勘を兼ね備えることから同じイギリスのマーク・カヴェンディッシュやマイケル・マシューズとも比較評価される新星が、また一つ勝ち星を積み重ねることとなった。

「数週間前はソファに座ってツール・ド・フランスを観戦していたんだ。ジョナサン・ミランのようなワールドクラスのスプリンターたちが戦っているのを見ていたよ。僕にとって彼と対戦することは大きな目標になっていた。彼ほどの実力を持つスプリンターに勝てたことで大きな自信につながったよ。今後数日間にはまだチャンスが残っているけれど、すでに勝利を手にできたのは嬉しいよ」とブレナンは加えている。
アシストに徹したファンアールトも「マシューはまだ20歳なのに、走り方もコメントも、まるでキャリアを重ねた選手のようだ。あんなに激しい走りをした後でもほとんど苦しんでいる様子もないんだ」とブレナンに対して舌を巻いている。ヴィスマにとってはレネウィ・ツアー第2ステージでのオラフ・コーイ(オランダ)と併せて1日2勝。総合首位は前日勝者のソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)から、ステージ3位でボーナスタイム-4秒を稼いだダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に移っている。
ドイツ・ツアー2025 第1ステージ結果
1位 | マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | 4:37:08 |
2位 | ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | |
3位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエネルジー) | |
5位 | ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・プレミアテック) | |
6位 | マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング) | |
7位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
8位 | ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | |
9位 | トム・ファンデルウェルフ(オランダ、ピクニック・ポストNL) | |
10位 | ジョナサンメルト・ロットマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット) |
個人総合成績
1位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 4:40:38 |
2位 | サムエル・ワトソン(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | |
4位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:01 |
5位 | ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | |
6位 | ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | |
7位 | マルコ・ハラー(オーストリア、チューダープロサイクリング) | +0:03 |
8位 | ローレンス・ピシー(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:04 |
9位 | マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダープロサイクリング) | |
10位 | フラット・ファンミヘレン(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:05 |
その他の特別賞
山岳賞 | ミゲル・ハイドマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット) |
ポイント賞 | ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) |
ヤングライダー賞 | マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) |
チーム総合成績 | チューダープロサイクリング |
text:So Isobe
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