ツール・ド・ポローニュ第2ステージは、クライマーたちによる登りスプリントで決着した。デカトロンAG2Rラモンディアールの生え抜きであるポール・ラペラ(フランス)が鮮やかな加速で制し、総合首位に浮上している。



大観衆で迎えられた ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG) photo:Tour de Pologne

ツール・ド・ポローニュ2025第2ステージ image:Tour de Pologne
中央ヨーロッパのポーランドで開催中のツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)は、大会2日目を迎えた。国内屈指のリゾートホテル「ホテル・ゴウェビエフスキ」をスタートし、カルパチを目指す149.4kmは、後半に3つの2級山岳が設定された丘陵ステージ。さらにフィニッシュ地点は、カテゴリー山岳ではないものの、登坂距離3.1km(平均6.7%)の厳しい登坂区間の頂上に設定されている。

レース序盤、ポーランド・ナショナルチームの2名に、パトリック・ガンパー(オーストリア、ジェイコ・アルウラー)とマックス・ウォーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が反応して4名の逃げ集団が形成された。逃げグループは最大3分半のリードを築き、最初の2級山岳はガンパーをスプリントで退けたトマシュ・ブジンスキ(ポーランド・ナショナルチーム)が先着。一方のメイン集団は、リーダージャージを擁するヴィスマ・リースアバイクとイネオス・グレナディアーズが中心となってコントロールした。

パトリック・ガンパー(オーストリア、ジェイコ・アルウラー)を含む4名が逃げ集団を形成した photo:Tour de Pologne

レース後半に入ると、ブジンスキが続く2つの2級山岳もトップ通過し、山岳賞ランキングで首位に立った。しかし、この日最後の2級山岳でタイム差が1分まで縮まったことに危機感を覚えたウォーカーがアタック。名門トリニティレーシングとXDSアスタナの下部チームを経て今年プロデビューした24歳が、初のワールドツアー勝利を目指して独走を開始した。

牽引役をリドル・トレックに代えたプロトンは、残り12kmでウォーカーから遅れた逃げ集団を吸収。そして最後の登りが始まる手前の5.2km地点でウォーカーも引き戻され、勝負はプロトンに残るクライマーやパンチャーたちに委ねられた。

逃げから最後まで粘ったマックス・ウォーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:Tour de Pologne

逃げを捉え、登りフィニッシュに向かうプロトン photo:CorVos

その後はイネオス・グレナディアーズが新加入ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ)のためにペースを作り、残り1km地点を通過。フィニッシュに近づく大きな集団の中から、残り300mでヤン・クリステン(スイス、UAEチームエミレーツXRG)が踏み込んだ。それにフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が反応したものの、最後に笑ったのはポール・ラペラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)だった。

前フランス王者の25歳は、残り100mからスプリントを開始するとライバルたちを引き離し、登りフィニッシュに飛び込む。そして2位に入ったマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)らに2秒差をつける、圧巻の追い込みを披露した。

勝利したポール・ラペラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) photo:CorVos

リーダージャージに袖を通したポール・ラペラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) photo:Tour de Pologne

「今日の目標通り勝つことはできたが、ガッツポーズしてフィニッシュできなかったのが残念。チームは素晴らしい走りで僕をアシストしてくれ、勝利という役割を全うすることができて嬉しい。ここまでのハードワークが報われたので満足感に満ちあふれているよ」とラペラは語った。下部チームから2022年に昇格したデカトロンの生え抜きが、ワールドツアーで2勝目を手に入れた。

この結果、ラペラは総合首位に立ち、ステージ順位が総合順位にほぼ反映された。翌日に控えるのは1級山岳を含む7つのカテゴリー山岳が詰め込まれた今大会のクイーン(最難関)ステージであり、そこで総合順位が大きくシャッフルされる可能性が高い。
ツール・ド・ポローニュ2025第2ステージ
1位 ポール・ラペラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) 3:29:58
2位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) +0:02
3位 ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ、イネオス・グレナディアーズ)
4位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 ヤン・クリステン(スイス、UAEチームエミレーツXRG)
6位 ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) +0:04
7位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG)
8位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
9位 クインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
10位 ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)
個人総合成績
1位 ポール・ラペラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール) 7:56:24
2位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) +0:06
3位 ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ、イネオス・グレナディアーズ) +0:08
4位 ヤン・クリステン(スイス、UAEチームエミレーツXRG) +0:12
5位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +0:14
7位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
8位 クインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
9位 ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)
10位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:18
その他の特別賞
ポイント賞 ポール・ラペラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)
山岳賞 トマシュ・ブジンスキ(ポーランド・ナショナルチーム)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツXRG
text:Sotaro.Arakawa
photo:Tour de Pologne, CorVos