終盤の急勾配区間でアタックしたポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)が、ツール・ド・フランス・ファム第9ステージで2連勝。マイヨジョーヌを着るMTB絶対王者が、母国フランスにとって初の総合優勝をもたらした。



前日勝者でマイヨジョーヌを纏うポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

ツール・ド・フランス・ファム2025 第9ステージ image:A.S.O.
ポーリーヌ・フェランプレヴォ(ヴィスマ・リースアバイク)がフランスに歓喜をもたらした走りから一夜明け、第4回ツール・ド・フランス・ファム・アヴェク・ズイフト(UCIワールドツアー)は最終日を迎えた。第9ステージは引き続きアルプス山脈を舞台とする、プラ・シュル・アルリーからシャテルまでの124.1km。山頂フィニッシュではないものの、2つの1級山岳に挟まれるように、超級山岳ジュ・プランヌ峠(距離11.6km/平均8.5%)がそびえ立つコースレイアウトだ。

前日の時点でマイヨジョーヌを着るフェランプレヴォと、総合2位サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル)とは2分37秒、総合3位デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)とは3分18秒の差。フランス人初の総合優勝に向け大きなリードを得たフェランプレヴォを含む、126名がスタートを切った。すると直後の下りでアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)がアタック。前日に遅れて総合争いから脱落した元世界王者は、チームメイト2名(コペッキー&ヘリッツェ)とルシンダ・ブラント(オランダ、リドル・トレック)と合流し、4名の逃げ集団を形成した。

今大会最後のアクチュアルスタートの旗を振るマリオン・ルース氏 photo:A.S.O.

アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)ら4名が飛び出した photo:CorVos

一方のメイン集団ではフェランプレヴォとジガンテが一時的に遅れ、ヴィスマ・リースアバイクのアシストが必死に追いかける。FDJスエズは高速牽引で集団復帰を阻もうとしたが、総合トップ2は無事にプロトンへ合流。その後ファンデルブレッヘンらは一度吸収されたが、1級山岳に入ると再びアタックし、単独で先頭に立った。

ファンデルブレッヘンは頂上を越え、超級山岳へと続く下り、そして平坦路を進んだ。後続では登りで遅れた選手たちがプロトンに合流し、49.5km地点にある中間スプリントを通過する頃に、その差は2分まで拡大。ファンデルブレッヘンが先頭で通過し、プロトン先頭をロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)が取ったため、着用するマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)の獲得が確定した。

そしてレースは、いよいよ超級山岳ジュ・プランヌ峠(距離11.6km/平均8.5%)に突入した。1分43秒遅れで超級山岳に入ったプロトンでは、集団落車にカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)が巻き込まれる場面もあったが、幸いにも大きな影響はなかった。

単独で1級、超級山岳を越えたアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

ファンデルブレッヘンのリードは徐々に縮まり、頂上を通過する頃には44秒差となった。プロトンではAGインシュランス・スーダルの高速牽引によって人数が絞られ、ジガンテやフォレリングらのアタックにより、総合上位勢6名による精鋭集団が形成される。下りでニエウィアドマが仕掛けると、これに総合2位のジガンテが遅れてしまう。ジガンテは単独で追走を試みたものの、最後まで精鋭集団に追いつくことはなく、総合争いから脱落した。

最終1級山岳コルビエ峠(距離5.9km/平均8.5%)の登り口でファンデルブレッヘンは捕らえられ、すぐに集団から脱落。ステージ優勝と総合優勝を争う6名のグループでは、チームメイトのジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ)を擁するフォレリングが有利にレースを進め、集団はひと塊のまま頂上を通過。そして下りと平坦路を進み、最後の勝負所であるシャテルの「ルート・ド・ラ・ベシーニュ」という急勾配区間に突入した。

ファンデルブレッヘンを捉えた6名の精鋭集団は、ジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ)が長時間牽引した photo:A.S.O.

残り6.5kmで単独先頭に立ったポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

5つのヘアピンコーナーではフォレリングが仕掛けたものの、後続を振り切ることはできない。そして4つ目のヘアピンコーナー直後、集団後方からフェランプレヴォがアタック。満を持しての加速に、アタック合戦で疲弊したライバルたちはついていけなかった。そしてマイヨジョーヌはそのまま6.5kmの独走を決め、前日に続く2日連続勝利で総合優勝を掴み取った。

独走で2連勝、そして総合優勝を決めたポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

フィニッシュ直後に倒れ込んだポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

「信じられないほど嬉しい」とフィニッシュ直後に倒れ込み、勝利を噛み締めたフェランプレヴォ。「今朝、監督たちに『マイヨジョーヌを着てステージ優勝したい』と伝え、そのチャンスが巡ってきた。アタックしたら後続との差が広がり、最後の5kmは本当に苦しかったが、なんとか持ちこたえることができた。初出場のツール・ファムを、マイヨジョーヌでの勝利で締めくることができた。これ以上の喜びはない」。

2014年にロード世界選手権を22歳の若さで制覇し、ラ・フレーシュ・ワロンヌなど多くのタイトルを手にした33歳のフェランプレヴォ。休養を経てレース復帰した2019年からはマウンテンバイクの絶対王者として君臨し、昨年は母国フランスのパリ五輪でMTBの金メダリストに輝いた。しかし直後に「3年でツール・ファムを勝てるように」という目標を掲げロード復帰。そして1年も経たずにその目標を達成する、新生ツール・ファムにおけるフランス人初の総合優勝者となった。

2位には20秒遅れでフォレリングが入り、3位はニエウィアドマ。そして、この結果は、そのまま総合トップ3の順位となった。

ツール・ド・フランス・ファム2025表彰台:2位デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)、1位ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)、3位カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) photo:CorVos

ツール・ド・フランス・ファム2025第9ステージ結果
1位 ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) 3:38:23
2位 デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) +0:20
3位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) +0:23
4位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック)
5位 ドミニカ・ヴウォダルチク(ポーランド、UAEチームADQ) +0:33
6位 ジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ) +1:49
7位 サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル) +3:53
8位 セドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール) +9:22
9位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +9:23
10位 ナディア・ゴントヴァ(カナダ、ウィンスペース・オレンジシール) +9:26
個人総合成績(マイヨジョーヌ)
1位 ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) 26:16:11
2位 デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) +3:42
3位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) +4:09
4位 ドミニカ・ヴウォダルチク(ポーランド、UAEチームADQ) +5:45
5位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック) +6:25
6位 サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル) +6:40
7位 ジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ) +9:13
8位 セドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール) +13:43
9位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +13:59
10位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ) +15:50
その他の特別賞
マイヨアポワ(山岳賞) エリーズ・シャベイ(スイス、FDJスエズ)
マイヨヴェール(ポイント賞) ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)
マイヨブラン(ヤングライダー賞) ニンケ・フィンケ(オランダ、ピクニック・ポストNL)
チーム総合成績 FDJスエズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
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