兵庫県たつの市にて開幕した第37回マウンテンバイク全日本選手権day1。短距離スピードレースのXCCで沢田時(宇都宮ブリッツェン)が連覇で4度目の勝利。女子は川口うらら(Team TATSUNO)が3連覇。マスターズXCOでは岡本紘幸が全日本選手権の通算10勝目を飾った。

XCC Men Elite スタート 30人の選手が飛び出していく photo:Makoto AYANO
7月19・20日の2日間に渡り開催されるMTB全日本選手権。初日の種目は短距離の周回で競われるXCC=クロスカントリー・ショートトラックだ。
舞台となるのは菖蒲谷森林公園特設コース。パリ五輪MTB代表選手の川口うららが活動拠点とするたつの市の、市制施行20周年記念として開催される大会は、地元が一体となって盛り上げる。

沢田時(宇都宮ブリッツェン)に北林力(Massi Development Team) と平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) が続く photo:Makoto AYANO
XCCはレース時間20分程度でショートコースを周回する、ロードで言うクリテリウム的なレース。ユース、マスターズ、エリートのクラス別XCCが順次行われた。このXCCで上位を取ると、翌日のXCO(クロスカントリー・オリンピック)のスタート位置が最前列になる。
気温33°の夏日のなか、エリート男子は多くが翌日にXCO種目出場を控える30人の選手たちがスタートに並んだ。

ハイスピードのテクニカルセクションで北林力と沢田時が争う photo:Makoto AYANO
レース距離は700m×8周=5.6km。高橋翔(SPEED of sound)が飛び出し、続くのは沢田時(宇都宮ブリッツェン)、北林力(Massi development team)、竹内遼(MERIDA BIKING TEAM) 、平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) と、XCOでもお馴染みの選手がリードする。

ホームストレートの登りでスプリントしてフィニッシュする沢田時(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO
5周目にいったん先頭に出た沢田時、そして北林力の2人が抜け出すかたちとなり、最後はホームストレートの長い登り坂でロングスプリントをかけた沢田が大きな差を持って負トップフィニッシュ、XCC連覇を達成した。
沢田にとって4度目のXCC勝利。沢田は全日本前の最後のMTBレースだったCoupe du Japon福島檜山高原を制し、前週のロードレース「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」では4位と山岳賞獲得で、この全日本には絶好調で臨んでいることを証明した。

XCC Men Elite表彰 1位,沢田時(宇都宮ブリッツェン)、2位北林力(Massi Development Team)、平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) photo:Makoto AYANO
沢田は「明日もXCOのレースがあるが、ひとまず1種目は連覇できた。コースは登りの斜度が低く、周回も短く、かなりライバルが多い展開だったが、ロードレースの経験を活かしながらうまく走れたと思う。最後のアタックのパンチ力には自信があった。前で入った方が有利なところは確実に抑えていたので、そこだけ前に出ることを意識して食らいついて、なんとか下りの前で前に入ることができた。スプリントは自信があったので思い通りにいった。XCCは勝てなくても大丈夫かな、という気持ちだったが、ここまでしっかり準備して走ることができた。明日ももっといい走りができると思う」と満足げに翌日のXCOとの完全優勝への意欲を見せた。

XCC Women Eliteスタート 川口うらら(Team TATSUNO)が先頭で飛び出していく photo:Makoto AYANO
XCCエリート女子+マスターズには11人が出走。スタートダッシュを決めてトップに躍り出たのは川口うらら(Team TATSUNO)。石田唯(TRKWorks)、先のダウンヒル全日本選手権を制している末政実緒(SANTA CRUZ)、浜下玲音(TEAM BG8)が続く。

XCCをリードする川口うらら(Team TATSUNO) photo:Makoto AYANO 
XCC トップの川口うららを追う石田唯(TRKWorks) photo:Makoto AYANO
川口うららに石田唯が迫るが、川口は石田が迫ると引き離す走りで寄せ付けず、安定したリードを保ったまま逃げ切った。

たつの市のファンとハイタッチしながらフィニッシュする川口うらら(Team TATSUNO) photo:Makoto AYANO
XCC3連覇を達成した川口の活躍に、応援に駆けつけた山本実たつの市長も大興奮。小さな頃からこの菖蒲谷で走り、五輪選手になった川口を「チームたつの」として支えてきた地元の期待に応える勝利だった。

XCC Women Elite表彰 1位川口うらら、2位石田唯(TRK Works)、3位末政実緒(SANTA CRUZ) photo:Makoto AYANO

XCC Men Mastersのスタート photo:Makoto AYANO
XCCマスターズには14人が出走。スタートからトップに躍り出たのは昨年のチャンピオン岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)。岡本は危なげなく逃げ切り、連覇達成。続いて2位に皿谷宏人(マウンテン☆ポテト)、3位に島田真琴(ペダル)。

XCCマスターズで独走する岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING) photo:Makoto AYANO

XCCマスターズ30代表彰 1位は岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING) photo:Makoto AYANO
たっぷり3時間以上のコース試走を挟んで、午後はXCO(クロスカントリー)の男子マスターズ/ユースのレースが行われた。非常に難易度の高いフルコースにマスターズ73人、ユース27人が挑んだ。

XCOマスターズの一斉スタート photo:Makoto AYANO
昨年は40代の山本和弘(CANNONDALE)が30代トップの岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)を抑えて総合優勝したが、今年も序盤を山本がリードし、岡本が続くランデブーが続く。

XCOマスターズの先頭を走る山本和弘(CANNONDALE) photo:Makoto AYANO
しかし気温の高さで終盤に山本が大失速、岡本が独走状態に入る。岡本は2位に40秒以上の差をつけて逃げ切り、全日本マスターズ10勝目となる独走優勝を決めた。2位には6年ぶりにレースに復帰した小野寺健が入った。小野寺は3週間前からこの日に合わせて「付け焼き刃的に」乗り込んでの参戦だったという。

XCOマスターズで優勝して全日本通算10勝目を祝う岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING) photo:Makoto AYANO

XCO Men Masters 2位は小野寺健、3位は皿谷宏人(マウンテン☆ポテト) photo:Makoto AYANO
大人数のマスターズレースを初日に消化するという異例のプログラムとなったが、2日目はXCO=クロスカントリーレースが行われる。今までで最も難しいXCOコースと評される菖蒲谷森林公園特設コースは「菖蒲谷を知る選手が有利」と言われるほど、このコースでトレーニングを積んできた選手が活躍する屈指のテクニカルコース。緑に覆われたコースだが、天候によって過酷さが増す厳しいレースになるはずだ。

4位フィニッシュした山本和弘(CANNONDALE)がマスターズ40代優勝 photo:Makoto AYANO 
XCOマスターズ50代で優勝した吉元健太郎(チーム鳴木屋) photo:Makoto AYANO

XCOマスターズ30代表彰式 photo:Makoto AYANO

XCOマスターズ40代表彰式 photo:Makoto AYANO 
XCOマスターズ50代表彰式 photo:Makoto AYANO

XCOマスターズ60代表彰式 photo:Makoto AYANO 
XCOマスターズ各年代別のチャンピオンたち photo:Makoto AYANO

XCO Men Youth 27人がスタートする photo:Makoto AYANO

XCO Men Youthで独走する北津留新羽(Q-MAX) photo:Makoto AYANO 
難関「ジェットコースター」という名の激坂降りで転倒した選手 photo:Makoto AYANO

XCCで野嵜然新を下して勝利した松山海司(Sonic Racing) photo:Makoto AYANO

XCO Men Youth 表彰 優勝は北津留新羽(Q-MAX) photo:Makoto AYANO

7月19・20日の2日間に渡り開催されるMTB全日本選手権。初日の種目は短距離の周回で競われるXCC=クロスカントリー・ショートトラックだ。
舞台となるのは菖蒲谷森林公園特設コース。パリ五輪MTB代表選手の川口うららが活動拠点とするたつの市の、市制施行20周年記念として開催される大会は、地元が一体となって盛り上げる。

XCCはレース時間20分程度でショートコースを周回する、ロードで言うクリテリウム的なレース。ユース、マスターズ、エリートのクラス別XCCが順次行われた。このXCCで上位を取ると、翌日のXCO(クロスカントリー・オリンピック)のスタート位置が最前列になる。
気温33°の夏日のなか、エリート男子は多くが翌日にXCO種目出場を控える30人の選手たちがスタートに並んだ。

レース距離は700m×8周=5.6km。高橋翔(SPEED of sound)が飛び出し、続くのは沢田時(宇都宮ブリッツェン)、北林力(Massi development team)、竹内遼(MERIDA BIKING TEAM) 、平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) と、XCOでもお馴染みの選手がリードする。

5周目にいったん先頭に出た沢田時、そして北林力の2人が抜け出すかたちとなり、最後はホームストレートの長い登り坂でロングスプリントをかけた沢田が大きな差を持って負トップフィニッシュ、XCC連覇を達成した。
沢田にとって4度目のXCC勝利。沢田は全日本前の最後のMTBレースだったCoupe du Japon福島檜山高原を制し、前週のロードレース「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」では4位と山岳賞獲得で、この全日本には絶好調で臨んでいることを証明した。

沢田は「明日もXCOのレースがあるが、ひとまず1種目は連覇できた。コースは登りの斜度が低く、周回も短く、かなりライバルが多い展開だったが、ロードレースの経験を活かしながらうまく走れたと思う。最後のアタックのパンチ力には自信があった。前で入った方が有利なところは確実に抑えていたので、そこだけ前に出ることを意識して食らいついて、なんとか下りの前で前に入ることができた。スプリントは自信があったので思い通りにいった。XCCは勝てなくても大丈夫かな、という気持ちだったが、ここまでしっかり準備して走ることができた。明日ももっといい走りができると思う」と満足げに翌日のXCOとの完全優勝への意欲を見せた。

XCCエリート女子+マスターズには11人が出走。スタートダッシュを決めてトップに躍り出たのは川口うらら(Team TATSUNO)。石田唯(TRKWorks)、先のダウンヒル全日本選手権を制している末政実緒(SANTA CRUZ)、浜下玲音(TEAM BG8)が続く。


川口うららに石田唯が迫るが、川口は石田が迫ると引き離す走りで寄せ付けず、安定したリードを保ったまま逃げ切った。

XCC3連覇を達成した川口の活躍に、応援に駆けつけた山本実たつの市長も大興奮。小さな頃からこの菖蒲谷で走り、五輪選手になった川口を「チームたつの」として支えてきた地元の期待に応える勝利だった。


XCCマスターズには14人が出走。スタートからトップに躍り出たのは昨年のチャンピオン岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)。岡本は危なげなく逃げ切り、連覇達成。続いて2位に皿谷宏人(マウンテン☆ポテト)、3位に島田真琴(ペダル)。


たっぷり3時間以上のコース試走を挟んで、午後はXCO(クロスカントリー)の男子マスターズ/ユースのレースが行われた。非常に難易度の高いフルコースにマスターズ73人、ユース27人が挑んだ。

昨年は40代の山本和弘(CANNONDALE)が30代トップの岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)を抑えて総合優勝したが、今年も序盤を山本がリードし、岡本が続くランデブーが続く。

しかし気温の高さで終盤に山本が大失速、岡本が独走状態に入る。岡本は2位に40秒以上の差をつけて逃げ切り、全日本マスターズ10勝目となる独走優勝を決めた。2位には6年ぶりにレースに復帰した小野寺健が入った。小野寺は3週間前からこの日に合わせて「付け焼き刃的に」乗り込んでの参戦だったという。


大人数のマスターズレースを初日に消化するという異例のプログラムとなったが、2日目はXCO=クロスカントリーレースが行われる。今までで最も難しいXCOコースと評される菖蒲谷森林公園特設コースは「菖蒲谷を知る選手が有利」と言われるほど、このコースでトレーニングを積んできた選手が活躍する屈指のテクニカルコース。緑に覆われたコースだが、天候によって過酷さが増す厳しいレースになるはずだ。












マウンテンバイク全日本選手権2025 day1 おもなリザルト
XCC Men Elite | ||
1位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) | 14:27.09 |
2位 | 北林力(Massi Development Team) | +7.22 |
3位 | 平林安里(TEAM SCOTT TERRA SYSTEM) | +13.26 |
XCC Women Elite | ||
1位 | 川口うらら(Team TATSUNO) | 15:11.46 |
2位 | 石田唯(TRKWorks) | +13.58 |
3位 | 末政実緒(SANTA CRUZ) | +1:37.66 8 |
XCC Men Junior | ||
1位 | 松山海司(Sonic Racing) | 12:54.07 |
2位 | 野嵜然新(RACING TORQUE) | +3.99 |
3位 | 中仙道侑毅(FUKAYA RACING) | +6.63 |
XCC Men Youth | ||
1位 | 横山拓生(高知CTC) | 14:42.18 |
2位 | 今泉 蒼人(Q-SHU UNION CJ UNIT) | +39.60 |
3位 | 田中遼介(Sonic Racing) | -1Lap |
XCC Men Masters | ||
1位 | 岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING) | 14:15.84 |
2位 | 皿谷宏人(マウンテン☆ポテト) | +16.79 |
3位 | 島田真琴(ペダル) | +59.78 |
XCC Women Youth | ||
1位 | 小林碧(AX MTB team) | 12:25.15 |
2位 | 原みらい(白馬マウンテンバイククラブ) | +39.15 |
3位 | 藤森美空(Dream Seeker Jr. Racing Team) | -2Laps |
XCC Women Masters | ||
1位 | 北島優子(パワースポーツ SICK) | 5:53.84 |
2位 | 広瀬由紀(Bonne Chance) | +5.38 |
XCO Men Masters | ||
1位 | 岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING) | 49:22.25 |
2位 | 小野寺 健 | +44.90 |
3位 | 皿谷宏人(マウンテン☆ポテト) | +45.15 |
XCO Men Youth | ||
1位 | 北津留新羽(Q-MAX) | 33:49.94 |
2位 | 郷津輝(Dream Seeker Jr. Racing Team) | +59.86 |
3位 | 横田壮一郎(Fine Nova LAB) | +1:37.74 |
text&photo:Makoto AYANO
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