コンチネンタルからロードタイヤのミドルグレード「GRAND PRIX TR」が登場した。上位グレードと同様にブラックチリコンパウンドを使用し、パフォーマンスに優れるチューブレスレディタイヤをCW編集員の高木が1,000kmインプレッション。



コンチネンタル GRAND PRIX TR photo:Michinari TAKAGI

ドイツのタイヤブランド、コンチネンタル。ロードからグラベル、MTBといった様々なカテゴリー、そしてレーシングモデルから普段使い向けのエントリーグレードまで、幅広いラインアップを有する総合タイヤブランドだ。

そんなコンチネンタルが、ロード用のミドルグレードとしてラインアップしている「GRAND PRIX」をフルモデルチェンジ。これまでクリンチャーのみの展開であったが、モデルチェンジに際しチューブレスレディモデルも新たに追加されたことがまず大きな変更点だ。

フルモデルチェンジを果たし、チューブレスレディモデルが追加された photo:Michinari TAKAGI

「GRAND PRIX 5000シリーズ」のレーザーグリップからインスピレーションを得たトレッドパターンを採用 photo:Michinari TAKAGI

ミドルグレードながら、フラッグシップモデルの「GRAND PRIX 5000シリーズ」と同じブラックチリコンパウンドを使用し、転がりの軽さとグリップ力のバランスが取れたタイヤとされたGRAND PRIX。さらに、「GRAND PRIX 5000シリーズ」のレーザーグリップからインスピレーションを得たトレッドパターンを採用したことも特徴だ。

さらに、ケーシングの積層方法を見直し、敢えて耐パンクブレーカーを使用しない4層構造に進化を遂げた。それでいてパンク防止性能も向上し、どんな環境下でも走るサイクリストに寄り添ったタイヤに進化した。

フックレスリム対応のため肉厚なビード photo:Michinari TAKAGI

ケーシングの積層方法を見直し、耐パンクブレーカーを使用しない4層構造に進化を遂げた photo:Michinari TAKAGI

タイヤサイズは700x25Cと28C、30C、32Cの4サイズ展開で、通勤通学やトレーニング、サイクリングなど、どんなライドシーンでも使用しやすい。フックレスリムにも対応し、よりホイールの選択肢も広がった。

チューブレスレディモデルの価格は8,800円(税込)で、クリンチャーモデルは28Cと30Cの2サイズのみ展開されている。価格は7,700円(税込)で、7月に入荷予定となっている。

それでは編集部インプレッションに移っていこう。



―編集部インプレッション

多種多様なコンチネンタルのタイヤを使用してきたCW編集部員の高木がテストしていく photo:Gakuto Fujiwara

コンチネンタル GRAND PRIX TRのインプレッションを担当するのは、ロードレースやシクロクロスなどのレースシーンやトレーニング、自転車通勤でチューブレスレディタイヤを愛用しているCW編集部員の高木だ。

コンチネンタルのタイヤはチューブラータイヤの"COMPETITION"やチューブレスレディモデル"GRAND PRIX 5000S TR"、軽量モデル"GRAND PRIX 5000S TT"など多数のフラッグシップモデルに加え、耐久性に優れる「GATORSKIN」など、様々なモデルを使用してきた。

コンチネンタル GRAND PRIX TRを手に取ってみるとフラッグシップモデルのGRAND PRIX 5000シリーズとほぼ変わらない質感。ブラックチリコンパウンドらしさのある、クッション感がありグリップ力に優れていそうな触り心地にライド前から期待が持てる。

クッション感がありグリップ力に優れるタイヤの触り心地 photo:Gakuto Fujiwara

今回のテストホイールであるシマノ ULTEGRA C50 TLホイールにコンチネンタル GRAND PRIX TRの28Cを装着していく。コンチネンタルのタイヤといえば、嵌合がキツイというイメージをお持ちの方も多いと思うが、このタイヤはタイヤレバーを使わずに取り付けられた。チューブレスタイヤの装着のコツを掴んでいる方であれば、簡単に装着できるだろう。

チューブレスタイヤはブースターやコンプレッサーを使用しないとビードが上がらないタイヤもあるが、このGRAND PRIX TRはフロアポンプでもスムーズにビードが上がり、装着完了。

GRAND PRIX TRの最大空気圧は6.5bar(94PSI)とタイヤサイドに刻印されている。身長175cm、体重60kgで、タイヤによって異なってくるが、空気圧は4.0~4.5barの間でロードレースやクリテリウムを走ることが多い。今回のテストライドでは4.0~6.5barの範囲でテストを実施した。

転がりの軽さはGRAND PRIX 5000シリーズに近い感覚 photo:Gakuto Fujiwara

転がりの軽さはGRAND PRIX 5000シリーズに近い感覚で、低速域から30〜40km/hまでの加速、そして巡航もしやすくトレーニングで使いやすい。また、街中でストップアンドゴーを繰り返すような、通勤通学といったシチュエーションでも快適だ。

グリップもよくバイクコントロールに自信が持てるのも上位モデル譲りの美点。コーナーリング中にライン修正が必要な場面でも、粘るように路面を捉え続けてくれるので、バイクコントロールしやすく、コーナーリングで安心感があった。

巡航もしやすくトレーニングで使いやすい photo:Gakuto Fujiwara

滑りやすいフルウエットの路面コンディションや高速域でのコーナーリングでも優れたグリップパフォーマンスを発揮してくれる。28Cでタイヤのエアボリュームがあるため、荒れた峠道のダウンヒルでも走りやすい。

重量に関してはフラッグシップモデルに軍配が上がるものの、GRAND PRIXというタイヤを知りたい方にとっては、その性質がわかりやすいのではないかと思う。また、ヒルクライムシーンではグリップ力を活かしたトラクションの掛かりがよく、一踏み一踏みをしっかり前に進む力として路面に伝えてくれるように感じられる。

ヒルクライムシーンではグリップ力を活かした加速が特徴 photo:Gakuto Fujiwara

サイズは700x25Cと28C、30C、32Cまで展開されているため、ライドスタイルや使用用途に応じて、自身のバイクに合ったタイヤ幅が見つかるはず。昨今のディスクロードはタイヤクリアランスが広がっているため、幅広いロードタイヤの30Cも32Cも選択肢に入ってくる。

テストライドでは秩父方面の山岳地帯、登っては下りを繰り返すエリアをチョイスした。旧道などでは細かくひび割れていたり、舗装の上に砂利がある路面など、路面コンディションが良くない区間なども走ったりした。GRAND PRIX TRは耐パンクブレーカーを使用しない4プライ構造を採用したと聞いていたため、少しパンクに対する不安があった。しかし、今回はハードなライドを実施したものの、パンクはゼロ。

ミズタニ自転車が冠スポンサーを務める「桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2025」でノントラブルで160kmを完走 photo:Michinari TAKAGI

コンチネンタルを取り扱うミズタニ自転車が冠スポンサーを務める「桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2025」にもこのタイヤを使用し、100マイル(160km)を走ってきた。

大会前に雪が降るほどの雪国を舞台としたAACR。特有の路面の凹凸など、少し荒れ模様であったが、パンクするそぶりも見せなかった。凹凸の区間も乗り心地も良く、長時間乗っても疲れにくく、ロングライドイベントでもおすすめできるタイヤであった。

1000km実走テスト後のコンチネンタル GRAND PRIX TR(フロント) photo:Michinari TAKAGI

1000km実走テスト後のコンチネンタル GRAND PRIX TR(リア) photo:Michinari TAKAGI

耐摩耗に関しても、トレーニングやロングライドイベントなど、気が付けば計1,000kmをテストしていた。ブラックチリコンパウンドが耐摩耗性に優れていることは、これまで使用してきたコンチネンタルの多くのモデルでも体感してきたが、高性能なタイヤではあると同時に長寿命でもあるのは、このGRAND PRIXも同様だ。

価格に関しても1万円を切ってくれるのは嬉しいところ。フレームはじめ価格高騰の止まらない自転車用品において、消耗品であるタイヤ、とくにチューブレス系タイヤのハイエンドモデルなどは前後で3万円ほどするものも多い。ミドルグレードでも1万円を超えてモデルもあるなかで、8,800円という価格は良心的と言えるだろう。

ロングライドイベント、トレーニングからレースまでなんでも使いたいサイクリストにおすすめしたい photo:Gakuto Fujiwara

コンチネンタル GRAND PRIX TRは走行性能のバランスが取れながらも、コストパフォーマンスにも優れたのチューブレスレディタイヤだった。週末サイクリングやロングライドイベント、トレーニングからレースまでなんでも使いたいサイクリストにおすすめしたい。



コンチネンタル GRAND PRIX TR
種類:チューブレスレディ
コンパウンド:ブラックチリコンパウンド
カラー:ブラック
サイズ:700x25C、28C、30C、32C
重量:270g(25C)、340g(28C)、370g(30C)、390g(32C)
価格:8,800円(税込)

コンチネンタル GRAND PRIX
種類:クリンチャー
コンパウンド:ブラックチリコンパウンド
カラー:ブラック
サイズ:700x28C、30C
価格:7,700円(税込)