上質でライダーに寄り添ったバイク造りに定評のあるワンバイエス JFFシリーズ。ブランドの初代モデル以来となるリムブレーキロードバイクの新作が10年ぶりに登場した。ディスクブレーキ全盛の今、リムブレーキバイクの価値を改めて提示する一台だ。



ワンバイエス JFF#503(OBS-R11仕様) (c)東京サンエス

徹底したライダー目線に立ったアプローチで開発されたプロダクトを数多く送り出す東京サンエスのオリジナルブランド、ワンバイエス。その哲学が息づいたバイクがJFFシリーズだ。

リッチーや東洋フレームといった名工たちと密接に関わり、そのロジックとスピリットを受け継いできたワンバイエスのJFFシリーズ。バイク造りに対する確固たるロジックとノウハウに裏打ちされた設計は、サイクリストの感性を呼び起こし自転車に乗る愉しみをより深化させる。

ワンバイエス JFF#503 (c)東京サンエス

JFFシリーズのデビューから10年の月日が経つ中で、多くのバイクがリリースされてきた。今回、そのラインアップに新たに加わったJFF #503は、JFFシリーズの処女作であるJFF #501以来のリムブレーキロードとして生み出された。

ディスクブレーキバイクが主流となった今、なぜ完全新作のリムブレーキロードをリリースするのか。それはクロモリの粘りやしなりを活かした乗り味を実現することが、フラットマウントディスクブレーキ&スルーアクスルを採用したバイクでは困難であるから。

CNCによって外バテッドとしたヘッドチューブ (c)東京サンエス

肉抜きされたシートステーブリッジにモデル名が刻印される (c)東京サンエス
ダウンチューブのパーツを入れ替えることで電動/機械式に対応する (c)東京サンエス



スルーアクスルを採用したフレームは過剛性になり、またディスクブレーキの制動力を受け止める為に大口径ヘッドを採用すると、更に剛性は過多となる。そして、過去のJFFバイクでは、その剛性を「いなす」ことに大きな労力を割いたという。

クロモリ特有の粘りやしなり、それがもたらす人間との「馴染み感」。これらを最優先とするため、リムブレーキという選択肢が再浮上したという。しかし、ただ懐古趣味的なものではない。ワイドタイヤ(700x30C)に対応し、あくまで現代のロードバイクとしてJFF #503はリムブレーキロードの価値を問い直す。

電動コンポーネント用のケーブルホールと機械式コンポーネント用のケーブル受けが用意される (c)東京サンエス
フルアウターで内装可能なトンネルを造作 (c)東京サンエス



理想的な乗り味を追求するため、台湾最大手の鉄鋼メーカーのクロモリ素材を高い技術を持つ引き抜き加工専門工場でトリプルバテッドやダブルバテッドのオリジナルチューブとして製作。

トラディショナルな上下1-1/8"サイズとされたヘッドチューブはCNCによるアウトバテッドの圧入式に。内バテッドの場合よりも20%以上の軽量化を果たしつつ、ダウンチューブの小径化によって、よりキレのあるペダリングを生みだしたという。

特にこだわりが詰め込まれているのが、シートステーのベンド加工。細身のシートステーはリアエンドから150mmエリアで縦横それぞれにベンドされ、上下方向には弓なりに、横方向にはハの字にと、複雑で有機的な曲線を描く。この加工によって、路面からの突き上げを緩和しつつ、バネ感を活かした快適な推進力を与えてくれる。

拘りぬいたシートステーの造形。弓なりかつ横方向にもハの字にベンドする複雑な形状だ (c)東京サンエス
最大30mmタイヤに対応するクリアランスを実現 (c)東京サンエス



現代のロードバイクらしく、様々なコンポーネントに対応する仕様に。機械式変速、電動変速のどちらにも対応する工作が各チューブに施され、美しく組み上げられるように。なお、リアブレーキはトップチューブにフルアウターが通る内装トンネルが設けられている。

そして、リムブレーキロードのネックでもあるタイヤクリアランスも可能な限り拡大されている。エアボリュームのあるワイドタイヤの恩恵は、ディスクブレーキロードのメリット中でも大きな比重を占めるもの。そのメリットをリムブレーキロードでも享受できるよう、直径690㎜の700x30Cタイヤを想定した設計が与えられている。ただ、かなり限界を攻めた設計とのことで、タイヤやリム、ブレーキキャリパーの種類やFDバンドの形状などによっては、取り付けが難しい場合もあるとのことだ。

ワンバイエスではホリゾンタルトップチューブ長からリーチを引いた数値(この図で★が示す値)を重要視している (c)東京サンエス

ジオメトリもワンバイエスのこだわりポイント。バイクの中心にライダーの重心を一致させるため、ワンバイエスではホリゾンタルトップチューブ長からリーチを引いた数値を重要視している。経験から導き出したその設計によって、人馬一体となる乗り心地を実現した。ごくわずかなスローピングが与えられたトップチューブも拘りの結果。ホリゾンタルではなく、あえて1.1度の前上がり角(500mm以上)を与えることで、よりバランスの取れた美しいルックスを実現した。

そして、ハンドリングは最もワンバイエスが重要視する要素。ハンドリングに決定的な影響を与えるトレイル値は、全サイズにおいて58~62に収められるように設計されている。フロントフォークは3種類から選択可能となっていることもユニークなポイントだ。

3種類のフォークを選択できる。左からOBS-R11、OBS-R21、OBS-RST-OS (c)東京サンエス

4種類のオフセットが用意される (c)東京サンエス

一つが名品として知られたミズノ製カーボンフォークのDNAを持つフルカーボンフォークのOBS-R11。4サイズのオフセットが用意されたベンドフォークで、最適なハンドリングを実現するのに最も適したモデルでもある。

OBS-R21はストレート形状のフルカーボンフォーク。ダイレクト感のある走りが身上のレーシングモデルだ。こちらはオフセット45のみとなる。

そしてクラシカルなスチールフォークも選択可能。OBS-RST-OSはラグドのクロモリフォークで、フレームとのマッチペイントが価格に含まれている。フェンダー用ダボも備えられていることも特徴だ。オフセットは46.3のみとなる。

OBS-R11の推奨オフセットモデル装着時のジオメトリー (c)東京サンエス

価格はそれぞれのフォークによって異なる。フレーム単体では154,000円で、OBS-R11とのセットでは190,300円、OBS-R21とのセットでは187,000円。そしてOBS-RST-OSとの組み合わせでは174,900円(全て税込)。カラーは基本カラー全25色の他、PANTONEカラーからの指定も可能。PANTONEからの指定は+12,100円(税込)となる。グロスおよびマットフィニッシュも選択可能。

また、オプションとしてカーボンフォークへの同時同色塗装が15,400円(税込)、スチールフォークへの同時別色塗装が12,100円(税込)で選択可能だ。

ワンバイエス JFF#50(OBS-RST-OS仕様) (c)東京サンエス




ワンバイエス JFF#503
フレーム:
クロモリ熱処理オリジナルバテッド(シートチューブ:トリプルバテッド、トップチューブ、ダウンチューブ・チェーンステー:ダブルバテッド、シートステー:プレーン オリジナルベンドデザイン)
サイズ(SL):460・480・500・520・540・560・580mm
カラー:オーダー
※フレーム及びフォークの塗装期間は受注から要2ヶ月〜。但しシーズンにより遅れる場合も。
トップチューブブレーキケーブル内蔵(ケーブルトンネル装備)
Di2対応(インターナルケーブルルーティング)・ワイヤー変速対応
RITCHEY ドロップエンド
シートポスト径:27.2mm
Fメカバンド径:28.6mm
BBシェル幅:68mm
チェーンフック付
推奨最大タイヤサイズ:700×30C(※1)
付属ヘッドパーツ:TANGESEIKI TG36J27 SL
付属小物:各種フレームパーツ

フォーク(3種類から選択)
<OBS-R11(カーボンフォーク)>1-1/8"・スレッドレスインテグラル・オフセット 45,47,50,53mm・肩下366mm・タイヤクリアランス:36.2mm
<OBS-R21(カーボンフォーク)>1-1/8"・スレッドレスインテグラル・オフセット 45mm・肩下368mm・タイヤクリアランス:33.58mm
<OBS-RST-OS(スチールフォーク)>1-1/8"・スレッドレス・オフセット 46.3mm・肩下369mm・タイヤクリアランス:39mm
重量:
フレーム:約1755g(500mmサイズ未塗装、装備付属品なし)
フォーク OBS-R11:約312g
フォーク OBS-R21:約315g
フォーク OBS-RST-OS:約845g(塗装済)
※フレームマークはJFF#503専用(グレー調のみ)となります。
※推奨最大タイヤの装着はタイヤ・リム・ブレーキキャリパー・フロントディレイラーバンドの種類によるため販売店にて要確認

税込価格:
フレーム&OBS-R11:190,300円
フレーム&OBS-R21:187,000円
フレーム&OBS-RST-OS:174,900
フレーム:154,000円
※フレームの基本カラーチャート内単色塗装代を含む
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