2度のロード世界王者に輝き、4度のジロ総合優勝者として”世界最強”と呼ばれたアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が、プロトンに帰ってくる。4年ぶりの現役復帰を決めた理由や、それによる女子プロトンの勢力図の変化などを考える。



今年6月に現役復帰を発表したアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) photo:CorVos

アンナ・ファンデルブレッヘンが突然の現役復帰を明らかにしたのは、母国オランダでTT国内選手権が行われた翌日の6月20日。「再びジャージにゼッケンをピン留めすることが楽しみ」という言葉とともに、4年振りの復帰が明らかとなった。2026年までの2年契約で、SDワークス・プロタイムの選手として復帰する。

現在34歳のファンデルブレッヘンは、7連覇を達成したラ・フレーシュ・ワロンヌ・フェミニーヌをはじめ、当時女子ステージレースの最高峰であったジロ・デ・イタリアで4度の総合優勝。また2度のロード世界選手権制覇(2020年はTTとの2冠)や2016年リオ五輪の金メダルなど、絶対王者として女子ロードレース界に君臨した。

しかし2020年、キャリアの絶頂期にあって突如として引退を表明。4度目のジロ・デ・イタリア総合優勝した2021年限りで現役を退いた。

2021年に引退したアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) photo:CorVos

引退後はSDワークスの監督としてレースに帯同するファンデルブレッヘン photo:CorVos

「東京五輪後、同じことの繰り返しに疲れを感じ、モチベーションが保えなくなった」と当時を振り返るファンデルブレッヘン。しかし「この競技を3年に渡り違う角度から眺め、また戦いたいと願う気持ちが戻ってきた。監督の仕事も素晴らしかったが、それは10年後でもできる。だが選手としての挑戦はいましかできない」と、復帰への強い意欲を語った。

2025年シーズンを前に、総合エースであったデミ・フォレリング(オランダ)のFDJスエズ移籍や、主力であったマーレン・ロイサー(スイス)のモビスター移籍など変革期を迎えているSDワークス。しかし、スプリンターのロレーナ・ウィーベス(オランダ)とクラシックレースを得意とする世界王者ロッテ・コペッキー(ベルギー)は健在。ファンデルブレッヘンには2人のアシストはもちろん、初出場となるツール・ド・フランス・ファムではフォレリングとの総合優勝争いも期待される。

再びプロトンに中心に返り咲くことはできるか? photo:Kei Tsuji

3年のブランクに対し「必ず勝てるわけではないが、その苦しみが勝利を美しくする」とプレスリリースを締めくくったファンデルブレッヘン。元世界王者がかつての強さを取り戻せるか、その走りに世界中の注目が集まる。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Kei Tsuji

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