欧州シクロクロスシーズンが本格開幕。3大シリーズ初戦のスーパープレスティージュ開幕戦で、屈強なベルギー/オランダ勢が激しく火花を散らした。



ベルギー屈指のシリーズ戦、テレネット・スーパープレスティージュがルッデルフォールデで開幕。平坦と人工的なアップダウンを繰り返すスピードコースだ photo:CorVos

ベルギー屈指のシクロクロスシリーズ戦「テレネット・スーパープレスティージュ」が10月20日(日)に開幕した。1982年に初開催とUCIシクロクロスワールドカップ(1993年にスタート)よりも歴史ある伝統的なシリーズ戦であり、ベルギー国内においてそのプライオリティは非常に高い。

ベルギーの英雄スヴェン・ネイス(ベルギー)が過去最多の13回総合優勝を挙げているシリーズ戦は、西フランダース州のルッデルフォールデで開幕。例年UCIワールドカップの開幕戦となってきたアメリカラウンドがカレンダーから消えたため、このルッデルフォールデがシクロクロス3大シリーズ戦(ワールドカップ、スーパープレスティージュ、X2Oトロフェー)の開幕戦となった。

今年の大きな動きとしては、文字通りリドレーがスポンサーを務める「リドレーレーシングチーム」が創設され、昨年5勝したヨリス・ニューウェンハイス(オランダ)や来日優勝経験もあるフェリペ・オルツ(スペイン)が移籍したこと。アンテルマルシェ・ワンティのCX部門はコーヒー販売会社をスポンサーに迎えて「シャルル・リエジョア・ロースタリー」へと名称変更している。

また、エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は10月12日のエクザクトクロス初戦で、レース中に絡んで落車したライアン・カンプ(オランダ)のバイクを故意に踏みつけて破損させたため、UCIから3レース除外という制裁措置を受けている(スーパープレスティージュ第2戦で復帰予定)。
テレネット・スーパープレスティージュ2024-2025スケジュール
第1戦 2024年10月20日(日) ルッデルフォールデ(ベルギー)
第2戦 2024年10月27日(土) オーベレルエイセ(ベルギー)
第3戦 2024年11月11日(土) ニール(ベルギー)
第4戦 2024年11月26日(土) メルクスプラス(ベルギー)
第5戦 2024年12月23日(土) モル(ベルギー)
第6戦 2024年12月30日(水) ディーヘム(ベルギー)
第7戦 2025年1月4日(木) グルレーゲム
第8戦 2025年2月25日(土) ミッデルケルケ(ベルギー)
女子エリート:アルバラードがアタック合戦を制す

4強によるアタック合戦を制したセイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) photo:CorVos

世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が参戦した女子エリートレースは、ファンエンペルとルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)、セイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)、サラ・カサソラ(イタリア)の4強バトルに。

テレネット・スーパープレスティージュ2024-2025 第1戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos

終盤、ファンエンペルのアタックにブラントが反撃し、そのカウンターでアルバラードがロングスパート。「集中力が足りなかった。厳しいトレーニングを積んできたけれど今日は完全コンディションが良くなかった」と言う世界女王を尻目にアルバラードが逃げ切った。4日間でアルバラードが2勝目を掴み、フィニッシュ直前で油断していたブランドを「チョイ差し」したファンエンペルが2位に入っている。



男子エリート:ウィズーレがアタック成功 ビッグレース初勝利をマーク

男子エリートレースには梶鉄輝率いる「オランダベース/ウォータスレイ」のメンバーが参戦。ローカルレースを経て、真新しいジャージに身を包んだ梶、遠藤紘介、岡山優太の3人が屈強なトップ選手を相手に戦った。

先頭で砂区間を抜けるマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos

砂区間も用意。パワーとハンドルスキルが試される photo:CorVos

レースはスタートダッシュ中に集団落車が起こる波乱含みのスタートとなった。日本勢も巻き込まれ、激しく前転して後続選手に轢かれたライアン・カンプ(オランダ)は負傷DNF。イゼルビット事件に続くアンラッキーに見舞われている。

ハイスピードレースゆえ複数名のトップグループからは次々とアタックが掛かり続けた。ワンミスが命取りになる展開でティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が遅れ、新しいチームジャージに身を包んだオルツはチューブラータイヤ剥がれで、ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)はシケイン越えでミスしてそれぞれ脱落。降雨によってテクニカル度を増すコース上ではヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・コレンドン)のアタックが決まった。

ビッグレースのエリートカテゴリーで初勝利を収めたヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・コレンドン) photo:CorVos

テレネット・スーパープレスティージュ2024-2025 第1戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos

アンダー時代には勝利を量産していたものの、エリートに昇格した昨シーズンは勝ち星に恵まれていなかったベルギー期待の若手が逃げ切り、幸先良い1勝を掴んだ。2位はニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)、3位は欧州王者マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)。梶、遠藤、岡山はDNFだった。
テレネット・スーパープレスティージュ2024-2025第1戦 女子エリート結果
1位 セイリン・アルバラード(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) 42:57
2位 フェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:03
3位 ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)
4位 サラ・カサソラ(イタリア) +0:16
5位 ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) +0:45
6位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) +0:57
7位 レオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:24
8位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、シクロクロスレッズ) +1:34
9位 アリシア・フランク(ベルギー) +1:47
10位 マリオン・ノーブルリブロール(ベルギー、クレラン・コレンドン) 2:10
テレネット・スーパープレスティージュ2024-2025 第1戦 男子エリート結果
1位 ヨラン・ウィズーレ(ベルギー、クレラン・コレンドン) 57:19
2位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:02
3位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +0:10
4位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:12
5位 ヘルベン・クイペルス(ベルギー、シャルル・リエジョア・ロースタリー) +0:23
6位 イェンテ・マイケルズ(ベルギー) +0:36
7位 フェリペ・オルツ(スペイン、リドレーレーシングチーム) +0:44
8位 ケヴィン・クーン(スイス、シャルル・リエジョア・ロースタリー) +0:51
9位 デーヴィッド・ハフェルディングス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:57
10位 トーン・アールツ(ベルギー、デスハフト・マース・FSP) +1:02
45位 遠藤紘介(オランダベース/ウォータスレイ)
46位 梶鉄輝(オランダベース/ウォータスレイ)
47位 岡山優太(オランダベース/ウォータスレイ)
text:So.Isobe

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