2024/10/19(土) - 18:26
スタートからのアタック合戦、そして逃げ切り。海外トップ勢が持ち前のスピードを披露したジャパンカップクリテリウムだった。ロングスパート成功のトムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック)がチームのJCクリテ連勝記録を5に伸ばした。
宇都宮の目抜き通りを駆けるジャパンカップクリテリウム。宇都宮市市政120周年とジャパンカップ25回大会を記念して2016年に初開催されたハイスピードレースも今年で13回目。市中心部を貫く宇都宮大通りを規制した往復コースを走る短距離高強度レースで、世界からやってきたトップ選手たちがスピードを披露した。
オリオン通りと交差するシンボルロードから大通りに入り、両側の歩道をびっちり埋めた観客の前をゆっくりとパレードラン。大歓声に包まれつつ、雨上がりの蒸し暑さが残る15時40分に20チーム118名の選手たちがスタートを切った。
1周2.25kmを15周回する合計33.75kmのショートレースは、最初からお見合い無しの超ハイスピード進行を見せる。チームプレゼンで現役引退を発表した元全日本王者、畑中勇介(キナンレーシングチーム)がファーストアタックを決め、スイス王者マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)たちが合流する。ワールドチームが積極的に動いたことで激しいアタック合戦が繰り返された。
スピードを持ち味にするイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)や「走ってみたら脚の調子は良かった」と言う留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)らが動く中、2周目の上河原交差点折り返しでニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が加速する。シュミットやマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)が同調したこの動きが、結果的に勝ち逃げへと繋がった。
日曜日に向けてコンディションを上げるパウレスと、屈指のクラシックハンターであるモホリッチにシュミット、アントワン・ウビー(フランス、スーダル・クイックステップ)、さらにローガン・カリー(ニュージーランド、ロット・ディステニー)が先行グループを形成。
マッズ・ピーダスン(デンマーク)のスプリントを狙うリドル・トレックは序盤こそ集団コントロールを担っていたものの、当初から考えていたという逃げにメンバーを送り込む作戦に変更する。4周目にアンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック)が単独ジャンプに成功し、続いてカナダ王者マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)やアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)、トムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック)、ジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が合流。ありとあらゆる強豪海外勢がメンバーを乗せたことでレースの流れが大きく変わることとなった。
フルスロットルで先行するメンバーの中で、4周目と8周目の中間スプリントをモホリッチが先着。8周目にはブレイディ・ギルモア(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)が遅れかけたシュミットを引き連れて合流に成功。イスラエル(ウッズ、ギルモア)とリドル(バジオーリ、スクインシュ)が2名ずつ乗せた逃げグループが、追走のリズムを失ったメイン集団を5秒、また5秒と引き離していく。
このタイミングで国内チームは一切動けなかった。散発的な加速こそあったものの、特別ジャージを準備したホームレースの宇都宮ブリッツェンも、岡本隼を擁する愛三工業レーシングチームも、欧州レースを戦ってきたJCLチーム右京も、クリテリウム特別チームも組織的な動きを組むことをしない。快調にローテーションを回す逃げグループとの差は如何ともし難いほどまで拡大した。
「アタックする気ではいたけれど、最後まで逃げ切れるとは思っていなかった」と、逃げグループを積極的に牽引したパウレスは振り返り、「調子が良いし、このクリテリウムの雰囲気が大好きなのでレースを楽しみたかった」とウッズは振り返る。若干の牽制と様子見のアタックを繰り返しながら、逃げ切りに青信号を灯した11名が最終盤へ。
最終周回突入の鐘と共にアタックしたのはスクインシュだった。宇都宮二荒山神社前の登り勾配を生かして飛び出し、積極的にウッズが追っていることを確認して旧パルコ前で踏みやめる。最後の上河原交差点をクリアしたのちに牽制が始まったものの、最後尾から絶好のタイミングで再びスクインシュがアタックした。
「彼が仕掛けることは分かっていたけど、タイミングを失って背中に付けなかった」と振り返るパウレスを突き放して、スクインシュがロングスプリント。背後を振り返る余裕のリードでフィニッシュラインを駆け抜けた。
ジャパンカップクリテリウム史上初の逃げ切りで、リドル・トレックにとっては2018年のジョン・デゲンコルプ(ドイツ)、2019年と中断を挟んでの2022年&2023年のエドワード・トゥーンス(ベルギー)に続く5連覇。これまでと全く違う展開ながら、またしてもリドルのチーム力が光った。2位は一時遅れるも復帰したシュミットで、3位は今年ワールドチーム昇格した23歳のウビー。積極的にレースを作ったパウレスは5位、ウッズは11位。共に明日に向けてコンディションの良さをアピールする形になった。
合計11名の逃げ切りにも関わらず、記録された平均スピード48.75km/h(レース時間41分32秒)は2023年の49.4km/h、2022年の49.0km/hに続く歴代3番目。まさに海外勢の脚を見せつけられる結果になった。
各選手のコメントは別記事で紹介します。
宇都宮の目抜き通りを駆けるジャパンカップクリテリウム。宇都宮市市政120周年とジャパンカップ25回大会を記念して2016年に初開催されたハイスピードレースも今年で13回目。市中心部を貫く宇都宮大通りを規制した往復コースを走る短距離高強度レースで、世界からやってきたトップ選手たちがスピードを披露した。
オリオン通りと交差するシンボルロードから大通りに入り、両側の歩道をびっちり埋めた観客の前をゆっくりとパレードラン。大歓声に包まれつつ、雨上がりの蒸し暑さが残る15時40分に20チーム118名の選手たちがスタートを切った。
1周2.25kmを15周回する合計33.75kmのショートレースは、最初からお見合い無しの超ハイスピード進行を見せる。チームプレゼンで現役引退を発表した元全日本王者、畑中勇介(キナンレーシングチーム)がファーストアタックを決め、スイス王者マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)たちが合流する。ワールドチームが積極的に動いたことで激しいアタック合戦が繰り返された。
スピードを持ち味にするイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)や「走ってみたら脚の調子は良かった」と言う留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)らが動く中、2周目の上河原交差点折り返しでニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が加速する。シュミットやマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)が同調したこの動きが、結果的に勝ち逃げへと繋がった。
日曜日に向けてコンディションを上げるパウレスと、屈指のクラシックハンターであるモホリッチにシュミット、アントワン・ウビー(フランス、スーダル・クイックステップ)、さらにローガン・カリー(ニュージーランド、ロット・ディステニー)が先行グループを形成。
マッズ・ピーダスン(デンマーク)のスプリントを狙うリドル・トレックは序盤こそ集団コントロールを担っていたものの、当初から考えていたという逃げにメンバーを送り込む作戦に変更する。4周目にアンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック)が単独ジャンプに成功し、続いてカナダ王者マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)やアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)、トムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック)、ジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が合流。ありとあらゆる強豪海外勢がメンバーを乗せたことでレースの流れが大きく変わることとなった。
フルスロットルで先行するメンバーの中で、4周目と8周目の中間スプリントをモホリッチが先着。8周目にはブレイディ・ギルモア(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)が遅れかけたシュミットを引き連れて合流に成功。イスラエル(ウッズ、ギルモア)とリドル(バジオーリ、スクインシュ)が2名ずつ乗せた逃げグループが、追走のリズムを失ったメイン集団を5秒、また5秒と引き離していく。
このタイミングで国内チームは一切動けなかった。散発的な加速こそあったものの、特別ジャージを準備したホームレースの宇都宮ブリッツェンも、岡本隼を擁する愛三工業レーシングチームも、欧州レースを戦ってきたJCLチーム右京も、クリテリウム特別チームも組織的な動きを組むことをしない。快調にローテーションを回す逃げグループとの差は如何ともし難いほどまで拡大した。
「アタックする気ではいたけれど、最後まで逃げ切れるとは思っていなかった」と、逃げグループを積極的に牽引したパウレスは振り返り、「調子が良いし、このクリテリウムの雰囲気が大好きなのでレースを楽しみたかった」とウッズは振り返る。若干の牽制と様子見のアタックを繰り返しながら、逃げ切りに青信号を灯した11名が最終盤へ。
最終周回突入の鐘と共にアタックしたのはスクインシュだった。宇都宮二荒山神社前の登り勾配を生かして飛び出し、積極的にウッズが追っていることを確認して旧パルコ前で踏みやめる。最後の上河原交差点をクリアしたのちに牽制が始まったものの、最後尾から絶好のタイミングで再びスクインシュがアタックした。
「彼が仕掛けることは分かっていたけど、タイミングを失って背中に付けなかった」と振り返るパウレスを突き放して、スクインシュがロングスプリント。背後を振り返る余裕のリードでフィニッシュラインを駆け抜けた。
ジャパンカップクリテリウム史上初の逃げ切りで、リドル・トレックにとっては2018年のジョン・デゲンコルプ(ドイツ)、2019年と中断を挟んでの2022年&2023年のエドワード・トゥーンス(ベルギー)に続く5連覇。これまでと全く違う展開ながら、またしてもリドルのチーム力が光った。2位は一時遅れるも復帰したシュミットで、3位は今年ワールドチーム昇格した23歳のウビー。積極的にレースを作ったパウレスは5位、ウッズは11位。共に明日に向けてコンディションの良さをアピールする形になった。
合計11名の逃げ切りにも関わらず、記録された平均スピード48.75km/h(レース時間41分32秒)は2023年の49.4km/h、2022年の49.0km/hに続く歴代3番目。まさに海外勢の脚を見せつけられる結果になった。
各選手のコメントは別記事で紹介します。
ジャパンカップクリテリウム2024結果
1位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、リドル・トレック) |
2位 | マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) |
3位 | アントワン・ウビー(フランス、スーダル・クイックステップ) |
4位 | ブレイディ・ギルモア(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック) |
5位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) |
6位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) |
7位 | アンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック) |
8位 | アントニー・ペレス(フランス、コフィディス) |
9位 | ジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) |
10位 | ローガン・カリー(ニュージーランド、ロット・ディステニー) |
text&photo: So Isobe
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