大会唯一の山岳ステージで争われたツール・ド・ランカウイ第3ステージ。21歳のマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)がスプリント勝利で総合首位に浮上し、JCLチーム右京のペゼンティが区間3位に入った。



民族衣装を身にまとった地元のファンが声援を送る photo:PETRONASLTdL

ツール・ド・ランカウイ2024第3ステージコースプロフィール PETRONASLTdL

3つのワールドチームをはじめ、日本のJCLチーム右京と愛三工業レーシングが出場するペトロナス・ツール・ド・ランカウイ(UCI2.Pro)は3日目を迎えた。その舞台はラストに1級山岳と超級山岳を立て続けに登るクイーンステージ。翌日からは最後まで平坦ステージで争われるため、総合優勝がほぼ決する戦いに127名の選手たちが臨んだ。

170.3kmレースはアクチュアルスタートの直後、ピーラポール・チャウチャンクワン(タイナショナルチーム)ら3名が逃げを打つ。それを追うメイン集団では留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)やDSMフィルメニッヒ・ポストNLが牽引を担当。一時7分弱まで拡がったタイム差は、4分40秒の前後で推移した。

プロトンはDSMフィルメニッヒ・ポストNLやEFエデュケーション・イージーポストが先導した photo:PETRONASLTdL

引き続き留目などEFが作るハイペースは、残り66km地点で逃げを吸収。1級山岳カンプン・ラジャ(距離19.1km/平均3.6%)では総合リーダージャージを着るグレブ・シリツァ(ロシア、アスタナ・カザクスタン)が遅れ、残り39kmでマリオ・アパリシオ(スペイン、ブルゴスBH)が飛び出す。55秒のリードを得たアパリシオはカンプン・ラジャを先頭通過し、超級山岳ブリンチャン(距離8.2km/平均5.2%)に突入した。

しかし残り13km地点でアパリシオはプロトンに捉まり、ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)のためにサイモン・カー(イギリス)が高速牽引で集団の人数を絞る。ホルヘ・グティエレス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)のアタックは不発に終わり、優勝候補の1人であるマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が仕掛ける。その動きにアスタナ・カザクスタンのハロルド・ロペス(エクアドル)とアントン・チャーム(デンマーク)が追従し、3名がレース先頭に立った。

山岳に入り、EFエデュケーション・イージーポストがハイペースを刻む photo:PETRONASLTdL

超級山岳はプールがトップで通過し、下りと平坦路の先にあるフィニッシュを目指す。しかし残り3km地点でJCLチーム右京のトーマス・ペゼンティとジョパンニ・カルボーニ(共にイタリア)ら後続が追いつき、勝負は11名によるスプリントに持ち込まれた。

ウナイ・イリバール(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が先にスプリントを開始し、その背後からプールが飛び出し先頭へ。踏み込みの遅れたペゼンティが猛追するなか、ロペスを退けたプールが勝利した。

アタックは不発に終わったマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)がスプリント勝利 photo:PETRONASLTdL

「良いスリップストリームから早めのスプリントを仕掛けた。ここ数ヶ月良いスプリントができていたので、自分を信じて踏み込んだ。素晴らしい走りを見せてくれたチームメイトに感謝したい」と、積極的な走りから勝利をもぎ取ったプールは語った。

今年のブエルタ・ア・エスパーニャで3度の3位、そして2位に1度入りながら勝利を掴めなかったプール。これで総合首位に立ち、翌日以降は平坦ステージが続くため、トラブルがなければ総合優勝を手中に収めたことになる。

また石橋学(JCLチーム右京)がアジア人で最高位となるステージ24位でフィニッシュしたため、ベストアジアンライダーとして表彰台に上がっている。

総合でも首位に立ったマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:PETRONASLTdL

アジア人最高位となる区間24位でフィニッシュした石橋学(JCLチーム右京) photo:PETRONASLTdL
ツール・ド・ランカウイ2024第3ステージ結果
1位 マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) 4:24:34
2位 ハロルド・ロペス(エクアドル、アスタナ・カザクスタン)
3位 トーマス・ペゼンティ(イタリア、JCLチーム右京)
4位 アントン・チャーム(デンマーク、アスタナ・カザクスタン)
5位 ウナイ・イリバール(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)
24位 石橋学(JCLチーム右京) +1:58
個人総合成績
1位 マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) 10:03:58
2位 ハロルド・ロペス(エクアドル、アスタナ・カザクスタン) +0:05
3位 トーマス・ペゼンティ(イタリア、JCLチーム右京) +0:06
4位 ウナイ・イリバール(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) +0:11
5位 フェルナンド・テルセロ(スペイン、ポルティ・コメタ)
その他の特別賞
ポイント賞 マッテオ・マルチェッリ(イタリア、JCLチーム右京)
山岳賞 マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
チーム総合成績 エキポ・ケルンファルマ
text:Sotaro.Arakawa
photo:PETRONASLTdL

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