2024/08/18(日) - 14:20
マウンテンバイクのダウンヒルで支持を集めるシュワルベのMAGIC MARY(マジックマリー)。信頼のトレッドパターンに複数のコンパウンドとケーシングを組み合わせ、トレイルライダーなどにもフィットするモデルも揃う定番タイヤを、ライズライドの鈴木祐一店長がテストした。
MTBグラビティ系タイヤの定番の一つ、シュワルベのMAGIC MARY。ダウンヒルやエンデューロ競技シーンで活躍しているモデルであり、ビッグレースで数多くの勝利を支えてきた信頼の一本だ。その性能は競技シーンでの活躍によって折り紙つき。
またケーシングとコンパウンド、サイズが異なる11種類のモデルが揃うことも特色の一つ。そのためレーススピードのダウンヒルから里山のトレイルライドまで幅広い状況に、MAGIC MARY一種類でカバー。自分の走り方に合わせたモデルを使用することで、アグレッシブにマウンテンバイクライドを楽しむことができるマルチに活躍するタイヤとなっている。ラインアップの詳細は記事末尾をチェックしてもらいたい。
今回のテストでは神奈川県相模原市のライズライド店主・鈴木祐一さんが、ウルトラソフトコンパウンドを採用したSuper DownhillケーシングとSuper Trailケーシングの二種類を試した。さらに後輪BIG BETTYの組み合わせもテストし、MAGIC MARYの使い方を伺った。
ーインプレッション
「安心感が気持ちの余裕を生み出してくれる信頼の一本」鈴木祐一(ライズライド)
MAGIC MARYはリピーターとして何度も使ってきたタイヤです。知見を深めるために他社メーカーのタイヤも使うこともあって、しばらくMAGIC MARYを使っていなかったのですが、今回のテストで久しぶりに履いてみたら、やっぱりこれが良いなと思いました。それくらい好きですし、みんなにお勧めしたいタイヤです。
ノブの間隔や配列も絶妙で、どのような路面でもしっかりと地面を捉えてくれます。コーナリングやブレーキング、登りのトラクションでも高いパフォーマンスを発揮します。特にサイドグリップの効き具合は素晴らしく、キャンバーやウォールラインでの安心感が自信を与えてくれます。苦手や怖さ、難しいと感じるシチュエーションでもタイヤが助けてくれるので、気持ちに余裕が持てるようになります。
日本の環境では湿気が多く、路面も粘土質が多く、タイヤが濡れたり、泥が付着する状況は誰しもが経験したことがあると思います。MAGIC MARYはタイヤの回転とともに泥が飛んでいってくれるので、その点でも安心して走行できます。またノブは落ち葉が堆積している状況でも地面を掴んでくれるので、そういった状況でもタイヤがスライディングしにくいです。日本の気候や地質にも適しており、多くのライダーにとって信頼できるタイヤだと思います。
昨年ウィスラーのトレイルを走ったのですが、日本とは環境が全く異なっていてタイヤに求められる性能も違いがあるように感じました。ウィスラーに適しているタイヤがあれば、日本に適している物もあり、MAGIC MARYは日本の環境に馴染みやすいと思います。僕が足を運ぶ富士見、フジテン、岩岳や関東近郊のトレイルであれば、MAGIC MARYがマッチしない場所は無い印象です。
タイヤがどのようなシチュエーションにフィットするかはノブの設計だけではなく、コンパウンドやケーシングも含めた性能が影響しています。どのブランドも性能バランスを考慮しながら開発していますが、どのタイヤもケーシング剛性が高めであったり、全体的にしなやかに作り込むなどキャラクターがあります。そういう面を考慮してもMAGIC MARYはバランス良く設計されているタイヤです。
今回テストしたMAGIC MARYはSuper DownhillとSuper Trailの2種類のケーシングで、どちらもウルトラソフトコンパウンドでした。バイクはフロントサスペンションのトラベル量が160mm、リアが150mmに設定されたマレット仕様のトレイルバイクでテストしました。
Super DownhillのケーシングはMAGIC MARYが登場し始めた頃にダウンヒルライダーたちがレースで使っていた物だと思うんですけど、改めて使ってみて相変わらず良いですね。ダウンヒルのレースはもちろん、エンデューロレースやパークライド、トレイルをアグレッシブに楽しむ方も使える一本だと思います。
このケーシングの良さは剛性がしっかりとあってタイヤがよれる感覚がないので、ハイスピードでラフな路面に入っていける安心感があります。自転車をプッシュしてタイヤに荷重をかけるジャンプやバームを攻めていく状況でもタイヤが崩れないので、最後まで攻めきれますし、バランスを崩したとしても立て直しやすさがあります。
一方でSuper Gravityは重い重量になってしまうので、レースのようにハイスピードで攻めるような走りをしないのであれば、Super Trailケーシングが重量面も含めてマッチすると思います。軽量になるだけではなく、ケーシングのしなやかさも感じられるので、低中速域で走る方や、タイヤに荷重をかけすぎないライディングをする方にぴったりです。
剛性が高すぎて木の根やロックセクションでタイヤが弾かれてしまうことなく、タイヤが柔軟に変形して包み込むように走ってくれます。中低速でラインを選びながら楽しむ方やバイクパークを気軽に楽しむ方、軽さを活かして自走でトレイルまで移動する方にはお勧めです。またSuper Downhillケーシングのタイヤよりも高くバニーホップできるぐらい重量差がありますし、走行していても重量による慣性の影響は小さくなく、Super Trailは走行中の扱いやすさも良好です。
Super Trailケーシングを使ってみて、MAGIC MARYはこれまでグラビティ系ライダーだけ受けていた恩恵を、トレイルライダーなど幅広い方が受けられるようになったと思います。今回試したウルトラソフトコンパウンドよりも硬めのソフトコンパウンドや、Super Groundケーシングなど選択肢があるため、ダウンカントリーライダーでもMAGIC MARYのサイドノブによる安心感を得られます。
どのケーシングとコンパウンドを組み合わせるかは自由で、前後で違うものを装着してもいいと思います。MAGIC MARYという一つのモデルですが、ケーシングやコンパウンド違いのモデルを試してみて、自分の走りやバイクに適したタイヤを探してみても良いと思いますし、ライドスタイルを知ってもらっているショップスタッフに相談すれば適した組み合わせを提案してくれるでしょう。
もちろんリアタイヤをBIG BETTYのように異なるモデルとして、更に走るシチュエーションに最適化していくことも可能です。今回はBIG BETTYも合わせて後輪でテストしたのですが、やはりMAGIC MARYとは違うキャラクターがありました。
BIG BETTYはノブが非常に硬くて、ハードブレーキをした時にノブがよれない感覚があります。全体的な印象としても剛性が高めで、体重をかけた状態でブレーキをかけると瞬く間に止まってくれます。制動する能力に関してはMAGIC MARYよりも高いと思いますね。ノブが横に並んでいてスライディングもストレスなく流れていくので、リア用タイヤとしては完璧。
MAGIC MARYだとサイドグリップも優れているので、しっかりと路面を捉えて安心感があるのですが、リアをスライドさせてコントロールするときに癖を感じます。それが気になる方はリアをBIG BETTYを選んでみても良いかもしれませんね。
今回のテストでは、MAGIC MARYはど定番製品ということもあり、その性能の良さを再確認できました。それだけではなく、コンパウンドを統一してケーシング違いの2パターンを試して感じたのは、それぞれでキャラクターがあり、向き不向きがあることに気がつけました。夏場のパークライドはイケイケに攻める時はSuper Downhilの剛性が必要になりますし、冬場のトレイルライドでスピードが上がりきらない場合はSuper Trailが丁度良く遊べます。
マウンテンバイクの種類、遊び方が細分化されていく時代に合わせてMAGIC MARYも種類を増やしているので、ブロックパターンだけで判断せずに、ケーシングやコンパウンドのようなマニアックな視点でもタイヤチョイスをすることで、選択肢は広がりますし、今乗っている自転車での遊び方に面白みが増すと思います。
MTBグラビティ系タイヤの定番の一つ、シュワルベのMAGIC MARY。ダウンヒルやエンデューロ競技シーンで活躍しているモデルであり、ビッグレースで数多くの勝利を支えてきた信頼の一本だ。その性能は競技シーンでの活躍によって折り紙つき。
またケーシングとコンパウンド、サイズが異なる11種類のモデルが揃うことも特色の一つ。そのためレーススピードのダウンヒルから里山のトレイルライドまで幅広い状況に、MAGIC MARY一種類でカバー。自分の走り方に合わせたモデルを使用することで、アグレッシブにマウンテンバイクライドを楽しむことができるマルチに活躍するタイヤとなっている。ラインアップの詳細は記事末尾をチェックしてもらいたい。
今回のテストでは神奈川県相模原市のライズライド店主・鈴木祐一さんが、ウルトラソフトコンパウンドを採用したSuper DownhillケーシングとSuper Trailケーシングの二種類を試した。さらに後輪BIG BETTYの組み合わせもテストし、MAGIC MARYの使い方を伺った。
ーインプレッション
「安心感が気持ちの余裕を生み出してくれる信頼の一本」鈴木祐一(ライズライド)
MAGIC MARYはリピーターとして何度も使ってきたタイヤです。知見を深めるために他社メーカーのタイヤも使うこともあって、しばらくMAGIC MARYを使っていなかったのですが、今回のテストで久しぶりに履いてみたら、やっぱりこれが良いなと思いました。それくらい好きですし、みんなにお勧めしたいタイヤです。
ノブの間隔や配列も絶妙で、どのような路面でもしっかりと地面を捉えてくれます。コーナリングやブレーキング、登りのトラクションでも高いパフォーマンスを発揮します。特にサイドグリップの効き具合は素晴らしく、キャンバーやウォールラインでの安心感が自信を与えてくれます。苦手や怖さ、難しいと感じるシチュエーションでもタイヤが助けてくれるので、気持ちに余裕が持てるようになります。
日本の環境では湿気が多く、路面も粘土質が多く、タイヤが濡れたり、泥が付着する状況は誰しもが経験したことがあると思います。MAGIC MARYはタイヤの回転とともに泥が飛んでいってくれるので、その点でも安心して走行できます。またノブは落ち葉が堆積している状況でも地面を掴んでくれるので、そういった状況でもタイヤがスライディングしにくいです。日本の気候や地質にも適しており、多くのライダーにとって信頼できるタイヤだと思います。
昨年ウィスラーのトレイルを走ったのですが、日本とは環境が全く異なっていてタイヤに求められる性能も違いがあるように感じました。ウィスラーに適しているタイヤがあれば、日本に適している物もあり、MAGIC MARYは日本の環境に馴染みやすいと思います。僕が足を運ぶ富士見、フジテン、岩岳や関東近郊のトレイルであれば、MAGIC MARYがマッチしない場所は無い印象です。
タイヤがどのようなシチュエーションにフィットするかはノブの設計だけではなく、コンパウンドやケーシングも含めた性能が影響しています。どのブランドも性能バランスを考慮しながら開発していますが、どのタイヤもケーシング剛性が高めであったり、全体的にしなやかに作り込むなどキャラクターがあります。そういう面を考慮してもMAGIC MARYはバランス良く設計されているタイヤです。
今回テストしたMAGIC MARYはSuper DownhillとSuper Trailの2種類のケーシングで、どちらもウルトラソフトコンパウンドでした。バイクはフロントサスペンションのトラベル量が160mm、リアが150mmに設定されたマレット仕様のトレイルバイクでテストしました。
Super DownhillのケーシングはMAGIC MARYが登場し始めた頃にダウンヒルライダーたちがレースで使っていた物だと思うんですけど、改めて使ってみて相変わらず良いですね。ダウンヒルのレースはもちろん、エンデューロレースやパークライド、トレイルをアグレッシブに楽しむ方も使える一本だと思います。
このケーシングの良さは剛性がしっかりとあってタイヤがよれる感覚がないので、ハイスピードでラフな路面に入っていける安心感があります。自転車をプッシュしてタイヤに荷重をかけるジャンプやバームを攻めていく状況でもタイヤが崩れないので、最後まで攻めきれますし、バランスを崩したとしても立て直しやすさがあります。
一方でSuper Gravityは重い重量になってしまうので、レースのようにハイスピードで攻めるような走りをしないのであれば、Super Trailケーシングが重量面も含めてマッチすると思います。軽量になるだけではなく、ケーシングのしなやかさも感じられるので、低中速域で走る方や、タイヤに荷重をかけすぎないライディングをする方にぴったりです。
剛性が高すぎて木の根やロックセクションでタイヤが弾かれてしまうことなく、タイヤが柔軟に変形して包み込むように走ってくれます。中低速でラインを選びながら楽しむ方やバイクパークを気軽に楽しむ方、軽さを活かして自走でトレイルまで移動する方にはお勧めです。またSuper Downhillケーシングのタイヤよりも高くバニーホップできるぐらい重量差がありますし、走行していても重量による慣性の影響は小さくなく、Super Trailは走行中の扱いやすさも良好です。
Super Trailケーシングを使ってみて、MAGIC MARYはこれまでグラビティ系ライダーだけ受けていた恩恵を、トレイルライダーなど幅広い方が受けられるようになったと思います。今回試したウルトラソフトコンパウンドよりも硬めのソフトコンパウンドや、Super Groundケーシングなど選択肢があるため、ダウンカントリーライダーでもMAGIC MARYのサイドノブによる安心感を得られます。
どのケーシングとコンパウンドを組み合わせるかは自由で、前後で違うものを装着してもいいと思います。MAGIC MARYという一つのモデルですが、ケーシングやコンパウンド違いのモデルを試してみて、自分の走りやバイクに適したタイヤを探してみても良いと思いますし、ライドスタイルを知ってもらっているショップスタッフに相談すれば適した組み合わせを提案してくれるでしょう。
もちろんリアタイヤをBIG BETTYのように異なるモデルとして、更に走るシチュエーションに最適化していくことも可能です。今回はBIG BETTYも合わせて後輪でテストしたのですが、やはりMAGIC MARYとは違うキャラクターがありました。
BIG BETTYはノブが非常に硬くて、ハードブレーキをした時にノブがよれない感覚があります。全体的な印象としても剛性が高めで、体重をかけた状態でブレーキをかけると瞬く間に止まってくれます。制動する能力に関してはMAGIC MARYよりも高いと思いますね。ノブが横に並んでいてスライディングもストレスなく流れていくので、リア用タイヤとしては完璧。
MAGIC MARYだとサイドグリップも優れているので、しっかりと路面を捉えて安心感があるのですが、リアをスライドさせてコントロールするときに癖を感じます。それが気になる方はリアをBIG BETTYを選んでみても良いかもしれませんね。
今回のテストでは、MAGIC MARYはど定番製品ということもあり、その性能の良さを再確認できました。それだけではなく、コンパウンドを統一してケーシング違いの2パターンを試して感じたのは、それぞれでキャラクターがあり、向き不向きがあることに気がつけました。夏場のパークライドはイケイケに攻める時はSuper Downhilの剛性が必要になりますし、冬場のトレイルライドでスピードが上がりきらない場合はSuper Trailが丁度良く遊べます。
マウンテンバイクの種類、遊び方が細分化されていく時代に合わせてMAGIC MARYも種類を増やしているので、ブロックパターンだけで判断せずに、ケーシングやコンパウンドのようなマニアックな視点でもタイヤチョイスをすることで、選択肢は広がりますし、今乗っている自転車での遊び方に面白みが増すと思います。
シュワルベ MAGIC MARYラインアップ
ケーシング | コンパウンド | サイズ | 重量 | 税込価格 |
---|---|---|---|---|
Super Downhill | ウルトラソフト | 29x2.40 | 1400g | 13,750円 |
Super Downhill | ウルトラソフト | 27.5x2.40 | 1320g | 13,750円 |
Super Gravity | ウルトラソフト | 29x2.40 | 1280g | 13,750円 |
Super Gravity | ウルトラソフト | 27.5x2.40 | 1205g | 13,750円 |
Super Gravity | ソフト | 29x2.60 | 1370g | 13,750円 |
Super Trail | ウルトラソフト | 29x2.40 | 1150g | 13,750円 |
Super Trail | ウルトラソフト | 27.5x2.40 | 1110g | 13,750円 |
Super Trail | ソフト | 29x2.40 | 1150g | 13,750円 |
Super Trail | ソフト | 27.5x2.60 | 1135g | 13,750円 |
Super Ground | ソフト | 29x2.40 | 1040g | 13,750円 |
Super Ground | ソフト | 27.5x2.40 | 975g | 13,750円 |
インプレッションライダーのプロフィール
鈴木祐一(RiseRide)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライドHP
鈴木祐一(RiseRide)
サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。シクロクロスやMTBなど、各種レースにも参戦している。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
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