2024/04/25(木) - 17:00
グロータックが送り出すイコールシリーズ。ブレーキ、ハブ、ペダルに続き、満を持してリリースされるのがコントロールレバーだ。イコールというプロダクト群を象徴するようなユニークな一作について、開発を担当したエンジニアの杉山さんへのインタビューを交えて紹介していく。
グロータックと聞いてみなさんはどのプロダクトを思い浮かべるだろうか。最近であれば、機械式ディスクブレーキとして最高レベルの性能を実現したイコールブレーキを連想する方も多いだろう。もう少し昔から知っている方であれば、ユニークな構造を取り入れ、実走感を追求したインドアトレーナーのGT-ROLLERシリーズもなじみ深いかも。
ユニークな着眼点と発想、そしてそれを実現する設計力。今、多くのサイクリストの悩みを解決し、助けとなっているグロータックのプロダクトは、遡ればイコールプーリーという源流に行きつく。
イコールプーリーとは、カンパニョーロのエルゴパワーのカムを置き換え、ワイヤー引き量を変換することでシマノのディレイラーを扱えるようにしたアイディア商品。当時、握り心地の良いカンパニョーロと、変速性能に優れるシマノの良い所どりをしようと、シマニョーロと呼ばれるミックスコンポへ挑戦していた愛すべき自転車オタクたちの救世主となった存在だ。
そんなグロータックが現在注力している製品群が「イコール」というブランド名を背負ったプロダクトたち。先ほどちらっと触れた、ディスクブレーキキャリパーの「イコールブレーキ」、手組用ハブの「イコールハブ」、そして先日発表されたばかりの調整機能盛りだくさんなビンディングペダルの「イコールペダル」と、順調に製品が送り出されている。
一方、その背後でずっと開発が続けられていたのが、今回の主題である「イコールコントロールレバー」だ。グロータックが長い年月をかけて開発してきたこのコントロールレバーとは一体何者なのか。まずは機能面(できること)を説明してみよう。
イコールコントロールレバーのメインとなる機能はシンプルだ。それは、ありとあらゆるワイヤー式変速機とチェーンリング/スプロケットの組み合わせを動作させるということ。カンパニョーロとシマノの組み合わせを可能としたイコールプーリーの機能を限界まで拡張したのがこの「イコールコントロールレバー」と言える。(ちなみに開発エンジニアは開発段階では「なんでもひけーる」と呼んでいたという(笑))
もちろん、ロード用ディレイラーにMTB用のビッグスプロケットを組み合わせるなど、キャパシティやスラント角の関係で物理的に不可能な組み合わせはあるものの、極端な仕様でなければほぼ対応可能。
つまり、イコールコントロールレバーがあれば、昔使っていたディレイラーを最新の12速スプロケットと組み合わせて使えるし、廃盤となってしまった昔の変速機が壊れた場合でも、ストックしてある別のモデルや入手性の良いモデルで代用可能となるということだ。
さらに、ユニークなのが変速だけでなくワイヤーでコントロールするパーツ、例えばサスペンションのリモートロックアウトやドロッパーポストなどを操作することも視野に入れて開発が進められているという点。ワイヤーを通じて、あらゆるものをコントロールするレバーだからこそ、イコールシフターではなく「イコールコントロールレバー」と名付けられているのだという。(※今回販売が開始されるスタンダードモデルでは、ディレイラーのみ操作可能。)
興味深いのが、これらの機能を全てメカニカルな構造によって実現しているという点だ。一体どうやって、このレバーは生み出されたのか。開発を担当したエンジニアである杉山氏に話を伺った。
―どうやって一つのレバーであらゆるドライブトレインに対応するということが可能になるのでしょうか
杉山:まず、外装変速システムとは変速機によってチェーンをスプロケットの各歯の位置に移動させるというものです。シフターの役割とは、変速機を動かすためのケーブルを引くことですが、現在主流となっている「ラチェット方式」では、あらかじめケーブル巻き取り量が決まっています。
メーカー、そしてモデルによってスプロケットの歯の位置や、ディレイラーのリンク比が異なるため、基本的にはメーカーの推奨する組み合わせでしか正常に動かないようになっています。
そこで、イコールコントロールレバーにはフリクション方式を採用することにしました。
―フリクション方式の採用によって何が可能となるのでしょう
杉山:現在では当たり前の、レバーをカチカチと操作することで対応する段数へと変速できるのが、ラチェット式と呼ばれるものです。フリクション方式は、ラチェット式が登場する以前に主流であった変速方式で、摩擦を利用してケーブル位置を保持しており無段階で動かせることが特徴です。
いつ、誰が操作しても同じ量のケーブルを巻き取れるのがラチェットシフトですが、フリクションシフトは自分で操作量を調整する必要があります。言い方を変えれば、ラチェット式は決められた動きしかできないのに対して、フリクションシフトはケーブルの引ける範囲であればどの位置にでも変速機を動かせます。
つまり、フリクションシフトであれば何段変速だろうと、どのメーカーのスプロケットであろうと、それぞれの歯の位置へ変速機を動かせるのです。その特性を表現するために、グロータックでは新たに「ステップレスシフト」と呼ぶことにしました。
―ラチェット式の変速操作を当然のように受け入れている人にとって、ステップレスシフトは少し難しそうなイメージもあります。
杉山:イコールコントロールレバーは操作量の目安になるクリック感を追加することも出来ます。カチカチと変速ポイントを伝えてくれるため、ステップレスシフトに比べると扱いやすくなるはずです。
―そんな機能まで!どのような仕組みになっているのですか
杉山:変速時に目安となる小さな穴があけられた「インデックスプレート」というパーツを用意しています。このインデックスプレートを追加することで、穴の間隔に応じてクリック感が発生するようになるんです。
―バイオリンのフレットに目印をつけるようなイメージですね。どのような組み合わせでもインデックスモードに出来るのですか?
杉山:それぞれのディレイラーとスプロケットなどの組み合わせに応じて、穴の位置が変わってくるんです。代表的な組み合わせに関してはストックしていますが、珍しい組み合わせに関しては都度製作することとなります。現在、自動で穴の位置を算出するソフトを開発中です(笑)
また、弊社にデータの無い希少なモデルに関しては、実際に寸法などを計測する必要がありますので、実物を送っていただき、対応することになります。
―さすがのサポート体制ですね。フリクション方式の採用以外に、必要な機構はあったのでしょうか
杉山:スプロケットの差に対してはフリクションシフトによって対応できますが、一方でディレイラーの差に関しては別のアプローチも必要となります。
ディレイラーのリンク比、つまりケーブルの引き量に対する変速機の移動量はそれぞれのモデルによって異なります。リンク比が大きなディレイラーに合わせたケーブル巻き取り量では、リンク比が小さなモデルを動かしきれません。逆に、ケーブル巻き取り量が多すぎると、一段あたりのレバーのストロークが小さくなりすぎて操作しづらくなってしまいます。
―つまり、使用する変速機に対して適切なケーブル巻き取り量は異なると
杉山:そういうことです。この問題を解決するために、イコールコントロールレバーではケーブルを巻き取るプーリーを交換可能な構造にしました。異なる5サイズのプーリーを用意しており、使用する変速機に応じてセッティングできるようになっています。ちなみに、プーリーサイズもインデックスプレートの穴位置に影響してきます。
―プーリーの交換作業はユーザーにも可能なのですか?
杉山:ある程度メンテンナンスできる方であれば問題ないレベルだと思います。ちなみに、こんな感じで交換します(と、30秒ほどで交換してしまう)
―こうしてみると簡単そうに見えますが、構造への理解と器用さが求められる作業に思えます(笑)
杉山:不安な方はショップでお願いしたほうが良いでしょうね(笑)
―どんな組み合わせにも対応するとのことでしたが、相性の良し悪しはあるのでしょうか
杉山:ディレイラーのスプリングが強いモデルは安定感が出ますね。難しい説明は省略しますが、さまざまな理由によりシフトケーブルの操作量とディレイラーの移動量は常に一定とはなりづらいんです。ただ、しっかりとケーブルにテンションをかけられれば、動作としては安定するんですよ。
ただ、ケーブルを引っ張る力が強いということは、その分しっかり摩擦力を上げないと勝手にケーブルが戻ってしまいます。フリクションナットを締めこむことで摩擦力は調整可能なのですが、レバーストロークは重くなります。軽い操作感を求めるのであれば、バネが弱いディレイラーと組み合わせるのが良いでしょう。
―ゆくゆくは変速機以外にも様々なパーツをコントロール出来るモデルも登場予定とのことですが
杉山:ケーブルを引いて操作するパーツであれば大体なんでも操作することができます。そして、実はケーブルを2本引けるように設計してあります。内部の構成を変更することで、例えば片方のレバーでリアディレイラーを動かし、もう一つのレバーでリモートロックアウトとドロッパーポストを操作する、と言ったことも可能な拡張性を確保しています。
また、パドルシフトのように、左右のレバーにシフトアップとシフトダウンの操作を振り分けるような使い方も視野に入っていますね。
―機械式レバーとは思えない多機能ぶりですね。少し話は変わりますが、ロード用レバーとして握り心地を気にする方も多いと思います。形状についてはどういったこだわりがありますか?
杉山:もう、一言では言い表せない苦労がありました(笑)。例えば、ブラケットとハンドルをツライチになるように設計するだけでも大変でした。図面でフラットになると思っても、ちょっと角度がついてしまったりして、とても難しい。
そしてレバーの持ち方も人それぞれで違うじゃないですか。ある人は手の甲は上向きだけど、ある人は外向きになっていたり、ブラケットの下にどれだけ指を入れるかも違う。手の形やサイズも違うし、それぞれの癖もある。細いのが好きな人もいれば太めの方が良いという人も。
色んな人に試してもらって、色んな意見を聞いて、3Dモデルをこねくり回してたどり着いたのがこのブラケット形状なんです。ほぼ全て曲面で構成されていて、平面的な部分がないのは他の大メーカーにはない特徴だと思います。
―少し握ってみても、非常にしっくりきますね。実際に使ってみるのが楽しみです
杉山::とりあえず、これがスタンダードなものということで。ゆくゆくは、握り心地をパーソナルにカスタムできるようなオプションパーツを用意したいと思っています。
色々と説明しましたが、実際に乗ってみるのが一番だと思います。スペック的なものよりも、体験して楽しんでもらった上で、自分のバイクに使ってみたいと思ってもらえるかが大切だと思っています。
多くの機能と、それを実現するための工夫が詰め込まれたイコールコントロールレバー。次回はテストバイクで使用してみた簡単なインプレッション、そしてコントロールレバーを送り出したグロータックの想いをお届けしよう。
グロータック イコールコントロールレバー
スタンダード(変速レバーあり)
スタンダードR(右レバーのみ):24,750円(税込)
スタンダードL(左レバーのみ):24,750円(税込)
※シフトケーブル・ブレーキケーブルは付属しません。
シフトレス(変速レバーなし)
シフトレスR(右レバーのみ):13,750円(税込)
シフトレスL(左レバーのみ):13,750円(税込)
※ブレーキケーブルは付属しません。
参考重量:スタンダードR:205g、スタンダードL:210g
シフトレスR:130g、シフトレスL:130g
text&photo:Naoki Yasuoka
グロータックと聞いてみなさんはどのプロダクトを思い浮かべるだろうか。最近であれば、機械式ディスクブレーキとして最高レベルの性能を実現したイコールブレーキを連想する方も多いだろう。もう少し昔から知っている方であれば、ユニークな構造を取り入れ、実走感を追求したインドアトレーナーのGT-ROLLERシリーズもなじみ深いかも。
ユニークな着眼点と発想、そしてそれを実現する設計力。今、多くのサイクリストの悩みを解決し、助けとなっているグロータックのプロダクトは、遡ればイコールプーリーという源流に行きつく。
イコールプーリーとは、カンパニョーロのエルゴパワーのカムを置き換え、ワイヤー引き量を変換することでシマノのディレイラーを扱えるようにしたアイディア商品。当時、握り心地の良いカンパニョーロと、変速性能に優れるシマノの良い所どりをしようと、シマニョーロと呼ばれるミックスコンポへ挑戦していた愛すべき自転車オタクたちの救世主となった存在だ。
そんなグロータックが現在注力している製品群が「イコール」というブランド名を背負ったプロダクトたち。先ほどちらっと触れた、ディスクブレーキキャリパーの「イコールブレーキ」、手組用ハブの「イコールハブ」、そして先日発表されたばかりの調整機能盛りだくさんなビンディングペダルの「イコールペダル」と、順調に製品が送り出されている。
一方、その背後でずっと開発が続けられていたのが、今回の主題である「イコールコントロールレバー」だ。グロータックが長い年月をかけて開発してきたこのコントロールレバーとは一体何者なのか。まずは機能面(できること)を説明してみよう。
イコールコントロールレバーのメインとなる機能はシンプルだ。それは、ありとあらゆるワイヤー式変速機とチェーンリング/スプロケットの組み合わせを動作させるということ。カンパニョーロとシマノの組み合わせを可能としたイコールプーリーの機能を限界まで拡張したのがこの「イコールコントロールレバー」と言える。(ちなみに開発エンジニアは開発段階では「なんでもひけーる」と呼んでいたという(笑))
もちろん、ロード用ディレイラーにMTB用のビッグスプロケットを組み合わせるなど、キャパシティやスラント角の関係で物理的に不可能な組み合わせはあるものの、極端な仕様でなければほぼ対応可能。
つまり、イコールコントロールレバーがあれば、昔使っていたディレイラーを最新の12速スプロケットと組み合わせて使えるし、廃盤となってしまった昔の変速機が壊れた場合でも、ストックしてある別のモデルや入手性の良いモデルで代用可能となるということだ。
さらに、ユニークなのが変速だけでなくワイヤーでコントロールするパーツ、例えばサスペンションのリモートロックアウトやドロッパーポストなどを操作することも視野に入れて開発が進められているという点。ワイヤーを通じて、あらゆるものをコントロールするレバーだからこそ、イコールシフターではなく「イコールコントロールレバー」と名付けられているのだという。(※今回販売が開始されるスタンダードモデルでは、ディレイラーのみ操作可能。)
興味深いのが、これらの機能を全てメカニカルな構造によって実現しているという点だ。一体どうやって、このレバーは生み出されたのか。開発を担当したエンジニアである杉山氏に話を伺った。
―どうやって一つのレバーであらゆるドライブトレインに対応するということが可能になるのでしょうか
杉山:まず、外装変速システムとは変速機によってチェーンをスプロケットの各歯の位置に移動させるというものです。シフターの役割とは、変速機を動かすためのケーブルを引くことですが、現在主流となっている「ラチェット方式」では、あらかじめケーブル巻き取り量が決まっています。
メーカー、そしてモデルによってスプロケットの歯の位置や、ディレイラーのリンク比が異なるため、基本的にはメーカーの推奨する組み合わせでしか正常に動かないようになっています。
そこで、イコールコントロールレバーにはフリクション方式を採用することにしました。
―フリクション方式の採用によって何が可能となるのでしょう
杉山:現在では当たり前の、レバーをカチカチと操作することで対応する段数へと変速できるのが、ラチェット式と呼ばれるものです。フリクション方式は、ラチェット式が登場する以前に主流であった変速方式で、摩擦を利用してケーブル位置を保持しており無段階で動かせることが特徴です。
いつ、誰が操作しても同じ量のケーブルを巻き取れるのがラチェットシフトですが、フリクションシフトは自分で操作量を調整する必要があります。言い方を変えれば、ラチェット式は決められた動きしかできないのに対して、フリクションシフトはケーブルの引ける範囲であればどの位置にでも変速機を動かせます。
つまり、フリクションシフトであれば何段変速だろうと、どのメーカーのスプロケットであろうと、それぞれの歯の位置へ変速機を動かせるのです。その特性を表現するために、グロータックでは新たに「ステップレスシフト」と呼ぶことにしました。
―ラチェット式の変速操作を当然のように受け入れている人にとって、ステップレスシフトは少し難しそうなイメージもあります。
杉山:イコールコントロールレバーは操作量の目安になるクリック感を追加することも出来ます。カチカチと変速ポイントを伝えてくれるため、ステップレスシフトに比べると扱いやすくなるはずです。
―そんな機能まで!どのような仕組みになっているのですか
杉山:変速時に目安となる小さな穴があけられた「インデックスプレート」というパーツを用意しています。このインデックスプレートを追加することで、穴の間隔に応じてクリック感が発生するようになるんです。
―バイオリンのフレットに目印をつけるようなイメージですね。どのような組み合わせでもインデックスモードに出来るのですか?
杉山:それぞれのディレイラーとスプロケットなどの組み合わせに応じて、穴の位置が変わってくるんです。代表的な組み合わせに関してはストックしていますが、珍しい組み合わせに関しては都度製作することとなります。現在、自動で穴の位置を算出するソフトを開発中です(笑)
また、弊社にデータの無い希少なモデルに関しては、実際に寸法などを計測する必要がありますので、実物を送っていただき、対応することになります。
―さすがのサポート体制ですね。フリクション方式の採用以外に、必要な機構はあったのでしょうか
杉山:スプロケットの差に対してはフリクションシフトによって対応できますが、一方でディレイラーの差に関しては別のアプローチも必要となります。
ディレイラーのリンク比、つまりケーブルの引き量に対する変速機の移動量はそれぞれのモデルによって異なります。リンク比が大きなディレイラーに合わせたケーブル巻き取り量では、リンク比が小さなモデルを動かしきれません。逆に、ケーブル巻き取り量が多すぎると、一段あたりのレバーのストロークが小さくなりすぎて操作しづらくなってしまいます。
―つまり、使用する変速機に対して適切なケーブル巻き取り量は異なると
杉山:そういうことです。この問題を解決するために、イコールコントロールレバーではケーブルを巻き取るプーリーを交換可能な構造にしました。異なる5サイズのプーリーを用意しており、使用する変速機に応じてセッティングできるようになっています。ちなみに、プーリーサイズもインデックスプレートの穴位置に影響してきます。
―プーリーの交換作業はユーザーにも可能なのですか?
杉山:ある程度メンテンナンスできる方であれば問題ないレベルだと思います。ちなみに、こんな感じで交換します(と、30秒ほどで交換してしまう)
―こうしてみると簡単そうに見えますが、構造への理解と器用さが求められる作業に思えます(笑)
杉山:不安な方はショップでお願いしたほうが良いでしょうね(笑)
―どんな組み合わせにも対応するとのことでしたが、相性の良し悪しはあるのでしょうか
杉山:ディレイラーのスプリングが強いモデルは安定感が出ますね。難しい説明は省略しますが、さまざまな理由によりシフトケーブルの操作量とディレイラーの移動量は常に一定とはなりづらいんです。ただ、しっかりとケーブルにテンションをかけられれば、動作としては安定するんですよ。
ただ、ケーブルを引っ張る力が強いということは、その分しっかり摩擦力を上げないと勝手にケーブルが戻ってしまいます。フリクションナットを締めこむことで摩擦力は調整可能なのですが、レバーストロークは重くなります。軽い操作感を求めるのであれば、バネが弱いディレイラーと組み合わせるのが良いでしょう。
―ゆくゆくは変速機以外にも様々なパーツをコントロール出来るモデルも登場予定とのことですが
杉山:ケーブルを引いて操作するパーツであれば大体なんでも操作することができます。そして、実はケーブルを2本引けるように設計してあります。内部の構成を変更することで、例えば片方のレバーでリアディレイラーを動かし、もう一つのレバーでリモートロックアウトとドロッパーポストを操作する、と言ったことも可能な拡張性を確保しています。
また、パドルシフトのように、左右のレバーにシフトアップとシフトダウンの操作を振り分けるような使い方も視野に入っていますね。
―機械式レバーとは思えない多機能ぶりですね。少し話は変わりますが、ロード用レバーとして握り心地を気にする方も多いと思います。形状についてはどういったこだわりがありますか?
杉山:もう、一言では言い表せない苦労がありました(笑)。例えば、ブラケットとハンドルをツライチになるように設計するだけでも大変でした。図面でフラットになると思っても、ちょっと角度がついてしまったりして、とても難しい。
そしてレバーの持ち方も人それぞれで違うじゃないですか。ある人は手の甲は上向きだけど、ある人は外向きになっていたり、ブラケットの下にどれだけ指を入れるかも違う。手の形やサイズも違うし、それぞれの癖もある。細いのが好きな人もいれば太めの方が良いという人も。
色んな人に試してもらって、色んな意見を聞いて、3Dモデルをこねくり回してたどり着いたのがこのブラケット形状なんです。ほぼ全て曲面で構成されていて、平面的な部分がないのは他の大メーカーにはない特徴だと思います。
―少し握ってみても、非常にしっくりきますね。実際に使ってみるのが楽しみです
杉山::とりあえず、これがスタンダードなものということで。ゆくゆくは、握り心地をパーソナルにカスタムできるようなオプションパーツを用意したいと思っています。
色々と説明しましたが、実際に乗ってみるのが一番だと思います。スペック的なものよりも、体験して楽しんでもらった上で、自分のバイクに使ってみたいと思ってもらえるかが大切だと思っています。
多くの機能と、それを実現するための工夫が詰め込まれたイコールコントロールレバー。次回はテストバイクで使用してみた簡単なインプレッション、そしてコントロールレバーを送り出したグロータックの想いをお届けしよう。
グロータック イコールコントロールレバー
スタンダード(変速レバーあり)
スタンダードR(右レバーのみ):24,750円(税込)
スタンダードL(左レバーのみ):24,750円(税込)
※シフトケーブル・ブレーキケーブルは付属しません。
シフトレス(変速レバーなし)
シフトレスR(右レバーのみ):13,750円(税込)
シフトレスL(左レバーのみ):13,750円(税込)
※ブレーキケーブルは付属しません。
参考重量:スタンダードR:205g、スタンダードL:210g
シフトレスR:130g、シフトレスL:130g
text&photo:Naoki Yasuoka
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