今年限りで現役を退くデヘントが見せ場を作ったボルタ・ア・カタルーニャ最終日。急坂で絞られた23名によるスプリントをタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が制し、2位に約3分半差をつける大差で総合優勝に輝いた。



現役最後のカタルーニャを走るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・デスティニー)が集団先頭でスタートを待つ photo:CorVos

ボルタ・ア・カタルーニャ2024第7ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
7日間をかけてスペイン北東部のカタルーニャ州を巡るボルタ・ア・カタルーニャは最終日。第103回と歴史深いレースの第7ステージは、スペイン第2の都市バルセロナを発着地点とする毎年恒例の丘陵ステージ。前半は平坦路と3級山岳一つを越え、2級山岳モンジュイックの丘(距離2.7km/平均4.7%)を含むコースを6周する145.3kmだ。

昨年はレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が勝利し、区間2位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、当時ユンボ・ヴィスマ)が総合優勝を飾ったステージ。また一昨年は集団スプリント、その前はトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・デスティニー)による逃げ切りとあらゆる展開が考えられるレースで5名が逃げを打った。

5名による逃げグループが先行した photo:CorVos

プロトンを走るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

身長189cmの若手クライマーであるゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)ら逃げグループは1分半のリードで3級山岳に突入する。それをUAEチームエミレーツが中心となるメイン集団が追いかけ、そこにスプリントに長けたクライマーのスティーブン・ウィリアムズ(イギリス)で勝負したいイスラエル・プレミアテックも加勢した。

ほぼアップダウンの7.9kmコースに突入した直後に、プロトンではナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)とフランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が落車する。総合上位にはいない2人は大事をとってリタイアを選び、プロトンではそれまで牽引していた地元バルセロナ出身のマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)がアタックした。

リーダーチームによる珍しい仕掛けにヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)などが反応し、逃げを捉えながら2名となった先頭のシュタインハウザーとイーダル・アンデシェン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)を目指す。残り28km地点でシュタインハウザーが単独となり、イネオス・グレナディアーズの牽引するプロトンはソレルたち追走集団を飲み込んだ。そのためレースは残り21km地点で逃げのシュタインハウザーと、それを追うメイン集団という形になった。

単独先頭に立ったゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:A.S.O.

懸命に逃げ続けたシュタインハウザーを残り14km地点で捉えたプロトンは、最後から2つ目のモンジュイックの丘(残り13km地点)でギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)がアタックする。これを利用してタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が加速するものの、下りで集団は一つに戻り、最後のモンジュイックの丘で今度はトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・デスティニー)が飛び出した。

過去5度の区間優勝を誇り、今年限りでの引退を発表しているデヘントによるアタック。しかしこれも集団に吸収され、今度はウィリアムズの加速を頂上でポガチャルが引き戻す。その結果、勝負は登りのペースアップに耐えた23名のスプリント勝負に持ち込まれた。

スピードに長けたウィリアムズがコース中央で踏み込み、その右側からドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)が並ぶ。しかしフィニッシュ手前でポガチャルが2人を追い抜き、区間4勝目で総合優勝に花を添えた。

スプリントで先着し、区間4勝目を飾ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

「今日はソレルで勝負する予定だったが、アタックが早すぎたみたいだ。その後は集団で脚を溜め、スプリントでステージ優勝を手に入れた。チームの完璧な走りを勝利で報いることができてとても嬉しい。このような素晴らしい形でシーズン序盤を迎えることができ、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに向けて自信がついた」と総合優勝に加え、ポイント賞と山岳賞も獲得したポガチャルは語った。

総合順位に動きはなく総合2位はミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ)、総合3位には徐々に調子を上げるエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が入った。

ボルタ・ア・カタルーニャ2024総合表彰台:2位ランダ、1位ポガチャル、3位ベルナル photo:A.S.O.

ボルタ・ア・カタルーニャ2024第7ステージ
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 3:15:23
2位 ドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)
3位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
4位 スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
5位 パトリック・コンラッド(オーストリア、リドル・トレック)
6位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ダビ・ゴンザレス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
8位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)
個人総合成績
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 28:21:29
2位 ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) +3:41
3位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +5:03
4位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) +5:56
5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +6:01
6位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
7位 レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) +6:02
8位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +6:33
9位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
10位 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) +7:27
その他の特別賞
ポイント賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
山岳賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
ヤングライダー賞 レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)
チーム総合成績 バーレーン・ヴィクトリアス
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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