2024/03/11(月) - 09:30
全8日間の日程で行われた第82回パリ〜ニースは最終日を迎えた。5つのカテゴリー山岳を越えるステージでレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が3度目のアタックを決めて勝利し、区間2位のマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が総合優勝に輝いた。
悪天候により短縮コースで争われた翌日の3月10日(日)、第82回パリ〜ニースを締めくくる第8ステージが行われた。コースはニースの市街地を発着地点とし、北側の山岳地帯を巡る山岳ステージ。5つのカテゴリー山岳はいずれも6km前後と登坂距離は短いものの、最後の1級山岳コル・デ・キャトル・シュマン(距離3.6km/平均8.8%/最大16%)は険しく、フィニッシュ地点はそこから下りと平坦路の先にある。
109.3kmのショートステージである日に形成された逃げグループは、ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)ら3名が入る。しかし早々とカンペナールツの単独となり、メイン集団ではオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)などスプリンターが山岳に音を上げバイクを降りる中、サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)を巻き込む落車が発生した。
第4ステージで区間優勝を挙げ、総合12位からのジャンプアップを狙っていたブイトラゴはそのまま棄権。病院での検査の結果「打撲で骨折はなかった」とチームが伝えており、また同じ落車でケヴィン・ゲニエッツ(ルクセンブルク、グルパマFDJ)もリタイアを選んでいる。
この日も冷たい雨が選手たちに降り注ぐなか、メイン集団はマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)が同じデンマーク出身で総合3位マティアス・スケルモースのため高速牽引で人数を絞る。その結果ショートスリーブで懸命な逃げを見せたカンペナールツが残り46km地点で吸収され、直後にレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が仕掛けた。
最後から2つ目、カテゴリーなしの丘も含めば実質的に最後から3つ目の1級山岳手前で加速したエヴェネプールに対し、総合2位のマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)がマークする。更にアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)がブリッジを掛けたことで一度展開が落ち着くなか、再度エヴェネプールがアタック。しかしこれも決まらず、それ以降はフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ)がペースを作った。
このペースアップに今季好調のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が遅れ、先頭集団は11名まで絞られる。そして1級山岳の頂上まで残り3km地点でエヴェネプールが3度目の加速。唯一追従したヨルゲンソンの協力も得ながらマクナルティを引き離し、そこには前日勝者のウラソフが合流。先頭3名が山頂を通過した。
先頭のエヴェネプール、ヨルゲンソン、ウラソフは濡れた路面の下りも危なげくクリアし、丘の頂上(コル・デズ)手前に設定された中間スプリントはヨルゲンソンが争うことなく先頭通過。そのためヨルゲンソンはボーナスタイム-6秒を獲得し、バーチャルで総合首位に立つ。その頃にマクナルティやプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)のいる追走集団との差は1分20秒まで拡がり、更に先頭の3名は最終1級山岳コル・デ・キャトル・シュマン(距離3.6km/平均8.8%)に1分51秒差で突入した。
雨雲が割れ、太陽が差し込むなか麓から先頭でエヴェネプールがスピードを上げる。それに悶えるウラソフが遅れるなか、最大16%の勾配でもエヴェネプールは白いヤングライダー賞ジャージを着るヨルゲンソンをふるい落とすことはできない。そのままエヴェネプールの先頭固定で頂上に到達し、フィニッシュまで続く下り〜平坦路を進んでいく。
そして総合優勝を確信して笑顔のヨルゲンソンとエヴェネプールは大観衆が待つニースの市街地に到着し、スプリントを開始したエヴェネプールが先にフィニッシュラインを通過。掛けた電話器を戻すパフォーマンスを見せたエヴェネプールの後ろで、ヨルゲンソンも小さくガッツポーズを作った。
勝利したエヴェネプールは「小集団で(アタックを仕掛けた1級山岳に)入り、数回に分けてアタックして状況を見ようと思った。相手の脚にダメージを与え、頂上を越える頃に僕自身も少し疲れていた」とレースを振り返る。そして「トリッキーなコースでも自分の全力を出し、この美しいニースで勝利を掴んだ。今大会ではミスも犯したが、そこから今後に向けて学んでいきたい」と総合も2位にランクインし、更にポイント賞と山岳賞も獲得したエヴェネプールは喜んだ。
そして第82回パリ〜ニースの総合優勝は、モビスターから移籍直後に結果を残したヨルゲンソンの手に。「喜びで脚が震えているよ。ワールドツアーのステージレースで総合優勝できるなんて思ってもいなかった。実は昨晩は緊張でほとんど眠れなかったんだ。人生で初のプレッシャーに襲われたが、不思議と調子はよく、素晴らしいチャンピオンであるエヴェネプールと共に走ることができた。人生で忘れられない出来事となった」と、マイヨジョーヌに加えヤングライダー賞も得たヨルゲンソンは語っている。
ウラソフはトップから50秒後に単独でフィニッシュ。そしてマイヨジョーヌを失ったマクナルティは1分39秒遅れ(区間5位)でレースを終えたものの、総合3位で総合表彰台に上がっている。
悪天候により短縮コースで争われた翌日の3月10日(日)、第82回パリ〜ニースを締めくくる第8ステージが行われた。コースはニースの市街地を発着地点とし、北側の山岳地帯を巡る山岳ステージ。5つのカテゴリー山岳はいずれも6km前後と登坂距離は短いものの、最後の1級山岳コル・デ・キャトル・シュマン(距離3.6km/平均8.8%/最大16%)は険しく、フィニッシュ地点はそこから下りと平坦路の先にある。
109.3kmのショートステージである日に形成された逃げグループは、ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)ら3名が入る。しかし早々とカンペナールツの単独となり、メイン集団ではオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)などスプリンターが山岳に音を上げバイクを降りる中、サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)を巻き込む落車が発生した。
第4ステージで区間優勝を挙げ、総合12位からのジャンプアップを狙っていたブイトラゴはそのまま棄権。病院での検査の結果「打撲で骨折はなかった」とチームが伝えており、また同じ落車でケヴィン・ゲニエッツ(ルクセンブルク、グルパマFDJ)もリタイアを選んでいる。
この日も冷たい雨が選手たちに降り注ぐなか、メイン集団はマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)が同じデンマーク出身で総合3位マティアス・スケルモースのため高速牽引で人数を絞る。その結果ショートスリーブで懸命な逃げを見せたカンペナールツが残り46km地点で吸収され、直後にレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が仕掛けた。
最後から2つ目、カテゴリーなしの丘も含めば実質的に最後から3つ目の1級山岳手前で加速したエヴェネプールに対し、総合2位のマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)がマークする。更にアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)がブリッジを掛けたことで一度展開が落ち着くなか、再度エヴェネプールがアタック。しかしこれも決まらず、それ以降はフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツ)がペースを作った。
このペースアップに今季好調のエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が遅れ、先頭集団は11名まで絞られる。そして1級山岳の頂上まで残り3km地点でエヴェネプールが3度目の加速。唯一追従したヨルゲンソンの協力も得ながらマクナルティを引き離し、そこには前日勝者のウラソフが合流。先頭3名が山頂を通過した。
先頭のエヴェネプール、ヨルゲンソン、ウラソフは濡れた路面の下りも危なげくクリアし、丘の頂上(コル・デズ)手前に設定された中間スプリントはヨルゲンソンが争うことなく先頭通過。そのためヨルゲンソンはボーナスタイム-6秒を獲得し、バーチャルで総合首位に立つ。その頃にマクナルティやプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)のいる追走集団との差は1分20秒まで拡がり、更に先頭の3名は最終1級山岳コル・デ・キャトル・シュマン(距離3.6km/平均8.8%)に1分51秒差で突入した。
雨雲が割れ、太陽が差し込むなか麓から先頭でエヴェネプールがスピードを上げる。それに悶えるウラソフが遅れるなか、最大16%の勾配でもエヴェネプールは白いヤングライダー賞ジャージを着るヨルゲンソンをふるい落とすことはできない。そのままエヴェネプールの先頭固定で頂上に到達し、フィニッシュまで続く下り〜平坦路を進んでいく。
そして総合優勝を確信して笑顔のヨルゲンソンとエヴェネプールは大観衆が待つニースの市街地に到着し、スプリントを開始したエヴェネプールが先にフィニッシュラインを通過。掛けた電話器を戻すパフォーマンスを見せたエヴェネプールの後ろで、ヨルゲンソンも小さくガッツポーズを作った。
勝利したエヴェネプールは「小集団で(アタックを仕掛けた1級山岳に)入り、数回に分けてアタックして状況を見ようと思った。相手の脚にダメージを与え、頂上を越える頃に僕自身も少し疲れていた」とレースを振り返る。そして「トリッキーなコースでも自分の全力を出し、この美しいニースで勝利を掴んだ。今大会ではミスも犯したが、そこから今後に向けて学んでいきたい」と総合も2位にランクインし、更にポイント賞と山岳賞も獲得したエヴェネプールは喜んだ。
そして第82回パリ〜ニースの総合優勝は、モビスターから移籍直後に結果を残したヨルゲンソンの手に。「喜びで脚が震えているよ。ワールドツアーのステージレースで総合優勝できるなんて思ってもいなかった。実は昨晩は緊張でほとんど眠れなかったんだ。人生で初のプレッシャーに襲われたが、不思議と調子はよく、素晴らしいチャンピオンであるエヴェネプールと共に走ることができた。人生で忘れられない出来事となった」と、マイヨジョーヌに加えヤングライダー賞も得たヨルゲンソンは語っている。
ウラソフはトップから50秒後に単独でフィニッシュ。そしてマイヨジョーヌを失ったマクナルティは1分39秒遅れ(区間5位)でレースを終えたものの、総合3位で総合表彰台に上がっている。
パリ〜ニース2024第8ステージ結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 2:50:03 |
2位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
3位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:50 |
4位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +1:39 |
5位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +2:13 |
7位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | |
8位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
9位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) |
個人総合成績
1位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | 27:50:23 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:30 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +1:47 |
4位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +2:22 |
5位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:57 |
6位 | ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +3:08 |
7位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +4:03 |
8位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | +4:04 |
9位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +4:35 |
10位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ) | +5:33 |
その他の特別賞
ポイント賞 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) |
山岳賞 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) |
ヤングライダー賞 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) |
チーム総合成績 | UAEチームエミレーツ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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