ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)が残り50mまで粘ったティレーノ~アドリアティコ第4ステージ。ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がフィリプセンをハンドル投げで下し、区間優勝と共に総合首位に立った。



気温10度を下回る寒空の下、大会4日目に臨む新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

ティレニア海を離れた一行はアペニン山脈を越え、地中海の一つであるアドリア海に至る。ティレーノ~アドリアティコ第4ステージは207kmのスプリントステージ。コース前半の山岳以外はフィニッシュまで平坦路が続くため、3日連続の集団スプリントが濃厚と見られた。

この日逃げ集団を形成したのは、昨年のジロ・デ・イタリアで逃げ切り勝利を飾ったダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・コメタ)を含むプロチームの6名。それをリーダーチームであるUAEチームエミレーツが追いかけ、約4分の差でレースは推移。この日唯一の山岳はバイスが先頭通過し、山岳賞ジャージ着用の権利を得た。

この日はダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・コメタ)ら4名が逃げた photo:RCS

雪が残る山岳を登るプロトン photo:RCS

昨年のさいたまクリテリウムに出場したアクセル・ジングレ(フランス)でスプリント勝負したコフィディスやリドル・トレック、アルペシン・ドゥクーニンクなどの集団牽引によって逃げとの差は縮小する。そして選手たちはアドリア海に面するジュリアノーヴァの周回コースに到達。1度目のフィニッシュライン(残り22.6km地点)を通過する頃に逃げグループは3名まで絞られ、プロトンが1分差まで迫った。

逃げ切りの可能性を信じ、レース先頭で踏み続けたのはミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・コメタ)とアレクサンダー・カンプ(デンマーク、チューダー・プロサイクリング)、ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)の3名。流れるようなローテーションで逃げは再び1分までタイム差を戻したものの、後方ではアルペシンやリドル、イネオス・グレナディアーズなどが集団のペースを上げた。

フィニッシュ手前50mまで粘ったヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

ジュリアノーヴァ市街地の細かなアップダウンにティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が遅れるなか、パンクで遅れたテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)は集団復帰を果たす。そして残り3kmで14秒、残り2kmで8秒まで迫ったプロトンにカンプが諦め、マエストリも吸収される一方でアブラハムセンが一人で抗う。

アンテルマルシェ・ワンティのアシストがビニヤム・ギルマイ(エリトリア)を集団2番手に引き上げ、単独となったトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がスプリントを開始する。その背後からギルマイが踏み込むコースの反対側では、ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)とヤスペル・フィリプン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が横に並ぶ。

ハンドルを投げるフィリプセンとジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

勝利し、雄叫びを上げるジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

アブラハムセンを追い抜き持ち込まれた白熱のスプリントは、フィリプセンとのハンドル投げをミランが制した。

初日の個人タイムトライアルから3位、9位、2位と勝利に迫ったミラン。今季2勝目かつ移籍後初のワールドツアー勝利を飾ったミランは、「今日のステージには自信を持って臨んだ。その自信の根拠はチームからの信頼。チームメイトの一人一人に感謝したい。今日の終盤は難しくて厳しく、とてもストレスフルだったよ」と喜びを語った。

この結果、ミランはフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)を抜き総合でも首位浮上した。

リードアウトを務めたコンソンニと喜びを分かち合うジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

ティレーノ〜アドリアティコ2024第4ステージ結果
1位 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 4:56:44
2位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
3位 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
4位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)
5位 アクセル・ジングレ(フランス、コフィディス)
6位 マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チューダー・プロサイクリング)
7位 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
8位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
9位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)
10位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
個人総合成績
1位 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 15:06:02
2位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) +0:04
3位 ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:18
4位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:21
5位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) +0:26
6位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)
7位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) +0:28
8位 ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:30
9位 マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
10位 レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
その他の特別賞
ポイント賞 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
山岳賞 ダヴィデ・バイス(イタリア、ポルティ・コメタ)
ヤングライダー賞 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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