白熱のスプリント第3戦　写真判定の僅差でコーイがメルリール下す

UAEツアー5日目は大会3度目となる集団スプリントで決着。カヴェンディッシュの背後からオラフ・コーイ（オランダ、ヴィスマ・リースアバイク）が駆け、ここまで2勝のティム・メルリール（ベルギー、スーダル・クイックステップ）を写真判定の僅差で下した。

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UAEツアー第5ステージは2日連続の平坦路ステージ。ドバイの街中を巡った前日とは違い、オマーン湾に面したアル・アカを出発して砂漠地帯を進み、ペルシャ湾のウンム・アル・カイワインが終着点となる。今大会の最長距離である182kmコースは序盤に登場する丘と風を除き、選手たちを遮るものはない純粋なスプリントステージだ。

2日連続で飛び出したハルム・ファンハウケ（ベルギー、ロット・デスティニー）を含む逃げは3名。この日、ポイント賞と中間スプリント賞でトップに立つマーク・スチュワート（イギリス、コラテック・ヴィーニファンティーニ）は逃げを見送り、ファンハウケはチームメイトのレナルト・ファンイートヴェルト（ベルギー）とジャコポ・モスカ（イタリア、リドル・トレック）を仲間に得る。そして総合13位のファンイートヴェルトは2つの中間スプリントを先頭通過してボーナスタイム合計-6秒を獲得し、総合順位を9位まで上げることに成功した。

一方、前日の落車で左手骨折と肩の負傷で未出走だったライナー・ケップリンガー（オーストリア、バーレーン・ヴィクトリアス）を除くメイン集団は、ヴィスマ・リースアバイクやチューダー・プロサイクリングが牽引する。逃げの3名に6分弱の差を許すなか、残り100kmを過ぎた辺りでトーマス・デヘント（ベルギー、ロット・デスティニー）が落車。しかし右側のバイクパンツが破けただけで大きな怪我はなく、すぐにレースに復帰している。

途中、風が強まりアルペシン・ドゥクーニンクやスーダル・クイックステップがプロトンのペースを上げるシーンもありながら、分断が回避されたプロトンは残り40kmで逃げを吸収する。そして集団がひと塊のままペルシャ湾の沿岸に出て、残り10km地点をイスラエル・プレミアテックが先頭で通過。各チームによる熾烈な位置取り争いには、ここまでスプリントに絡めていないマーク・カヴェンディッシュ（イギリス、アスタナ・カザクスタン）の姿もあった。

フィニッシュ手前1kmのバナーと直後の小さいラウンドアバウトを抜け、集団は長い直線路に突入する。3勝目を目指すスーダル・トレインが連携が乱れるのに対し、前日に続きヨナス・リカールト（ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク）がカーデン・グローブス（オーストリア）を好位置まで引き上げる。

リカールトに代わり先頭に出たミケル・モルコフ（デンマーク、アスタナ・カザクスタン）のリードアウトからカヴェンディッシュがスプリントを開始し、グローブスも並んで踏み込む。一方でこの日も単騎での勝負を強いられたメルリールは、コース左側からライバルたちを一気にごぼう抜き。そしてスプリントが続かず踏み止めたカヴェンディッシュの背後から、オラフ・コーイ（オランダ、ヴィスマ・リースアバイク）がフェンスで右側を締めながら先頭に立つ。

そしてサム・ウェルスフォード（オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ）を挟んだメルリールとコーイがハンドルを投げ、写真判定の結果コーイが勝利。メルリールのハットトリック阻止に成功した。

「すぐに勝利を確信する事はできなかったが、長い時間によって勝利の安堵感が薄れることはなかった。とても強いライバルが揃うUAEツアーで勝つためには、全てが上手くいかなければならない。良い位置で最後のラウンドアバウトを越え、マーク・カヴェンディッシュの背後につくことができた。最後は前が開け、チャンスと思い踏み込んだ」と、22歳にして強豪を打ち破ったコーイは今季2勝目を振り返った。