12月1日(金)、日曜開催のロードレース東京多摩2023のパラサイクリングに参加する海外選手達が豊洲市場を訪れた。日本の食やその流通の現場を海外の選手達に知ってもらおうと東京都が企画、卸市場の見学と日本食の代表「お寿司」の食体験を行った。なかなか見られないパラサイクリング選手達のリラックスした表情とともにそのレポートをお届けします。



豊洲市場とお寿司の体験に期待を膨らませながら韓国とタイのパラサイクリング代表選手達が到着 photo: Yuichiro Hosoda

広大な埋立地に開設された豊洲市場 photo: Yuichiro Hosoda
ゆりかもめの先に見えるのが、会場となった豊洲市場管理施設棟 photo: Yuichiro Hosoda


この日集まったのは韓国とタイのタンデム選手達総勢10名。タンデムは二人乗り自転車で争われる競技で、前席のパイロットと後席のストーカーで構成される。パイロットは目の見える選手、いわゆる晴眼者で、自転車のコントロールを行い、ストーカーは視覚障がい者でエンジンの役割を果たす。良い結果を出すにはただ脚力のみならず、2名の呼吸が重要となる。

各国の参加選手は以下の通り。

■韓国男子
キム・ジョンビン(ストーカー)、チョ・スン(パイロット)
チェ・クァンス(ストーカー)、ヤン・ギウォン(パイロット)

■韓国女子
イ・ソンスン(ストーカー)、ペク・スンヨン(パイロット)

■タイ男子
ソムラック・プーパッブ(ストーカー)、スラチャイ・ハアジャトゥラット(パイロット)

■タイ女子
ワッチャローポン・ブンマーラート(ストーカー)、アッチャラー・セーテン(パイロット)

とは言え、この日はオフ。東京名所でもある豊洲市場を見学した上、美味しいお寿司も食べられるとあって、選手達もリラックスモード。バスを降り、アテンドしてくれる豊洲の職員さん達に挨拶を受けた後、大きなマグロの模型の前へと案内されると、早速スマホを取り出してパシャリ。視覚障がいを持つ選手は、実際に模型に触れることで、その大きさを体験した様子(※特別に許可を頂いてのもの。普段は触れません)。全員揃っての記念撮影も終えると、いよいよ卸市場へ。

豊洲市場のスタッフさん達から挨拶を受け、いざ見学へGO! photo: Yuichiro Hosoda
普段の行動も、タンデムのパイロットとストーカーは一心同体だ photo: Yuichiro Hosoda


選手それぞれ、個別にマグロと一緒にフォトセッション photo: Yuichiro Hosoda
視覚障がいのあるイ・スンヨンは、実際にマグロに触れて写真をパチリ(※特別に触れる許可を得ています) photo: Yuichiro Hosoda


巨大クロマグロの模型を前に全員で記念写真。これは築地市場で取引された最大級のサイズとのこと photo: Yuichiro Hosoda

時間的にお昼前と言うこともあり、残念ながら卸売場での競りは終了した後。「次は朝早くに来て、ぜひ競りの模様を見たいです!」と多くの選手が口にしていた。また、韓国の選手達は塩干売場に降りた際、遠くに韓国海苔の段ボールを見つけ、「あれは韓国から輸入されているものですか?」と質問。「そうです」と言う答えを聞くと、自国の商品が日本でも取り扱われていることに喜びの表情を浮かべていた。

競りで使われる手やりの解説ボードと静かなマグロ卸市場を眺めながら見学通路を行く photo: Yuichiro Hosoda
通訳を通して解説に聞き入る選手達 photo: Yuichiro Hosoda


「あそこに韓国海苔があるよ!」と喜ぶ、タンデムパイロットのチョ・スン photo: Yuichiro Hosoda
遠目に発見された韓国海苔 photo: Yuichiro Hosoda


少し静かな昼間の売場を通り過ぎた後は、いよいよ待望のお寿司体験。管理施設棟の3階にある「おかめ」「愛養」の2店舗に入店。待ちきれない様子で職人さんがお寿司を握る姿を熱心に拝見。お寿司が目の前に来ると、目を輝かせてのスマホ撮影会となった。中にはすぐさまInstagramにアップする選手も。ご馳走を前にして、選手の顔とは別の、ハツラツとした若者らしさが溢れる。

手際よく握る寿司職人の腕前に見入る photo: Yuichiro Hosoda
美味しそうなお寿司 photo: Yuichiro Hosoda


韓国の監督&スタッフの皆さん。ノリが良くて助かります! photo: Yuichiro Hosoda
にこやかに寿司を手に写真撮影に応じてくれた韓国の男子選手達 photo: Yuichiro Hosoda


テーブルにご馳走が届くと、早速ニコニコで写真を撮り始める女子選手達 photo: Yuichiro Hosoda
女子選手達も笑顔でリクエストに応えてくれました photo: Yuichiro Hosoda


食後に再び集合場所へ戻ると、各国を代表して監督と選手2名がこの日の感想を聞かせてくれた。限られた時間にも関わらず、こういった企画で歓待してくれた事へのお礼を口々に述べ、「お寿司は新鮮で量もたくさん食べられて、とても美味しかった」「今度来る時は長めに卸売市場の様子を見てみたい」と、喜びとともに次回の訪問にも胸を膨らませた。

この後選手達は、再びバスに乗り「この大会でいい成績を残したい」と話しながら、競技会場となる味の素スタジアムへと向かった。ロードレース東京多摩2023は、12月3日(日)に男女ロードレースとともにパラサイクリングが同時開催。前日にはエキシビションレースや一般参加の「チャレンジレースin味スタ」も行われる。スタジアム内では両日ともに「STADIUM FESTA」もあり、沿道やスタジアムに多くの人達が訪れることになりそうだ。

「今度は競りを見たいです」と韓国代表の二人、チェ・クアンス(左、ストーカー)とヤン・ギウォン(右、パイロット) photo: Yuichiro Hosoda
「韓国にも市場はあるが、東京のど真ん中にこういう立派な施設があることにとても驚いた」とイ・ヨンズ韓国代表監督 photo: Yuichiro Hosoda


「初めて来た日本で良い体験が出来た。チームが良い成績を収めることを望んでいます」とパラサイクリング・タイ代表のカモンチャイ・プンヤディット監督 photo: Yuichiro Hosoda
豊洲市場の体験について嬉しそうに話してくれたタイ代表のスラチャイ・ハアジャトゥラット(左、パイロット)とソムラック・プーパッブ(右、ストーカー) photo: Yuichiro Hosoda


今回アテンドしてくださった、豊洲市場の皆さん photo: Yuichiro Hosoda
選手達に配られた東京や豊洲市場のパンフレットやグッズ photo: Yuichiro Hosoda


text & photo: Yuichiro Hosoda

最新ニュース(全ジャンル)