2023/09/26(火) - 19:13
ワフーがインドアトレーナーのKICKR(キッカー)シリーズに新たな2モデルをラインアップに追加した。グローバルでのローンチと同時にワフーは東京都内でリアルイベントを開催し、参加者は世界最速で試乗を楽しんだ。
ワフーのKICKRシリーズといえばスマートローラーの定番製品として多くのサイクリストが愛用するインドアトレーニング機器の一つだ。ラインアップの頂点に立ち、シリーズ名にもなっているハイエンドモデルのKICKRは姿を大きく変えることなく、ワフーのアイコンとして君臨し続けてきた。
一方で毎年のようにアップデートが加えられており、第5世代となった2020年モデルではローラー台の脚部に柔軟性のあるパーツを採用し左右への傾きを手に入れた。2022年モデルではWi-Fi通信に対応し接続安定性を獲得することで、バーチャルサイクリング中の没入感を阻害する要因を取り除いていた。
同時にワフーはサブスクリプション形式ソフトウェアサービスWahoo Xにおいて、バーチャルサイクリングアプリWahoo RGTを展開。RGTは自然なサイクリング体験を味わえるように設計されており、この数年ワフーは「ナチュラルな体験」に注力してきた。だからこそ今年ワフーがKICKR MOVEをリリースするのは自然な流れだった。
KICKR MOVEのローンチと同時にワフーは都内で発表パーティーを開催。ワフー製品に親しみのあるアンバサダーたち、アジアのディーラーたちが集い、世界最速で実際の製品を脚で確かめた。
改めてKICKR MOVEの特徴を紹介しよう。スマートローラーとしての機能は従来モデルと同様で、フライホイールやベルト周りの造形はKICKRらしい出立ちとなっている。一方でローラー台を支えるボディ下部は大きな変更が加えられた。
3本脚の構成とデザインは似通っているが、ローラー部分とレッグ部分の間に大きなボックスが仕込まれている。これがKICKR MOVEがMOVEである所以の"ローラーの前後移動”を実現させている。
ローラー台の前後移動と聞くとイメージするのは、ローラーが水平にスライドする様子ではないだろうか。しかし、発表会で可動したKICKR MOVEを観察してみると、このモデルに関してはブランコ、揺り籠のように弧を描く軌道でローラー台が前後していた。
もちろんブランコ式可動方式はライド中の自然なフィーリングを実現するためのもの。来場していた元プロマウンテンバイク選手の山本幸平さんは、ペダリングによって動き方が変わるためペダリングの練習になるとデモンストレーションの感想を来場者に伝えた。
実際に筆者も試したのだが、いい意味で何も感じない=自然な感覚で走れていたという感覚を試乗が終わったタイミングで掴んだ。実を言うと、心を無にして乗っている時は前後に移動しているような感覚はなく、ローラー台に集中したりダンシングなどで意図的にローラー台を動かそうとした時に前後に移動していたことに気がつく程度。
前後に移動するローラー台の場合は、ローラー台の十数キログラムの物体を動かす重さと、水平にスライドする違和感は拭えないものだった。KICKR MOVEの場合はローラーの重量は全く感じない。ブランコ式によって動き始めは下向きに移動するため重量感が薄いのだろう。パーティでの試乗はわずかだったため、詳細は後日にお伝えしたい。
今回のパーティではKICKR MOVEと同時に、スマートバイクのKICKR BIKE SHIFTもリリースされた。ワフーはスマートバイクとしてKICKR BIKEを展開していたが、今回の新モデルはKICKR BIKEに次ぐセカンドグレードとして開発が行われている。
KICKR BIKEとの大きな違いはドライブトレイン周りが一新されていること。電磁式の負荷調整システムを備えており、駆動音が圧倒的に小さくなっていることが特徴。環境音が小さくない会場でのデモンストレーションとなったが、近くに寄っても駆動音はほととんど感じられなかった。こちらも後日改めてチェックしたい。
またKICKR BIKE SHIFTは、斜度再現システムがオミットされており、バーチャルサイクリングでの勾配変化に合わせてバイクが傾く機能が省略された。可動部分が少なくなったことや、開発が先代よりも進んだことでの剛性向上を果たしている。実際にローンチイベントに参加したガールズケイリンの小林莉子選手のもがきにも対応できているようだった。
共通点はシマノやスラム、カンパニョーロと同じボタン割り当てが可能な専用デュアルコントロールレバーや、非常に細かく調整できるフィッティングシステム。基礎となる部分は変更されていないため、ハイエンドと同じようなインドアサクリング体験が可能だ。
今回のローンチイベントに際してワフーの本社よりショーン・キーンさんが来日。彼は、ワフーはサイクリストの考えを変えようとは思っておらず、屋外で走る人、屋内で走る人、プロ、アマチュア、どのような人でも受け入れることが最終的な目標だという。
そして人々は時間と共に生活は変わっていき、家族や仕事などで責任が生まれると屋外でのライドが難しくなることもあるとショーンさんは言う。自由な時間が短くなり、屋外でのトレーニング時間が取れなくても、インドアで効率的なトレーニングすることが可能だ。
ワフージャパンのポール・シッピーさんはまさに屋外でのトレーニング時間が取れないながらも、KICKRを使って1日1時間程度のインドアトレーニングでトライアスロンのための準備を行ったという。実際に10週間のメニューをこなし、調子を上げた状態でレースに臨めたのだとか。
ポールさんのように目標に向かって取り組む人をサポートするのがワフーであり、そのためにハードウェアとソフトウェアの両面から製品を開発し、揃えているとショーンさんは言う。そしてインドアサイクリングに関しては、屋内でも最も現実的な体験を提供しようとしており、その表れが今回のKICKR MOVEだ。
そしてサイクリストの中でインドアサイクリングを楽しんでいる人はまだまだ少ないのだとか。ワフーはKICKR COREなどミドルグレードを用意し、様々なサイクリストに選択肢を提供してきた。KICKR BIKE SHIFTは決して安い価格ではないものの、スマートバイクとしては手頃な価格に設定されているため、インドアサイクリングに興味をある方の新たな選択肢となってくれるだろう。
これから販売とデリバリーが開始されるKICKR MOVEとKICKR BIKE SHIFTは、サイクリストに新たな体験をもたらしてくれるはずだ。新型フラッグシップとなるKICKR MOVEの動きは実際に試乗して確かめてもらいたい。
report:Gakuto Fujiwara
ワフーのKICKRシリーズといえばスマートローラーの定番製品として多くのサイクリストが愛用するインドアトレーニング機器の一つだ。ラインアップの頂点に立ち、シリーズ名にもなっているハイエンドモデルのKICKRは姿を大きく変えることなく、ワフーのアイコンとして君臨し続けてきた。
一方で毎年のようにアップデートが加えられており、第5世代となった2020年モデルではローラー台の脚部に柔軟性のあるパーツを採用し左右への傾きを手に入れた。2022年モデルではWi-Fi通信に対応し接続安定性を獲得することで、バーチャルサイクリング中の没入感を阻害する要因を取り除いていた。
同時にワフーはサブスクリプション形式ソフトウェアサービスWahoo Xにおいて、バーチャルサイクリングアプリWahoo RGTを展開。RGTは自然なサイクリング体験を味わえるように設計されており、この数年ワフーは「ナチュラルな体験」に注力してきた。だからこそ今年ワフーがKICKR MOVEをリリースするのは自然な流れだった。
KICKR MOVEのローンチと同時にワフーは都内で発表パーティーを開催。ワフー製品に親しみのあるアンバサダーたち、アジアのディーラーたちが集い、世界最速で実際の製品を脚で確かめた。
改めてKICKR MOVEの特徴を紹介しよう。スマートローラーとしての機能は従来モデルと同様で、フライホイールやベルト周りの造形はKICKRらしい出立ちとなっている。一方でローラー台を支えるボディ下部は大きな変更が加えられた。
3本脚の構成とデザインは似通っているが、ローラー部分とレッグ部分の間に大きなボックスが仕込まれている。これがKICKR MOVEがMOVEである所以の"ローラーの前後移動”を実現させている。
ローラー台の前後移動と聞くとイメージするのは、ローラーが水平にスライドする様子ではないだろうか。しかし、発表会で可動したKICKR MOVEを観察してみると、このモデルに関してはブランコ、揺り籠のように弧を描く軌道でローラー台が前後していた。
もちろんブランコ式可動方式はライド中の自然なフィーリングを実現するためのもの。来場していた元プロマウンテンバイク選手の山本幸平さんは、ペダリングによって動き方が変わるためペダリングの練習になるとデモンストレーションの感想を来場者に伝えた。
実際に筆者も試したのだが、いい意味で何も感じない=自然な感覚で走れていたという感覚を試乗が終わったタイミングで掴んだ。実を言うと、心を無にして乗っている時は前後に移動しているような感覚はなく、ローラー台に集中したりダンシングなどで意図的にローラー台を動かそうとした時に前後に移動していたことに気がつく程度。
前後に移動するローラー台の場合は、ローラー台の十数キログラムの物体を動かす重さと、水平にスライドする違和感は拭えないものだった。KICKR MOVEの場合はローラーの重量は全く感じない。ブランコ式によって動き始めは下向きに移動するため重量感が薄いのだろう。パーティでの試乗はわずかだったため、詳細は後日にお伝えしたい。
今回のパーティではKICKR MOVEと同時に、スマートバイクのKICKR BIKE SHIFTもリリースされた。ワフーはスマートバイクとしてKICKR BIKEを展開していたが、今回の新モデルはKICKR BIKEに次ぐセカンドグレードとして開発が行われている。
KICKR BIKEとの大きな違いはドライブトレイン周りが一新されていること。電磁式の負荷調整システムを備えており、駆動音が圧倒的に小さくなっていることが特徴。環境音が小さくない会場でのデモンストレーションとなったが、近くに寄っても駆動音はほととんど感じられなかった。こちらも後日改めてチェックしたい。
またKICKR BIKE SHIFTは、斜度再現システムがオミットされており、バーチャルサイクリングでの勾配変化に合わせてバイクが傾く機能が省略された。可動部分が少なくなったことや、開発が先代よりも進んだことでの剛性向上を果たしている。実際にローンチイベントに参加したガールズケイリンの小林莉子選手のもがきにも対応できているようだった。
共通点はシマノやスラム、カンパニョーロと同じボタン割り当てが可能な専用デュアルコントロールレバーや、非常に細かく調整できるフィッティングシステム。基礎となる部分は変更されていないため、ハイエンドと同じようなインドアサクリング体験が可能だ。
今回のローンチイベントに際してワフーの本社よりショーン・キーンさんが来日。彼は、ワフーはサイクリストの考えを変えようとは思っておらず、屋外で走る人、屋内で走る人、プロ、アマチュア、どのような人でも受け入れることが最終的な目標だという。
そして人々は時間と共に生活は変わっていき、家族や仕事などで責任が生まれると屋外でのライドが難しくなることもあるとショーンさんは言う。自由な時間が短くなり、屋外でのトレーニング時間が取れなくても、インドアで効率的なトレーニングすることが可能だ。
ワフージャパンのポール・シッピーさんはまさに屋外でのトレーニング時間が取れないながらも、KICKRを使って1日1時間程度のインドアトレーニングでトライアスロンのための準備を行ったという。実際に10週間のメニューをこなし、調子を上げた状態でレースに臨めたのだとか。
ポールさんのように目標に向かって取り組む人をサポートするのがワフーであり、そのためにハードウェアとソフトウェアの両面から製品を開発し、揃えているとショーンさんは言う。そしてインドアサイクリングに関しては、屋内でも最も現実的な体験を提供しようとしており、その表れが今回のKICKR MOVEだ。
そしてサイクリストの中でインドアサイクリングを楽しんでいる人はまだまだ少ないのだとか。ワフーはKICKR COREなどミドルグレードを用意し、様々なサイクリストに選択肢を提供してきた。KICKR BIKE SHIFTは決して安い価格ではないものの、スマートバイクとしては手頃な価格に設定されているため、インドアサイクリングに興味をある方の新たな選択肢となってくれるだろう。
これから販売とデリバリーが開始されるKICKR MOVEとKICKR BIKE SHIFTは、サイクリストに新たな体験をもたらしてくれるはずだ。新型フラッグシップとなるKICKR MOVEの動きは実際に試乗して確かめてもらいたい。
report:Gakuto Fujiwara
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