2023/08/23(水) - 10:58
国内最大のロードサイクリスト向けイベント、シマノ鈴鹿ロードレース。数多くの種目があるなかで個人&チームタイムトライアルとステージレース形式で争う5ステージ・スズカで熱戦が繰り広げられた。チーム総合はNerebaniが、個人総合は川崎嘉久(Nerebani)が、個人総合ジュニア賞は井上拓海(ぴっとレーシングチーム)が獲得した。
8月19~20日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」。初心者からベテランまで、個人やチームで老若男女問わず様々なレベルのサイクリストが自身のレベルに応じたレースを楽しむことが出来るロードレースイベントだ。
ツール・ド・フランスのようなステージレースが体験できる5ステージ・スズカ。個人とチームの総合優勝をかけて、個人とチームのタイムトライアル種目と3つのロードレースを2日間で5つのレースを戦う。4人から最大6人までのチームで構成され、チーム内でエースやアシストの役割を振り分け、グランツールを駆けぬける選手のように参加できるため人気を博している。
ロードレースの各ステージにはスプリントポイントやステージ順位に応じたボーナスタイムが設けられ、個人やチームTTのタイムとあわせて総合タイムによる「個人総合成績」そしてチームの上位3名の成績によって決められる「チーム総合成績」も争うことになる。そして、今年から18歳以下のジュニアの選手にもジュニア個人総合成績のリーダージャージも用意されることになった。
昨年はコロナ明けの3年ぶりの大会ということもあり、合計14チーム・80人が出場した。今大会の参加チームは昨年の覇者の川崎嘉久率いるNerebani、THE LAST TORORO STARS(Igname)、バルバサイクルレーシングチーム、mkw、ぴっとレーシングチーム、BMITRY、BREZZA-KAMIHAGI、FAST√MADE、SIMIZU RACING、TCC-SPEED、TTGミトロングV、名岐ベンド、1ntrepid Scums Toyohashi、MOAT RACING LAB、soleil de lest、VC VELOCE、アトリエフルーブ、グランデパール播磨、ケルメス・アウトドアライフ、愛知産業大学工業高等学校、ちゅうちゅう山岳部、初心者サイクリストの計20チーム・120人が出場し、参加者もコロナ前の参加人数に戻りつつある。
大会1日目に開催された第1ステージは鈴鹿サーキットを5周する29.0kmのロードレース。レース序盤からアタック合戦により逃げ集団が形成されるなど、目まぐるしくレース展開が変わる激しいレース展開であったが、最後は集団が1つになり、大混戦の集団スプリントとなった。
昨年の5ステージ・スズカ覇者の川崎嘉久(Nerebani)が最終コーナーの外側からロングスプリントを開始し、先行したままゴールラインを越えて見事優勝。2位は寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)、3位は北野普識(THE LAST TORORO STARS(Igname) )と続いた。総合リーダーになった川崎は青と白の格子模様のリーダージャージを着用することに。
第2ステージは東コースを1周する、2.2kmと短めの個人タイムトライアル。多くの選手がロードレースの時とは異なり、タイムトライアルバイクやエアロホイール、TTバー、そしてスキンスーツを使用するなどバイクの種類や仕様を変更。グランツールに参戦しているワールドチームと変わらないような機材を駆って、次々とコースに飛び出していく。
トップタイムを叩き出したのは昨年の個人TTを制している古閑祥三(Nerebani)が同チームの2位加藤⾠之介に1秒81差でフィニッシュした。3位は近藤健介(ぴっとレーシングチーム)、4位は河田恭司郎(THE LAST TORORO STARS(Igname))、岸本伊織(mkw)。個人総合時間順位は変わらず、川崎がキープ。3位の古閑、4位の加藤と個人総合時間でもNerebaniが上位を固め、連覇に向けて盤石な体制を築き始めていた。
第3ステージは本コースを4周する23.2kmのチームタイムトライアル。チーム総合を狙うチームや個人総合を狙うチームにとっても重要となってくるため、スタート前から選手たちの緊張感が伝わってくるほど。チーム総合順に10秒ごとにスタートしていく方式を採用している。
平均時速47.5kmというハイペースでゴールラインに飛び込んできた、THE LAST TORORO STARS(Igname)がチーム力を魅せつけ見事優勝した。 2位はトップと5.57秒差でNerebani、3位はsoleil de lest。個人総合時間順位は河田恭司郎(THE LAST TORORO STARS(Igname))がトップに立ち、リーダージャージを獲得した。2位は3秒差で川崎嘉久(Nerebani)が続き、リーダージャージ奪還を狙う。
チーム総合もTHE LAST TORORO STARS(Igname)が Nerebaniを抜き去り、チームの上位3名の成績によって決められる「チーム総合成績」の争いにも目が離せない。
大会2日目に開催された第4ステージは東コースを5周する11.0kmのロードレース。距離が短いこともあり、ハイスピードな展開が予想される。レースがスタートするアタックが続き、ボーナスタイムが獲得できるスプリント周回が設定され、終始一列棒状で集団は落ち着きがない様子。スプリント周回でボーナスタイムを獲得し、川崎嘉久がバーチャルリーダーに立った。
最終周回のホームストレートで井上和朗が単独アタックするもホームストレートに帰ってくる最終コーナーで吸収されてしまう。しかし、そのカウンターでゴールスプリントを開始した寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)が後続を寄せ付けないパワフルなスプリントで優勝を決めた。2位は嶋田祥(BREZZA-KAMIHAGI)、3位は川崎嘉久(Nerebani)とゴールラインを通過。
個人総合時間順位は川崎が再び1位になり、個人総合リーダージャージを奪還に成功。個人総合は2位~5位までTHE LAST TORORO STARS(Igname) の河田恭司郎と北野普識、豊田勝徳、兼松大和が連なる陣形となり、チーム総合も首位になった。最終ステージまで個人総合とチーム総合争いは白熱する展開になった。
5ステージ・スズカが決着する第5ステージは本コースを7周する40.6kmのロードレース。40kmと中距離のロードレースだがハイスピードなレース展開が予想された。それぞれの思惑が交錯する中、残り2周でホームストレートでペースアップがあった。
シケインのあたりで加藤⾠之介(Nerebani)と河田恭司郎(THE LAST TORORO STARS(Igname) )、井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)、菅野将志(MOAT RACING LAB)の4名の逃げ集団が形成される。最終周回に入り、逃げとメイン集団のタイムギャップは23秒で、レースは最終局面を迎える。
シケインを過ぎると更なるペースアップがあり、 河田と菅野がドロップ。先頭の逃げは加藤⾠之介(Nerebani)と井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)の2名になり、協調体制を取り、逃げ切りを狙いながらゴールへ直走る。
最後は加藤と井上が最終コーナーで牽制し、その間に大きなメイン集団が迫りくる。加藤が先行してスプリントを開始し、井上が落ち着いてスプリントを開始。ゴールライン手前50mで井上が先行し、最後は人差し指を高々と天に向けて上げながらと井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)が第5ステージで勝利を挙げた。
続くメイン集団は個人総合リーダージャージを着用する川崎嘉久(Nerebani)が3位でフィニッシュし、自力で更なるボーナスタイムを獲得。個人総合リーダージャージ争いを決定付け、2年連続の総合優勝に輝いた。さらに、チーム総合も優勝する大逆転劇とダブルタイトルを獲得し、Nerebaniは最高の形で5ステージ・スズカを終えた。
■個人総合ジュニア賞を獲得した井上拓海(ぴっとレーシングチーム)のコメント
このジャージを着れたのはチームの皆さんが協力してくれたおかげだと思っています。最終ステージはジュニア賞2位の選手とアタック合戦があり、とても楽しかったです。チームメイトの皆さんが「必ず個人総合ジュニア賞を獲得しろよ!」と言われて、最後まで頑張れました!
■個人総合時間賞を獲得した川崎嘉久(Nerebani)のコメント
1日目が終わった時は劣勢に立たされて、2日目は苦しい戦いが強いられるなと思っていました。できる限りのベストな走りをして、なんとしてもチームと個人で総合優勝したいという気持ちで走って、チーム総合と個人総合を獲得できたので率直にうれしいです。リーダージャージを獲得しているのでマークをされていましたが、自分から動くタイプなので、2位のイナーメさんとの差を詰められないようにスプリントポイントを積極的に取っていました。
そして、それができたのがチームメイトがいてくれたおかげで、アシストしてくれたので感謝しています。本メンバーが怪我で出場できなかったり、代役の選手も含めて頑張って走ってくれたので、僕はここに立てています。本当に感謝の気持ちで胸がいっぱいです。ありがとうございました!
8月19~20日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」。初心者からベテランまで、個人やチームで老若男女問わず様々なレベルのサイクリストが自身のレベルに応じたレースを楽しむことが出来るロードレースイベントだ。
ツール・ド・フランスのようなステージレースが体験できる5ステージ・スズカ。個人とチームの総合優勝をかけて、個人とチームのタイムトライアル種目と3つのロードレースを2日間で5つのレースを戦う。4人から最大6人までのチームで構成され、チーム内でエースやアシストの役割を振り分け、グランツールを駆けぬける選手のように参加できるため人気を博している。
ロードレースの各ステージにはスプリントポイントやステージ順位に応じたボーナスタイムが設けられ、個人やチームTTのタイムとあわせて総合タイムによる「個人総合成績」そしてチームの上位3名の成績によって決められる「チーム総合成績」も争うことになる。そして、今年から18歳以下のジュニアの選手にもジュニア個人総合成績のリーダージャージも用意されることになった。
昨年はコロナ明けの3年ぶりの大会ということもあり、合計14チーム・80人が出場した。今大会の参加チームは昨年の覇者の川崎嘉久率いるNerebani、THE LAST TORORO STARS(Igname)、バルバサイクルレーシングチーム、mkw、ぴっとレーシングチーム、BMITRY、BREZZA-KAMIHAGI、FAST√MADE、SIMIZU RACING、TCC-SPEED、TTGミトロングV、名岐ベンド、1ntrepid Scums Toyohashi、MOAT RACING LAB、soleil de lest、VC VELOCE、アトリエフルーブ、グランデパール播磨、ケルメス・アウトドアライフ、愛知産業大学工業高等学校、ちゅうちゅう山岳部、初心者サイクリストの計20チーム・120人が出場し、参加者もコロナ前の参加人数に戻りつつある。
大会1日目に開催された第1ステージは鈴鹿サーキットを5周する29.0kmのロードレース。レース序盤からアタック合戦により逃げ集団が形成されるなど、目まぐるしくレース展開が変わる激しいレース展開であったが、最後は集団が1つになり、大混戦の集団スプリントとなった。
昨年の5ステージ・スズカ覇者の川崎嘉久(Nerebani)が最終コーナーの外側からロングスプリントを開始し、先行したままゴールラインを越えて見事優勝。2位は寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)、3位は北野普識(THE LAST TORORO STARS(Igname) )と続いた。総合リーダーになった川崎は青と白の格子模様のリーダージャージを着用することに。
第2ステージは東コースを1周する、2.2kmと短めの個人タイムトライアル。多くの選手がロードレースの時とは異なり、タイムトライアルバイクやエアロホイール、TTバー、そしてスキンスーツを使用するなどバイクの種類や仕様を変更。グランツールに参戦しているワールドチームと変わらないような機材を駆って、次々とコースに飛び出していく。
トップタイムを叩き出したのは昨年の個人TTを制している古閑祥三(Nerebani)が同チームの2位加藤⾠之介に1秒81差でフィニッシュした。3位は近藤健介(ぴっとレーシングチーム)、4位は河田恭司郎(THE LAST TORORO STARS(Igname))、岸本伊織(mkw)。個人総合時間順位は変わらず、川崎がキープ。3位の古閑、4位の加藤と個人総合時間でもNerebaniが上位を固め、連覇に向けて盤石な体制を築き始めていた。
第3ステージは本コースを4周する23.2kmのチームタイムトライアル。チーム総合を狙うチームや個人総合を狙うチームにとっても重要となってくるため、スタート前から選手たちの緊張感が伝わってくるほど。チーム総合順に10秒ごとにスタートしていく方式を採用している。
平均時速47.5kmというハイペースでゴールラインに飛び込んできた、THE LAST TORORO STARS(Igname)がチーム力を魅せつけ見事優勝した。 2位はトップと5.57秒差でNerebani、3位はsoleil de lest。個人総合時間順位は河田恭司郎(THE LAST TORORO STARS(Igname))がトップに立ち、リーダージャージを獲得した。2位は3秒差で川崎嘉久(Nerebani)が続き、リーダージャージ奪還を狙う。
チーム総合もTHE LAST TORORO STARS(Igname)が Nerebaniを抜き去り、チームの上位3名の成績によって決められる「チーム総合成績」の争いにも目が離せない。
大会2日目に開催された第4ステージは東コースを5周する11.0kmのロードレース。距離が短いこともあり、ハイスピードな展開が予想される。レースがスタートするアタックが続き、ボーナスタイムが獲得できるスプリント周回が設定され、終始一列棒状で集団は落ち着きがない様子。スプリント周回でボーナスタイムを獲得し、川崎嘉久がバーチャルリーダーに立った。
最終周回のホームストレートで井上和朗が単独アタックするもホームストレートに帰ってくる最終コーナーで吸収されてしまう。しかし、そのカウンターでゴールスプリントを開始した寺崎武郎(バルバサイクルレーシングチーム)が後続を寄せ付けないパワフルなスプリントで優勝を決めた。2位は嶋田祥(BREZZA-KAMIHAGI)、3位は川崎嘉久(Nerebani)とゴールラインを通過。
個人総合時間順位は川崎が再び1位になり、個人総合リーダージャージを奪還に成功。個人総合は2位~5位までTHE LAST TORORO STARS(Igname) の河田恭司郎と北野普識、豊田勝徳、兼松大和が連なる陣形となり、チーム総合も首位になった。最終ステージまで個人総合とチーム総合争いは白熱する展開になった。
5ステージ・スズカが決着する第5ステージは本コースを7周する40.6kmのロードレース。40kmと中距離のロードレースだがハイスピードなレース展開が予想された。それぞれの思惑が交錯する中、残り2周でホームストレートでペースアップがあった。
シケインのあたりで加藤⾠之介(Nerebani)と河田恭司郎(THE LAST TORORO STARS(Igname) )、井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)、菅野将志(MOAT RACING LAB)の4名の逃げ集団が形成される。最終周回に入り、逃げとメイン集団のタイムギャップは23秒で、レースは最終局面を迎える。
シケインを過ぎると更なるペースアップがあり、 河田と菅野がドロップ。先頭の逃げは加藤⾠之介(Nerebani)と井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)の2名になり、協調体制を取り、逃げ切りを狙いながらゴールへ直走る。
最後は加藤と井上が最終コーナーで牽制し、その間に大きなメイン集団が迫りくる。加藤が先行してスプリントを開始し、井上が落ち着いてスプリントを開始。ゴールライン手前50mで井上が先行し、最後は人差し指を高々と天に向けて上げながらと井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム)が第5ステージで勝利を挙げた。
続くメイン集団は個人総合リーダージャージを着用する川崎嘉久(Nerebani)が3位でフィニッシュし、自力で更なるボーナスタイムを獲得。個人総合リーダージャージ争いを決定付け、2年連続の総合優勝に輝いた。さらに、チーム総合も優勝する大逆転劇とダブルタイトルを獲得し、Nerebaniは最高の形で5ステージ・スズカを終えた。
■個人総合ジュニア賞を獲得した井上拓海(ぴっとレーシングチーム)のコメント
このジャージを着れたのはチームの皆さんが協力してくれたおかげだと思っています。最終ステージはジュニア賞2位の選手とアタック合戦があり、とても楽しかったです。チームメイトの皆さんが「必ず個人総合ジュニア賞を獲得しろよ!」と言われて、最後まで頑張れました!
■個人総合時間賞を獲得した川崎嘉久(Nerebani)のコメント
1日目が終わった時は劣勢に立たされて、2日目は苦しい戦いが強いられるなと思っていました。できる限りのベストな走りをして、なんとしてもチームと個人で総合優勝したいという気持ちで走って、チーム総合と個人総合を獲得できたので率直にうれしいです。リーダージャージを獲得しているのでマークをされていましたが、自分から動くタイプなので、2位のイナーメさんとの差を詰められないようにスプリントポイントを積極的に取っていました。
そして、それができたのがチームメイトがいてくれたおかげで、アシストしてくれたので感謝しています。本メンバーが怪我で出場できなかったり、代役の選手も含めて頑張って走ってくれたので、僕はここに立てています。本当に感謝の気持ちで胸がいっぱいです。ありがとうございました!
5ステージ・スズカ 個人総合時間順位
1位 | 川崎嘉久(Nerebani) | 2:18:20 |
2位 | 加藤⾠之介(Nerebani) | +0:04 |
3位 | 河田恭司郎(THE LAST TORORO STARS(Igname) ) | +0:15 |
4位 | 北野普識(THE LAST TORORO STARS(Igname) ) | +0:16 |
5位 | 兼松大和(THE LAST TORORO STARS(Igname) ) | +0:22 |
6位 | 豊田勝徳(THE LAST TORORO STARS(Igname) ) | +0:23 |
7位 | 高木礼(Nerebani) | +0:33 |
8位 | 古閑祥三(Nerebani) | +1:02 |
9位 | 山下悠(soleil de lest) | +1:27 |
10位 | 井上和郎(バルバサイクルレーシングチーム) | +1:36 |
5ステージ・スズカ 団体総合時間順位
1位 | Nerebani | 5:57:24 |
2位 | THE LAST TORORO STARS(Igname) | +0:06 |
3位 | soleil de lest | +1:23 |
4位 | ぴっとレーシングチーム | +1:37 |
5位 | バルバサイクルレーシングチーム | +2:01 |
text & photo :Michinari TAKAGI
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