2023/07/24(月) - 08:30
パリ・シャンゼリゼ通りで繰り広げられた集団スプリントを、初出場のヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)が制覇。チームメイトと横一列でフィニッシュしたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が大会連覇を達成した。
3週間に渡り行われた第110回ツール・ド・フランスは、48年連続でパリ・シャンゼリゼにて千秋楽を迎えた。総距離3,404kmの長旅を締めくくるスタート地点は、2024年パリ五輪の舞台でもあるヴェロドロームとフランス自転車競技連盟の本部が置かれるサンカンタン・アン・イヴリーヌ。そこから選手一向はパリ市街を目指して37kmのパレード走行を楽しみ、凱旋門やコンコルド広場、ルモニエトンネルを含むお馴染みの6.8kmコースを8周する。
そして最後は「スプリンターの世界選手権」と呼ばれる集団スプリント。マイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)を纏うヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の区間5勝目はもちろん、山岳を乗り越えたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)やツール最終レースとなるペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)らの競演が注目された。
そして150名の選手たちがパリ郊外のサンカンタン・アン・イヴリーヌを16時40分に出発すると、総合敢闘賞に輝いたヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)が飛び出す。4日連続となるファーストアタックを見事に決めた元アワーレコードホルダーが集団に下がっていくと、グランツール最終日恒例のパレード走行が始まった。
マイヨジョーヌの凱旋レースという意味合いにふさわしく、前日に2年連続となる総合優勝を実質的に決めたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が集団先頭に出てフォトタイム。その横にはこの日が最後のマイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)姿となるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が並び、マイヨヴェールのフィリプセン、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)のジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)も横一列で花の都パリに向けて走り出した。
その後はヴィンゲゴーの総合優勝に加え、区間3勝を飾ったデンマーク出身の選手たちが並ぶ。続いて各国ナショナルチャンピオンジャージを着用した選手たちや、今年も圧倒的なチーム力を発揮したユンボ・ヴィスマがシャンパンを傾けるお馴染みのシーンも。そしてナータン・ファンホーイドンク(ベルギー)は第17ステージでレースを去り、無事第二子の誕生に立ち会うことのできたワウト・ファンアールト(ベルギー)のゼッケン6番を掲げた。
チッコーネが残り72.3km地点にある4級山岳をトップ通過してマイヨアポワに花を添える。そしてパリ郊外をぐるっとスローペースで走った選手たちが、ユンボ・ヴィスマを先頭にしてシャンゼリゼ周回コースに到着。ルーヴル美術館のルーヴル・ピラミッドを周りフィニッシュラインを通過し、最終日の戦いの火蓋が切られた。
パスカル・エインコールン(オランダ、ロット・デスティニー)の加速から逃げを目指す選手たちがアタックを繰り返し、ポガチャルも単独先頭に出て見せ場を作る。マークするファンホーイドンクを伴ったポガチャルの強力な逃げはしばし続き、集団に大きな差をつけた。しかしこれは集団が引き戻し、代わりにチームにスプリンターのいないサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)とネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)、フレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・デスティニー)の3名が逃げグループを形成した。
その後も母国のスター選手であるジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)などのアタックもありながら、全てがプロトンに引き戻され集団はひと塊に。そしてジェイコ・アルウラーが先頭で残り3km地点を通過し、ヴィンゲゴーらユンボ・ヴィスマの選手たちが笑顔で集団から遅れていった。
続いてマッズ・ピーダスン(デンマーク)を擁するリドル・トレックが先頭で人数を固め、その後ろに今大会スプリントステージ4勝のアルペシン・ドゥクーニンクがつく。そして残り1.2km地点で再びポガチャルがマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)のために先頭に出た。
フラムルージュ(残り1km)を先頭で通過したポガチャルが遅れていき、そのスピードに一列棒状となった集団が最終ストレートになだれ込む。混沌とした中でマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が、残り450mから後ろにフィリプセンを従えリードアウトを開始。そして残り200mでファンデルプールがその役割を終える直前に、フィリプセンの後ろからディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)が踏み始めた。
フィリプセンが冷静にフルーネウェーヘンの背後を取り、その横からピーダスンがスプリントを開始する。先頭に立ったフルーネウェーヘンとピーダスンのスピードが伸び悩むなか、フィリプセンと逆方向から番手を上げたヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)が同時に先頭に出る。
そして両者がハンドルを投げてフィニッシュラインを通過。ガッツポーズなきシャンゼリゼ決戦は、暫くの後メーウスに勝利が告げられた。
同じベルギー出身のフィリプセンに対し、僅差でツール初勝利を掴んだメーウス。「キャリア最良の日となった。これまで見せることができなかった力を、ようやく今日発揮することができた。全てが上手くいったよ。最後に勝利という役割を果たすことができ、とても誇りに思っている」と喜ぶ。
また「ダニー(ファンポッペル)とマルコ(ハラー)が僕を適切なタイミングで良い位置へと導いてくれた。そしてピーダスンの背後を取り、完璧なタイミングでスプリントができた。この喜びを表現する言葉が見つからないよ」とレースを振り返った。
メーウスはオランダと国境を面するベルギー北部ロンメル出身の25歳。初出場となった今大会ではエーススプリンターを任されたメーウスが、その責務をこれ以上ない最高の舞台で全うした。
敗れながらも区間4勝とマイヨヴェール獲得という大成功に終わったフィリプセンは2位。3位には、こちらもピーダスンとの僅差でフルーネウェーヘンが入っている。
そして総合優勝はチームメイトと横一列でフィニッシュしたヴィンゲゴーの手に。シャンゼリゼの表彰台でデンマーク国歌を聴いたヴィンゲゴーは、マイクを手に「この優勝はチームメイトがいなければ不可能で、今夜は皆と素敵なディナーと共に祝いたい。出場した選手たちやスタッフ、また3週間戦いを繰り広げたライバルたちにも感謝を伝えたい。また来年ここで戦おう。そして最後に、僕を支えてくれた2人の家族(ガールフレンドと娘)に感謝したい」と優勝者インタビューで語った。
また、2024年はパリ五輪の影響で最終フィニッシュ地点が南仏のニースとなるため、次回ツールがパリ・シャンゼリゼで終着するのは2年後の2025年大会となる。
選手たちの詳細なコメントは別記事にてお伝えします。
3週間に渡り行われた第110回ツール・ド・フランスは、48年連続でパリ・シャンゼリゼにて千秋楽を迎えた。総距離3,404kmの長旅を締めくくるスタート地点は、2024年パリ五輪の舞台でもあるヴェロドロームとフランス自転車競技連盟の本部が置かれるサンカンタン・アン・イヴリーヌ。そこから選手一向はパリ市街を目指して37kmのパレード走行を楽しみ、凱旋門やコンコルド広場、ルモニエトンネルを含むお馴染みの6.8kmコースを8周する。
そして最後は「スプリンターの世界選手権」と呼ばれる集団スプリント。マイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)を纏うヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の区間5勝目はもちろん、山岳を乗り越えたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)やツール最終レースとなるペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)らの競演が注目された。
そして150名の選手たちがパリ郊外のサンカンタン・アン・イヴリーヌを16時40分に出発すると、総合敢闘賞に輝いたヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)が飛び出す。4日連続となるファーストアタックを見事に決めた元アワーレコードホルダーが集団に下がっていくと、グランツール最終日恒例のパレード走行が始まった。
マイヨジョーヌの凱旋レースという意味合いにふさわしく、前日に2年連続となる総合優勝を実質的に決めたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が集団先頭に出てフォトタイム。その横にはこの日が最後のマイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)姿となるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が並び、マイヨヴェールのフィリプセン、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)のジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)も横一列で花の都パリに向けて走り出した。
その後はヴィンゲゴーの総合優勝に加え、区間3勝を飾ったデンマーク出身の選手たちが並ぶ。続いて各国ナショナルチャンピオンジャージを着用した選手たちや、今年も圧倒的なチーム力を発揮したユンボ・ヴィスマがシャンパンを傾けるお馴染みのシーンも。そしてナータン・ファンホーイドンク(ベルギー)は第17ステージでレースを去り、無事第二子の誕生に立ち会うことのできたワウト・ファンアールト(ベルギー)のゼッケン6番を掲げた。
チッコーネが残り72.3km地点にある4級山岳をトップ通過してマイヨアポワに花を添える。そしてパリ郊外をぐるっとスローペースで走った選手たちが、ユンボ・ヴィスマを先頭にしてシャンゼリゼ周回コースに到着。ルーヴル美術館のルーヴル・ピラミッドを周りフィニッシュラインを通過し、最終日の戦いの火蓋が切られた。
パスカル・エインコールン(オランダ、ロット・デスティニー)の加速から逃げを目指す選手たちがアタックを繰り返し、ポガチャルも単独先頭に出て見せ場を作る。マークするファンホーイドンクを伴ったポガチャルの強力な逃げはしばし続き、集団に大きな差をつけた。しかしこれは集団が引き戻し、代わりにチームにスプリンターのいないサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)とネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)、フレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・デスティニー)の3名が逃げグループを形成した。
その後も母国のスター選手であるジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)などのアタックもありながら、全てがプロトンに引き戻され集団はひと塊に。そしてジェイコ・アルウラーが先頭で残り3km地点を通過し、ヴィンゲゴーらユンボ・ヴィスマの選手たちが笑顔で集団から遅れていった。
続いてマッズ・ピーダスン(デンマーク)を擁するリドル・トレックが先頭で人数を固め、その後ろに今大会スプリントステージ4勝のアルペシン・ドゥクーニンクがつく。そして残り1.2km地点で再びポガチャルがマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)のために先頭に出た。
フラムルージュ(残り1km)を先頭で通過したポガチャルが遅れていき、そのスピードに一列棒状となった集団が最終ストレートになだれ込む。混沌とした中でマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が、残り450mから後ろにフィリプセンを従えリードアウトを開始。そして残り200mでファンデルプールがその役割を終える直前に、フィリプセンの後ろからディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)が踏み始めた。
フィリプセンが冷静にフルーネウェーヘンの背後を取り、その横からピーダスンがスプリントを開始する。先頭に立ったフルーネウェーヘンとピーダスンのスピードが伸び悩むなか、フィリプセンと逆方向から番手を上げたヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)が同時に先頭に出る。
そして両者がハンドルを投げてフィニッシュラインを通過。ガッツポーズなきシャンゼリゼ決戦は、暫くの後メーウスに勝利が告げられた。
同じベルギー出身のフィリプセンに対し、僅差でツール初勝利を掴んだメーウス。「キャリア最良の日となった。これまで見せることができなかった力を、ようやく今日発揮することができた。全てが上手くいったよ。最後に勝利という役割を果たすことができ、とても誇りに思っている」と喜ぶ。
また「ダニー(ファンポッペル)とマルコ(ハラー)が僕を適切なタイミングで良い位置へと導いてくれた。そしてピーダスンの背後を取り、完璧なタイミングでスプリントができた。この喜びを表現する言葉が見つからないよ」とレースを振り返った。
メーウスはオランダと国境を面するベルギー北部ロンメル出身の25歳。初出場となった今大会ではエーススプリンターを任されたメーウスが、その責務をこれ以上ない最高の舞台で全うした。
敗れながらも区間4勝とマイヨヴェール獲得という大成功に終わったフィリプセンは2位。3位には、こちらもピーダスンとの僅差でフルーネウェーヘンが入っている。
そして総合優勝はチームメイトと横一列でフィニッシュしたヴィンゲゴーの手に。シャンゼリゼの表彰台でデンマーク国歌を聴いたヴィンゲゴーは、マイクを手に「この優勝はチームメイトがいなければ不可能で、今夜は皆と素敵なディナーと共に祝いたい。出場した選手たちやスタッフ、また3週間戦いを繰り広げたライバルたちにも感謝を伝えたい。また来年ここで戦おう。そして最後に、僕を支えてくれた2人の家族(ガールフレンドと娘)に感謝したい」と優勝者インタビューで語った。
また、2024年はパリ五輪の影響で最終フィニッシュ地点が南仏のニースとなるため、次回ツールがパリ・シャンゼリゼで終着するのは2年後の2025年大会となる。
選手たちの詳細なコメントは別記事にてお伝えします。
ツール・ド・フランス2023第21ステージ
1位 | ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | 2:56:13 |
2位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
3位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) | |
4位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
5位 | ケース・ボル(オランダ、アスタナ・カザフスタン) | |
6位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
7位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | |
8位 | ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) | |
9位 | コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | |
10位 | ルーカ・モッツァート(イタリア、アルケア・サムシック) | |
11位 | ペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 82:05:42 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +7:29 |
3位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +10:56 |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) | +12:23 |
5位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +13:17 |
6位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +13:27 |
7位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +14:44 |
8位 | フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) | +16:09 |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +23:08 |
10位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | +26:30 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 377pts |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 258pts |
3位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | 203pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | 106pts |
2位 | フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) | 92pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 89pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 82:13:11 |
2位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +5:48 |
3位 | フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) | +8:40 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 247:19:41 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +13:49 |
3位 | イネオス・グレナディアーズ | +27:38 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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